小林武彦のレビュー一覧
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そうか、老化は必然なんだ。
そう気づかされたから、昨今の体力の低下とか病気とかを悲観するのではなく、正面で受け止められる気がする。
小林先生が易しい言葉に落としてくださっているように、「生き物が生まれるのは偶然ですが、死ぬのは必然なのです。壊れないと次ができません。これはまさに、本書で繰り返してきた「ターンオーバー」そのものです。」P202 という事実を踏まえれば、自分が死ぬこともそう悪くないことだと思う。
願わくばこの何十億年もかけて進化を遂げたいのちのルールを、昨今の商業主義による激しい開発競争ただ中の抗老化研究が、真摯な検証もないままにひっくり返してしまうことのないよう祈っている。 -
Posted by ブクログ
「老い」や「死」に対するイメージを大きく変えてくれる一冊。
自然界の生き物のほとんどは老いずに死ぬ。身体機能や生殖機能が衰えた後も長く行き続ける「老い」はヒトに特有の現象である。「変化と選択」の長い歴史の中で「老化」という性質が保存されたからには、「老化」にも生物学的な意味があるはず―。この本はそんな序論から始まる。
序盤では、細胞や個体レベルの「死」や「老化」が、「DNAの損傷の蓄積」によって起こるという生物学的なメカニズムについて、わかりやすく順を追って説明される。続いて、社会性の生き物であるヒトの進化の過程で「老い」はなぜ選択されてきたのか、コミュニティに年長者が存在することがどう有利にはたらいたのかについて、これまでに明らかになった事実や仮説が示される。後半では、超少子高齢化、人口減少時代を迎えた日本社会の存続の鍵となる「シニア」の役割と可能性について熱く語られる。
巻末、筆者が思い描く「ピンピンコロリ」とは違う、理想的な最期が柔らかく描写される。そんな風に命を終えることが出来るなら、「老い」も「死」も怖くないかもしれないと、素直に思える。
生命科学や細胞生物学の専門的な内容も、平易な言葉で丁寧に書かれていて分かりやすい。どの年代でも興味を持って読めるが、これからシニアに向かっていく世代には特に、これからの人生の過ごし方を考えさせられる内容だし、この世代に向けた筆者のメッセージが込められていると思う。
ちなみに筆者は「知識や技術、経験が豊富で私欲が少なく、次世代を育て集団をまとめる調整役になれる人」を「シニア」と呼び、単なる「年長者」とは区別している。言葉は柔らかいけど、この呼び分けには何かピリッとしたものを感じる。社会の中で権限ある立場にある人には特に、自分は「シニア」たり得るだろうかと自問しながら読んでみると良いと思う。 -
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生物学者である小林武彦氏がこの本で読者に伝えたかった内容は、実は宗教哲学者のようでした。
第7章 人は最後に老年的超越を目指す の中の「老年的超越を目指して」の最後で以下の言葉を語っていました。
やがて目も見えなくなり、私を呼ぶ声も遠ざかり、ただただ幸せな気持ちに包まれて、ここはどこだったのか、私は誰だったのかなどはどうでもよく、宇宙そして全ての生き物とのつながりを感じながら、旅立つというより、元いた場所に戻る安堵感に包まれて長い眠りにつくのです。また目覚める日を夢見ながら
と締めくくっています。
ここまでたどり着くため、第1章から地球誕生からの奇跡の生命体の誕生からこの本は始まりました。
第1章 そもそも生物はなぜ死ぬのか
において、地球上における生命の誕生から進化の過程を生物学者の立場で丁寧に語っています。
そして第2章 ヒト以外の生物は老いずに死ぬ
の中で、野生の生き物は基本的に老化しないことを説明しています。
そして、第3章 老化はどうやって起きるのか
の中で、老化のメカニズムを説明しています。
次の 第4章 なぜヒトは老いるようになったか
の中で、「人生の40%が生物学的に老後」
「老いは 死を意識させ、公共性を目覚めさせる」
など数点を挙げ、ヒトの集団においては、老人の必要性について語っている
次の 第5章 そもそもなぜシニアが必要か
の中で、「シニアの存在価値」
「老いの一つの意味」
など数点を挙げ、素敵な老いをとげ、利他的、公共的な役割に資すること
の重要性を述べています。
次の 第6章「老い」を老いずに生きる
の中身ですが、私の尊敬する和田秀樹さんが推奨する高齢者の生き方と同様な内容
を列挙していました(笑)。
そして、最後の 第7章 人は最後に老年的超越を目指す
の中で、ヘミングウェイの「老人の海」で、大物のカジキを獲ったもののサメに食べられた喪失感ではなく、カジキと生きるか死ぬかの真剣勝負を行った幸福感が真の意味だったのではとの小林氏の見解が語れていました。
最後に、生物の中でヒトにしかない老後を、社会との関係を維持しつつ、公共的に生きてみることにより、人類の明るい未来の実現に寄与するのではないかとの締め括りでした。
死は、その個体、ヒトの場合はその個人にとっては終わりでも、地球上の生命にとっては絶対的に意味あることなのです。
「進化の原動力」
「死は進化に必要である」
生物学的な「死生観」ということです。
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概要: タンパク質をコードしている領域以外(非コード領域)は遺伝子の発現制御や進化に非常に強く関わっている; ヒトゲノムが全て読まれたと言われているが、読み方の都合上繰り返し領域はうまく読めない; スプライシング; エクソンとイントロン; 偽遺伝子; レトロトランスポゾン; 遺伝子を眠らせるヘテロクロマチン化; リボソームRNA遺伝子; 脆弱X症候群; グロブリン遺伝子の再編成; 胎盤とレトロとランスポゾン; イントロンと転座と進化; 遺伝子増幅; 色覚; 偽遺伝子が発現制御に関わる; 非コードDNAと寿命、がん
感想: けっこう難しいが非常に面白い。もう1回読む。 -
Posted by ブクログ
YouTubeで著者が出ている動画を見て気になったので読んでみた。本の中では、幸せは死からの距離が離れていることであると定義する。一見、食べ物も豊富だし、捕食される不安もない現代は死からの距離がとても遠く見えるから、幸せなように見える。しかし、実際はヒトは700万年前から進化しておらず、現代の社会構造では幸せを感じにくい。例えば地域コミュニティの減少による孤立や人間関係の希薄さは、食べ物を分け合って生活していたかつてのヒトとにとっては、明日を生きれるかどうか不安を感じさせる。ひとりで快適な部屋でスマホをポチポチいじっていても、その不安は解消されない。
生物学の本はあまり読んだことがなくて、とても面白い学びばかりだった。例えば、ヒトは類人猿から進化する前、毛むくじゃらだったので、赤ちゃんは毛に捕まって行動していた話とか。毛がなくなったことによりヒトの育児コストが高くなり、コミュニティは共同で育児をする必要が高まったというのはなるほどと思った。その結果、祖父母も育児に参加する必要があるからヒトは長寿になったというのは説得力がある。
地方でコミュニティを形成しつつ、自然の中で気づきを得ながら生活することが現代社会で幸せになることの一歩であるという著者の意見には賛同するし、そうできればいいなと思う。でも、快適なひとりぼっち(あるいは核家族)に慣れた(またはそのように飼い慣らされた)現代人にとって、どこまで再現可能なものか、自分で実行するとしても及び腰になってしまう。。。片足を突っ込んではいるので、再現できるように頑張っていきたい。