小林武彦のレビュー一覧

  • なぜヒトだけが老いるのか

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    生物学者である筆者によると、ヒト以外の動物には老いがなく、ヒトの遺伝子の98.5%同じであるチンパンジーのメスでさえ閉経後寿命を迎えるほどだという。老いは社会性を持ったヒトが進化の過程で得た必要な能力でありシステムだと語っている。

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    2025年11月25日
  • 博士が愛した論文 研究者19人が語る“偏愛論文”アンソロジー

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    19人の研究者がそれぞれ1つの論文を挙げ、それについて語るという本。最初から論文への偏愛全開で読ませてくれる。学問領域は多岐にわたっているが、どの分野にもすごいブレークスルーはあるもんだとか、専門分野の伝え方というのは人によって違うものだと思いながら読んだ。中でも最後の2章、「老化」の話と「南極の氷で超巨大なニュートリノ望遠鏡を作る」という話はとても興味深い。
    数学の章は正直ちょっと残念。ただ体験を書くのではなくて、数学や代数幾何のおもしろさがなんとなくでも伝わる内容であってほしかった。

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    2025年10月12日
  • 生物はなぜ死ぬのか

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    選択と変化、つまり進化によって、生き物には多様性がうまれ、繁栄してきた。その選択と変化を実現するために、死が存在している。死は、生物にとっては 必要な要素だということを認識できた。生き物にとって死の種類はそれぞれであり、死はそれぞれの生き方の結果であると感じた。途中難しい内容もあったが、生物科学に興味を持つことができた。

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    2025年10月09日
  • なぜヒトだけが幸せになれないのか

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    “ヒトの"ベター"好きの性格と、比べるのが得意な性質のために、「幸せ」の状態を維持し続けるのは難しいです。なぜならすぐに飽きたり、他人を妬んだり、絶望したりしてしまうからです。それを回避するために、何かに没頭し、努力し成長して、自分を肯定しなから死からの距離感を無意識に維持しようとします。これが死を意識する唯一の動物である、ヒト特有の「幸せのなり方」なのかもしれません。別の言い方をすると、ヒトは好きなことをやるから「幸せ」になれるのです”

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    2025年09月26日
  • なぜヒトだけが老いるのか

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    ネタバレ

    前半が生物学で後半は人生学。RNAがアミノ酸を繋いでタンパク質を作成。DNAはストックセンター。ヒトとバナナの遺伝子の50%は同じ。ヒトのDNAは60億塩基対で長さ2m。老化はDNAの傷の蓄積による。免疫機構は古い細胞やガン化した細胞を排除する。哺乳類の一生の総心拍数は20億回。シニアは社会の調整役。シニアの最大ミッションは次世代が使う環境を破壊し資源を枯渇させるのを阻止すること。65歳以上は総人口の役30%。長寿の特徴はルーティン、規則正しい生活。シニアになったら中心から周辺部に移り公共に尽くす。

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    2025年09月19日
  • なぜヒトだけが幸せになれないのか

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    生物学的見地から見る現代社会の考察、すごく面白いし説得力がある。まさにどうすればヒトが幸せになれるか見えてくる一冊だと思う。

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    2025年08月10日
  • 生物はなぜ死ぬのか

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    ネタバレ

    子どもが生まれたことをきっかけに、人間の生と死をもうちょっと俯瞰で見れるようになりたいなと思って読みました。生物学的なところは自分には理解が難しかったけれど、死の意味を考える良い機会となりました。
    死があるからこそ生物は誕生し、進化し、生き残ることができるのか...
    「命のたすきを次に繋げて、利他的に死ぬ」この言葉はすごく救われました。自分が生きていることにも何かしらの意味があるなと思えるし、身近な大切な人の死への恐れや寂しさを少し和らげてくれる気がしました。

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    2025年07月09日
  • なぜヒトだけが幸せになれないのか

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    前段で語られる遺伝子によって決定づけられている事象については興味深い点が多かった。
    中段から著者の考えが提示され、科学的な説得力は弱まる印象が否めない。ただし、著者の考えや仮説は個人的には納得、賛同する点が多いため面白く読めた。
    コミュニティが大切、からのどうしていったら良いのか。自分自身の課題でもある。

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    2025年07月04日
  • なぜヒトだけが幸せになれないのか

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    内容が読みやすく、一気に読めました。
    面白い部分も多々ありました。

    歳を重ね、そう言えば自分はあまり他人と比べることはしなくなってきた。これは、生物として幸せに近づいたかもしれない。よしよし。

    またこの本で、老年的超越、という言葉を初めて知りました。それも含め、老いに対する学びも得られました。

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    2025年06月29日
  • なぜヒトだけが幸せになれないのか

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    ヒトは200万年ほどまえから急速に進化しつつ、それに応じてテクノロジーも生み出し、それに応じて幸せも手に入れたはずだった。しかし、ヒトというより人――特に現代人――は多少の幸福感は覚えても、著者が定義する幸せ、すなわち死からの距離感がもたらす原初的かつ本質的な「幸せ」からは遠ざかってしまった。
    というのが本書の議論の核となるものです。

    なぜ人は「幸せ」になりにくいのか。
    それは著者によれば、弥生時代に稲作文化がもたらされ、定住が始まり、持つ者と持たざる者が生まれて以来、進化の過程で獲得したDNAと社会のあいだに齟齬が生じてきたからです。

    「極端な言い方をすれば」と、著者は終章で述べます――

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    2025年06月23日
  • なぜヒトだけが幸せになれないのか

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    ネタバレ

    狩猟採集の小さいコミュニティで生活していた頃は、その日暮らしであり所有という概念が無く格差も無かった。

    また、貢献に応じて分け前が配分されたため、多くの取り分を得ているということはコミュニティに貢献していることになった。そのため、豊かな人がいることは自分たちにも還元されることであり、自慢することは互いに嬉しい行為だった。

    他者比較についても、コミュニティ内で貢献度が低い場合はコミュニティから離脱を余儀なくされる。単独の場合、集団でいる場合と比べて生存の確率も跳ね上がる。そのため、死を逃れるために常に自分のコミュニティ内での立ち位置を気にする性質が備わっていった。

    自分はどうしても他者比較

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    2025年06月16日
  • なぜヒトだけが幸せになれないのか

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    なぜヒトが幸せになれないか
    その原因は
    遺伝子と環境の不適合
    だとのこと。
    この本をしっかり読み込むとその意味がわかってくる。
    うーーーん。遺伝子レベルで考えるとそうなんだ。と考えざるを得ないことがわかった。
    私たちがしたくなることは、みんな遺伝子がそうなっているからで、そのプログラムによって、行動している。
    でも、この遺伝子というのは、何十万年という単位で作られてきたものだから狩猟最終時代の遺伝子であって、ここ数千年で始まった農耕生活は、まだ私たちの遺伝子を変化するところまでは行っていないということで、遺伝子が環境とミスマッチになっている。
    それで、幸せが感じにくくなってしまっているとのこと

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    2025年06月13日
  • 生物はなぜ死ぬのか

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    とても楽しい。これから高校生物を学ぶ高校入学前の子どもにもおすすめ。生物を学ぶのが楽しくなる。ただし例示として出てくる用語(リストラ、ウルトラマンなど)が少し古いので子どもにはおそらくピンとこないところがある点は注意。

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    2025年04月19日
  • 生物はなぜ死ぬのか

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    この著者先生のなぜ老いるのかの本を読んで、こちらも読んでみました。やはりと言うか、こちらの方が面白かったです。こちらにも老いの話は載ってますし。

    生物学者の観点から、地球の生き物のライフサイクルを眺めた本です。

    生まれてくるのは偶然の利己的な行為。
    死ぬのは必然の利他的な行為。

    この言葉が印象的でした。これを読んだからと言って死ぬのが怖く無くなると言う訳ではないですが、死ぬことは何か特別な恐怖の出来事ではないんだと思うことが少し出来ました。

    それと、最後に記載されている、AIの出現が及ぼす影響のあたりは確かにそうかもしれないと思って少し怖くなりました。AIは便利だけど使うのはあくまでも

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    2025年02月10日
  • 生物はなぜ死ぬのか

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     138億年前、「ビッグバン」により宇宙が誕生し、46億年前に太陽系ができた。原始の地球で化学反応がくり返され、やがて偶然の産物から最初の「細胞」ができた。原始の細胞は「変化」しながら存在領域を広げ、様々な環境の中で「選択」的に生き延びたものが更に「変化」し多様性を増していった。葉緑体やミトコンドリアの細胞内共生により真核細胞が誕生し、やがて多細胞生物が生まれ、細胞間の役割が分化し、生物はより多様に、そしてより複雑な機能を獲得していった。天変地異による大量絶滅と、新たな生物相による秩序の再生は「変化と選択」の連続だった。その全過程において「死ぬ」という仕組みは保存されてきた…すなわち「死ぬ個体

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    2025年01月23日
  • 生物はなぜ死ぬのか

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    誰もが避けては通れない(そしてしばしばタブー視され、発言を躊躇われる)「死」について、生物的知見により、比較的肯定的に捉えられていた。ただ、いくら肯定的に捉えられるといって、私の死に対する恐怖心は全く変わらない。これも、遠い先祖達が「死」と進化を通して、私たちをそういう死に対する恐怖を持つようにプログラムしたのだと考えるほかないのかも知れない。プログラムされたといえば、所詮箱庭の中で踊らされている感じもしなくないが、100年も人生が続くなら、どうせなら、楽しく踊ろう。

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    2025年01月18日
  • 生物はなぜ死ぬのか

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    千原ジュニアさんがざっくりYouTubeで言ってた、生物誕生の確率の話は、この本からだったんだ。
    じっくり読んでも理解できない内容が多く、分かるところだけ読んでいくと、するするするっと読み進んでいきます。
    文体は、とても読みやすいです。

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    2024年08月15日
  • なぜヒトだけが老いるのか

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    人間だけが老いる動物だ。そんな生物学的な解説本かと思いきや、最後は、人間の進化のためにシニアを勇気づける応援歌。

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    2024年07月07日
  • なぜヒトだけが老いるのか

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    老化がヒトにだけ起こる理由を、進化の側面から生物学的に分析しながら、シニアを「集団の中で相対的に経験・知識・技術に長じた、物事を広く深くバランス良く見られる人」と定義し、その社会における役割の重要性についても考察するとともに、シニアの生き方についても提示している。老いることの生物学的な意味を理解し、老いることを前向きに捉えることができる1冊。

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    2024年06月16日
  • なぜヒトだけが老いるのか

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    ネタバレ

    『なぜヒトだけが老いるのか』 小林 武彦 著

     生殖期を過ぎても生き続ける生物は、(短期間生きるシャチやゴンドウグジラ以外)ヒトのみであるという点に着目して分析した内容です。いわゆる「おばあちゃん効果」(子育てに協力)や長老による課題解決など、集団においてシニアに重要な役割があったためというのが筆者の見解です。進化には目的はなく、「集団生活に適応した、他者と協力できる」サルだけが結果的に生き残ったのであり、「なぜヒトだけが老いるのか」ではなく、「老いた人がいる社会が選択」されたと言います。

     それ故に、シニアはインプットもさることながら、これまでの「蓄積を吐き出すアウトプット」を多くすべき

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    2024年06月05日