あらすじ
人間以外の生物は、老いずに死ぬ。
ヒトだけが獲得した「長い老後」には重要な意味があったーー。
生物学で捉えると、「老い」の常識が覆る!
【ベストセラー『生物はなぜ死ぬのか』著者による待望の最新作!】
・産卵直後に死ぬサケ、老いずに死ぬゾウ、死ぬまで子が産めるチンパンジー
・ヒトは人生の40%が「老後」
・長寿遺伝子の進化
・寿命延長に影響した「おばあちゃん仮説」と「おじいちゃん仮説」
・老化するヒトが選択されて生き延びた理由
・ミツバチとシロアリに学ぶ「シニアの役割」
・昆虫化するヒト
・不老長寿の最新科学
・85歳を超えたら到達できる「老年的超越」というご褒美
・老化はどうやって引き起こされるのか
・生物学者が提言する「最高の老後の迎え方」とは ……ほか
「老いの意味」を知ることは「生きる意味」を知ることだった。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「老い」や「死」に対するイメージを大きく変えてくれる一冊。
自然界の生き物のほとんどは老いずに死ぬ。身体機能や生殖機能が衰えた後も長く行き続ける「老い」はヒトに特有の現象である。「変化と選択」の長い歴史の中で「老化」という性質が保存されたからには、「老化」にも生物学的な意味があるはず―。この本はそんな序論から始まる。
序盤では、細胞や個体レベルの「死」や「老化」が、「DNAの損傷の蓄積」によって起こるという生物学的なメカニズムについて、わかりやすく順を追って説明される。続いて、社会性の生き物であるヒトの進化の過程で「老い」はなぜ選択されてきたのか、コミュニティに年長者が存在することがどう有利にはたらいたのかについて、これまでに明らかになった事実や仮説が示される。後半では、超少子高齢化、人口減少時代を迎えた日本社会の存続の鍵となる「シニア」の役割と可能性について熱く語られる。
巻末、筆者が思い描く「ピンピンコロリ」とは違う、理想的な最期が柔らかく描写される。そんな風に命を終えることが出来るなら、「老い」も「死」も怖くないかもしれないと、素直に思える。
生命科学や細胞生物学の専門的な内容も、平易な言葉で丁寧に書かれていて分かりやすい。どの年代でも興味を持って読めるが、これからシニアに向かっていく世代には特に、これからの人生の過ごし方を考えさせられる内容だし、この世代に向けた筆者のメッセージが込められていると思う。
ちなみに筆者は「知識や技術、経験が豊富で私欲が少なく、次世代を育て集団をまとめる調整役になれる人」を「シニア」と呼び、単なる「年長者」とは区別している。言葉は柔らかいけど、この呼び分けには何かピリッとしたものを感じる。社会の中で権限ある立場にある人には特に、自分は「シニア」たり得るだろうかと自問しながら読んでみると良いと思う。
Posted by ブクログ
人間だけが老いるという題名に違和感を覚えたのだが、そういう小さなことではなく、生物学の立場から老いるということの意味を教えてくれる。老年期についての本が氾濫しているが、この本は老年期を生きる人にとって必読の書かもしれない。
Posted by ブクログ
生物学者である小林武彦氏がこの本で読者に伝えたかった内容は、実は宗教哲学者のようでした。
第7章 人は最後に老年的超越を目指す の中の「老年的超越を目指して」の最後で以下の言葉を語っていました。
やがて目も見えなくなり、私を呼ぶ声も遠ざかり、ただただ幸せな気持ちに包まれて、ここはどこだったのか、私は誰だったのかなどはどうでもよく、宇宙そして全ての生き物とのつながりを感じながら、旅立つというより、元いた場所に戻る安堵感に包まれて長い眠りにつくのです。また目覚める日を夢見ながら
と締めくくっています。
ここまでたどり着くため、第1章から地球誕生からの奇跡の生命体の誕生からこの本は始まりました。
第1章 そもそも生物はなぜ死ぬのか
において、地球上における生命の誕生から進化の過程を生物学者の立場で丁寧に語っています。
そして第2章 ヒト以外の生物は老いずに死ぬ
の中で、野生の生き物は基本的に老化しないことを説明しています。
そして、第3章 老化はどうやって起きるのか
の中で、老化のメカニズムを説明しています。
次の 第4章 なぜヒトは老いるようになったか
の中で、「人生の40%が生物学的に老後」
「老いは 死を意識させ、公共性を目覚めさせる」
など数点を挙げ、ヒトの集団においては、老人の必要性について語っている
次の 第5章 そもそもなぜシニアが必要か
の中で、「シニアの存在価値」
「老いの一つの意味」
など数点を挙げ、素敵な老いをとげ、利他的、公共的な役割に資すること
の重要性を述べています。
次の 第6章「老い」を老いずに生きる
の中身ですが、私の尊敬する和田秀樹さんが推奨する高齢者の生き方と同様な内容
を列挙していました(笑)。
そして、最後の 第7章 人は最後に老年的超越を目指す
の中で、ヘミングウェイの「老人の海」で、大物のカジキを獲ったもののサメに食べられた喪失感ではなく、カジキと生きるか死ぬかの真剣勝負を行った幸福感が真の意味だったのではとの小林氏の見解が語れていました。
最後に、生物の中でヒトにしかない老後を、社会との関係を維持しつつ、公共的に生きてみることにより、人類の明るい未来の実現に寄与するのではないかとの締め括りでした。
死は、その個体、ヒトの場合はその個人にとっては終わりでも、地球上の生命にとっては絶対的に意味あることなのです。
「進化の原動力」
「死は進化に必要である」
生物学的な「死生観」ということです。
Posted by ブクログ
生物学者である筆者によると、ヒト以外の動物には老いがなく、ヒトの遺伝子の98.5%同じであるチンパンジーのメスでさえ閉経後寿命を迎えるほどだという。老いは社会性を持ったヒトが進化の過程で得た必要な能力でありシステムだと語っている。
Posted by ブクログ
前半が生物学で後半は人生学。RNAがアミノ酸を繋いでタンパク質を作成。DNAはストックセンター。ヒトとバナナの遺伝子の50%は同じ。ヒトのDNAは60億塩基対で長さ2m。老化はDNAの傷の蓄積による。免疫機構は古い細胞やガン化した細胞を排除する。哺乳類の一生の総心拍数は20億回。シニアは社会の調整役。シニアの最大ミッションは次世代が使う環境を破壊し資源を枯渇させるのを阻止すること。65歳以上は総人口の役30%。長寿の特徴はルーティン、規則正しい生活。シニアになったら中心から周辺部に移り公共に尽くす。
Posted by ブクログ
老化がヒトにだけ起こる理由を、進化の側面から生物学的に分析しながら、シニアを「集団の中で相対的に経験・知識・技術に長じた、物事を広く深くバランス良く見られる人」と定義し、その社会における役割の重要性についても考察するとともに、シニアの生き方についても提示している。老いることの生物学的な意味を理解し、老いることを前向きに捉えることができる1冊。
Posted by ブクログ
『なぜヒトだけが老いるのか』 小林 武彦 著
生殖期を過ぎても生き続ける生物は、(短期間生きるシャチやゴンドウグジラ以外)ヒトのみであるという点に着目して分析した内容です。いわゆる「おばあちゃん効果」(子育てに協力)や長老による課題解決など、集団においてシニアに重要な役割があったためというのが筆者の見解です。進化には目的はなく、「集団生活に適応した、他者と協力できる」サルだけが結果的に生き残ったのであり、「なぜヒトだけが老いるのか」ではなく、「老いた人がいる社会が選択」されたと言います。
それ故に、シニアはインプットもさることながら、これまでの「蓄積を吐き出すアウトプット」を多くすべきと提言。また、大学にも勤務して若い人とも接していると、経済問題よりも「そもそも彼女がいない」と、このままでは(女王バチのみが卵を産むように)人間社会でも「生殖的分業が起こり、産む個体と産まない個体に分かれる可能性」にも言及するなど最近の少子化にも警鐘を鳴らしています。
後半の点は、生物学というより社会学的な見地からの内容になりますが、面白い視点を提供している一冊と思います。
Posted by ブクログ
生物学的な視点からヒトはなぜ老化が始まってからも長く生きるのかなど学べる。
例えば、「おばあちゃん仮説」では、子育てする上では母親だけでなくおばあちゃんも子育てに参加できる方が有利なので寿命が伸びたのではとのこと。
進化的には確かにそうかもと思うが、核家族化や個人主義の進んだ現代はそこが活かしにくくなっているなぁと思う。
老化改善の研究の話もあり、あと10年ぐらいで実用化の目処が立つかもというのは、希望が持ててありがたい。
他にも色々な知見が得られて面白いが、個人的にヒトとバナナの遺伝子が50%同じというのが面白かった。
Posted by ブクログ
前著「生物はなぜ死ぬのか」で話題となった著者の続編。
前著で、生物は「変化と選択」を繰り返す「進化のプログラム」によって、今ある姿・形・性質の全てを獲得したこと、「生物はなぜ死ぬのか」ではなく、死ぬものだけが進化できて、今存在している、死は進化に必要である、ということを示しました。
本書では、死ぬことは必然としても、人間だけが老化するという現象はなぜ起きているのか、ということに着目しています。著者に言わせれば、前著同様、「なぜヒトだけが老いるのか」ではなく、老いた人がいる社会が選択されて生き残ってきた、ということになるそうです。
生物としての老化にどのような意味があるのか、それを理解し、私たちは老いとどのように付き合っていくか、シニアが社会に果たすべき役割は何か、と考えさせられる内容が満載です。前著ほどのインパクトはなかったものの、難しい内容も丁寧に優しい言葉遣いで解説してもらっていますので、非常に読みやすくなっています。高齢社会を迎えるにあたり、ぜひ読んでいただきたい一冊だと言えます。
▼著者の提案
①元気なときには、本能のおもむくままにやりたいことをやり(もちろん公序良俗に反しない範囲で)、
②老いを感じ始めたら、少しずつ中心を自分から周りに広げて(老いを感じる年齢は個人差があります)、
③「シニア」になり、無理のない範囲で公共に尽くし(選手兼コーチもOK)、
④最後は皆に惜しまれて天寿を全うしてピンピンコロリと死んでいく(いつ死んでもいいようにご準備を)、
という考え方で生きるのはどうでしょうか
<目次>
はじめに
第1章 そもそも生物はなぜ死ぬのか
第2章 ヒト以外の生物は老いずに死ぬ
第3章 老化はどうやって起こるのか
第4章 なぜヒトは老いるようになったのか
第5章 そもそもなぜシニアが必要か
第6章 「老い」を老いずに生きる
第7章 人は最後に老年的超越を目指す
おわりにー幸せについて
Posted by ブクログ
老後って何だろう。
そんな年齢になったため、手に取った本。
子孫を残せる年齢を過ぎても、人はまだまだ生きる。何のため?
高齢になったら自分の知識を公共化する、なるほど、と納得した。
死んだら今までの知識が0となる。
他の人に伝えて、更なる進化&発展をする。
人類全体でみる。
大きなメタ。
Posted by ブクログ
生物はなぜ死ぬのか?それは進化するためである。
そして過酷すぎるこの地球環境の中で生き残るためである。死ぬ種族だけが生き残って来れた。人間以外老化して死ぬ生物はなかなかいない。ホモサピエンスの中で、老いる事に意味があり、繁栄出来た者だけが生き残れた。その生き残りが我々である。老いには十分に意味があると言うことだ。おばあちゃんがいるから、生存確率が上がったという理論だ。
Posted by ブクログ
出だしは様々な発見があり面白かった。後半は著者の思想が混じってきて、やや興味が薄れていった。
実は老いて生きれるのは人だけ。そこには必然性があるから。
改めて突きつけられたこの事実を踏まえて、老いていく中で社会における自分の存在感を考えていきたい。
Posted by ブクログ
人の老いる仕組み。DNAの損害、脳と心臓の変わらない細胞による器官の衰え、幹細胞の減少。それに対してPD-L1を阻害して免疫細胞の力を強めるやP53でアポトーシスを早めるといったことで老化細胞の蓄積による炎症性サイトカインの放出を低減させることが今後考えられる。
以上のことを他の生物とも比較して、人間にのみある老後をうまく若い人と分業して過ごすことが重要と主張
Posted by ブクログ
最初は、科学的な話から始まって、どうして人間だけが老後と言う時期が存在するのかと言うことを科学的に解明するような雰囲気だったのだが、結局のところ、その部分の説明はいわゆる「おばあさん仮説」を紹介しただけで、どうして男性にも老後が存在するのかについては、社会のリーダーが必要なみたいなあまり、科学的ではない説明をするにとどまっている。
そして本の後半は、シニアはどう生きるべきかと言う人生訓みたいな内容になっている。
中途半端な本なので評価3にしました。
Posted by ブクログ
人間以外の生物は老いずに死ぬ。ヒトだけが獲得した「長い老後」には重要な意味があった。生物学で捉えると「老いの常識」が覆る!【目次】
第1章 そもそも生物はなぜ死ぬのか
第2章 ヒト以外の生物は老いずに死ぬ
第3章 老化はどうやって起こるのか
第4章 なぜヒトは老いるようになったのか
第5章 そもそもなぜシニアが必要か
第6章 「老い」を老いずに生きる
第7章 人は最後に老年的超越を目指す
Posted by ブクログ
前半のRNAなどのあたりは自分には理解が難しく人に説明できるレベルまで落とし込めない。ふんわりとわかった。
他の生物とデータに基づいて比較した話が面白い。人間は長生きすぎるなぁ。
人間の老後についての話は単なる筆者の考え。
Posted by ブクログ
シニアについての話が多かった気がする。人間は歳を取るごとに丸くなる。自分もそんな気がする。最後は公共的に何かを遺せればいいなーと思っております。
Posted by ブクログ
生物の中で“老い”の時間が長いのはヒトの特徴。
その老いの時間を如何に過ごしていくのか。
小林先生からヒントをいただけた気がする。
エリクソンの発達段階にも通じるところが多くあった。
去りゆくその日が来た時、周囲に迷惑をかけないように巣立っていきたいと思った。
Posted by ブクログ
部活の同級生からの課題図書。読んでみて感想、聞かせて欲しいと。執筆当時59歳の細胞の老化の研究をしている生物学者のシニア論です。なるほど…ヒト以外の生物は老いずに死ぬ…のか。まさに「ピンピンコロリ」がほとんどの動物のスタンダードであることを初めて知りました。ヒトだけが死の前に老年期という時間を過ごすようになったことをこの前半で生物学者として、DNAの老化の専門家としてグイグイ語ります。(でも、暮らしの中で目にするおじいちゃん、おばあちゃんの犬はどう考えればいいのか?質問したくなりました。)その老いという時代を、どう生きるべきか?というテーマが後半に繰り広げられます。前半が学問の啓蒙的であるのに対して後半は研究というより著者の試論の様相を呈して来ます。人間ならではの「シニア」という存在に対する「おばあちゃん仮説」「おじいちゃん仮説」ぐらいからちょっとアレレ…って感じに思えます。そこには研究者のライフステージの移行に対する著者自らの問題意識の反映も感じます。本書ではシニアを『生物学的な「年齢」とは切り離して、知識や技術、経験が豊富で私欲が少なく、次世代を育て集団をまとめる調整役になれろ人」と定義づけします。いわく「徳のある人」…ホント?これって定年延長で給料が下がる説明会に集まったおじさんたちの心のモヤモヤを顕在化したみたい…。こうならばいいな、という願望としては理解できます。当事者の願望と社会のニーズがうまくマッチングするためには本書に書かれている以外の新しい仕組みが生まれないと難しいような気がします。死の前の「老い」という季節は個人の意識の問題なのか社会の仕組みの問題なのか?自分の別の友人は「高齢者に出来る社会貢献は消費だけだ!」と嘯いて高額のオーディオ商品買いまくる人もいます。ちなみにこの新書を読んでいる間に買ったばかりのスマホを紛失してしまい1時間ぐらい死んだ気分になりました。幸い直前にいた場所に落ちていて助かりましたが、確実に「老い」に直面してボロくなっている自分に落ち込みました。それがこの本に対する辛口気分の源泉かも。勧めてくれた友人と「老いの過ごし方」談義してみます。
Posted by ブクログ
老いは「何かを失う」わけではなく、「役割が変化すること」という捉え方がいいなと思った。
人生の40%は老後だそうだから、年をとることを嘆くのではなく、自分でできる役割を考えて社会に貢献していきたいと思った。
そして、できれば「老年的超越」というご褒美を味わいたいと思わせてくれる本だった。
Posted by ブクログ
自然界に老いはない。社会的な生き物であるヒトは、老いた人がいる社会が選択されて生き残ってきた。知識や技術・経験が豊富で私欲少なく次世代を育成する「いいシニア」になり、社会の一線から退くのではなく、公共精神で社会と関わろう。
ヒト以外にはケアする社会がないから元気か死の二択で老いはない、なら理解できます。でも、サケやハダカデバネズミやゾウのように、ピンピンコロリが生物としてのデフォルトである、というのはどうかなあ。
Posted by ブクログ
人間が生きる意味を知りたくて、生物学観点からの見解を読んでみた。
どうやら哲学的な意味での個人の生の意味は無いらしい。生物学者が淡々と調査結果を報告するスタンスなので、抵抗なく腹落ちした。
「老い」は人だけに許されたもの、という見識は目から鱗だった。たしかに人以外の動物はいきなり死ぬのだ。
生物学は面白いかもしれない。
<アンダーライン>
★★★
「死は進化に必要である」ことは、生物学的な「死生観」と言ってもいいのかもしれません。
★★★★★
私たち生物は進化の結果できたので、死がないとそもそも進化できず、存在し得ません。つまり「なぜ死ぬか」ではなく、死ぬものだけが進化できて、今存在しているのです。
★★★★
生が利己的であるのに対し、死は利他的、公共的と言ってもいいかもしれません。
★★★
子孫を残すこと自体は生物の生きる目的ではありません。進化に目的はないのです。結果的に、子孫を残す生物が生き残ってきただけのことです。つまりこれも「たまたま」そうなっただけといことになります。
Posted by ブクログ
興味深い。人は必ず歳をとる。その時にどう過ごすか… 社会に還元、そして最後は老年的超越で幸せに過ごす、自然に得た心境である意味ご褒美だと。
死への恐怖から解放されて大きな後悔もなく死んでいける。
野生の生き物は基本的に老化しない、老化は突然やってくる。
細胞の老化=個体の老化
幹細胞は寿命が長く、一生涯生き続けるものもある。
血液の細胞は約4ヶ月でワンサイクル
骨の細胞は約4年周期
ヒトの寿命は50〜60歳くらい、その根拠は
1. ゴリラ、チンパンジーの寿命からの推定、ゲノム遺伝情報はヒトとほぼ同じで50歳前後の寿命
2. 哺乳動物の、総心拍数は一生でほぼ20億回仮説
2〜3年寿命のハツカネズミも60年のゾウもほぼ同じで15億〜20億、ネズミは1分間に600回、ゾウは30回とゆっくり。
3. がん ヒトは55歳くらいからガンで亡くなる人が急増、年齢以上に生きることを想定していない進化の選択のためかと。野生動物はがんにほぼならず、その前に寿命で死ぬ
ヒトは本来の寿命55歳くらいから30年ほど生きるのは、強力な免疫機構のおかげ。十分な栄養で臓器も元気に。また、集団としての優位性を保つ社会性の生き物。
よって、細胞が壊れるまでの程よい過程が「老化」
人の社会の2層構造、想像力豊かなクリエイティブ層と、自由度を支えるベース層。若者と年配者、それぞれの活躍の場が結局互いを支え伸ばすのではないか、と。
Posted by ブクログ
人だけが寿命が長い理由、老いの仕組みについて説明があり、著者の死生観についても述べられている贅沢な新書。
子育てする種に分業化するという仮定は現在は倫理的に難しいですが、今後人口が減ってくると検討されるのかもですね。
Posted by ブクログ
前作にも増して、小林先生の思想が強目に出た文章だったと思う。
賛否ありそうだけど、生物学者からみた世界観でわたしは面白かった。
85歳以上まで生きると、いろいろ超越して死が怖くなくなるのか。期待。
そして老化防止の薬か何かが出てくることを期待。小林先生がんばれ!認知症にはなりたくない…!
ヒトの進化については、ほんまかいなと思うところもあった。
エマニュエルトッドの本と読み比べてみたい。
家族関係、おばあちゃん仮説…
あと、ヒトの昆虫化(産むヒトと産まないヒトに分けられる)は斬新だけど、生物学的にはありえなくないのかとギクッとした。ちょっと嫌だよね。
最初のガチ生物学の話(RNAからDNAが生まれるまでの話)から、シニア層の心の持ち用の提言まで、話の振れ幅が大きくて、大学の講義ってこんな感じだったよねーと思い出して懐かしく思った。
感想がまとまらなすぎる…
Posted by ブクログ
生物学的な視点で他の動物と比較してのヒトの老いに関するファクトはとても新鮮でした。
一方、それを踏まえた上で、老後をどう生きるか、”シニア”に与えれた使命が提言されていて、ここは納得感のあるところ。
もう頑張らなくていい「老年的超越」の境地に早くたどり着きたいものです。