あらすじ
人間以外の生物は、老いずに死ぬ。
ヒトだけが獲得した「長い老後」には重要な意味があったーー。
生物学で捉えると、「老い」の常識が覆る!
【ベストセラー『生物はなぜ死ぬのか』著者による待望の最新作!】
・産卵直後に死ぬサケ、老いずに死ぬゾウ、死ぬまで子が産めるチンパンジー
・ヒトは人生の40%が「老後」
・長寿遺伝子の進化
・寿命延長に影響した「おばあちゃん仮説」と「おじいちゃん仮説」
・老化するヒトが選択されて生き延びた理由
・ミツバチとシロアリに学ぶ「シニアの役割」
・昆虫化するヒト
・不老長寿の最新科学
・85歳を超えたら到達できる「老年的超越」というご褒美
・老化はどうやって引き起こされるのか
・生物学者が提言する「最高の老後の迎え方」とは ……ほか
「老いの意味」を知ることは「生きる意味」を知ることだった。
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Posted by ブクログ
前半が生物学で後半は人生学。RNAがアミノ酸を繋いでタンパク質を作成。DNAはストックセンター。ヒトとバナナの遺伝子の50%は同じ。ヒトのDNAは60億塩基対で長さ2m。老化はDNAの傷の蓄積による。免疫機構は古い細胞やガン化した細胞を排除する。哺乳類の一生の総心拍数は20億回。シニアは社会の調整役。シニアの最大ミッションは次世代が使う環境を破壊し資源を枯渇させるのを阻止すること。65歳以上は総人口の役30%。長寿の特徴はルーティン、規則正しい生活。シニアになったら中心から周辺部に移り公共に尽くす。
Posted by ブクログ
『なぜヒトだけが老いるのか』 小林 武彦 著
生殖期を過ぎても生き続ける生物は、(短期間生きるシャチやゴンドウグジラ以外)ヒトのみであるという点に着目して分析した内容です。いわゆる「おばあちゃん効果」(子育てに協力)や長老による課題解決など、集団においてシニアに重要な役割があったためというのが筆者の見解です。進化には目的はなく、「集団生活に適応した、他者と協力できる」サルだけが結果的に生き残ったのであり、「なぜヒトだけが老いるのか」ではなく、「老いた人がいる社会が選択」されたと言います。
それ故に、シニアはインプットもさることながら、これまでの「蓄積を吐き出すアウトプット」を多くすべきと提言。また、大学にも勤務して若い人とも接していると、経済問題よりも「そもそも彼女がいない」と、このままでは(女王バチのみが卵を産むように)人間社会でも「生殖的分業が起こり、産む個体と産まない個体に分かれる可能性」にも言及するなど最近の少子化にも警鐘を鳴らしています。
後半の点は、生物学というより社会学的な見地からの内容になりますが、面白い視点を提供している一冊と思います。