ボストンテランのレビュー一覧

  • 神は銃弾

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    1999年に書かれた『神は銃弾』でノワールファンに衝撃を持って迎えられた本作。
    まさか2023年になって映画化するとは思ってもいなかった(映画自体はキャスト陣が演じるキャラクター造形は素晴らしいのだが、残念なことに映画は悪い意味で原作通りにやってしまったせいで、キャラクターたちの魅力を活かしきれてなかった)

    10数年ぶりに原作を読み直したくなって久々に表紙をめくったのだが、やはりめちゃくちゃスゴい。
    今読んでもこの容赦のないプロットと、ドライで冴え渡ったキレッキレの文章には惚れ惚れするくらい食らってしまう。
    そして600ページ近くある作品で、この文体で描かれるのは癖がありそうなのに、なぜかリ

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    2025年11月17日
  • 音もなく少女は

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    4.5

    初めて読む作家の作品。
    カメラと女性の相性は、いいな。
    どうしようもない男たち(イブの恋人など例外もあります)に人生を狂わされる女性たちが、手を組んで立ち向かう…そんなストーリー、かな?
    『音もなく少女は』という邦題は、主人公を表すのには最適なのだろうけど…これはこれで良い。
    証拠もないのに復讐に向かおうとする展開には、ハラハラさせられます。

    傑作だと思います。

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    2025年04月18日
  • 神は銃弾

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    初めはグロいなと思って読書を止めようと思ったけど、徐々に読むのを止めれなくなった。
    最後のページを読んでスッキリした。

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    2025年01月17日
  • 音もなく少女は

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    原題はWOMAN
    邦題がいまひとつなのはよくあることだけど、これはなぁ。

    でもでも肝心の小説は素晴らしかったです。

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    2024年03月25日
  • その犬の歩むところ

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    戦争や貧困で傷ついたアメリカ人の再生の物語なので、アメリカ人の愛国心や反骨精神は興味深く読めたけど、復活のアイテムに犬を使わないで欲しい。
    最後には犬がヒーローみたいな感じでハッピーエンドにしても、犬はそんなもの求めてないと思う。

    と、辛口で評価しても面白かったことは否めない。ミステリーと言うほどの謎はない。どちらかと言えばロードムービー的。

    作者のボストンテランは覆面作家で性別すら謎だけど、最後に書評の人が「おそらく60代の女性」と推測してて、私は絶対男性だと思ったので、この人の他の本も読んでみようと思った。

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    2022年09月11日
  • その犬の歩むところ

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    原題「Giv: The Story of a Dog and America」が示すとおり、ある犬-Givが人から人へと旅するのを追うことでアメリカという国、そこで起こった悲劇の歴史、そこに住む人々の魂を描いたロードムービーのような物語です。
    プロローグに「この物語は伝統的なやり方では語られない」とあるように、初めて読む構成でした。とは言っても難解ではなく心にすっと入ってくる。最後には全て回収されるので途中でやめずに読んでほしいと思います。

    ディーンとギブが出会うシーンや登場人物の大半は作者の実体験や実在の人物がヒントになっているそうです。帰還兵が身近にいる国、アメリカを知ることができる作品

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    2022年07月30日
  • 神は銃弾

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    異常な暴力性と猟奇性を持つカルト教団に拉致された娘を救い出すべく、デスクワーク組の警察官の父親と、元教団の麻薬中毒者の女がタッグを組み、彼等の足取りを追い、復讐を挑む。
    プロットはシンプルながら、文体が簡潔かつ切れ味良く、独特の魅力がある。強烈な暴力・性描写の洪水で、その点パルプ小説的ではあるが、前述した文体や、主人公二人の間の精神的な交流を描くことによる叙情性が、下品になりすぎないバランス感がある。

    作中の登場人物の女性の多くに、非情ともいえる過酷な仕打ちが何度となく降りかかるのだが、主人公のケイスを含む多くの人物の精神的な強さが救いとなって、悲壮感はあれどなんとか読み進めることができた。

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    2022年06月01日
  • ひとり旅立つ少年よ

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    「視線を交わしたその燃え上がるような一瞬、ふたりは一生分の思いを語り合った」
    「その犬の歩むところ」に続き二冊目のボストン・テラン。奴隷制度に立ち向かう内容それ自体も感動的なのですが、それを表現する著者(と訳者)の文章が深く心に入り込んできます。要所要所で出会う心打たれる文章を二度読みして味わいながら読みました。
    「眼にしたすべてのものが少年の一部となり、少年もそのすべてのものの一部になる」
    奇しくもこの本を読んだのは7月3日4日でした。

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    2021年07月04日
  • 神は銃弾

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    ドラッグ、暴力、SEX。
    欲望のすべてが、この穏やかな表現の下にうごめいている。

    欲望をつかさどる神はなんだ?
    伝統の神と、新参のカルト教祖が交錯する中、すべてをコントロールするのは銃弾だ。
     表現は静かで、映像的。暴力を表出させながら、深い愛を書いている。

     暴力が支配するカルトから更生を目指す女性と保安官が、誘拐された娘を救出に向かう。強烈な暴力のやり取りは、偏執的なカルト主宰者の来歴と憎悪が発端だ。反目しあう二人の間に、次第に通い合うものが育まれ、退屈させる間なく展開するストーリーに感慨は深まる。読後は充実感に包まれる。

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    2021年03月20日
  • その犬の歩むところ

    購入済み

    重厚

    重厚なスリルと感動。
    かわいそうで顔をしかめてしまう箇所もあった。
    犬の善良さがひしひしと伝わる。
    残酷だけど下品さがない。
    素晴らしい本を読んだ。

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    2021年02月09日
  • 音もなく少女は

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    ネタバレ

    「女、姉妹、友達、母」
    イヴという名前。

    毎回手のひらから滑り落ちていく幸せを、最後にようやく掴み取るのか…と思っていたら、そうくるか。

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    2021年01月20日
  • その犬の歩むところ

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    初読の作家さん。2018年のこのミスの8位だったのですが、ミステリ要素はあまりなかった。
    ギヴという犬をめぐってのストーリーだが、擬人化されておらず、犬目線でもなく、それがかえってギヴの存在を際立たせていたように思う。。特に犬好きではないけれど犬の存在が人類にとって素晴らしいものだと思えてくる。
    さほど重要でも無い登場人物でも印象に残る描かれ方がされている。
    そして文章がとても美しかった。ところどころ読み返してしまった。これは作家さん個性なのか訳者さんの翻訳が素敵なのか…。別の本を読んでみたいと思う。また新たな出会いに感謝を!

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    2020年11月20日
  • ひとり旅立つ少年よ

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    ミステリーでは無いかもしれないが、少年の結末がどうなるのか 一気読み。
    面白かった。この時代が今に繋がっているのかと思うと現在のアメリカの悩みは深刻やなー。
    ボストン・テラン読もう。

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    2020年07月26日
  • ひとり旅立つ少年よ

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    19世紀半ば、人種差別が横行するアメリカ。父親の負の遺産を継ぎ、贖罪の旅を歩み出した少年の物語。
    出会いと別れが少年の血肉となる。冒険小説としての躍動と、虚構と言い切れない問題意識。
    読んで良かった。

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    2020年02月29日
  • ひとり旅立つ少年よ

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     南北戦争前、詐欺師の父がだまし取った金を、騙した名目の通り届けようとする少年の話。

     タイトル通り「ひとり旅立つ少年」なんだけど、ゆく先々で助けられる。というか、少年というのはあまりにもか弱い。子供である以上、どうしても庇護が必要なのだ。
     そのあたりが、切ない。
     容赦なく、周りに振り回され、自分ではどうしようもできない、その過酷さが悲しい。

     <まるで白人に見える黒人>というものの存在を始めて知った。
     もう、こうなると真実なんて意味がないよね。
     
     その意味のない世界で、父と自身の罪を贖うために歩き続ける彼は、尊い。
     
     人間の尊厳とか矜持とか、そういうものを考えさせられる作品

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    2020年02月29日
  • ひとり旅立つ少年よ

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    19世紀アメリカ。12歳の少年が殺された父親の罪を償うためひとり旅に出る。奴隷運動や黒人差別が強くあるなかで様々な人たちと出会い、別れを繰り返していく。優しさに触れ、これまでにしてきたことを悔いる。そして今の自分を肯定してくれる人たち。危険な目に遭いながらも強くあろうとする少年の心がとても印象に残る。自分の罪、赦し、そしてこれから。少年の失ったものと得たもののその全てが詰まっている。

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    2019年09月03日
  • ひとり旅立つ少年よ

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    ボストン・テラン『ひとり旅立つ少年よ』文春文庫。

    1850年代のアメリカを舞台に、12歳の少年チャーリーを主人公にしたロード・ノベル。

    有らぬ限りの苦難が主人公のチャーリーに襲い掛かる。その苦難を知恵と勇気で次々と乗り越え、一歩一歩目的に向かって歩むチャーリーの姿が健気で清々しい。

    詐欺師であるチャーリーの父親はチャーリーをダシに奴隷解放運動の資金と偽り、教会から大金を巻き上げる。大金を狙う二人組の男たちはチャーリーの父親を殺害し、チャーリーを付け狙う。父親が奪った大金を本来の奴隷開放運動のために活かすことを決意したチャーリーは苦難の独り旅へと足を踏み出すが……

    本体価格920円
    ★★

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    2019年08月15日
  • その犬の歩むところ

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    ギヴ(GIV)という名の犬を巡る奇跡のような物語。テロ、戦争、災害等で疲弊したアメリカで、語り手である青年が気付く小さな、でもとても素敵なこと。数奇な運命に翻弄されながらも、誇り高く生きるギヴ。彼らを取り巻くやさしい人達。途中、何度も目頭が熱くなった。今は猫を3匹飼っているが、もともとぼくは犬派だった。やっぱり、犬もいいなあ……。

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    2019年05月22日
  • 音もなく少女は

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    ナチのホロコースト、人種差別、聾学校の様子、手話でのやりとり。著者、自身がもしかして聴こえないんじゃないかと感じました。

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    2018年10月14日
  • その犬の歩むところ

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    犬の物語。ではない。
    犬のギブと運命を共にした人たちの物語。

    彼ら彼女らの人生は様々。ギブと歩みながら、時に傷つき、癒され、助け合う。悲惨で過酷。困難が待ち受けている。

    奇跡の物語である。ラストは涙が溢れてくる。犬の純粋さ。不屈の意志。そして愛。
    ギブは素直に行動する。読者はその姿に胸を打つ。

    ボストン・テランはミステリ作家として括るには難しい。
    この詩的な文体で、また感動してしまった。他の作品も早く読まないと。

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    2018年09月02日