ボストンテランのレビュー一覧

  • 神は銃弾
    全編に渡りマイナス側の感情だったり、冗長的な比喩に疲れたりしつつも、処女作らしいエネルギーに溢れていて読み応えあった。
  • 音もなく少女は
    自分の中にこびり付き、侵食してゆく相手。――その恐怖を思うと、クラリッサの決意と行動には胸が締め付けられるようだった。

    イヴとフランとクラリッサ。
    彼女たちを深みから救ったのは、出会いだった。
    傷をなかったものとはしない。人生から逃げない。餌食にはならない。
    それらの「正面に立つ強さ」を得たのも、...続きを読む
  • ひとり旅立つ少年よ
    かくして、少年はおとなになっていく…。けれども、その道のなんと険しいことか…。一人で考え一人で悩み一人で決めて一人で傷つく…。ただ、それが出来て初めて「おとな」なのかもしれない…。
  • ひとり旅立つ少年よ
    19世紀のアメリカ。奴隷解放運動は萌芽しているが、社会は苛烈だ。命の価値は軽く、人権は一部の権力者達のもので、普遍性はない。人権どころか、一部富裕層以外は人ですらない。
     その頃、主人公の父親は詐欺師で、奴隷解放運動のためとしてだまし取った金を別の悪党に狙われ殺されてしまう。少年はだまし取った金を奴...続きを読む
  • ひとり旅立つ少年よ
    19世紀半ばのアメリカ。詐欺師の親子が「奴隷制度廃止運動のため」と称して巻き上げた大金を巡るロード・ノヴェルだ。開始早々、たった1人で行動することを余儀なくされた少年は、父が騙ったでまかせを実現するため遥かな地を目指し困難な旅に出る。それは贖罪ではない。プライドの問題なのだ。少女→犬→少年と追ってき...続きを読む
  • その犬の歩むところ
    完璧なまでに善良で無垢なるものギヴ。どんな困難にも諦めず立ち向かい希望を失わない。
    そんなアメリカンスピリッツの象徴としてのギヴが飼われていたモーテルに宿泊に来た兄弟の兄の悪意により盗まれるところから始まり、カトリーナによる喪失、9.11およびその後のイラク出兵によるゆがみを抱えた人々を癒しながら物...続きを読む
  • その犬の歩むところ
    盛り上がりにはかけますが、犬を中心とした人々の群像劇的な?
    ちょっと訳が独特で最初は読むのに入り込みにくかった。
  • その犬の歩むところ
    原題が「The Story of a Dog and America」という通り、「アメリカ」というところが強調されている。9.11、イラク戦争、ハリケーンカトリーナ、暴力…と現実のアメリカの諸問題が背景。登場人物はみんな何かを失って傷ついているのだけど、それでも善意や夢を失わずに生きようとする。そ...続きを読む
  • その犬の歩むところ
    言葉を話さない犬ではあるけれど、その存在によって、出会った人の人生をつむいでいく、一種の神話のような物語。
    それにしても犬の人生があまりにも波瀾万丈すぎて、もう少し平穏にすごさせてやってくれと、作者に訴えたくなったよ。
  • その犬の歩むところ
    読む前は、もう少し犬を全面に出したというか犬目線の物語なのかと思ったが、あくまで語り手は人たちであり、その人間たちの強さや弱さ、幸せや不幸せ、素晴らしさやどうしようもなさ等を描き出すためのギミック、触媒として犬が使われているような類の作品だと、読後は思いを新たにした。
    作者が言いたいところの本質的な...続きを読む
  • その犬の歩むところ
    読んでいる時も読み終わった後も、ハラハラドキドキして、けれども、心が温かくて…。ギブを抱きしめたくて、優しく撫でたくて…。「ありがとう」って言いたくて…。それが出来なくて、その代わりに、本にそっと頬寄せて…。
  • 神は銃弾
    麻薬と銃と暴力の社会、そしてイエスが神では無いアメリカ。自分の中にもきっとある暗部を見ている気配を感じながら、やっと読み終えた。

    ケイトとボブとギャビと、三人が角突きあったり助け合ったり自分を出し合いながら絶妙のバランスをとって暮らす姿が見えるだろうか。
  • 神は銃弾
    家族をカルトに誘拐された男が、かつてそのカルトから逃げた元信者と協力して娘の行方を追う、ただそれだけの話。

    しかし、なんと濃厚な作品だろう。どこまでも人間の善と悪の本質に切り込み切り刻んでいく。
    比喩や暗喩だらけの文章は、まるで文芸作品のように噛みごたえがある一方で、残酷なまでにリアルな暴力描写が...続きを読む
  • その犬の歩むところ
    モーテルの女主人アンナの元から盗まれたギブ.暴力に支配された兄弟の間でどうなるかとハラハラしていたら素敵な女の子ルーシーが現れ,ギブも一緒に幸せになるのかと思ったらまさかのハリケーン,でもこのギブの善良でしかも諦めない不屈の魂は,最後にすごい奇跡を呼び起こす.人間と犬の信頼の物語.
  • 音もなく少女は
    麻薬やら銃やら暴力やら、アメリカの暗部を象徴するステレオタイプなネタではあるんだけども、ともかくいちいち細かく書き込まれてて、当たり前だけど、っぽいっと撃たれて死んで終わりじゃないよな、って事を思い知らされる。重い分読むのには時間がかかるけども。
    それにしたってアメリカという国は、一面的にせよ、とも...続きを読む
  • 音もなく少女は
    前半は一気に読めたけど、クラリッサ(イヴの母)が夫の暴力で亡くなってからなかなか話が進まなかった
    イヴに彼氏ができて少し盛り上がってきたとこで、その彼氏があっけなく亡くなりまた盛り下がった 後半は惰性で読んだ 
    N.Yブロンクスの貧しいイタリア移民のイヴの両親 彼らの袋小路に嵌った人生のやるせなさは...続きを読む
  • 音もなく少女は
    印象的な1冊である。生まれつき耳の聞こえない少女はどうしようもない父親と必死で少女を守り育てようとする母親との間で成長する。信頼できる母親の友人と知り合った後、誰よりも大切だった母親と恋人を相次いで失くす。・・・・
    いつしか 心の中で彼女を応援してしまう。理不尽さに屈するなと、立ちあがってくれと。
  • 神は銃弾
    久々のバイオレンス小説。そうと知らなくて読み始めたから最初は本当に胸糞悪かったけど、アメリカの悪や矛盾を、成功や豊かさの下敷きになっている、必ずひずみに生まれてしまう犠牲者のそれぞれの姿を描き出している。単純なハードボイルド的な楽しみよりもそちらに目を奪われる作品。
    ストーリーは至極単純。
    とある中...続きを読む
  • 神は銃弾
    期待せず読み始めたのですが、面白かったです。
    元妻を殺され娘を攫われた警官・ボブと、元カルト集団員のジャンキー・ケイス。
    二人はお互いに嫌悪感を抱いています。ぜんぜん違う世界に生きてきたのだから当然です。
    しかし、ふたりで死と隣合わせのギリギリの綱渡りを続けるうちに信頼のようなものが芽生えていきます...続きを読む
  • 音もなく少女は
    耳が聞こえない少女イヴは、過酷な環境で育ち、理不尽な目にあい、何度も絶望の淵に沈みそうになります。心と身体に傷を持つドイツ人女性との出会いは、魂の出会いでした。打ちのめされるような非情な世界に、女性たちがそれぞれ向かっていく姿は、崇高でさえありました。