市川宏雄のレビュー一覧
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東京都市圏の現状を踏まえた上で、世界各国の大都市の動向、東京都市圏の課題、今後のシナリオ、最良のシナリオに向かって実施すべき方策等を構想した本です。
東京都市圏は、世界最大3000万人を擁する巨大都市圏であり、経済的指標・研究開発指標等を中心に、世界の他都市を越える水準にあります。ただし、高齢化率の急激な上昇、生産年齢人口の減少、老朽化するインフラなど、大きな課題も抱えています。またアジアの大都市圏(上海・シンガポール・香港・ソウル)等の都市・インフラ戦略等を整理しています。
これらを踏まえた上で、4つのシナリオ(豪雨・長雨・曇天・晴天)に分けて方向性を検討しています。晴天にたどり着くためには、規制緩和・オープン化、競争促進・選択と集中、パラダイムシフト・社会構造改革が求められるとされています。
その後晴天シナリオに向かうための実行メニューを羅列しています。ここのメニューは「こんなことやったらよいのでは」レベルなので、☆1つ減点。
とはいえ、シナリオプランニングを含め、全般的に良い切り口で分析されているので、☆4つです。大都市東京の行く末に関心のある方は読んでみるとよいかもしれません。 -
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竹中さん、南條さん、そして伊藤穰一さんの対談形式で、都市の未来を考えるという企画。
実際に、アートのダボスを東京で開催しようという企画を実現してきた彼らが、どうやってイニシアチブを作ってきたか語ってくれる。残念ながら、現時点で大きなうねりにならないということは、非常に難しいということでもあっただろうが、日本の賢者が考える思考プロセスは非常に勉強になる。
まず、産業は、AIによって圧倒的に生産性が上がるだろうと予測する。その空いた時間が、多くできるはずだと。その上で、大事になるのはアート思考であり、クリエイティビティだと。時間持ち、こそがアートを生む。この循環を東京に作りたいというのが発起人たちの夢であった。
働きたい街の1位はニューヨーク、次は東京。でも、ナイトライフが充実していない、演劇をみた後のレストランがない。地下鉄が走っていない。そういう観光フレンドリーな作りに変えることがチャンスにつながる。
ついで、ベイエリアの開発が急務。屋形船しかないベイエリアのスポット力を、シンガポールの例で説明する。確かに、人の動きを完全に計算した、ガーデンバイザベイと噴水ショーの間を人が行き来する。そしてお金を落とす仕組みの中心としてマリーナベイサンズがどっしりと構える。
シンガポールのサイエンスミュージアムからも登壇している。チームラボを誘致して、自然を表現したシンガポールは、デジタルの将来性を模索している。人間とは何か、自然とは何か、を問い続けるシンガポールは、国家として抜きん出た圧倒的な安全性を担保した社会を作っているが、足りないのはおそらくアートだ。戦争に勝ったわけでもなく、美術骨董品を元来持たない国だからこそ経済発展で勝負に出た。まるで日本のように。
日本では引き続き六本木ヒルズが文化の中心だろうか。昔は、ライブラリーで勉強したり、本を読んだり、そこで交流があったり、時として自分と向き合う時間だった。ため息と共に席でぼーっとしていたこともあるし、やる気に満ち溢れた時もある。人生で、本当に幸せな時間だったんだろう。ものすごく勉強して、刺激を受けた。アートの刺激こそが、発想の転換点になる。その意味で、六本木ヒルズの存在は大きい。東京を変えることで、日本を変える。大きなうねりに自分も貢献したい。 -
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元々感情的に著者とは逆の意見だったこともあり、終始批判的に読んでいた。
もちろん、データを用いて論理的に説明されていて、確かに、と思わされる点は多かった。ちゃんと考慮に入れておくべき示唆に富んでいた。
一方で、「東京と地方でパイの取り合いをしている場合ではない」と主張しながらも、全体のパイを増やす方策には触れられていないところに物足りなさを感じた。「富を東京から地方に!」論者への反対意識が強いあまり「地方を盛り上げることが東京、ひいては日本の衰退につながる」と結論づけており、二項対立の域を出ていない印象(あくまで主観)。
そうじゃない気がする。地方は地方で自分で人・ビジネスを(理想的には)国外から呼び込んで強くなることが必要で、それにより国全体のパイが増えるのでは、と思う(理想論)。そしてそのためには多少国としてもサポートをすることは許されて然るべきではないだろうか。それにより東京が弱るとは思えない。二項対立に落ち着けてはいけない。
「こういう理想を語っている場合か!」と言われているような気もするが。 -
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1.これだけ地方を活性化させることを騒がれてる中で、なぜ逆の立場になったのか、また、地方に対してどのような認識を持ってるのかが気になったからです。
2.著者が重視しているのは「選択と集中」で、東京に経済機能を集中させることで効率化を図ることを目的としています。また、サプポジションとして、名古屋、大阪を発展させ、効率化を図る。そのうえで、余った富を地方へ分配すると述べています。
3.効率化という考え方には賛成です。ただ、行き過ぎた経済発展には賛成できません。理由は3つあります。
1つは、著しい都市化は犯罪率や自殺率といった人間の精神的な面で多くの弊害をもたらすからです。現に、人口が集中し過ぎた地域では精神的な病気にかかる割合が地方と比べて多いからです。2つめは、災害へのリスクです。この本には災害への対応はある程度強くなってると記載はしてあります。しかし、災害は年を重ねるごとに被害規模が大きくなるので、著者の意見には不確定要素が多すぎと思いました。3つめは、富を地方へ分配するという意見ですが、そのようなことが起こっていれば日本のジニ係数は上がらないはずです。
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ネタバレ視点は確かにあるだろうなと思った。
都市か地方かという二原論ではなく、日本が世界に勝っていかないと成長しないと。
が、そのために今後も東京集中を続ける必要があるというのはロジックがとんでいるかと。
東京は集積の経済をこえて人が集まりすぎ、地方は車社会とはいえ集積の経済が働かなさすぎでバランスがとれていない。
むしろ、地方への税の横流しを少なくし適切な競争の中で稼ぐ企業をつくる。それをもとに一定の雇用を創出しコンパクトな街を多くつくる。カリフォルニアのような実験都市ができても面白いと思う。
東京はそのぶん法人税を下げ、豊富なインフラを適切な人口でシェアすることで金融不動産等のグローバル企業にとってアジアで最も拠点としやすい都市にする。
既に成熟化した日本が、中国やシンガポールの戦略を真似する必要はなくむしろ早期に成熟した社会としてのロールモデルを目指しローカルとグローバルのバランスのとれた国を目指すべきでは。 -
Posted by ブクログ
都市政策が専門の著者が、品川の先にできる駅がもたらす再開発の重大なインパクトについて語ったもの。武蔵小杉や西日暮里など、東京周辺の駅の昨今の開業事情についても載っている。
この著者はそれなりの学歴を持って、今も大学院の要職についているような人なのに、何というか冷静さを感じさせない、興奮しぱなっしの論調に、少々閉口した。すごい経済効果があるから、絶対失敗しないように、こんなことやってこんなことやってあんなこともやればいいよね、さらにさらに…、というような感じだった。特に最後の「おわりに」では「未来予想・品川が国際都心になる日」というのがあって、あまりの勝手に想像の翼を広げ過ぎていて、失笑物だった。著者とのテンションが合わないと、意外と辛い読み物になると思う。(15/06)