【感想・ネタバレ】都市とアートとイノベーション 創造性とライフスタイルが描く都市未来のレビュー

あらすじ

アート×テクノロジーが未来の都市を創り出す

「20年後の私たちはどのように生きるのか?」
竹中平蔵氏、南條史生氏、市川宏雄氏、伊藤穰一氏が
国内外の有識者と語り合った、10年間の貴重な講演がまとまった一冊

クリエイティブとはすべてゼロから作ることではありません。
物の見方を変えたり、目標を変えたりする、
それだけで十分クリエイティブなのです――。
「常識を疑う」ことから始めればいいのです。(南條史生氏 「はじめに」より抜粋)

今私たちは、「新しいカンブリア爆発」にいます。
30年後の私たちの仕事や生活のもととなる
新しいものが爆発的に出現している。
その根底にはAIやビッグデータがあり、
しかも、まだ“初期”なのです。(竹中平蔵氏 本文より抜粋)


【目次抜粋】
PART1 基調講演
・2050年に向けて、限りある地球におけるグローバルな発展
――ヨルゲン・ランダース
PART2 スピーチ
・ニューヨークにおける都市戦略と新たな価値
――ヴィシャーン・チャクラバーティー
・今アジアで起こっていること
――ユージン・タン
PART3 対談
・我々はどこから来て、今どこにいるのか?
――南條史生×エマニュエル・トッド
PART4 ディスカッション
・人は明日どう生きるのか
[森美術館「未来と芸術展」関連プログラム]
分科会1:都市と建築の新陳代謝

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Posted by ブクログ

竹中さん、南條さん、そして伊藤穰一さんの対談形式で、都市の未来を考えるという企画。
実際に、アートのダボスを東京で開催しようという企画を実現してきた彼らが、どうやってイニシアチブを作ってきたか語ってくれる。残念ながら、現時点で大きなうねりにならないということは、非常に難しいということでもあっただろうが、日本の賢者が考える思考プロセスは非常に勉強になる。
まず、産業は、AIによって圧倒的に生産性が上がるだろうと予測する。その空いた時間が、多くできるはずだと。その上で、大事になるのはアート思考であり、クリエイティビティだと。時間持ち、こそがアートを生む。この循環を東京に作りたいというのが発起人たちの夢であった。
働きたい街の1位はニューヨーク、次は東京。でも、ナイトライフが充実していない、演劇をみた後のレストランがない。地下鉄が走っていない。そういう観光フレンドリーな作りに変えることがチャンスにつながる。
ついで、ベイエリアの開発が急務。屋形船しかないベイエリアのスポット力を、シンガポールの例で説明する。確かに、人の動きを完全に計算した、ガーデンバイザベイと噴水ショーの間を人が行き来する。そしてお金を落とす仕組みの中心としてマリーナベイサンズがどっしりと構える。
シンガポールのサイエンスミュージアムからも登壇している。チームラボを誘致して、自然を表現したシンガポールは、デジタルの将来性を模索している。人間とは何か、自然とは何か、を問い続けるシンガポールは、国家として抜きん出た圧倒的な安全性を担保した社会を作っているが、足りないのはおそらくアートだ。戦争に勝ったわけでもなく、美術骨董品を元来持たない国だからこそ経済発展で勝負に出た。まるで日本のように。
日本では引き続き六本木ヒルズが文化の中心だろうか。昔は、ライブラリーで勉強したり、本を読んだり、そこで交流があったり、時として自分と向き合う時間だった。ため息と共に席でぼーっとしていたこともあるし、やる気に満ち溢れた時もある。人生で、本当に幸せな時間だったんだろう。ものすごく勉強して、刺激を受けた。アートの刺激こそが、発想の転換点になる。その意味で、六本木ヒルズの存在は大きい。東京を変えることで、日本を変える。大きなうねりに自分も貢献したい。

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2025年03月06日

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