NHK「欲望の資本主義」制作班のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現代の社会、特に資本主義について、知の巨人との対話の話。
対話が抽象的だったりしてわからない部分もあったが、全体的にそこはかとなく面白かった。
資本主義が、高度に複雑化し、いろんな歪みも生じている現代だが、この資本主義の進化能力で全てを飲み込んでいっている様子が書かれている。
特に
- 「ショウ」と化した資本主義
- 常に創造性を求められる息苦しさ
- 社会主義という敵がいなくなった今、内部にアウトサイダーを見つけ出している
- 全てを合理化、数値化する資本主義
- ダークサイドのパワー
という話が面白かった。
新たなパラダイムは生まれてくるのだろうか。 -
Posted by ブクログ
『貨幣論』、『二十一世紀の資本主義論』と続けて読んで、今回、著者の最新の本書を読んだ。上記2冊はいずれも今から30年近く前に刊行されたが、これらで展開された「貨幣」の本質は、たとえその姿形を変えたとしても、その実態は変わらないとわかる。その一方で、これらの本には存在しなかったビットコイン等の仮想通貨や昨今話題であるMMT(現代貨幣理論)に対する見解を述べており、これまでの著書ではカバーされていなかった部分を本書で補足されている。
本書全体を読んで、アリストテレスとカントの2人の哲学者の偉大さがよくわかる。著者曰く、アリストテレスは資本主義以前の世界で、貨幣の本質を見抜いたり、共同体のあり方の鋭い見方をしてるという。一方、カントは近年台頭したグローバル経済を克服するための対抗策として、その思想は今でも有効だと見なす。
グローバル化によって、アダム・スミスを祖とする新古典派の影響力が強まったが、これらの学派は非効率、不合理な要素を排除し、効率性、合理性を徹底的に追求する。その結果、市場が不安定化する状態となり、資本主義社会がますます不安定となる。今後、資本主義社会がそう簡単に終わる気配がしないが、その中でも、人間が人間として生きていくには、他者のために生きていかなければならない、と著者は2人の哲学者の思想からそのように結論付ける。 -
Posted by ブクログ
経済学や貨幣について独学していくなかで、「これからの正義の話をしよう」「ビットコインスタンダード」を読んだ後にこの本を読んだ。
貨幣や経済を学ぶに連れ、学問は隔たりなく体系的に学ぶことの重要性と楽しさを覚えている。
また著者の思考をまずは読み取り、その上で対岸の思想を学ぶことも自分の思考を枠の中に留めないためにも柔軟体操として必要である。
前置きが長くなったが、アリストテレスのいうポリスを維持するための貨幣の必要性と、貨幣によるポリスの崩壊リスクというパラドックスについて共感したと同時に、そこに「欲望の貨幣論」の本質があることを理解した。
経済や貨幣を勉強する中で、自分自身これからの未来を生き抜くための手段を見つけたいという「未来の可能性に対する根拠」を欲求していたと感じたが、これは際限のない無限ループだと気づいた。
世の中に完全なものはなく、存在しているものが形を変え、時間軸とともに流転していくだけなのである。
なので我々は歴史から学び、その時にその瞬間に自分のエネルギーを注げる何かを考え続けることでしかないと私は思う。 -
Posted by ブクログ
本当の問題はマイナス金利ではなく、中小企業が資金を調達できないことにある。
日本経済低迷の要因は、人口減少
高齢化が進む日本は、医療機器の分野で世界をリードできるかもしれない
豊作の年は、収穫したものを全て消費するのではなく、貯めておくことです
民主資本主義の本質的な意義は、「自由」にある
日本の資本主義は終着点に到達している。もう全て手に入れた。誰も欲しがらないものを作っても意味がないから、そんなに働かなくてもいい。一度きりの人生なのに、誰も欲しがらない物を作るラットレースを走り続けるのは馬鹿げたことです
経済ではなく、他の分野で成長すれば良いのです。芸術、友情、精神面など
本来、仕事は人生に意味を与えるものです
欲望は充たされない、欲望が望むのは増殖である。
消費者もハッピーになり、企業も稼ぐことができる。それがテクノロジーの利点です。
投資銀行は助言、銀行は貸付、ベンチャーキャピタルは投資です
シリコンバレーにいる人達は、
イノベーションをスローダウンさせそうな政府の規制に対しては、力を結集させます
もっと面白いのは、シリコンバレーにいる人達は、できることはすぐやるという精神に溢れていることです
自分のためだけに仕事をしている人なんてほとんどいないと思います。それに気づくのが大事だと思います。
変化のスピードを緩めることはできませんし、緩めるべきでもない。認めて受け入れて、その上で行動しなければなりません
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Posted by ブクログ
「資本主義」を考える月間2冊目。NHKスペシャル「欲望の資本主義」のインタビューを書籍化したもので、世界の知性と呼ばれる人たちの主張がじっくり読める。第1巻では、ノーベル経済学賞受賞のスティグリッツ、チェコのエコノミストであるセドラチェク、Uberを見出した投資家であるスタンフォードの3氏。スティグリッツは「総貯蓄が市場最高になってるのに、長期的投資が行われない。必要なのは温暖化対策など、結果に時間がかかる長期的な投資であり、それがあたらしい需要を産む」と説く。セドラチェクは「需要をお増やすのではなく、供給をコントロールすべき。成長に取り憑かれるのは誤りだ。金利3%で借金をして1%しか成長しない政策はおかしいと気づくべき」。スタンフォードは「投資家として、テクノロジーは社会を底上げすると信じている」と無邪気に語る。このシリーズ、大事なこと(切り口や方向性は多様)をとてもよくまとめてくれていてとても勉強になる。
ハッとさせられた一文。天動説の時代に、ロジカルに説明できないことがあっても、それは例外だとして無理矢理誤差の範囲に収め、改善と称してつぎはぎで対応してきた。古びた理論を手放せないあまり、世代交代・新時代に移行できなくなる罠。 -
Posted by ブクログ
「貨幣は、本来人間を匿名にするんです。これが貨幣のもっとも重要なところなんですね。匿名ということは、人間が、ほかの人に評価されない領域を自分でちゃんともっているということ。これが重要なんですよ。」
例えば、住まいを間借りしているとする。するとその家のルールに従わないとダメだし、突然出て行けと言われても抗うことができない。
でも、家賃を払っていれば借家の中は自分の私的空間になる。借家よりも持ち家の方がより私的空間になる。つながりの希求は貨幣化の次のステップであり、村などの地域共同体への後退ではない。
ジェイン・ジェイコブスは市場での商習慣の中で「契約」という概念が生まれ、それが法に組み入れられたと述べていた。このような商習慣の先行は、本書に書かれていた、カネの下の平等が法の下の平等を生み出したのと共通している。個人(法人)という人格単位による社会の形成は商習慣やカネによって作りだされたものである。
人権は法によってではなく経済によって維持されている事実を左翼はどう受け止めるんだろうか。
自由を獲得するための手段としてのカネだったはずなのに、いつからかカネ自体が目的化してしまったことは、人間は自由に耐えられないし求めてもいないということでもある。自由は最終目的にはならない。自由があったところで目的や役割がないと幸福を感じられないというのは、福田恒存の言う「劇的な人間」そのもので滑稽である。 -
Posted by ブクログ
1)「貨幣とは何か」という問いに対する考察。金銀など「貨幣は価値が高いものだから貨幣である」とする「貨幣商品説」は、かならず[カネの価値]>[カネのモノとしての価値]となるところから棄却される。究極のところ「貨幣は他の人が貨幣として受け取ってくれるから貨幣である」ということになる。
2)ビットコインは投機商品となって[貨幣としての価値]よりも[投機対象の商品としての価値]のほうが上回ってしまったので、貨幣に対する基本定理に沿わなくなってしまった。カネの価値がモノの価値より低くなってしまっては誰も手放さない、交換しない、つまり流通しないから、カネとしては機能しない。
3)しかしさらに突き詰めて言えば、カネが価値を失わないことを信じて使いつづけるということがすなわち「投機」に他ならない。投機はバブルと恐慌を生む。そのコントロールのために中央銀行がいる。貨幣は「自由」を与えてくれるが、貨幣を基礎とする資本主義社会は本質的に不安定だ。自由を守るためには、自由放任主義思想とは決別しなくてはならない。
4)貨幣は人々を共同体的なきずなから解き放ち、「個人」を「市民」にし、人々に自由を与えた。しかしグローバル資本主義=自由放任主義的な資本主義が、不安定・不平等を顕在化させつつある。この逆説に立ち向かうには、アリストテレスが言う「他者との関係における善」にもう一度立ち返って考えてみる必要がある。それにはカントの道徳律が手がかりになる。
1)2)のところは、考え方の整理としても気持ちいい。3)のところもこの人の経済観がよく表れていると思う。4)はかなり駆け足。こういう展開もあるぞというか、もっと根っこのところの考え方なのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
私が何となく学んできた経済の知識・常識を疑って見続けている人たちの話。
本書は、3名の著名な方々にインタビューしたもの。もとはNHKのドキュメンタリーがきっかけで作られた本とのこと。
NHKの番組は未見だが、ぜひ見てみたい。
ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・E・スティグリッツさん
24歳の時にチェコ初代大統領の経済アドバイザーを担ったトーマス・セドラチェクさん
元ゴールドマン・サックス社員でベンチャー投資企業を設立したスコット・スタンフォードさん
それぞれの人の経済を見つめる視点の違いが興味深い。
セドラチェクさんの借金の解説やスタンフォードさんが紹介している使い捨てキットを使った病理検査の話等、何かしら新しい発見や新しい視点に出会うことができた。シリーズで同名の書籍が3巻まで発売されている。
書店で見かけたら、手に取ってみたい。