NHK「欲望の資本主義」制作班のレビュー一覧

  • 岩井克人「欲望の貨幣論」を語る

    Posted by ブクログ

    ビットコインは法定通貨になりえない。
    なぜならビットコインがまさに「分散化」された仮想通貨だから。

    資本主義社会の本質的な不安定性により、バブルやインフレの時に社会全体の安定性のために行動してくれる、公共的な機関がないから。

    アリストテレスは、共同体のみならず、すべての事物はなんらかの「善」を目的にした存在だと考えた。

    「善」という目的が実現されると、もはやそれ以上何も望む必要はなくなるから「善」のそれ自体で「自足」している状態であるといえる。

    よって「無限」を目的にすることは、決して「自足」の状態に達することができないことを意味する。
    すなわち究極の「悪」

    「新古典派」=基本的に不

    0
    2022年11月24日
  • 欲望の資本主義2―闇の力が目覚める時

    Posted by ブクログ

    生きるためのコストは、衣食住ではなく人と交流するためのコストが大きい、というのはなるほど、と思いました。
    自分はわりと引きこもりタイプで、人との交流は疲れてしまい、ひとりでいることが好きですが、それでもやはり衣食住が整っていたとしてもひとりで生きていくのは精神的にも無理です。
    そして、自分は特に節約しているわけではありませんが、生活コストがかなり低いのですが、交流コストがかなり低いからかな、と気付きました。そして田舎にいると東京に行きたいという人が必ず一クラスにひとり以上いますが、どれだけ交流を必要とするかは人それぞれですが生きるために多くの交流が必要なタイプだと田舎という閉ざされた世界では生

    0
    2022年03月23日
  • 欲望の資本主義5―格差拡大 社会の深部に亀裂が走る時

    Posted by ブクログ

    コロナ後の経済社会や格差などを5名の知識人が考察 する。
    今後の社会について、世界の知識人が様々な考察や意見を述べているが、共通しているのは今後のことは誰にもわからないということ。世界が多様化して予測が難しい。彼等へのインタビューの中でよく出てくるのはケインズの話。彼の考えは、結果的に正しかったという意見が多かった。でも彼が現場まで見通していたかどうかはわからない。この5人の識者の意見も、いずれ誰かが正しかったのかが結果論として考察されると思う。
    目次より
    ハスケル~無形資産について 無形資産が拡大する社会
    シラー~ ナラティブ経済 物語が経済を動かす
    アヤモグル~ 経済への見方 税,生物,歴

    0
    2022年03月13日
  • 欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えて

    Posted by ブクログ

    ギャラウェィのGAFA批判は、興味深かった。利用者が増えることでより多くのデータが集まるネットワーク効果は、確かに莫大な利益を産むと思いました。

    0
    2021年06月30日
  • 欲望の資本主義2―闇の力が目覚める時

    Posted by ブクログ

    前作に続き、知的な刺激にあふれた本。難解な部分もたくさんあったが、AIによって創造的であることの圧力が強まるとの部分や、ネガティブな部分を含め全てが資本主義に取り込まれる過程など、読んでいてイマジネーションの働く部分がたくさんあった。ただ、「おわりに」の部分は、少し強引に感じて、あまり馴染めなかった。

    0
    2021年06月06日
  • 欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えて

    Posted by ブクログ

    五人の対談が特集される中、ほぼ皆が仮想通貨とトランプ大統領について語っているのが印象的。

    特に仮想通貨を開発者であるホスキンソンの話は理解しやすい。何のこっちゃわからない状態だったが、仮想通貨が作られた背景や目指すもの、またブロックチェーン技術の一端の一端は理解できた。それだけでも価値があるかな。
    続いて、仮想通貨に対して懐疑的な意見を持つティロールの対談が載せられているのも良い。
    政府の介入がない自由な通貨の可能性と、自由すぎるが故に危険性があり制約すべきだと言う意見それぞれが聞けるので面白い。

    一方、GAFAについて語るギャロウェイの話は余りピンとこない…
    the fourも読んだけど

    0
    2021年03月15日
  • 欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えて

    Posted by ブクログ

    このシリーズは知識欲を刺激したいときに丁度いい読み物だと思う。経済学者、哲学者が考える現在の問題と解決案は新しい視点を与えてくれる。生活の質は確実に向上している。だけど人は幸せを感じない。過去に起きたことと現代の問題では性質が違う。全人類が今より多少マシになるにはどうすればいいのか、興味が尽きない。

    だからこそ、このシリーズに出てくるスピーカーにもっと多様性があればもっと優れた本になるのにとおもう。

    言い方が悪いが、研究する環境に恵まれた人たちの集まりという偏りがあるように見える。確かにそれぞれの生い立ちを見れば様々なバックボーンがあるだろうが、実際この世に生きてる人たちはもっと多様だ。知

    0
    2021年01月16日
  • 欲望の資本主義2―闇の力が目覚める時

    Posted by ブクログ

    個人的に好きなNHKの番組の書籍化第2弾。

    テクノロジーの進化によって発生した今日の産業革命は、過去の産業革命と全く性質が違うという発想が面白い。過去に起きた農業から工業への産業革命は、高スキルと低スキルという軸で捉えることができた。そして農業から追われた人たちの受け皿として産業があった。しかしテクノロジーによる産業革命はスキルの有無や学歴の高低関係なく、ルーティンワークが職を追われ不幸なことにそれに対する受け皿が存在しない。言い換えれば高所得のトレーダーや医療従事者でさえ、テクノロジーの発達により代用可能になれば職を失う可能性があるのだ。そしてテクノロジーでは今のところ代用できない、生産性

    0
    2021年01月11日
  • 欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えて

    Posted by ブクログ

    今の資本主義がいい意味で機能していないという方に結論が傾いているだろう。そして、今の資本主義というシステムが、これからも同じように存在し続けることもない。今ままではなく、変化したシステムになる。なる必要があると。
    例えば、GAFAは市場を独占的に覆い尽くしている。これから何年もGAFAによって、「新たな(イノベーションの)芽が摘まれてしまう」「市場による自由な競争が成立しない」状況や影響力を持ってしまうことにになれば、政府から規制をかけなければならない。しかし、ビッグデータ、AI、ブロックチェーン、などのテクノロジーは世界を救済する手段にも、脅威をもたらすものにもなり得るなかで、歴史は浅く、ど

    0
    2021年01月08日
  • 欲望の資本主義―ルールが変わる時

    Posted by ブクログ

    この番組が好きで他のシリーズも見ている。映像では聞き流している部分が多いので、書籍を見つけて嬉しくなった。

    全く方向性の異なる3人の有識者(スティグリッツとセドラチェクは成長資本主義に懐疑的で概ね似た意見)のそれぞれの言い分が面白い。立場や興味の対象が全く違うので当然といえば当然だが、テクノロジーの変化によって社会のあり方を変化させなければならないという落とし所が同じだったのはちょっとした希望だったように思える。

    経済に関する本を読むと必然的に哲学や政治や思想、芸術、日常生活全てに派生していくのが面白い。人間として社会で生活していく上で絶対に切り離すことができないからこそ、魅力的なんだと思

    0
    2020年12月30日
  • 欲望の資本主義2―闇の力が目覚める時

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ガブリエルとセドラチェクの対談は話が難しすぎるのだが、いくつか理解できる主張があった。また、最初のコーエンの話は「なるほどね。確かに。」と納得するものだった。
    特に、テクノロジーが進歩しているのに景気が低迷している理由に、失われた雇用の受け皿となる産業がないことをあげた。AIで仕事を奪われた人が、次に職を探すときは生産性の低い仕事しか残っていない。テクノロジーで生産性の向上の恩恵を受けるのは富裕層である。
    こうしてテクノロジーの進歩は、富裕層はより生産性高く、中産階級は生産性の低い仕事に流れ、貧困層は変化なし、という現象を引き起こしているために、経済成長せず、景気が上向かないのだと。
    農業から

    0
    2020年12月14日
  • 欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えて

    Posted by ブクログ

    少し期待外れだったかな。。
    それぞれすごい人にインタビューしてるんだけど、残念ながら紙面が限られるため、浅い内容になっている。勿体ない感じがした。
    各学者さんの本をそれぞれ読んでみようと思い、まずはハイエクの「隷属への道」をポチッとしてみました。

    0
    2020年06月03日
  • 欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えて

    Posted by ブクログ

    世界最高峰の知性が、未来をどう語るのかが、興味があり読んでみた。資本主義、AI、仮想通貨、民主主義、自由、そして人間の倫理と哲学が絡み合う。

    0
    2020年04月24日
  • 欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えて

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    これからの時代を読み解くうえで、とてもヒントになると思った。
    スコット・ギャロウェイの、GAFAが人間の基本的な欲求「神、セックス、愛と消費」に対応している、という論は、やや強引なこじつけのように感じた。
    ユヴァル・ノア・ハラリの「AI時代に守るべきは仕事ではなく人間だ」は、なるほどと思った。
    このシリーズの他の本も興味がでてきた。

    0
    2020年01月04日
  • 欲望の資本主義2―闇の力が目覚める時

    Posted by ブクログ

    いくつもの印象的な文章があった。

    ・(新しいテクノロジーによって)失われた雇用の受け皿となる産業がない(P30)
    ・「つまり、問題はテクノロジーに職を奪われ、人々の仕事がなくなったことではありません。人々が成長分野において適切な賃金を得ながら働くことができず、以前よりも生産性の低い分野で低賃金に甘んじなければならないことが問題なのです」(P33)
    ・全員が芸術家のように生きなければならない社会の到来(P36)

    0
    2019年10月31日
  • 欲望の資本主義3―偽りの個人主義を越えて

    Posted by ブクログ

    欲望の資本主義の第三巻目である。欲望は資本主義を発展させるとともに、それが行き過ぎれば停滞も崩壊も齎らすのだ。そのメカニズムとその未来を世界の識者に聞いたのが本書である。インタネットの普及が正にその功罪の原因となり、未来のことは識者の中でも意見は分かれる。ビットコインについても、その推進者は、国の規制が外れることによって、より自由な経済活動が可能になるとし、一方哲学者は、いずれ失敗するだろうとの見解だ。哲学者によれば、インタネットの普及によりフェイクニュースや詐欺などの欺瞞が横行し、為政者の虚偽や隠蔽工作が加速すると予測している。実はその現象は、すでに現実となって表面化しているのだ。アメリカの

    0
    2019年08月31日
  • 欲望の資本主義―ルールが変わる時

    Posted by ブクログ

    NHK番組の書籍化
    スティグリッツ、セドラチェク、スタンフォード3人へのインタビュー
    番組見れば良かった。

    0
    2019年03月05日
  • 欲望の資本主義―ルールが変わる時

    Posted by ブクログ

     現在の資本主義国では、マイナス金利、デフレなど長期停滞などの問題とともに貧富の差が拡大し、経済理論あるいは経済学者は適切な解を見つけられないでいる。
     そんな状況のなかで、日本の若手経済学者をナビゲーターなる解説者を用意して、NHKのプロデューサーが各国の経済学者を語り合ったTV番組を書籍にしたものである。
     TVと違って画面や動画がないこともあり、ゆっくり楽しめるが、どこか中身が薄まったような感もあり、内容がいまいち理解できなかったせいか、この現在の状況を切り開くような感心する論説はなかったように思う。

    0
    2017年08月01日