NHK「欲望の資本主義」制作班のレビュー一覧
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シリーズ四作目。今回は、ファーガソンとスティグリッツとの対談(別々)だが、どちらも面白いし独自の視点により視界が広がる。ちなみに、欲望の資本主義シリーズはどこから読んでも楽しめる。
ファーガソンは、19世紀後半以前にはネットワークと言う用語が滅多に使われてなかったと述べる。例えば、シェイクスピアの戯曲には出てこない。ネットワークが今日の意味として使われ始めるのは、鉄道が登場してから。一方で、階層制という言葉は、原始キリスト教時代から使われている言葉。私たちは長い間、社会についてはネットワークではなく「階層構造」として理解していた。
分散型ソーシャルネットワークでは、中央による集中管理がない -
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岩井氏の本は毎回感銘を受けているので本書も早速手に取りました。岩井氏と言えば、貨幣論、資本主義論を、アリストテレスやゲーテ、シェークスピア、カントなど、古今東西とは言わないまでも(西&古に偏っていますが)、経済学以外の巨人の視点を通じて分析するというのがユニークな特徴だと思っています。つまり経済学という領域にこだわらないところに面白さがあるわけです。
本書では、どちらかといえば貨幣論を中心に同様のアプローチがとられていました。その意味では、岩井氏の本をこれまで何冊も読んだ人からすると、そこまで新しいことは書かれていないものの、とにかく主張がわかりやすく解説されているというのが本書の価値でしょ -
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トーマス・セドラチェクと斎藤幸平の対談がエキサイティングだった。二人のイデオロギーの定義が微妙に噛み合わず互いに何度か確認し合う。チェコ出身のセドラチェクは、コミュニズムに生理的嫌悪感がありそうだ。
この討論で気になったのは、共産主義、社会主義、資本主義が税率で規定されるかの論。9割税率は共産主義、社会主義は5割未満だと。一義的に言い当てているかは微妙だが、分かりやすい整理。共産主義イコールソ連の失敗例と捉えるのは誤りと斎藤幸平は言うが、税率が高いという事は、それだけ中央の権力が強いという事。集権的な体制が膠着され易く、ファシズムを生みやすいだろう。勿論、低い税率で一党独裁を成し得る国もある -
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GAFAと現代市場経済の是非という、2よりも分かりやすいお題だったので自分みたいなもんにも読み進めやすかった…
共通して、GAFAの企業倫理と市場独占方針には大批判的
健全な競争原理を回復すべく、政治・経済からルールの改善・徹底を強化するべきという感じ。
ホスキンソン氏とティロール氏が、仮想通貨が公益に寄与するか否かについて真逆の意見だったり
世界最高の頭脳の最高の倫理感を持ってしても、方向性って定まらんのやなあ…と切ない気持ちになったり。
良い特集なだけに、文末の丸山氏のナルシスティック(故に不必要に冗長で難解)な文章はもうちょっと控えめになると良いな…
引き続き、資本主義に参加しな -
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著者の岩井克人先生、この方は本当に経済学者なんですか。読み始めてスケールのデカさにびっくり。どこから読んでも面白く、永遠に読んでいたい感。経済学的な見地にとどまらず、全ての学問に通じた壮大な貨幣論が繰り広げられる。
あのアリストテレスが資本主義の本質を見抜いていた?
ギリシャ哲学、自然科学、民主主義、孤独、そしてその孤独から生まれるギリシャ悲劇などの文学も、貨幣が起源?
そう言われてもにわかには信じ難いと思う。でも、騙されたと思って読んでみてほしい。経済学に興味の無い方こそ、驚きと知的興奮に震えること間違い無し。
もちろん、最近流行りのMMT理論とか、仮想通貨についても言及されています -
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資本主義を考える月間5冊目。ジャーナリストのファーガソン。日本は「定常状態」。成長は止まり、高齢化がすすみ、変化を求めない人が多くなる。サッカーの日本代表になることも、ウィンブルドンで優勝することもない、絶頂期は過去のものという諦念に満ちている。これを政策等で変化させるのは困難。歴史上、定常状態を脱するきっかけとなったのは、戦争や大災害、疫病の流行など。これで考えると、東日本大震災とコロナ禍は日本が変わるチャンスかもしれない。なお、経済成長は栄養状態の改善、衛生面の向上、住環境の充実などをもたらした。定常状態で生き延びた社会はないということも覚えておかなければならない。一方、スティグリッツは、
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資本主義を考える月間4冊目。見えざる手による競走で最適化するはずの市場だが、GAFAの支配に警鐘を鳴らすギャロウェイは、GAFAによりイノベーションが起こらない時代になっていると主張する。将来有望なスタートアップを買収することで将来の競合を潰す。インスタ、YouTube、WhatsAppなど。適切に納税もしない。会社を分割して、競争させることが社会に利益につながると説く。ノーベル経済学賞受賞のティロールは、資本主義は統治の形態、市場経済は企業の競争であり、いずれもルールと規制が必要と主張する。確かに大企業や大富豪に有利なルールでは、正しい統治も競争も起こらない。そしてガブリエルは、ポストトゥル
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資本主義を考える月間3冊目。どうにも止まらない資本主義の「闇の力」を考察する一冊。本書によると、資本主義はもともと悪だったのではなく、共産主義や社会主義という「抵抗勢力」が失われたために暴走するようになり、自己を成長させるために「内なる敵」を作るようになった。これが顕著となったのが、自国主義であり、格差であり、差別ということ。前半のダニエル・コーエンとの対談では、テクノロジーの進化による社会変化について、農業革命や産業革命の時代は、一つの職が失われても、同じくらいかそれ以上に魅力的な別の選択肢があったが、IT革命やAIによる失業では、単純労働(クソどうでもいい仕事)しか残されておらず、格差を助
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『私たちは、自由が増えれば安定性が減り、安定性を増やすと自由が減ってしまうという、「自由と安定との二律背反」の中で生きて行かざるをえません』―『第1章 「ビットコイン」は究極の貨幣か』
「欲望の資本主義」シリーズは観るのを楽しみにしている番組の一つだ。主に経済学の立場から現在進行形で起きている汎世界的な金融経済問題の本質に迫ろうとする取り組みだが、追いかける主題は、資本主義を成立させる売買が結局は人間の欲望に根差したものであって、その欲望には際限がないものだ、という事に毎回行きついているように思う。であればどうすれば良いのか、ということもまた番組では経済学以外の分野の知性の言葉を紹介しつつ探 -
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現代の経済学を二分して解説 画期的であり判りやすい 革命的過激さ
①不均衡経済動学・・・資本主義経済の本質 ケインズ・宇沢弘文など
②均衡経済学 ・・・主流派経済学シカゴ学派など
資本主義経済の本質は不均衡動学だが、周期的に経済危機を起こし、財政・金融の支援を必要とするので、そのままでは受け入れにくい
体制の経済学としては「平時の均衡」を前面に出して理論体系を組むのが方便だが、これは反正義の在り方。本家の米国以外では衰退しつつある。
宇沢弘文氏、岩井克人氏とも「正当経済学の不正義」に耐えられず趣旨替えを表明し、経済学会を追われてしまった。「破門」である。
cf「資本主義と戦った男 宇沢弘文と -
Posted by ブクログ
・人の欲望は無くならないのか
・人の欲望が今の社会システム(資本主義)をどう変えて行くのか
が主題の、知識人との対談。
人の生活がどうある「べき」なのか、については考え方それぞれあるが、技術特異点に達して人間の労働の価値が大きく揺らぐ事
その時、上手くやらないと致命的な不平等が生まれる事については意見が一致している模様。(それすら、「別に構わない」って人もいるけど)
個人的には、こんなに社会が発展しているのに、さらに良くするために同じ時間の労働を強制されるのはおかしくて
労働が個人の自由意思に任される社会が来てほしいと強く思っている。
声でスピーカーが動いてくれたら楽だし、
海外のスニー -
Posted by ブクログ
「人間の業=欲望をキーワードに、複雑な経済システムの本質を解剖し、経済の在り方を考える」との触れ込みだったが、丁度自らが欲望に就いて勉強していたいと思っていたつながりでぴったりの本であった。本書は以下のような問い・コメントへの一つの答え・説明を提供してくれる。
・経済は成長し続けるべきか?(P25)
・イノベーションは幸せをもたらすか?(P53)
・トリクルダウンは、非効率(P106)
・人間の”原罪”は過剰消費(P123)
3人の登場人物の内、スコット・スタンフォード氏の異色さが際立ったが、実業を代表するという観点から選ばれたと思うが、少々人選が思想的に極端化と思った(それはそれで面白く -