九鬼周造のレビュー一覧

  • 「いき」の構造 他二篇

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    本書は、哲学者である九鬼修造が、日本特有の感覚である「いき」の構造について論じたものです。
    解説によると、九鬼はあのハイデガーやベルクソンにも評価され、サルトルが家庭教師をつとめたこともあるとのこと。日本の哲学者としては西田幾多郎が有名でしょうが、日本の哲学者は彼だけではないんですね。

    本書は古典的な哲学書ではありますが、例えばハンナアーレントにおけるアリストテレス哲学のように前提となる基本的知識を必要としないため、非常に読みやすいものとなっています。
    そのため、哲学に興味がある方、古典に触れてみたい方、読みやすい岩波文庫を探している方など本書はおすすめです。

    本書において「いき」とは、「

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    2025年11月10日
  • 「いき」の構造

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    ネタバレ

    ずっと読みたかった日本美学の名著が、あざやかなカラー写真つきで。流れるような文章は浸る余裕なく拾い読み程度だが、概要を理解できた。美しくシンプルな本。

    粋とは生き方であり、色事における媚態、武士道上の意気地、そして諦め、無心として表れる人の魅力。

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    2022年04月22日
  • 「いき」の構造

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    「粋(いき)」とは何か、について。

    →理想を持って人を好きになったり物事に明るくなったりした上で、
    その人や物事に執着し過ぎない

    ってことなんだな。
    面白かった。

    一見難解な文章だが、日本語の持つ流れるような美しいリズムで書かれていて、意外と読みやすかった。

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    2022年02月04日
  • 九鬼周造「いきの構造」 ビギナーズ 日本の思想

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    ネタバレ

    「和の心」というテーマで展示を作成するにあたり、その核となる書籍として選んでみました。
    「粋だねえ」などと言われ、ある種の誉め言葉として使われる「いき」という概念は、はたしてどのようなモノであるのか、読み終えて、ひとつの定義を知ることができたように思います。
    原著を現代語で読みやすく書き改めてあるので、本論もストレスなく読むことができましたし、著者の主張もわかりやすかったです。

    実体験として、また実生活の中で自分が「いき」に生きることはなかなかハードルが高いのですが、だからこそ(そして「いき」がどのようなものであるかわかったからこそ)「いき」である人やその仕草にあこがれ、尊いものだと認識でき

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    2018年12月11日
  • 九鬼周造「いきの構造」 ビギナーズ 日本の思想

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    いき という抽象的で個人的な感覚をここまで概念化させることができる九鬼の手腕に脱帽。感覚的なものを言語化してくれると理解が深まったような気になる。そして、そのことについてもっと知りたくなる。

    いきを本当に理解するためには、人がどう感じているかという、いきな行動の奥に潜む意識を感じようとしなければならない…という旨のくだりはとても心に残った。

    相手の全てを知ることは出来ないと心得た上で、相手を慮る姿勢に、優しさを感じる。


    本書最後の「九鬼の生涯と思想」も内容理解の助けとなった。良書。

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    2018年07月25日
  • 「いき」の構造 他二篇

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    いき、とは何かについてが知れるとともにその研究姿勢に関しての学びも多い本。

    二元的態度、という決して交わらない平行線のような緊張感を保つ媚態と、理想主義に基づく意気地、そして最後に非現実性をふまえた諦めを経ていきという美的感覚が、浮かび上がる。

    それを絶妙な、筆者の言葉を借りると、「意識現象のもとに存在する」いきの描写とともに概念の解釈がなされていく。

    筆者の研究態度としての真髄が「意味体験を概念自覚に導くところに知的存在者の全意義が懸っている」という一説に表されているだろう。

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    2016年12月29日
  • 「いき」の構造 他二篇

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    ・九鬼周造は、江戸の美意識であった「粋(いき)」の意味を哲学的に探り、恋愛にある緊張感や儚さ、近松や西鶴の描く、心の交情。その本質的なところに「いき」があると云っています。


     「いきの第一の徴表は、相手に対する媚態である。

     関係が、いきの原本的存在を形成していることは、いきごとが、いろごと、を意味するのでも分かる。


     媚態の要は、距離を出来得る限り接近せしめつつ、距離の差が、極限に達せざることである。

     いきは媚態でありながら、なお相手に対して、一種の反抗を示す強みを持った意識である」


                 (九鬼周造)




     まず第一に、「いき」には「媚態」があり、

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    2015年03月05日
  • 「いき」の構造 他二篇

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    「いき」の核にあるのは、見た目でもなく振る舞いでもなく二元性。

    江戸のいきな人たちと同じような生活はできないけれど、現代の日本人の中にも「いき」の精神は生き続けることができる

    いきでありたい

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    2015年01月28日
  • 九鬼周造「いきの構造」 ビギナーズ 日本の思想

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    「いき」は日本の独自文化で、男女のつかず離れずの媚態における「逢瀬の美学」である

    人生の50冊 エンジョイライフ ベスト3位

    九鬼周造は2013年における大発見でした。
    なにしろ日本の遊里における男女の媚態を分析して、
    これをフランスで哲学書として成立させるのが、九鬼魔術(マジック)。
    白眉は、欧米の類似の恋愛観と比較しながらも、吉原における男女の機微に日本独特の文化的背景を展開するロジックにある。


    「いき」は武士道の理想主義である「意気地」と
    仏教の脱俗世である「諦観」と密接な内的関係がある。
    さらに、関連諸概念として、上品と下品、派手と地味、意気と野暮、渋味と甘味を挙げ、それらで

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    2014年01月01日
  • 九鬼周造「いきの構造」 ビギナーズ 日本の思想

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    クキさんの書いたイキに関するウィキ。とか、つまんない事言いません。

    江戸文化のなかで生まれた「粋」を構造的に分解していく本書。 武士道精神に則る「意気地」が体験を生み、仏教観がもたらす「諦観」が執着を断つ。その狭間にあって、波を乗りこなすサマこそ「粋」という感覚の根幹、というのは大変腹に落ちました。

    本来であれば、粋を言葉で語るという行為そのものが野暮ってなもんですが、あえて才人が挑戦した本書は、日本人が持つ特有の精神世界への扉を打ち立てたのではないかと思います。

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    2013年11月14日
  • 「いき」の構造 他二篇

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    「うまいこと言えないけどなんとなくあんな感じでなんかいい感じのあれ」という「いき」について、丁寧に要素を取り出して、整理しなおしてくれた感じです。「そうそう、うまく表現できなかったけどそういう感じだよ!」という謎のテンションで一気読みしました。筆者の意図を掴めているかは大いに疑問です。
    具体例としてあげられているものも素敵で、三本線とばちと柳と桜の花、なんて組み合わせを見たときはうっかりときめいてしまいました。あれ?本当にその組み合わせだったかなあ。
    ふざけた内容で恐縮ですが、枯れ木も山、ということでご勘弁願います。

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    2013年09月27日
  • 「いき」の構造 他二篇

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    九鬼周造氏は「いき」の内包的構造の徴表を「媚態」「意地」「諦め」とする。そこから外延的構造、自然的表現、芸術的表現の側面から、定義を示しながら考察していく。例えば縦縞と横縞、どちらが「いき」か、など。読む前は純文学をこじらせた作家の考察と勝手に思って手に取ったが、世界的に評価の高い哲学者であり、ハイデッカーやサルトルとも面識があると知って二度びっくり。そのため内容はかなり硬派で難解。なので読み応えがある。他収録の「風流に関する一考察」「情緒の系図」も面白い。

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    2025年08月11日
  • 九鬼周造「いきの構造」 ビギナーズ 日本の思想

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    媚態(男女の駆け引き)
    束縛、固定を許さない不安定な関係ながら、だからこそ自由と可能性がある
    媚態を支えるものとして、
    意気地(武士道)
    禁欲性と自負
    諦め(仏教)
    未練、執着から離れる仏教的諦観

    垢抜けて張りのある色っぽさ

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    2025年05月11日
  • 「いき」の構造

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    ぱっと見、結構難しそうに思えたからなかなか読む気にならなかったのだが、載ってる写真はちょっとイイし、学術文庫とかで読むよりはとっつきやすそうだから、気を入れて読んでみた。
    畢竟、「いき」とはこの日本において「生きる」ことが大前提、ということだったのかな。表現や仮名遣いなどが昔だから、読みづらいのだけど、写真が時折理解を助けてくれるようにも思うい、読み通せた。
    内容は、今一度、というわけでもないのだが、写真はまたみたいなと思うものだから、古本でもいいから手にしておきたいなと思う。

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    2025年01月18日
  • 「いき」の構造 他二篇

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    日本の哲学者、九鬼修造の論考。

    本来、感情的、直感的に把握される「いき」という日本文化の心象について構造的な説明を企てた書。

    同著の「偶然性の哲学」に挫折したのでこちらを拝読。

    「いき」の中心概念に「媚態」が提示されるが、これは恋愛における互いに決して束縛されることのない緊張関係として説明される。

    これは恋愛する男女のみならず、あらゆる他者、概念、神、物体に通ずるものだと思った。

    すべての他者は自分のものにもならないし、すべての概念を完全に理解することはできない。

    神にどんなに接近を試みても永遠に届くことはない。

    愛着ある文房具、食器、家具、グッズ、ガジェット、これらに囲まれると

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    2024年09月12日
  • 「いき」の構造 他二篇

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    流し読みして自分で勝手に翻訳すれば大筋は割と理解しやすい。逆にくそまじめに書いてあることを逐一理解しようとすると眠くなって読むのが苦痛でしかなくなる。って感じでした

    そのうえで、粋に関する具体的な体験の羅列・分析→抽象的な定義づけ→フレームワークの構築っていう九鬼さんの進行に素直に乗っからないと、文章がむずいから途中で迷子になってわからなくなるという印象。

    あと個人的にはa○emaの某番組の、ちょうどいい匂わせ選手権っていう企画が、読み進める上で手助けになった気がする。

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    2022年04月08日
  • 近代日本思想選 九鬼周造

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     九鬼周造についてはこれまで『「いき」の構造』『偶然性の問題』を読んだが、なんだか思想の全体像が掴めずにいたので、このちくま学芸文庫のアンソロジーを読んでみた。
     前記の2書は抜粋が入っている。
    『「いき」の構造』(1930〈昭和5〉年)は名著として読み継がれているものだが、私にはやはり、「何故こういうテーマを書いたのか」という疑問が残る。記述はなかなか厳格な哲学なのだが、西洋文化に対する日本文化の特色としての「いき」を浮き彫りにしようというテーマは哲学と言うより文化論である。その概念を深く追究するプロセスはじゅうぶんに哲学ではあるが、テーマは哲学的でない。
     一方、『偶然性の問題』(1935

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    2021年09月13日
  • 「いき」の構造 他二篇

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    『「いき」の構造』は、実証性の薄い考察で、容易に肯からぬところがある。しかし、残りの2篇は、実に示唆に富む内容であり、こちらだけでも目を通すことを薦めたい。
    九鬼は実存主義研究者であるが、その考え方は構造主義的ではないかと思う。

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    2020年05月17日
  • 「いき」の構造 他二篇

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    平野啓一郎の「かっこいいとは何か」に触発されて読みました。「いき」とは何か、上品、派手、渋味など、似た言葉と比較して、論証していくプロセスが面白く、引き込まれました。難解な語句が多く、読みにくいところもありましたが、筆者の、多くの文献を基に論理的に主張を組み立てていく姿勢に、誠実さを感じました。筆者が哲学者であることも初めて知りましたが、ジャンルに関係なく、多くの人に読んで欲しい一冊です。

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    2020年05月05日
  • 「いき」の構造 他二篇

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    「いき」、風流、そして情緒の構造・系譜を解きほぐそうと試みた一冊。
    文体も古く難解だが、「情緒の系譜」は比較的わかりやすい。
    情緒の系譜にたどりつきなるほどと一定の理解をし、あらためて「いき」の構造に対峙するのがよいかもしれない。

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    2018年07月07日