イザベラ・バードのレビュー一覧

  • 日本奥地紀行

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    明治10年の著書だから、およそ130年ほど前か。
    当時のイギリス人から見た日本人の姿、そしてアイヌ人の姿が生々しく見えて興味深かった。

    特段目を引くのは、形容詞である。
    最初は、その対象のビジュアルを表現する形容詞と、形容された対象に対して著者が抱く感情を表現する形容詞のギャップから、訳者の直訳によるものなのかと勘ぐるほどだったが、読み進めるうちにこの感覚こそがイギリス的なのかもしれない、と思った。

    また、アイヌ人を表現する「音楽的な声」という表現がとても印象に残った。
    アイヌ語がわからないが故にそう感じたのかもしれないが、著者の細やかな観察眼から推測するに決してそれだけではなく、本当に声

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    2020年11月28日
  • 日本奥地紀行

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    明治初期に日本の奥地ー東北地方から北海道にかけてを旅した英国夫人の紀行文。
    自然に対する詩的な表現はいかにも英国人らしく、興味津々に土着文化のなかにわけいっていくバードの筆致はとても楽しいのだけれど、ここでも映画『サーミの血』を思い出す。
    イザベラ・バードと現代人の自分では当然ながら受けてきた教育、歴史への反省に差があって、自分に元気がないとその差を時代の違いだと飲み込めないので読み進みめるのになかなか時間がかかった。
    しかし彼女は当時の英国上流階級の女性の常識の範囲内で精一杯異俗への理解と愛情を示している。つまり、当時のヨーロッパ知識階級の人びとの思考として捉えてもよいのだろうな。
    色々とし

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    2020年08月09日
  • 日本奥地紀行

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    やっと、読み終わった。
    へえ、などと思ったところは多い。
    それを一つ一つあげるのはきりがないので…。

    どこでも蚤に悩まされたこと、日本人も、あいぬの人たちも、子どもをいかに愛していたか。
    バードがこうしたことを書いていたという話は、本書を読む前から聞いたことがあった。

    蚤の話は、本州の山奥も、北海道も同様。
    絶滅したわけではないと思うが、現在は普通に暮らしていれば、蚤なんて無縁だ。
    進駐軍の撒いたDDTは、そんなに強力だったのか?

    この本の旅をしたときにバードは、すでに四十代後半。
    伊藤というガイドを雇ったとはいえ、たった一人で旅をしたと負うことに驚かされる。

    それにしても、いったいど

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    2020年04月16日
  • 日本奥地紀行

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    今から150年ほど前に書かれた本。日本を酷評している表現も褒めている表現もあって、本当にナチュラルに自分たちの方が優れているという価値観を持った人の素直な手記。アイヌは欧米人に顔立ちが似ていて、美しい‥とよく書かれているのには苦笑。

    当時の日本の田舎の暮らしがしれて面白い。食事は米ときゅうり、卵、たまに黒豆という質素なものばかり‥馬を借りながら道無き道を進む。蚤がすごく大変そう、油紙の防水なんて全然役立たなさそう‥大雨で橋が抜けた描写あるが、道の整備や治水は向かうこんなもんだったのね。

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    2020年04月06日
  • 完訳 日本奥地紀行 2

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    先日、秋田全地域を1週間かけて廻り、得た感想は「日本昔ばなしの世界」ということ。言い過ぎかとも思うが、どうしてもその思いは離れず、であれば、本当の昔はどうだったんだろうと思い、以前挫折したイザベラバードの日本奥地紀行の東北エリア版を読んでみた。1800年代の東北地方について、細かく、風景、風俗、風習を若干の差別意識とそれ以上の感動を元に北海道に渡るまでを書き留めている。リアリティのある描写は目の前にバードが見ている景色を想像させ、当時の苦難の道のりを一緒に旅している気分にさせるいい本。肝心の秋田は意外に都会であった部分もあり驚く。このままの勢いで北海道編も読破したい。それにしてもあまりに過酷な

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    2018年05月31日
  • イザベラ・バードの日本紀行(上)

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    明治初期に日本に来た英国女性探検家の紀行文。ネット上で書かれていたので読んでみたが、比較的冷静な書き方をされていて好感が持てた。この時代(明治初期)の田舎暮らしの非衛生的な部分、その一方で女性一人で旅しても全く危険がなかったという点、特にスリ・かっぱらい・置き引きなどが全くなかったといって驚いていた点は非常に興味深かった。暮らしが貧しくても人のものをとろうとしない当時の日本人の精神性の高さがにじみ出ていた。でも唯一の欠点は翻訳者のせいなのか冗長な部分が多く読むのに骨が折れた。もっとすらすらと読み解く事ができたら星5だった。

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    2016年03月12日
  • 日本奥地紀行

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     1878年、明治維新後のまだ西欧の影響をほとんど受けていない日本の奥地を旅した英国の中年婦人がつぶさに書きとめた旅行記。
     全体にいかにも西洋人が東洋人を見下すような、いわゆる「上から目線」が感じられるが、彼女の観察眼はなかなか鋭い。とても詳細なことまで記録している。そういう意味では当時の日本を知ることができるとても良い文献と言えるそうだ。

     例えば、「西洋人が珍しくすぐに人だかりができるが、彼らから迷惑をかけられることはなかった」「無礼や侮辱にあったりお金を強請られることは一度もなかった」「法外な料金を請求されることもなかった」と言い、日本人の礼儀正しさに驚嘆している。

     また、「日本

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    2014年04月05日
  • 完訳 日本奥地紀行 2

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    注釈をきちんとひろって読むのも結構重要かも。
    初読の時は、単に地域格差が大きいという印象で終わっていたが
    戊辰戦争で痛めつけられた土地で回復していない場所もあったんだ
    と今回気付いた。
    あと、今でも田舎ではありがちなんだけど、既に居住していない人の
    名前も表札に残っている場合がある事。
    これ表面だけみてると凄い大家族のように見えるんだよね(苦笑)
    この本だけでも面白いけど、関連書も読むとまた違った風景が見えてくる。

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    2014年01月04日
  • 新訳 日本奥地紀行

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    面白かった。とても。
    ただ、著者が当時の価値観(西洋人としての常識)を基準に
    当時の日本の在り様を見てる、というフィルター部分を忘れず
    この本を読むべきかな?とも思った。当然か。
    今の日本の無宗教さと、この本でいっている無宗教さはちょっと違うでしょ。
    見えているのに見ていないな(感じないんだな)と思える部分もあり…。
    でも面白かった。うん。他の関連書も読んでみようと思う。

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    2013年12月06日
  • 日本奥地紀行

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    明治11年(1978)6月~9月の3か月間、健康回復手段として医師から海外旅行を進められた著者が日本、それも東北、北海道を廻ったときの紀行文。

    今まで、幕末、明治以降日本に訪れた外国人の手記は色々読んだが、これほど正直なものは珍しい。日本の不衛生さ、プライバシーのなさ、日本人の狡猾さなど、著者は辟易している。

    日本人よりもアイヌの人の純粋さ、高潔さを高く評価しているのも読み取れる。

    ああ、日本はダニが多くて、皮膚病が蔓延していて、役人は当時から使えなかったのねって分かる。

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    2013年10月07日
  • 日本奥地紀行

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    JALの機内誌で紹介されていたことがあり、興味はあったのだが、
    それからだいぶ経ってしまった。

    明治11年の夏、47歳の筆者は
    横浜から、東京、粕壁(春日部)、栃木、宇都宮、今市、日光・・・
    新潟、米沢、秋田、弘前、青森そして、蝦夷へ。
    函館、室蘭、紋別・・・別とはアイヌ語で川。
    伊藤という18歳の通訳の少年を連れて。

    所持した荷物が簡易ベッド、ゴム製バスタブ、蚊帳・・・と驚くが、
    当時は蚤と蚊だらけの不潔な宿ばかり。
    襖と障子の部屋にプライバシーはナシ。障子のたくさんの穴の向こうに目が。
    外人をひと目みたいと、見物人が数百人集まってしまう。

    当時の暮らしぶりがよく記述されている。
    地方

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    2022年03月21日
  • イザベラ・バードの日本紀行(上)

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    1878年にイギリス人女性が日本を旅したときの記録(手紙)をまとめたもの。
    日本人の知らない日本がそこにあるから、この時代のことを知らない方が楽しめるかな。
    けど物が物なので読むのが結構辛くなるかもしれない。(改行が全く無く、びっちりしているため)
    なのでチマチマと読んでタイムスリップ感を楽しむのがいいように思う。
    当時の日本人には今みたいな清潔感の概念がないんだーとか。
    プライバシーがこれっぽちもないとか。
    食事とか。その他色々。
    どうやらイザベラ・バードさんは沢庵と味噌汁が嫌いな様子。

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    2012年07月04日
  • 日本奥地紀行

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    読み終わって、僕が知っていた明治時代の印象が大きく変わりました。外圧や災害で時代が激しく揺れ動いている今、外からの視点がとても大事だということを改めて思い知ったように思います。当時の中央が外国人に見せたくなかった現実が生々しく描写されていて、貧乏と清貧を混同して語ってはいけないなと改めて痛感しました。
    それにしてもイザベラバードの旅好きから高じたタフさ加減には脱帽。あの時代にあのルートを外国人女性が愉しみながら旅してたなんて、やっぱりイギリスは先進国だったんだなーとしみじみと思いました。

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    2012年03月24日
  • 日本奥地紀行

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    民俗学では欠かせないアイテムのこの本。江戸時代に英国夫人であるイザ・ベラ・バードが一人で東北地方へ旅をし、(海外からの)客観的に見た当時の日本を知るなら持ってこいの一冊。
    人文学科、コミュニケーション文化学科の人は見ておくべき!?

    生協学生委員会お勧めの書籍です。

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    2012年03月18日
  • イザベラ・バードの日本紀行(上)

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    明治初期の日本の風土を読み取れる貴重な資料。金谷ホテルの前身の金谷邸の記述が興味深い。
    また、先進国の女性から見た未開の土地の評価とすれば、かなり好意的に日本を見てくれていると考えられる。ここから一世紀と少しで現代の日本があると思うと、やはりちょっとした奇跡のように感じられる。

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    2012年01月10日
  • イザベラ・バードの日本紀行(下)

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    後半は北海道と、観光地。
    上巻ほどわくわくはしないけど、人間性溢れる筆致は健在ですので安心して読めました。

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    2011年07月09日
  • 日本奥地紀行

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    [ 内容 ]
    文明開化期の日本…。
    イザベラは北へ旅立つ。
    本当の日本を求めて。
    東京から北海道まで、美しい自然のなかの貧しい農村、アイヌの生活など、明治初期の日本を浮き彫りにした旅の記録。

    [ 目次 ]
    初めて見る日本
    富士山の姿
    日本の小船
    人力車
    見苦しい乗車
    紙幣
    日本旅行の欠点
    サー・ハリー・パークス
    「大使の乗り物」
    車引き〔ほか〕

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    2010年07月15日
  • イザベラ・バードの日本紀行(上)

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    ネタバレ

    劇場は最初の演劇が草地で催されたところから、芝居屋と呼ばれます。日本の演劇の原点は、他のおおかたの国と同じように、宗教的なもので、その第一の目的は神神の怒りを沈めることにありました
    日光とは太陽の輝きと言う意味で、その美しさは詩歌に詠まれ絵画に描かれて日本全国に知れ渡っています。山々は1年の大半を雪にすっぽりと、あるいはまだらに覆われ、神として崇められるその王者たる男体山を中心に、大連山を形成しています
    汝あまねく世に出でて神のあらゆる創造物に福音を説け
    宗教能力は日本人の天性から失われてしまったようだ

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    2021年06月08日
  • 日本奥地紀行

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    明治時代の女性海外僻地ひとり旅!外国の人から見た日本の人や風景が、少し難解でショック。
    しかしスゴイパワーだなぁ。

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    2019年04月11日
  • 日本奥地紀行

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    ネタバレ

    明治11年(1878)に初来日し日本の奥地(外国人がまだ踏み入れていない地域)を歩きたいというイギリス人女性イザベラ・バード(当時43歳)が北日本・北海道を日本人の通訳兼世話人伊藤を伴っての旅行記。彼女は脊髄彎曲症で健康回復のために旅行に出たとのことだが、そういう病気を持ちながら、長い間歩いたり、馬の背に乗って揺られたりしたのはさぞや大変だっただろうと思う。(普通そういう人は未開発地の踏破なんて考えないでしょう)でもまあ、食事だとか蚊についての愚痴が多いこと。

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    2019年03月19日