イザベラ・バードのレビュー一覧

  • 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

    明治初期に日本の奥地ー東北地方から北海道にかけてを旅した英国夫人の紀行文。
    自然に対する詩的な表現はいかにも英国人らしく、興味津々に土着文化のなかにわけいっていくバードの筆致はとても楽しいのだけれど、ここでも映画『サーミの血』を思い出す。
    イザベラ・バードと現代人の自分では当然ながら受けてきた教育、歴史への反省に差があって、自分に元気がないとその差を時代の違いだと飲み込めないので読み進みめるのになかなか時間がかかった。
    しかし彼女は当時の英国上流階級の女性の常識の範囲内で精一杯異俗への理解と愛情を示している。つまり、当時のヨーロッパ知識階級の人びとの思考として捉えてもよいのだろうな。
    色々とし手厳しい意見も多いがアイヌのイヨマンテ(熊送り)の儀式についても言及があり、わたしはイヨマンテの記録映像はとても見ていられなかったのだけど、それをバードは熊信仰の儀式としてたんたんと記録している点でも信仰自体については(その信仰を未熟とか言っていても)敬意を払う人であったことがわかる。
    とりあえず宮本常一の解説本が次に控えているので未消化のままにしておく。

    0
    2020年08月09日
  • 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

    やっと、読み終わった。
    へえ、などと思ったところは多い。
    それを一つ一つあげるのはきりがないので…。

    どこでも蚤に悩まされたこと、日本人も、あいぬの人たちも、子どもをいかに愛していたか。
    バードがこうしたことを書いていたという話は、本書を読む前から聞いたことがあった。

    蚤の話は、本州の山奥も、北海道も同様。
    絶滅したわけではないと思うが、現在は普通に暮らしていれば、蚤なんて無縁だ。
    進駐軍の撒いたDDTは、そんなに強力だったのか?

    この本の旅をしたときにバードは、すでに四十代後半。
    伊藤というガイドを雇ったとはいえ、たった一人で旅をしたと負うことに驚かされる。

    それにしても、いったいどういう人なのだろう。
    北海道では、アイヌの村に逗留し、彼らの身長を測り、言葉を採取し、道具を買い上げる。
    人類学者?
    現代人の感覚だと、普通の旅行者がすることではない。

    自然の描写が美しい。
    米沢、礼文華のところが特にすばらしい。
    それから、やはりアイヌの文化についての記述は面白かった。
    義経がアイヌに文字や法を伝えたという言い伝えがあることや、熊への信仰、蛇を忌み恐れることなど。
    礼儀正しく、優雅とも書かれ、その一方で未開とも書かれる。
    どんな人たちだったのだろうと惹きつけられる。

    本当は、伊勢まで行ったところまで記事があったとか。
    そのせいか、彼女が東京に戻り、桐ケ谷斎場を訪れたところで、ぷっつり切れた感じで終わっている。
    桐ケ谷といえば、学生時代毎日のように通りかかっていただけに、ちょっとした感慨がある。
    今や街中になってしまっているあそこが、明治半ばは火葬場があるほど郊外だったんだと、改めて気づく。

    0
    2020年04月16日
  • 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

    今から150年ほど前に書かれた本。日本を酷評している表現も褒めている表現もあって、本当にナチュラルに自分たちの方が優れているという価値観を持った人の素直な手記。アイヌは欧米人に顔立ちが似ていて、美しい‥とよく書かれているのには苦笑。

    当時の日本の田舎の暮らしがしれて面白い。食事は米ときゅうり、卵、たまに黒豆という質素なものばかり‥馬を借りながら道無き道を進む。蚤がすごく大変そう、油紙の防水なんて全然役立たなさそう‥大雨で橋が抜けた描写あるが、道の整備や治水は向かうこんなもんだったのね。

    0
    2020年04月06日
  • 完訳 日本奥地紀行 2

    Posted by ブクログ

    先日、秋田全地域を1週間かけて廻り、得た感想は「日本昔ばなしの世界」ということ。言い過ぎかとも思うが、どうしてもその思いは離れず、であれば、本当の昔はどうだったんだろうと思い、以前挫折したイザベラバードの日本奥地紀行の東北エリア版を読んでみた。1800年代の東北地方について、細かく、風景、風俗、風習を若干の差別意識とそれ以上の感動を元に北海道に渡るまでを書き留めている。リアリティのある描写は目の前にバードが見ている景色を想像させ、当時の苦難の道のりを一緒に旅している気分にさせるいい本。肝心の秋田は意外に都会であった部分もあり驚く。このままの勢いで北海道編も読破したい。それにしてもあまりに過酷な旅のようで、このバードという人のタフさに感心する。現代のバックパッカーとか話にならない、鉄腕ディーヴァ。

    0
    2018年05月31日
  • イザベラ・バードの日本紀行(上)

    Posted by ブクログ

    明治初期に日本に来た英国女性探検家の紀行文。ネット上で書かれていたので読んでみたが、比較的冷静な書き方をされていて好感が持てた。この時代(明治初期)の田舎暮らしの非衛生的な部分、その一方で女性一人で旅しても全く危険がなかったという点、特にスリ・かっぱらい・置き引きなどが全くなかったといって驚いていた点は非常に興味深かった。暮らしが貧しくても人のものをとろうとしない当時の日本人の精神性の高さがにじみ出ていた。でも唯一の欠点は翻訳者のせいなのか冗長な部分が多く読むのに骨が折れた。もっとすらすらと読み解く事ができたら星5だった。

    0
    2016年03月12日
  • 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

     1878年、明治維新後のまだ西欧の影響をほとんど受けていない日本の奥地を旅した英国の中年婦人がつぶさに書きとめた旅行記。
     全体にいかにも西洋人が東洋人を見下すような、いわゆる「上から目線」が感じられるが、彼女の観察眼はなかなか鋭い。とても詳細なことまで記録している。そういう意味では当時の日本を知ることができるとても良い文献と言えるそうだ。

     例えば、「西洋人が珍しくすぐに人だかりができるが、彼らから迷惑をかけられることはなかった」「無礼や侮辱にあったりお金を強請られることは一度もなかった」「法外な料金を請求されることもなかった」と言い、日本人の礼儀正しさに驚嘆している。

     また、「日本人はとても子どもを大事にする。これほど子どもを大切に扱う民族を見たことがない」と言いながら、一方で「日本人は子どもに対して全く強い愛情をもっているが、ヨーロッパの子どもが彼らとあまり一緒にいることは良くないことだと思う。彼らは風儀を乱し、嘘をつくことを教えるからだ」とはどういうことだ。これはあまりに偏見である。

     良いと思ったことは率直に褒めている。さらには英国人も見習うべきだと提案さえしている。読者は英国を中心にヨーロッパを想定しているだろうが、そのことも充分に意識してか興味をそそるような書きぶりだ。

     ただ、馬に関してはミソクソである。さすがに馬の先進国からおいでになっただけあって、日本の馬の質の悪さといったらない。なにしろ始めから「駄馬」呼ばわりだ。どうして日本の馬は言うことをきかないのか、考察を加えているところはさすがである。(仏教国である日本では動物を虐待しないので馬が言うことをきかないらしい)

     旅の後半では彼女はヨーロッパ人には会いたくないと言っており、だいぶ日本を気に入った様子が見える。ただ三味線や琴の音が雑音にしか聞こえなかったのは非常に残念である。

    0
    2014年04月05日
  • 完訳 日本奥地紀行 2

    Posted by ブクログ

    注釈をきちんとひろって読むのも結構重要かも。
    初読の時は、単に地域格差が大きいという印象で終わっていたが
    戊辰戦争で痛めつけられた土地で回復していない場所もあったんだ
    と今回気付いた。
    あと、今でも田舎ではありがちなんだけど、既に居住していない人の
    名前も表札に残っている場合がある事。
    これ表面だけみてると凄い大家族のように見えるんだよね(苦笑)
    この本だけでも面白いけど、関連書も読むとまた違った風景が見えてくる。

    0
    2014年01月04日
  • 新訳 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

    面白かった。とても。
    ただ、著者が当時の価値観(西洋人としての常識)を基準に
    当時の日本の在り様を見てる、というフィルター部分を忘れず
    この本を読むべきかな?とも思った。当然か。
    今の日本の無宗教さと、この本でいっている無宗教さはちょっと違うでしょ。
    見えているのに見ていないな(感じないんだな)と思える部分もあり…。
    でも面白かった。うん。他の関連書も読んでみようと思う。

    0
    2013年12月06日
  • 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

    明治11年(1978)6月~9月の3か月間、健康回復手段として医師から海外旅行を進められた著者が日本、それも東北、北海道を廻ったときの紀行文。

    今まで、幕末、明治以降日本に訪れた外国人の手記は色々読んだが、これほど正直なものは珍しい。日本の不衛生さ、プライバシーのなさ、日本人の狡猾さなど、著者は辟易している。

    日本人よりもアイヌの人の純粋さ、高潔さを高く評価しているのも読み取れる。

    ああ、日本はダニが多くて、皮膚病が蔓延していて、役人は当時から使えなかったのねって分かる。

    0
    2013年10月07日
  • 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

    JALの機内誌で紹介されていたことがあり、興味はあったのだが、
    それからだいぶ経ってしまった。

    明治11年の夏、47歳の筆者は
    横浜から、東京、粕壁(春日部)、栃木、宇都宮、今市、日光・・・
    新潟、米沢、秋田、弘前、青森そして、蝦夷へ。
    函館、室蘭、紋別・・・別とはアイヌ語で川。
    伊藤という18歳の通訳の少年を連れて。

    所持した荷物が簡易ベッド、ゴム製バスタブ、蚊帳・・・と驚くが、
    当時は蚤と蚊だらけの不潔な宿ばかり。
    襖と障子の部屋にプライバシーはナシ。障子のたくさんの穴の向こうに目が。
    外人をひと目みたいと、見物人が数百人集まってしまう。

    当時の暮らしぶりがよく記述されている。
    地方の農家では夏は男女とも上半身裸で、
    女性は明治になっても、子どもが生まれるとお歯黒し眉をそる。
    そのため20歳は年寄りに見える。
    かなりの酷評をされる一方、治安の良さと親切さには感銘を受ける。

    後に金谷ホテルを創業する金谷さんの金谷カッテージ・イン。
    きれい過ぎて落ち着かないほど。
    東照宮とその周囲の杉並木の立派さに感銘を受けた日光。
    桃源郷だと最高の評価をされている米沢。
    天候以外は文明化された町が気にいった様子の新潟。
    ヨーロッパの要素がないにもかかわらず、貧乏臭さのない久保田(秋田市)。

    もっとも詳しいのが、原住民アイヌの描写。
    野蛮人だが、正直で、人をだますことなしない。
    日本人と全く異なるきれいな顔立ち。住居。
    日本人以上に、子どもを大切にする。驚くことにほとんど病人がいない。
    しかし、彼らは酒のみが楽しみで、収入のほとんどをそれに使ってしまう。
    風呂に入ったり、髪を洗うこともしない。
    トリカブトの毒矢で熊を殺して食べる。

    日本人の食事は米と味噌汁、豆の煮物、卵、塩魚くらい。
    牛乳は子牛のためのものであって、それを飲むなど卑しいこと。
    緑茶はスコットランド人にも非常に香りがよいとされた。

    三味線や琴は雑音にしか聞こえなかったようだ。

    0
    2022年03月21日
  • イザベラ・バードの日本紀行(上)

    Posted by ブクログ

    1878年にイギリス人女性が日本を旅したときの記録(手紙)をまとめたもの。
    日本人の知らない日本がそこにあるから、この時代のことを知らない方が楽しめるかな。
    けど物が物なので読むのが結構辛くなるかもしれない。(改行が全く無く、びっちりしているため)
    なのでチマチマと読んでタイムスリップ感を楽しむのがいいように思う。
    当時の日本人には今みたいな清潔感の概念がないんだーとか。
    プライバシーがこれっぽちもないとか。
    食事とか。その他色々。
    どうやらイザベラ・バードさんは沢庵と味噌汁が嫌いな様子。

    0
    2012年07月04日
  • 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

    読み終わって、僕が知っていた明治時代の印象が大きく変わりました。外圧や災害で時代が激しく揺れ動いている今、外からの視点がとても大事だということを改めて思い知ったように思います。当時の中央が外国人に見せたくなかった現実が生々しく描写されていて、貧乏と清貧を混同して語ってはいけないなと改めて痛感しました。
    それにしてもイザベラバードの旅好きから高じたタフさ加減には脱帽。あの時代にあのルートを外国人女性が愉しみながら旅してたなんて、やっぱりイギリスは先進国だったんだなーとしみじみと思いました。

    0
    2012年03月24日
  • 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

    民俗学では欠かせないアイテムのこの本。江戸時代に英国夫人であるイザ・ベラ・バードが一人で東北地方へ旅をし、(海外からの)客観的に見た当時の日本を知るなら持ってこいの一冊。
    人文学科、コミュニケーション文化学科の人は見ておくべき!?

    生協学生委員会お勧めの書籍です。

    0
    2012年03月18日
  • イザベラ・バードの日本紀行(上)

    Posted by ブクログ

    明治初期の日本の風土を読み取れる貴重な資料。金谷ホテルの前身の金谷邸の記述が興味深い。
    また、先進国の女性から見た未開の土地の評価とすれば、かなり好意的に日本を見てくれていると考えられる。ここから一世紀と少しで現代の日本があると思うと、やはりちょっとした奇跡のように感じられる。

    0
    2012年01月10日
  • イザベラ・バードの日本紀行(下)

    Posted by ブクログ

    後半は北海道と、観光地。
    上巻ほどわくわくはしないけど、人間性溢れる筆致は健在ですので安心して読めました。

    0
    2011年07月09日
  • 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

    山形県金山町は、イザベラバードに絶賛された町ですというのを前面に押し出していて碑まであるので、どんな紀行だろうと読んでみました。ほぼ愚痴、そして後進国で不衛生というのが前面に出されていてイギリスでブームを起こしたのもなんだかなぁと。肝心な金山町は半ページほど。三角の木(金山杉)が生えて、ロマンチックな町と記載があるのみ。あとは虫刺されで酷い思いをした事がつらつらと。そっちの方がメイン。皮膚病、脚気、蚊やネズミ、ご飯が酷い そんなことばかりで読んでいてつまらない。ああ、あの道を通ったんだなと頭の中で地図を思い描く。ただそれだけ。
    新潟が太平洋側と比べると不愉快な気候。というのは納得だし昔からそうなんだなぁと思った。
    途中で「空気がうまかった」と書かれている箇所があり、訳が男性故にここだけ読む時に引っかかり変に目を引いた。

    0
    2026年08月19日
  • イザベラ・バードの日本紀行(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    劇場は最初の演劇が草地で催されたところから、芝居屋と呼ばれます。日本の演劇の原点は、他のおおかたの国と同じように、宗教的なもので、その第一の目的は神神の怒りを沈めることにありました
    日光とは太陽の輝きと言う意味で、その美しさは詩歌に詠まれ絵画に描かれて日本全国に知れ渡っています。山々は1年の大半を雪にすっぽりと、あるいはまだらに覆われ、神として崇められるその王者たる男体山を中心に、大連山を形成しています
    汝あまねく世に出でて神のあらゆる創造物に福音を説け
    宗教能力は日本人の天性から失われてしまったようだ

    0
    2021年06月08日
  • 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

    明治時代の女性海外僻地ひとり旅!外国の人から見た日本の人や風景が、少し難解でショック。
    しかしスゴイパワーだなぁ。

    0
    2019年04月11日
  • 日本奥地紀行

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    明治11年(1878)に初来日し日本の奥地(外国人がまだ踏み入れていない地域)を歩きたいというイギリス人女性イザベラ・バード(当時43歳)が北日本・北海道を日本人の通訳兼世話人伊藤を伴っての旅行記。彼女は脊髄彎曲症で健康回復のために旅行に出たとのことだが、そういう病気を持ちながら、長い間歩いたり、馬の背に乗って揺られたりしたのはさぞや大変だっただろうと思う。(普通そういう人は未開発地の踏破なんて考えないでしょう)でもまあ、食事だとか蚊についての愚痴が多いこと。

    0
    2019年03月19日
  • イザベラ・バードのハワイ紀行

    Posted by ブクログ

    自然観察の比重が高く現地の風俗に関するものは以外に少なく感じる。イザベラをより驚かせたのは自然の方だったということなのだろう。

    0
    2018年11月28日