イザベラ・バードのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
明治10年の著書だから、およそ130年ほど前か。
当時のイギリス人から見た日本人の姿、そしてアイヌ人の姿が生々しく見えて興味深かった。
特段目を引くのは、形容詞である。
最初は、その対象のビジュアルを表現する形容詞と、形容された対象に対して著者が抱く感情を表現する形容詞のギャップから、訳者の直訳によるものなのかと勘ぐるほどだったが、読み進めるうちにこの感覚こそがイギリス的なのかもしれない、と思った。
また、アイヌ人を表現する「音楽的な声」という表現がとても印象に残った。
アイヌ語がわからないが故にそう感じたのかもしれないが、著者の細やかな観察眼から推測するに決してそれだけではなく、本当に声 -
Posted by ブクログ
明治初期に日本の奥地ー東北地方から北海道にかけてを旅した英国夫人の紀行文。
自然に対する詩的な表現はいかにも英国人らしく、興味津々に土着文化のなかにわけいっていくバードの筆致はとても楽しいのだけれど、ここでも映画『サーミの血』を思い出す。
イザベラ・バードと現代人の自分では当然ながら受けてきた教育、歴史への反省に差があって、自分に元気がないとその差を時代の違いだと飲み込めないので読み進みめるのになかなか時間がかかった。
しかし彼女は当時の英国上流階級の女性の常識の範囲内で精一杯異俗への理解と愛情を示している。つまり、当時のヨーロッパ知識階級の人びとの思考として捉えてもよいのだろうな。
色々とし -
Posted by ブクログ
やっと、読み終わった。
へえ、などと思ったところは多い。
それを一つ一つあげるのはきりがないので…。
どこでも蚤に悩まされたこと、日本人も、あいぬの人たちも、子どもをいかに愛していたか。
バードがこうしたことを書いていたという話は、本書を読む前から聞いたことがあった。
蚤の話は、本州の山奥も、北海道も同様。
絶滅したわけではないと思うが、現在は普通に暮らしていれば、蚤なんて無縁だ。
進駐軍の撒いたDDTは、そんなに強力だったのか?
この本の旅をしたときにバードは、すでに四十代後半。
伊藤というガイドを雇ったとはいえ、たった一人で旅をしたと負うことに驚かされる。
それにしても、いったいど -
Posted by ブクログ
先日、秋田全地域を1週間かけて廻り、得た感想は「日本昔ばなしの世界」ということ。言い過ぎかとも思うが、どうしてもその思いは離れず、であれば、本当の昔はどうだったんだろうと思い、以前挫折したイザベラバードの日本奥地紀行の東北エリア版を読んでみた。1800年代の東北地方について、細かく、風景、風俗、風習を若干の差別意識とそれ以上の感動を元に北海道に渡るまでを書き留めている。リアリティのある描写は目の前にバードが見ている景色を想像させ、当時の苦難の道のりを一緒に旅している気分にさせるいい本。肝心の秋田は意外に都会であった部分もあり驚く。このままの勢いで北海道編も読破したい。それにしてもあまりに過酷な
-
Posted by ブクログ
1878年、明治維新後のまだ西欧の影響をほとんど受けていない日本の奥地を旅した英国の中年婦人がつぶさに書きとめた旅行記。
全体にいかにも西洋人が東洋人を見下すような、いわゆる「上から目線」が感じられるが、彼女の観察眼はなかなか鋭い。とても詳細なことまで記録している。そういう意味では当時の日本を知ることができるとても良い文献と言えるそうだ。
例えば、「西洋人が珍しくすぐに人だかりができるが、彼らから迷惑をかけられることはなかった」「無礼や侮辱にあったりお金を強請られることは一度もなかった」「法外な料金を請求されることもなかった」と言い、日本人の礼儀正しさに驚嘆している。
また、「日本 -
Posted by ブクログ
JALの機内誌で紹介されていたことがあり、興味はあったのだが、
それからだいぶ経ってしまった。
明治11年の夏、47歳の筆者は
横浜から、東京、粕壁(春日部)、栃木、宇都宮、今市、日光・・・
新潟、米沢、秋田、弘前、青森そして、蝦夷へ。
函館、室蘭、紋別・・・別とはアイヌ語で川。
伊藤という18歳の通訳の少年を連れて。
所持した荷物が簡易ベッド、ゴム製バスタブ、蚊帳・・・と驚くが、
当時は蚤と蚊だらけの不潔な宿ばかり。
襖と障子の部屋にプライバシーはナシ。障子のたくさんの穴の向こうに目が。
外人をひと目みたいと、見物人が数百人集まってしまう。
当時の暮らしぶりがよく記述されている。
地方 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
文明開化期の日本…。
イザベラは北へ旅立つ。
本当の日本を求めて。
東京から北海道まで、美しい自然のなかの貧しい農村、アイヌの生活など、明治初期の日本を浮き彫りにした旅の記録。
[ 目次 ]
初めて見る日本
富士山の姿
日本の小船
人力車
見苦しい乗車
紙幣
日本旅行の欠点
サー・ハリー・パークス
「大使の乗り物」
車引き〔ほか〕
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)