【感想・ネタバレ】イザベラ・バードの日本紀行(下)のレビュー

あらすじ

北海道へ到達したバードは、函館を起点に道内を巡行、当地の自然を楽しみ、アイヌの人々と親しく接してその文化をつぶさに観察した。帰京後、バードは一転、西へと向かい、京都、伊勢神宮、大津等を巡って、日本の伝統文化とも触れ合う。発展途上の北海道と歴史に彩られた関西・・そこで目にした諸諸に、時に賛嘆、時には批判、縦横に綴った名紀行。

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Posted by ブクログ

個人的な興味の有無も影響しているかと思いますが、蝦夷の話のあたりは上巻に比べて読みが進まなかった印象です。
京都や伊勢あたりからまた読みやすくなりました。

筆者はこの紀行文を通して、日本が西洋の文化を取り入れる時に、西洋文化の根っこにあるキリスト教を理解しないで取り入れようとする事や、逆に日本の文化を無視してまで西洋文化を取り入れる事に警鐘をならしていると思いました。

日本だけでなく当時の西洋に対して劣っているとされた文化が消えゆく定めであると言う事は、世界的な冒険家だった筆者には十分に理解できていたと思いますし、そう言った観点からもこの紀行文を残したのでしょうか?

日本人が明治維新を迎えた時点ですでに無神論者で物質主義者であると言う点は我々日本人を理解する際の一つの視点となりそうです。

日本人の根っこに筆者が無いと警告したような何かを持つ事が出来たとしたら、我々日本人は今と違った日本人に変わる事ができたのか?はとても興味がある点です。

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2025年05月15日

Posted by ブクログ

下巻の前半は蝦夷地だが、アイヌとの交流が中心となる。イザベラはアイヌの人々をいたく気に入っていることがわかる。そして、一旦横浜に戻り、京都や伊勢神宮、大津へ行く。日本語のできるギューリック夫人と2人で行く伊勢神宮。イザベラの楽しい気分が伝わってくる。しかし蝦夷地が一番楽しかったのではなかろうか。後半では日本にも慣れてきてどちらかと言うと、政治的、宗教的、国の発展に関する感想意見が増えてくる。蝦夷地に随行した伊藤がいなかったのも大きいか。そして紀行文のラストでイザベラが日本を離れる時の気持が少しわかる気がした。彼女が当時後ろ髪を引かれながら日本を発ったように、淋しさを感じながら本を閉じる。

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2022年05月25日

Posted by ブクログ

イザベラ・バード女史はスコットランド人であり、プロテスタントの信者であり、かつ19世紀の婦人である。
決して、現代の基準で判断してはいけない。
つまり、当時の白人女性の視点からすると、かなり公平に判断しようとしている事がうかがえる。
それでも、相当のフィルタが入っているわけですが……。

下巻は主に蝦夷地の冒険と、その後訪れた京都や奈良、伊勢大神宮について述べられている。
女史はかなりアイヌに関心を持っていたらしい。
日本人の開拓地より長い時間をアイヌの村で過ごしているように見える。
彼女がつぶさに、そして間近に見たアイヌの生活記録はとても貴重なものだと思う。

また、京都や奈良は、東北に比べれば当然色々とインフラは整備されているし、今もそうであるように、風景の美しさは女史を魅了したようだ。
また、ここも興味深いのだが、本願寺を訪ね、英語の話せる僧侶と長い時間興味深い時を過ごした。
この時代に、伊勢大神宮を訪れたという事も、面白い。

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2018年03月23日

Posted by ブクログ

とても興味深い記録。
読む価値がある。

キリスト教徒のイギリス女性の見方ということも設定条件のひとつとして読めば感情的になることもなく面白い。

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2015年12月18日

Posted by ブクログ

購入書店:Reader Store; 読書環境:Reader PRS-T2; コンテンツ形式:.book

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2012年09月27日

Posted by ブクログ

多和田葉子の本に出てきたので。
東北は雨ばかり。アイヌの記述は興味深い。
形容詞の使い方が直截的。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

前半部分は、蝦夷への旅。

気候も、本州を旅していた時ほど雨にたたられなかったためか、北海道はかなりバードさんの好みに合っていたようです。
旅自体は、相変わらず、危険を伴う部分があったり、困難だったりする部分もあったけれど、風景を愉しむ描写が、かなりあります。
バードさん、植物の種類にも詳しく、地形や地質についての知識もあるようです。

蝦夷では主に、アイヌとの触れ合いについて、描いています。
私のもっていたアイヌのイメージは、自然の中で自然に生かされ、神を感じながら生きる、力強い人々というモノでしたが、少し違うようでした。
未開人で、発展というようなことは考えず、穏和である、お酒を飲む事を無上の歓びとする、人々。
おおむね好意的に描かれているものの、バードさんとしては、なにかもどかしいような思いがあるような気がしました。


後半は、東京での滞在や、京都、伊勢への旅などの描写です。
東北地方の旅とずいぶんと違い、私たちの思う明治初期の日本はこんな感じではないでしょうか。

キリスト教の布教についても、バードさんにはいろいろと思うところがありました。
日本の宗教観は、結局この頃から変わっていないのですね。
ある部分では迷信深く、かといって熱心な神道または仏教の信徒でもなく。
それはそれで、他に押しつけないという部分では特に、良いのかなと思います。


この変化の大きい時代の日本を切りとって見せてくれたということでは、非常に興味深い読み物でした。

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2024年10月01日

Posted by ブクログ

下巻で印象的だったのはアイヌと仏教についての視察や考察。イザベラ・バードは蝦夷地に辿り着き、アイヌとも触れ合う。アイヌへの印象は悪くなかったようだ。

ー 「多毛のアイヌ」と呼ばれてきたこの未開人は、鈍くて、温和で、気立てがよくて、従順である。日本人とはまったく異なった民族である。肌の色はスペインやイタリア南部の人々に似ており、顔の表情や礼儀・好意の表し方は東洋的というよりむしろ西洋的である。背こえ高くないとしても、日本人よりずっと肩幅が広くてどっしりとした体格をしており、髪は水黒で、非常に柔らかく、頭にふさふさと生えてたれていて、くせ毛はときおり見られるが、巻毛の性質はまったく示していない。あごひげ、口ひげ、眉は非常に濃くてたっぷりして、胸や四肢にも剛毛が濃く生えているのがよく見られる。首は短く、額は高くて広く、どっしりしており、県は幅広で平たい傾向にある。口は幅広でよい形をしており、目と眉はまっすぐでがはっきりしている。言語はとても単純である。文字、文献は残していない。

また仏教だが、そもそも彼女にはキリスト教布教のための調査目的があったとも言われていて、日本人のキリスト教観に対しては、辛辣である。

ー キリスト教に反対する間接的な影響があるのは疑いありませんが、黙認が政府の処世法であるのは明白で、キリスト教徒であることを公言しても公職に就けなくなることはありません。よって、海軍士官学校予科の校長は精力的なキリスト教徒で、三田学校の教頭も同様です。わたしはほかに国家信仰を放棄しても一時的な失職にならなかった人の話を聞いたことがある。

ー キリスト教を受け入れる機は熟していない。

ー 多くの男女の永年をかけた骨折りが実を結び、一六一七人の日本人をプロテスタントへ改宗させ、一方ローマ・カトリックは二万人、ギリシャ正教は三〇〇〇人をそれぞれ改宗させたとしており、またキリスト数の真髄は多くの地方に広く普及してはいるものの、3400万の日本人が無神論者または物質主義者であるか、あるいは宗教的な意義などかつてあったとしてもすでに失われている、子供じみてくだらない迷信に完全にのめり込んでいるという事実は残ります。

やはり「上から目線」であるが、当時の西洋人からすると仕方ないのだろうか。いずれにしても、興味深く読めた。

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2024年07月26日

Posted by ブクログ

蝦夷を旅し、東京に戻る。京都を旅し、伊勢神宮へ。京都へ戻り、大阪へ。神戸に寄って東京に戻る。
そして帰国

アイヌ民族を見つめる眼差しは、個人的な印象を含めて公平というかフラットな感じを受ける。観察者の目という気がする。思い出すのは「ゴールデンカムイ」、本筋は別のところにあるのだけれど、背景に描かれるアイヌの生活や彼らとの関わりが面白い。

宗教面やこの後の日本の進路などの考察にうなずけるところが多々ある。今は少しは良くなっていると思えるところもあるし、変わってないねぇと思うところもある。
ある国のやり方が全部素晴らしいって言うことはあり得ないと思っているので、良い所は取り入れて見たら?という感じで変わっていくのはどうかな。

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2021年07月09日

Posted by ブクログ

後半は北海道と、観光地。
上巻ほどわくわくはしないけど、人間性溢れる筆致は健在ですので安心して読めました。

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2011年07月09日

Posted by ブクログ

イザベラ・バードの日本紀行 下 イザベラ・バード
下巻は蝦夷探訪と関西方面への旅路。
関西パートはわりと退屈で、後に出た短縮版で削除されたのも頷ける。
いっぽう、蝦夷パートはとてもおもしろい。アイヌの村を訪れ、滞在し、アイヌ人と交流した様が、いきいきと描かれる。そしてそれは、今となってはおそらく失われてしまった文化の貴重な記録でもある。
それにしても、バードさんの情報収集能力はちょっと驚異的だとおもう。単に見聞きした内容だけでも相当な記述だけど、それに加えて文化、政治、経済、風俗と全方位的にたいへんな量の情報を盛り込んでいる。たかだか数ヶ月の旅でここまで日本を知ることができるのかと。その意味で、ただの紀行文とは一線を画した作品だと思う。
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2016年03月28日

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