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1878年、横浜に上陸した英国人女性イザベラ・バードは、日本での旅行の皮切りに、欧米人に未踏の内陸ルートによる東京―函館間の旅を敢行する。苦難に満ちた旅の折々に、彼女は自らの見聞や日本の印象を故国の妹に書き送った。世界を廻った大旅行家の冷徹な眼を通じ、維新後間もない東北・北海道の文化・習俗・自然等を活写した日本北方紀行。
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Posted by ブクログ
江戸から明治の近代に移り行く日本の様子が非常に細かく描写されていることも面白いが、作者なりの日本人観が面白い。 良いか悪いかは別にして、今の日本人にも当てはまる部分は多い。 ・信条としての物質主義、宗教に対して無関心、それにも関わらず迷信は信じている。 ・親切で勤勉だが誠実でも純粋でもない。 ・...続きを読む日本全体の均質性。気候や植生や方言は違えど、建物や植物の栽培方法は変わらずまた社会を取りまとめている礼儀作法は都会も田舎も同じ。 ・重大な事を話しているようでどうでも良いことを話しており、むしろ政治や宗教の話しはタブーで、芸術や文化は興味の対象ですらない。
1870年代の明治維新が起こり、日本は西洋化を目指して劇的に変化してころ。 英国人女性の著者が横浜から北関東・東北地方を陸路で移動して北海道までを目指す旅を行うことを決意する。 当時、北日本を縦断する旅をする外国人は希少で、ましてや女性にとっては初めての試みであった。 周囲の友人から励ましと引き止め...続きを読むの両方を受けながらバードは1人の日本人青年を通訳として旅に出た。 本書は実の妹への手紙をまとめた形で発刊されている。 よって、中身は本音そのものでリップサービスはなく、良いものは称賛し、不快なものは厳しく批判している。 現代の日本人が読んでも、当時の地方の様子と現地住人が初めて外国人と邂逅した様子が見えて面白い。 興味深いのは今でも美徳とされる 安全さ、伝統建築・文化、人々の礼節 は当時から称賛されていたこと。 これからも大事に守っていきたいものである。
明治初期の日本を旅した英国人女性の紀行文。 ガイドがいたとはいえ、未開の地日本を女性1人で旅するなんて危険極まりなく、尋常ではない好奇心の持ち主だと思います。 この人は朝鮮も紀行しています。 上流階級と下層階級が同じ国民とは思えない、車夫でもお金を誤魔化したりしない、北海道のアイヌのこと、など当時の...続きを読む日本を知るうえでとても興味深い。
著者の視点を通して、古き日本を巡るタイムトリップができる。こんな貴重な資料が読めるなんて感激だ。また、小難しい単語も少なく読みやすい。イギリス人女性の日本一人旅(通訳の従者はいた)。 1878年、明治時代の日本の田舎と東京。人口は34,358,404人。東洋的壮麗さの枠から外れている。彩色や金箔は...続きを読む寺社でしか見られないし、宮殿も一般住宅も灰色の木材を使っている点で同じ。くすんだ青、茶色、灰色が通常用いられる衣服の色。何もかもが貧弱で迫力がなく、どの町も単調で地味。 飯が不味い。顔も不細工。男は褌だけ。外国人を見た事がないので見物に群がり遠慮がない。寝床には蚤、蚊も多くてやってられない。男尊女卑が酷い。しかし、内陸の人々は、野蛮人とは程遠く、親切で優しくて礼儀正しい。外国人の女性が無礼な扱いや強奪行為には、ただの1度も遭わずに済んだ。極めて公平な目線で好感がもてる。 ー 顔立ちもよくて健康そうな娘たちはじきにやつれてうつろな表情の中年女へと変身していきますが、これは歯を黒く染め、眉を剃ってしまうせいです。この習慣は婚約につづいてなされない場合でも、第一子誕生とともに行われます。ほかの家では女性たちがお化粧中で、畳の上に置いた折りたたみ式の鏡台の前で歯を黒く染めたり、腰まで着物をはだけて体を拭いています。朝、子供たちが学校にいるあいだ村はとても静かです。子供たちが戻ってくると少し活気づきますが、子供は遊んでいるときですらおとなしいのです。夕暮れに男たちが戻ってくると、活気が少々増します。お風呂で威勢よくお湯を使うばしゃっという音が聞こえ、そのあと男たちは幼い子供たちの遊びの相手をします。そのあいだ上の子供たちは単調な高いつぶやき声で本を読み上げ、あすの予習をするというわけです。 何だか日本だなぁと感じる。古き良き、そしてその文化的遺伝子が良くも悪くも自分にも継承されている事を自覚する。 唯一、著者がこだわるのはキリスト教だ。その布教可能性を再確認するための旅行という説もあるらしいが、下記は日本人のいい加減な宗教観への憤りがよく分かる。そして今でも日本人は宗教には、これも良くも悪くもいい加減なままだ。 ー 退出する前、わたしはどんな答が返ってくるかは承知の上で、宗教は教えているのですかと教頭に尋ねました。するとこのふたりの紳士はどちらも明らかに蔑みをこめた笑い声をあげました。「わたしたちは無宗教です。学識のある者ならみな宗教などいんちきであることは知っていますよ」と教頭が言いました。 破綻した宗教の虚構に基づいて創建された天皇の玉座、ばかにする人々から見せかけの敬意を受けている国教、知識階級のあいだで猛威をふるう無神論、下層階級にいばり散らす無知な聖職者、頂点にはみごとな独裁支配を、底辺には裸の労働者を持つ帝国、最も崇高な信条は露骨な物質主義であり、その目的は物質的な幸福です。キリスト教文明の成果を改善し、破壊し、建設し、横取りしています。しかしその果実を生んだ木はいらないと拒むこのような対比と矛盾がどこへ行ってもあるのです! 旅は続く。
ずっと昔の日本の姿が、外国人旅行家の女性の目線で書き記されている。 当時の日本という国、そこに生きる人たちに会いにいけたように感じた。 イザベラ・バードが描写する美しい景色がどんなものであったのか、それを同じように見てみたくて、彼女が訪れた場所に行ってみたくなった。 もちろん当時と今では全然違った景...続きを読む色ではあろうけれど、当時から残る建造物や森や川、そういった場所に立ち彼女と同じものを見た時に、「歴史」というものを感じられるだろうと思う。 過去も今も未来も、不変ではないけれどずっと繋がっているんだと。 これを読んでいる間はなんだかタイムスリップしたような、不思議でワクワクした気分になれた。
明治の初めに東京から北海道を旅したイギリス人女性イザベラバードの旅行記。上巻は日光、新潟、山形、秋田、青森まで。通訳に伊藤という若者を雇い人力車を使って北へ向かう。三谷幸喜ナビゲートのFMを聴いてから無性に読みたかった。我々は150年前の日本を知らない。我々の思考は寧ろイザベラに近い。これを読むと日...続きを読む本人ではなくイザベラの視点から当時の日本を知ることができる。西洋人の彼女から見た日本人の短所と長所、今の我々も知らない日本文化の特徴。いちいち面白いので意外と一気に上巻終了。
海外からの本帰国に伴う、2週間のホテル隔離中の読書4冊目。 上巻は東京を出て北上、青森までの道程。作者が可哀想だったのは、梅雨の時期でとにかく雨が多かったこと。その雨の中、馬で峠をこえ、川をわたり、時にはぬかるんだ道や増水した川に手を焼きながら進む。 一部翻訳のせいもあると思うが、作者のストレートな...続きを読む感想、批判が面白い。結構きつめのdisり笑。最先進国イギリスからやってきて、世界各地を旅してきた作者ならではか。今の日本人が発展途上のアジアの国を訪れたときに、同じような表現をしてしまうだろう、と思うと、腹も立たないし、こういうこと全てが旅の楽しさ。 作者が旅したのは1878年。今から150年くらい前か。わずか150年で未開の地だった日本は文明化し、いくつかの戦争を経て、高度経済成長、バブル崩壊、失われた○年と、目まぐるしい変化。当時の衛生状態は今から考えられないし、庶民の生活レベルも目も当てられないほど酷かった。 それでも日本人の気質はやはりいまと通じるものがあり、イギリス人作家の目を通じて驚きや発見がある。 ああ、10年ぶりに日本に帰国したんだから、早く国内旅行したい。コロナに打ち勝とう! 下巻は北海道函館からスタート。アイヌとの交流もあるみたい。楽しみ。
著者の考え方、感じ方につっこみどころが有る無しは別にして、彼女が明治の東北を旅したという事実に驚嘆した。 この人、すごいわ。 この本はその旅のまぎれもない記録であり、価値のあるものだと思う。 さあ、下巻に突入だ!
明治10年頃の日本を蝦夷地まで旅した英国女性の旅行記。白人優越主義・クリスチャン優越主義的な「上から目線」で日本の信仰や習俗を度々disるのには少しイライラさせられるが、それ以外の描写についてはかなり的確かつ客観的で、現在は失われたものも多い(また継続して現在に在ることも多い)往年の日本の風土・文化...続きを読むをわかりやすく輪切りにした良書。(手放)
購入書店:Reader Store; 読書環境:Reader PRS-T2; コンテンツ形式:.book
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