イザベラ・バードのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本紀行 上 イザベラ・バード
上巻は東京から東北縦断の旅。1878年というと大久保利通暗殺の年で(文中にも事件の言及がある)、そんな時代に外国人女性が東北を旅することの困難さは現代の感覚からは想像もできない。移動手段にしろ食料事情にしろ衛生状態にしろ、相当劣悪だったんだろう。
それにしても、イザベラ・バードの観察・描写の細かさ正確さには目を見張るものがある。日本に関する情報が圧倒的に少ないなかで、旅で見聞きした事ごとをこれだけ丹念に写し取れるのはすごい。19世紀の日本なんて現代日本人にとっても異世界なので、こうした異人による丹念な描写のおかげで当時の景色をイメージすることができる。
5 -
Posted by ブクログ
イザベラ・バードの日本紀行 下 イザベラ・バード
下巻は蝦夷探訪と関西方面への旅路。
関西パートはわりと退屈で、後に出た短縮版で削除されたのも頷ける。
いっぽう、蝦夷パートはとてもおもしろい。アイヌの村を訪れ、滞在し、アイヌ人と交流した様が、いきいきと描かれる。そしてそれは、今となってはおそらく失われてしまった文化の貴重な記録でもある。
それにしても、バードさんの情報収集能力はちょっと驚異的だとおもう。単に見聞きした内容だけでも相当な記述だけど、それに加えて文化、政治、経済、風俗と全方位的にたいへんな量の情報を盛り込んでいる。たかだか数ヶ月の旅でここまで日本を知ることができるのかと。その意味で -
Posted by ブクログ
明治初期、鉄道もなく整備された道さえない山間の農村集落を巡りながら、東北地方、蝦夷へ単身で旅をする。
今でさえ難しく感じるこの道のりを、言葉も不自由な外国の、しかも女性が成し遂げたという事実を、どれだけの人が知っているでしょうか。
「だだだ大丈夫!?」―最初の私の印象。
読み進めるほどに、イザベラさんのタフさに圧倒されます。
宿では大量の蚊や蚤と戦い、道では馬に落とされたり踏まれたり暴れられたり、川を泳いで渡ったり、首つりになりそうだったり。
そんな過酷な状況を面白がってるところがあっぱれ。
加えて、彼女のものを視る目の公平さに心を打たれます。
美しいものは美しい。
醜いものは醜い。
自然も -
Posted by ブクログ
スコットランド出身のイザベラ・バードの1878年(明治十一年)の6月から9月にかけての東北,北海道紀行の記録.交通機関は人力車と駄馬で,この馬にはそうとう困っていたようだ.
宿屋では外人女性を一目見ようと人々が群がり,プライバシーがなく,おまけに蚤,蚊,悪臭に始終つきまとわれている.さらに夜中の隣室の宴会によって,眠れないこともしばしばだったようだ.食事のひどさも相当だったらしく,肉への執着をしばしば口にしている.
多くの町はそのひどい様子をこき下ろされるのだが,山形県と秋田市(久保田)は非常にほめられているのが印象に残った.
(バードが通ったところで私がいちばん行ってみたいと思ったのは,青 -
Posted by ブクログ
1880年当時の日本を、スコットランド人女性の著者が、東京から北海道まで旅行した時の紀行文。これは、人に読まれることを前提としているよりも、まず自分自身の日記という意味あいのほうが強いので、言葉を飾ることなく、かなり素の感想が書かれていて、それが面白い。
著者のイザベラ・バードという人は、とても客観的な人で、日本のようにまだヨーロッパにとっては珍しい異国の紀行文を書くにはぴったりの性格だったと思う。あまりに率直すぎるのと、日本に対して後進国として蔑視しているような空気がいたるところに流れているので、毒舌すぎるところもある。
しかし、その目はどこまでも公平で、日本の良いところは素直に褒めていて