不二淑子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白かった~!!
『高慢と偏見』殺人事件というタイトルですが、実際にはオースティン・オールスターズ総出演です。
以前『高慢と偏見、そして殺人』を読んだとき、登場人物たちに違和感を覚えましたが、この作品はその不満をきっかけに書かれたということで、確かに人物造形に違和感はありませんでした。
『高慢と偏見、そして殺人』では容疑者となったウィッカムが、今回はみんなから憎まれて殺されます。
事件は『エマ』の主人公たちが開いたハウスパーティ(夏の休みに1カ月ほど滞在して上流階級の皆さまたちが親睦を深めるもの)に、呼ばれもしないウィッカムがやってくることから起きるのですが、そのパーティの招待客が、オースティンの作品に出てくるカップルまたはその子どもたち。
『高慢と偏見』のエリザベスの息子であるジョナサンと、『ノーサンガー・アビー』のキャサリンの娘であるジュリエット以外はみんな、ウィッカムに何がしかの弱みを握られていたり嫌悪を隠せなかったりしています。
ジョナサンとジュリエットだけはウィッカムに対してマイナス感情を持っていないので、二人は協力して犯人を捜すことにします。
というのも、この時代、何か不都合なことが起きると、階級の下のものに押し付けてお終いという解決法が取られることがままあり、それはフェアではないと若い二人(20歳と17歳)は思ったからです。
ところがこの時代、結婚していない男女がふたりだけで会話をしたり、手紙をやり取りすることがふしだらと思われてしまうので、無駄に苦労が多いのです。
階級の違う人同士の友情さえ異例なこととされる時代に、上流社会の社交ですから、何事もない風を装った裏で、皆が秘密を抱えています。
ところがジョナサンは空気が読めず、他人の感情に疎く、突発的な出来事に対応するのがとても苦手です。
そこをジュリエットが上手く補完していて、二人のコンビはとてもしっくりくるのです。
イギリスではなんと第4作まで出版される人気シリーズになったようですが、日本でも翻訳してもらえるでしょうか。
この作品を読んだら、猛烈にオースティンを再読したくなりました。
とりあえずアマプラで映画でも探してみようかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレジェーン・オースティンの名作「高慢と偏見」の二十二年後、ダーシー夫妻は長男と共にハウスパーティに招待される。そこにはオースティンの他の作品の登場人物たちも登場して〜という、ワクワク以外何ものでもない設定。十九世紀のイギリスの上流社会の人々の暮らしや作法や秩序、礼儀も盛り込まれていて優雅で楽しめる。しかも!殺人事件まで。これはもう読むしかない!
ただ、文章が高貴過ぎて現代を生きる私たちに貴族の皆様の勿体つけた感が、時として冗長だったけれど。
犯罪を犯罪としなかった貴族の皆さんにもハテナという思いもあったけれど高貴な方々なので……
若いジョナサンとジュリエットの未来を祈らずにはいられない。 -
Posted by ブクログ
同僚、友人、恋人、周囲の人間が自分を騙しているのか、自分がおかしいのか、何もかもが疑わしく思えて混乱するサラ。本文中にも度々「なんか怪しい、なんか怪しい、なんか怪しい」
「どうかしてる、どうかしてる、どうかしてる」との記述で、終始、サラと同じように不安を感じながら読み進める。一気読みだった!三部作らしいのに、次作が翻訳されてないとは、、、とほほほ泣
スウェーデンミステリーは社会問題が深く描かれているところが気に入っている。テーマは小児性愛者による人身売買。しかもバックには巨大な権力者たちによる組織がついている。長らく陰謀論と言われてきた、英国王室をも巻き込んだ一大スキャンダルも事実だった。フィクションにノンフィクションを織り交ぜながらのこの作品。どこまでが作者の推察なのか、、、明るみに出てない事実なのか、、、人間とは全く、愚かで恐ろしい生き物だ。 -
Posted by ブクログ
3月14日〜この円周率の日に数学教師アダムの焼死体が発見された。
第一発見者は、教え子のサルで近くに先生の車があったから…偶然見つけたと。
同僚の社会科教師ノラは、この不可解な死に疑念を抱きアダムのことを調べ始める。
寂れた町で起こった事件は、親や祖父母の代からの知り合いという濃密で小さなコミュニティであるが故に限られた登場人物ではある。
そのなかで謎の中心にいるのは、少年サルである。彼が大人たちを惹きつけるのは、観察力があり物静かで注意深く、賢さと共感力を持ち人の心の機微に敏いからだろう。
サルが見たものの全てが明らかになるが。
果たしてそれは…。
どうしてここまですることができるのだろうか。
ほんとうにサルのことを考えれば、彼に全てを委ねることはしなかったはずだと思うのだが。
大人の甘えや我儘さ、弱さを見せて苦しみから逃れたとは…
そこまで考えが及ばないほど苦悩していたのかと思うとそれを憎む。
この小説は、少年を中心にしながらも登場する大人たちはそれぞれに罪や後悔を抱えていて思い通りにいかない人生と小さな町に息苦しさを覚えながらも生きているというのが伝わる。
それを見ながら育った少年サルには、安らげる希望がある未来であってほしいと心から思う。
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Posted by ブクログ
幸せな未来を願わずにはいられない… 悪魔に取りつかれた大人と少年の物語 #円周率の日に先生は死んだ
■きっと読みたくなるレビュー
悪魔…人間を蝕む悪魔の恐ろしさが痛いほどわかる作品。
本作に登場する大人たちは、様々な悪魔に取りつかれ、自分自身を失ってしまいます。少しの運のなさやタイミングの悪さによって、最悪の事態を招いてしまう。それが周りにどんな不幸をもたらしてしまうのか…海の底よりも深い罪を、まじまじと見せつけられるのです。
ほんのちょっとの興味、苦しみからの逃げから始まる地獄への階段。なにより、どんなことよりも最優先になってしまう現実は本当に恐ろしかったです。
本作の一番の読みどころは、登場人物の厚い描写です。
読み手との距離感がめっちゃ近いんです。優しい言葉では心を洗われ、厳しい言葉では心臓を握りつぶされてしまいます。
本作の主人公である少年サルは、辛い環境にも関わらず、ひた向きに生き抜ぬいていく。誰よりも優しい心を持っていますが、経験や知識も脆弱で、自分勝手な大人たちに振り回されてばかり。弱さによって、時おり心にささやかれる悪魔の声が、さらに読み手を悲しくさせてしまう。
利益や価値観を最優先にする大人たちが酷すぎる。
自己管理ができず、責任の取り方を間違える。これもすべて悪魔の仕業なのか。依存というのはあまりにもおぞましい。ただ、彼らは人間の屑だと排除すれば解決するわけではない… どうすれば助けてあげられたのでしょうか。
そして本作の謎解き要素、先生の死の真相や起こった事実。あまりにも罪深くて読むに堪えない。人として最もやってはいけないことであり、怒りで頭がパンクしそうになりました。
少年の未来を応援したい。
豊富な想像力を持ち合わせた才能は、きっとたくさんの人を幸せにできる力がある。たくさん勉強して、友達を作って、健康に育ってほしいと願うばかりでした。
■きっと共感できる書評
人間は弱い生き物であるということが痛いほどよくわかります。
長い人生、失敗したり、辛い目にあったり、思い通りにいかないことばかりです。経験と知識によって善悪は理解しているつもりでも、「弱さ」によって身を滅ぼしてしまう。
ひとりでは太刀打ちできない時、まず人に助けをもとめること。そして来を見続けることに、解決する鍵があるのではないでしょうか。 -
Posted by ブクログ
映画を先に見てしまってたので、読んでいてシーンが画像となって読めたのは良かったかな。ただ、映画ではほんの一瞬の出来事のようで、実際にも短い時間だったらしいけど、人間の記憶って曖昧なんだなと思いましたね。そして彼ら3人の小さいころからの繋がりや、テロにあった旅行での不思議な引き寄せ?偶然?何でもない日常が突然とんでもない出来事に巻き込まれるんだって、これは他人ごとではないんでしょうね。日本も決して安全な国ではなくなっているから・・でも、そうなったとき自分は彼らのように立ち向かえるか・・無理だね。
事件後の彼らを取り巻く異常な光景は、どこの国も同じなんだと思いました。
メディアはいい加減だし、一般人の考えも随分身勝手でもあるし、なんでもない善良な市民が突然巻き込まれて事件で英雄扱いされて、考え方も日常も変わっていく。何もないことがどれだけ幸せなのかってつくづく思いましたわ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ★3.8くらい。メタミステリもの。ミステリ・イン・スリラーの構造で、オーストラリアのベストセラー作家ハンナが書くミステリの合間に、ボストン在住の作家志望レオとの、メールのやり取りが挟み込まれる。最初は友好的で協力的だったレオが、物語が進むにつれ、ストーリーに納得出来ずに言動があやしくなっていく。まるでミザリーみたいになるかと思いきや、あっさり捕まって終わってしまった。ちょっと拍子抜け。結局、ハンナが書いたストーリーに大きく影響を及ぼすこともなく、メタミステリの必然性はあまり感じられなかった。作中作の中のレオもただの良い人だったし。ただ作中作のミステリはなかなか面白かった。