あらすじ
ヘレンが隣家で見つけたガラスパイプは、麻薬密売に関する重要な証拠品だった。もし警察が隣家へ捜査に来てしまったら、バレてしまうかもしれない――かつての罪から逃れるためにヘレンという偽名を名乗っていることが。窮地を脱すべく彼女は策を練るのだが……
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Posted by ブクログ
はじめに想像していたのと全然違った。めちゃくちゃ面白かった。今と昔が交互に描かれる。しかもヒロインは70代の老婆。
ここに出てくるのは生きる価値さえないろくでもない男。昔の時代での男女の在り方や、男の都合よく育てられた女子の生き方が哀しいまでリアルに現される。作者も70代。人生を卓越したからこその作品。
Posted by ブクログ
シニア向け住宅街に住むラテン語教師のクレミー。
普段なら定期連絡のある隣人の安否を気遣い、預かっていたスペアキーで隣家の様子を探りに行くと、予想だにせず、さらにその隣家への秘密めいた通路が。
興味に抗えず進んでいくと大層なガラス細工を発見し、深く考えもせず又甥、又姪達へスマホで写真を共有。
ところが、このガラス細工は盗品かつ元の持ち主はカタギの人間でなく、麻薬取引に関わる犯罪者、しかも盗品はガラス細工だけでなく百万ドルの現金も。
どうやら隣家は麻薬取引の中継所として使われているようで、その利用者が盗品を匿っていた模様。
クレミーは期せずしてその秘密を日の下に晒してしまった。
又甥、又姪達もクレミーから送られてきた写真をこれまた何の気なしに拡散させてしまい、これが持ち主のボロバスクの目に留まり、執拗な追走を受ける展開に。
普通であれば警察に通報し~、という流れになるのだが、ここに一捻りあり、クレミーには警察沙汰にしたくない後ろ暗い事情が。。。
過去に自身に降りかかった災難と、その後始末ゆえ、現在は身分を偽り、”ヘレン”として生活しているのだ。
又甥、又姪らとはTELやSNSで繋がっているものの居場所も今の身分も知らせていない。
潔白とは言えない身には、こんな事案がきっかけで化けの皮が剥がれてしまうことだけは厳禁なのだ。
ジャンル的には『木曜殺人クラブ』のようにちょっとおちゃめなシニアがひょうひょうと活動するスタイルの物語。
SNSやスマホといったツールとの接点も交ぜ込みながら、ときに自信喪失をちらつかせるものの、結局は若い者には負けてられん!とばかりに窮地を脱すべく奔走する様が読みどころ。
加えてフラッシュバック的に挟みこまれる回想シーン。
クレミーが負っている過去の十字架は何なのか。
悪魔的な男の胸くそ悪さが牽引し、こちらの物語の顛末も気になる。
と、序盤はいい感じだったのだが、徐々にだらける。
終盤は同じシーンの中で、”誰もがちょっとずづすれ違ってちょっとずつ勘違い”というキレのないドタバタの繰り返しで飽きる。
過去の事件と現在との交錯も思っていたほどではなく、結局ただのお騒がせ事件だったのか的な終焉が残念なところ。