門田隆将のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書が伝えていることとは、
新聞をはじめ、マスコミュニケーションの世界では、印象操作といわれる作為的な記事・報道により、事実とは異なる印象を与えて、ある思想を押し付けることを主目的に世論形成をしようとしていることがある。情報の取捨選択がとても大事だということ。
はやりの言葉で言えばフェイクニュースとでも言えばいいか。
あるニュースを耳にし、興味を持った時に取るべき行動とは?
どの新聞の記事なのか?
どのテレビ局からの情報なのか?
元のソース(情報源)はどこからなのか?
事件であれば、加害者のコメントなのか?被害者のものか?第三者?
等、比較したり、さらに調査することで掘り下げないと、ミスリードされかねない。長年の経験、また本書を参考にとりあえず信頼できそうな媒体を探しておくこと。
そのうえで、うのみにしない気概。
本書は、新聞記者への応援・叱咤激励であると著者は言っている。
新聞記者という職業の矜持がどこにあるのかを、今一度見つめなおせ。
こんな新聞にしていいのか!と。 -
Posted by ブクログ
ペギー葉山といえばウルトラの母というイメージです。緑のおばさんといえばペギー葉山という刷り込みが有ります。子供の頃の印象というのは根深いものであります。
当然歌手であることは知っていましたが、近代ポピュラーミュージックの偉人と申し上げても過言ではありますまい。この本を読むと特にそう思います。
ペギーさんへのインタービューがきっかけとなったこの本ですが、主人公は彼女だけではなく、戦場で誰が歌い始めたか分からない「南国土佐をあとにして」という歌、そして遠く故郷を離れ何年もの期間辛い戦闘を経験した「鯨部隊」の方々、「鯨無頼」に拾われ人間を友に育った心優しい豹「ハチ公」沢山の主役達がいます。
まずこの本を読んだ人は「ハチ公」の愛らしさに心癒され、そしてその数奇で悲しい最後に胸が痛む事でしょう。巻頭に写真がありますが結構でかくなっているので、普通にいればビビりますが、こんな立派な豹が子猫さながらに甘えて来たら胸きゅんきゅんでしょうね。
そしてこの「南国土佐をあとにして」という曲の成り立ちは、作曲家の端くれとして驚きと羨望を覚えます。自分が書いた曲が時空を超えて歌い継がれるというのは、何よりも憧れます。
先日読んだ石井光太氏の本でも書いてありましたが、極限の状況で発揮されるヒューマニズムの輝きは本当に美しいと感じました。これだけの内容の本をまとめ上げた労力に頭が下がります。
そして何よりこの本めちゃくちゃ読みやすいです。ルポ系を敬遠する人の中には読みにくさを理由にされる事が多いと思いますが、小説以上にのめり込める本です。超お勧め。 -
Posted by ブクログ
戦争の時代、多くの若者が亡くなった。日本にとってどれほどの損失であったかと思い、悔しくてたまらない。彼らはそれがその時代の逆らえない現実ととらえ、特攻に行く前日にも文句ひとつ言うことなくその目的に向かうことだけを考えていた。強い精神力を備えていた。こんな時代を二度と迎えてはいけないし、また今自由に意見の言える世の中であり、それはないと思いたい。ただ、当時の日本人の精神的な強さや何かに真摯に取り組む姿勢には感心する。ある意味忘れてはいけないことかもしれない。主人公の松藤大治さんの強さや正義感、人間的大きさを思う時、小さなことに悩む自分が勇気づけられる思いだ。
-
Posted by ブクログ
今日ご紹介するのは、大野が誇る郷土・高知のノンフィクション作家・門田隆将先生の新刊「奇跡の歌 戦争と望郷とペギー葉山」である。
大野が思うのは「門田先生はいつも絶妙ないい感じの日本人を取り上げるが、ネタが尽きることはないのかな?」ということだ。
しかし、門田先生については、そのような懸念は不必要なようだ。今回も「日本人的な純日本人」をこれでもかと題材にしている。
では、本作のテーマはというと、ペギー葉山さんが歌った「南国土佐を後にして」についての関係者の物語である。
まず興味を引くのが、「南国土佐を後にして」しては本著にもあるように、作詞・作曲が不詳であり、その原曲が歌われた時代背景、またそれに携わった、関係者の談話。最終的にはペギー葉山さんがそれを歌うことになったのだが、そこに至るまでの経緯を中央大学・法学部出身という、門田先生のロジカル(論理的)かつヒューメイン(人間的に)な物語展開によって、ビビット(生き生きと)に描写されている。
そう書くと、「なんだ、理屈っぽいノンフィクション作品か?」と思われるかもしれないが、それは違う。門田先生十八番の各登場人物の人物表現がまるで現場を先生が見てきたかのように、絶妙なタッチで描かれている。
もちろん、そこには門田先生の創作もあるであろうが、門田先生の各登場人物の描写はいつもながら「純日本的」であり、読むものの涙腺を潤ませることが必至なのだ。
例えば、部下に「命を惜しめ」と命じ、地雷攻撃で支那で亡くなった上官。現地で豹の子供を愛撫しそれに「ハチ」と名付けた高知県出身軍人。嫌がるペギー葉山さんに暇をおしまず頼み倒し「南国土佐を後にして」を歌わせることに成功したNHKの音楽プロデューサー。
そのように、読者に感激を与える人物をいつもの門田節全開で、われわれに一種の爽快感を本作は与えてくれるのだ。
で、門田作品のいつものお決まりの関係者の死去。本作はその役目をペギー葉山さんが負っている。合掌。 -
Posted by ブクログ
この小説を読んで、少なくない人が熱いモノが込み上げてくると思います。
戦争というものを礼讃する気は毛頭ないですが、元陸軍中将の生き方には、
尊敬の念を抱かずにはおれません。今では、このような人(仁義に生きた人)は、絶滅しています。
やはり、覚悟を持った人間は違うなと思います。そして、覚悟の大きさが大きれば大きいほど、
得られるモノも大きいのではないかと、この本を読んで感じました。また、覚悟の大きさが、
苦難の大きさでもあると思います。なので、根本中将並びに仲間達が経験したことは、
筆舌にし難い苦労があったと思います。
私なんかは、流され、流され、生きてきたので、こういう器が大きい人の話しを読むと、「凄いな」とは思いますが、自分では、「とてもじゃないけど、そんな覚悟ない」と思ってしまいます。なので、
自分で、できる範囲を持った覚悟で、生きていこうと思います。
非常によく出来たノンフィクションだと思います。ただ、戦争は戦争です。戦争は、国と国との国益をかけた争い事だと思いますが、単なる殺し合いでもあります。負ければ何もかも失い、勝っても一生消えない傷を背負っていくものです。なので、このようなことは、これから、二度と起きてはいけない、それを願って、星5つです。 -
Posted by ブクログ
東日本大震災で大きな被害を受けた福島県に本社を置く福島民友新聞。地震、津波、原発災害と立て続けに大きな被害が出た地域の地方新聞は停電や原発災害による避難指示で新聞の発行さえも危ぶまれる状況となりました。そんな逆境の中、地震翌日の3月12日に地震被害を伝える福島民友新聞は発刊され、しかも驚くことに既に住民の大半が避難した地域に配達までされました。避難指示が解除となったとき、自宅に戻った住民の方が目にしたのは、被災翌日に自宅の郵便受けに配達されていた3月12日付の福島民友新聞だったのです。3月12日付の朝刊を配達するに至るまで、記者やデスク、そして配達員の方がどのように”あの日”を行動したのかを追うノンフィクションです。当たり前のように私たちの手許に毎日届く新聞ですが、それを支える人たちの心意気が伝わってくるノンフィクションでした。
-
Posted by ブクログ
門田隆将『記者たちは海に向かった 津波と放射能と福島民友新聞』角川文庫。
門田隆将の描くノンフィクションは人物描写の上手さ故、登場人物の息遣いを感じると共に様々な風景やシーンを容易に思い描くことが出来る。あの未曾有の大災害、東日本大震災と真っ向から向き合った地方新聞の記者たちの闘う姿を描いた本作も、まるで映画を観るかのような臨場感のあるノンフィクションであった。
『紙齢をつなぐ』ため、何としてでも多くの人びとに情報を伝えるという新聞社の使命のもと、命懸けで大震災の渦中に飛び込んだ記者たちの姿…救えなかった命、守れなかった命…
余りにも壮絶な闘いと結末に、目頭が熱くなった。
福島第一原発事故の被害が大き過ぎたためか、福島の沿岸部の津波被害は余り知られていないように思う。巻頭に収録されている記者たちが命懸けで撮影した被災地の写真は初めて見るものであった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ高畠さんは、選手時代に輝かしい成績を長きにわたって残したわけではないっぽいのに、ずっとどこかしらのコーチをやっている人。
…この本を読むまではその程度の認識でした。
なのでプロ入団前~現役時代の話は全く知らず、読んでいてただただ驚くばかりでした。
コーチとして長く歩まれたことを思えば「災い転じて福となす」だったのかもしれないけれど、些細なケガの傷口が大きくなりすぎてしまったこと、当時のケア体制の不十分さが本当に悔やまれてならないです。
付随して、私がプロ野球を見始めたころは既にかなりの弱小だった南海の強かった時代のこと、うっすらとしか知らなかった球団ゴタゴタの話も新鮮でした。
アイディアマンと言われただけあって、この本で紹介されている練習法はどれもとても興味深かったです。
かつてスポ紙でも話題になった「●×●×ブラブラ打法」は瞬発的に関心を引くのに最高なネーミングだし、その内容もフィジカル的に理解しやすく(自分は女性なので実感はできないですが)本当に秀逸だなと改めて思いました。
「短所に目をつぶって長所を伸ばす」
言葉にすると簡単でも、指導者という立場ではなかなかできないであろうことをずっと徹底されていたその姿勢に本書で触れ、尊敬の気持ちを抱くとともに夢半ばで早逝されたことが本当に残念で自分のことのように悔しく思いました。
最後の解説文で、教え子の一人である小久保裕紀(当時は現役)が高畠コーチとの想い出を述懐した最後に
「私も遠い将来、高校野球の監督になりたい。高さんの夢と同じように。」と綴っていました。
亡くなられて数年たった後でも「高さんならどう言うだろう、どう答えてくれるだろうか」と考えるそうです。
奇しくも今年、WBC監督として若い才能を率いて世界との戦いに挑む小久保監督。どんな采配になるのか楽しみです。 -
Posted by ブクログ
[来てくれない。けど、帰りたい。]エルトゥールル号の遭難事件を背景とし,日・トルコの友情の証としてクローズアップされることが多いイラン・イラク戦争時のトルコ航空による邦人の救出。しかしそのときなぜトルコは航空機を送り出すことができて,日本は自国民の救出に乗り出せなかったのか......。その後に起こったイエメンやリビアの事例などと合わせて,「邦人救出」のあり方に一石を投じた作品です。著者は、ノンフィクション作家として幅広い分野の執筆を手がける門田隆将。
とんでもなく痛切な問題提起をした一冊だと思います。本書から浮かび上がってくるのは,戦後に「日本」が平和を享受する一方で、「日本人」はたびたび戦争や紛争に巻き込まれ,その保護や救出については議論が脇に追いやられていたという冷厳たる事実ではないでしょうか。
〜あなた自身が、そしてあなたの子供たちが、もし、その最も大切な「命」を見捨てられるとしたら、どうしますか-それは、これまでの「邦人救出」の現場で、かろうじて他国の好意で命を救われた当事者たちが発する根本的な問いかけである。〜
今日,『海難1890』を観てくることもあり☆5つ