門田隆将のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
門田隆将『記者たちは海に向かった 津波と放射能と福島民友新聞』角川文庫。
門田隆将の描くノンフィクションは人物描写の上手さ故、登場人物の息遣いを感じると共に様々な風景やシーンを容易に思い描くことが出来る。あの未曾有の大災害、東日本大震災と真っ向から向き合った地方新聞の記者たちの闘う姿を描いた本作も、まるで映画を観るかのような臨場感のあるノンフィクションであった。
『紙齢をつなぐ』ため、何としてでも多くの人びとに情報を伝えるという新聞社の使命のもと、命懸けで大震災の渦中に飛び込んだ記者たちの姿…救えなかった命、守れなかった命…
余りにも壮絶な闘いと結末に、目頭が熱くなった。
福島第一原発 -
Posted by ブクログ
ネタバレ高畠さんは、選手時代に輝かしい成績を長きにわたって残したわけではないっぽいのに、ずっとどこかしらのコーチをやっている人。
…この本を読むまではその程度の認識でした。
なのでプロ入団前~現役時代の話は全く知らず、読んでいてただただ驚くばかりでした。
コーチとして長く歩まれたことを思えば「災い転じて福となす」だったのかもしれないけれど、些細なケガの傷口が大きくなりすぎてしまったこと、当時のケア体制の不十分さが本当に悔やまれてならないです。
付随して、私がプロ野球を見始めたころは既にかなりの弱小だった南海の強かった時代のこと、うっすらとしか知らなかった球団ゴタゴタの話も新鮮でした。
アイディアマン -
Posted by ブクログ
[来てくれない。けど、帰りたい。]エルトゥールル号の遭難事件を背景とし,日・トルコの友情の証としてクローズアップされることが多いイラン・イラク戦争時のトルコ航空による邦人の救出。しかしそのときなぜトルコは航空機を送り出すことができて,日本は自国民の救出に乗り出せなかったのか......。その後に起こったイエメンやリビアの事例などと合わせて,「邦人救出」のあり方に一石を投じた作品です。著者は、ノンフィクション作家として幅広い分野の執筆を手がける門田隆将。
とんでもなく痛切な問題提起をした一冊だと思います。本書から浮かび上がってくるのは,戦後に「日本」が平和を享受する一方で、「日本人」はたびた -
Posted by ブクログ
さすがに門田隆将のノンフィクション作品は内容が濃いですね!海外の駐在日本人たちが戦火に襲われた際に、国外への脱出が容易ではないという問題点を当事者コメントや日本以外の国の対応なども巧みに織り交ぜて指摘し、いかに日本という国が駐在日本人の命に対して、無責任であるということを痛感させられました。
紛争国に取り残された現地で奮闘する日本人NPO職員やビジネスマンなどの一般人を日本は憲法などのしがらみで救出する術がないというのが何とも情けないし、人命救助最優先という本質的な議論が日本の政府ではなされていないのですね!なんのための安保法制なのですかね?
それに対して日本以外の国の対応は緊急事態だからこそ -
Posted by ブクログ
弟の店「はちごう」にプレゼントしてもらったようです。
僕も読ませていただきました。
「本義」
存在意義とか使命とかになるでしょうか。
ここに挙げられた取材に基づくエピソードはどれも心打つものでした。
残念ながら東電や民主党政権や三菱等々「本義」を弁えない態度をとるリーダーを排出もとい輩出してしまう組織もあるわけですが、そこは反面教師として役立つことと思います。
内容は紙面に譲りますがリーダーとは部下の多寡ではないと思います。
人は家族であったり小さな組織でもリーダーたり得ます。
自分がリーダーとしてどれだけ組織に貢献できているか今一度自省したいと思います。
娘もあと少し部長職にあります -
Posted by ブクログ
組織のリーダー達が窮地に立たされた時の苦悩、その時に本義に基づいての決断に感動しました。
本義とは、本来持っている「存在意義」だと著者は解釈している。
東電の吉田所長、駐蒙軍 司令官 根本陸軍中将、伊藤忠の商社マンでありながらイランにいる日本人を助け出した森永さん、プロ野球のコーチで中間管理職としての本義を全うした高畠コーチ、こうした方々にスポットをあて、それぞれがどのような本義のもと、苦悩し、決断し、行動したかが描かれています。
特に、今のサラリーマン社会の中で、東電の吉田所長の部下達が述べた言葉には、感動しました。
「あの人となら一緒に死ねる」
原発が爆発しかねない壮絶な状況下、共に死を -
Posted by ブクログ
ネタバレわが師(とこちらが勝手に思ってるだけだが)・日下公人先生も認める、日本の至宝のノンフィクション作家の門田隆将先生の新書がでた。それもビジネス書として。
タイトルは「リーダーの本義」
「本義」とは難しく言うと、「存在意義」のようなもので、家庭なら「お父さん」の本義は働きに行って、お金を稼いでくること。またその姿を見せること。
「お母さん」なら料理を作り、子供に善悪の価値判断を(これは「お父さん」も同じだが)植えつけることだ。
門田先生曰く、人にも「本義」があるように、組織にも「本義」はある。そしてその組織内には、さまざまなリーダーがいて、さまざまな「本義」を抱えている。
この著書は、そん -
- カート
-
試し読み
-
Posted by ブクログ
ネタバレこの書籍は所謂、福島原発事件で吉田昌朗所長(故人)の「吉田調書」をめぐって、朝日新聞が情報操作をし、虚偽の記事を紙面で流したことに対して、著者のノンフィクション・ライターの門田隆将氏の対応と、実際福島原発事件で、吉田所長が官邸や、東電本社からの圧力と闘い、どのように事故を収束させていったかという事を著した著書である。
まず、朝日新聞は原子力反対の立場から、事故当時の福島原発の責任者である、吉田所長の行動について虚偽の報道をしている。これはマスコミという立場にあるものにしては、決してやってはならないことである。
曰く「彼らは命令違反を犯し、原発から撤退した」というのである。つまり放射能を避け -
Posted by ブクログ
祖国アメリカへ特攻した日系2世の海軍少尉「松藤大治」の生涯を描いたノンフィクション。
特攻を描いた名作といえば、「永遠の0」がありますが、あくまでもフィクションであり、今作が大きく違うのは、真実に迫ろうとしたノンフィクションであるという点です。
筆者は、戦争への怒りを極力抑え、あくまでも主人公を知る貴重な方たちから聞いたことを冷静に描き、真実に迫ろうという姿勢でこの作品を書いています。
そして、この作品の主題である、なぜ主人公は祖国へ特攻して死んだのかということの答えをあえて描かず、読者にその答えを委ねています。
そのことを戦後70年を生きる自分たちがしっかりと受け止め、これ -
Posted by ブクログ
福島第一原発の所長であった吉田昌郎氏の証言を元にした「「吉田調書」の報道で朝日新聞が「作業員が所長命令に背いて撤退した」と報道し、後に謝罪会見を開く事態にまで至った誤報事件。生前の吉田氏にインタビューし、震災直後の現場の真実を「死の淵を見た男」で詳細に伝えた著者が、朝日新聞の報道内容とは違って本当はいかに現場の作業員の人たちが責任感を持って持ち場を死守したのかを改めて伝えるノンフィクション。是非「死の淵を見た男」と併せて読んでみて下さい。原発推進とか反原発とかの立場ではなく、一般論として危機管理とはどうあるべきか、報道とはどうあるべきか、非常に示唆に富んだ本だと思います。
「日常の営みは、非日 -
Posted by ブクログ
田口(オリックス)、小久保(ホークス)、高沢(1996年首位打者・ロッテ)、西村(1998年首位打者・ロッテ)など数多くの好打者を育てた名コーチ・高畠導宏氏。30年に渡るプロ野球コーチの経験の後、高校野球の指導者を目指した志半ばで肝臓癌でお亡くなりになられました。高畠氏の壮絶な一生を教え子のプロ野球選手や関係者の証言で辿るノンフィクション。
高畠氏がプロ野球に在籍した1980年代のプロ野球の舞台裏を知るスポーツノンフィクションとして、部下や生徒を指導する指導者の心得を知る本として、様々な人に印象深く残る本だと思います。数多くのプロ野球選手を見てきた高畠氏が語る、伸びる人の共通点とは「1.素直で -
Posted by ブクログ
福島第一原発事故で、現場で何が起き、現場が何を思い、どう闘ったのかを描いたノンフィクション。当時の吉田所長をはじめ、多くの関係者へのインタビューを通じて、地震直後からの事実が克明に書かれている。電源喪失がわかった時点で消防車による注水を想定した行動や、放射線が強い真っ暗な原子炉建屋の中にベントのために手動でバルブを開けにいく決死隊の行動、二号機の格納容器の圧力が高まる中での決断など、あとから知って驚くと共に、現場の人々の覚悟と奮闘に頭が下がる。官邸の様子も生々しく描かれており、そのお粗末な行動には怒りさえ感じられる。現代社会では極限状況に追い込まれる場面はほとんどないが、人間の素の姿がむき出し
-
Posted by ブクログ
SFアニメの世界では宇宙まで飛び出す、大和。しかしその実際の歴史はよく知りませんでした。
この本では大和の建造から参加した主な海戦、そして大和の最後が描かれます。
実際にそれぞれの立場で大和に接してきた生存者の方々とのインタビューをもとに、大和の歴史を再構成する労作です。
連合艦隊がほとんど壊滅したレイテ沖海戦、この時点で艦隊を組めるレベルにはなく、また、どこに移動するにも航空機の援護が得られない状況になっていました。また、広島の呉軍港に係留されていた大和でしたが米軍の空爆が呉に及んだため、「このままでは最悪瀬戸内海で沈められる」恐れもでてきました。
燃料の重油もほとんど枯渇し -
Posted by ブクログ
現代日本 ・現代に生きる我々の礎となり、あの戦争を自ら戦って頂いた先輩達が、我々後生の日本人に託した想いを正確に知りたい。そういう想いでこれまでも、それなりの数の書物を手に取らせて戴いてきました。本書は、それらの書とは少し違っていました。
本書は著者自ら本書で著しているとおり、「末端の兵士たちの実際の体験や思い」に焦点をあて、「当時主力として戦った元兵士を日本全国に訪ね歩き、その痛烈なそれぞれの体験を忠実に再現したノンフィクション」です。
著者の高い取材能力・事実と知識を区別するジャーナリストとしての誇り・質の高い文章力が「家族と祖国のために自らの命を捧げた若者たちに対する、後生の日本人として -
- カート
-
試し読み