古川薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んだきっかけ:興味があって買いました。
かかった時間:11/1-11/21(21日くらい)
内容: 「凱旋後、希典は学校などに招かれて講演することがよくあったが、演壇に立った彼は、『私が乃木であります。みなさんのお父さん、お兄さんを殺した乃木であります』と、まず深々と頭を下げるのだった。…」
乃木希典将軍が、一般にあまりに不遇に認知されすぎていると感じる古川氏が中立と考える視点で描いた、希典像。
文章の方々に、乃木氏への間違った解釈を正す愚痴のような記述がみられる。ここまで多くの司馬氏の作品を読んできた自分にはとても面白く読めた。
ただし、これを単体での乃木氏伝として読 -
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古川薫さんは、郷里下関市出身の小説家だそうです。
いままで知らなかったのだけど、
毛利の小説が読みたくてこの度手に取って知りました。
骨のある小説だと感じました。
舞台が地方だというのもあって、壮大さみたいなものはないけど、
緻密でとっても好感を抱きました。
どれも面白かったですが、「遠雷」が特に心に残りました。
関ヶ原を経ての、輝元、秀元、広家の確執、
微妙な立場になってしまった、広家の苦悩描かれています。
また、「小京都山口燃ゆ」は、
大内義隆、陶隆房の男色関係もうっすら背景にしながら、
滅びゆく大内家を冷泉隆豊の視点から切り取ってあり、
面白いです。 -
Posted by ブクログ
途中なんどか毎日新聞で連載も読んでいたのですが、ふと気づくと本になっていたので早速手に取りました。
古川氏がこの本の中でとても意識されていた、司馬遼太郎の「殉死」を以前読みました。
たしかに、乃木大将は「愚将」として書かれていたように思え、そのように私の中でも印象付けられました。
その汚名をはらしたい、という古川氏の想いがあり、この作品を書かれたそうです。
この作品で汚名をはらすことができたのか、それははっきり分かりません。ただ読んでいて、乃木大将が
軍人というよりは、非常に人間味のある一人の血の通った人間であることをとても感じられました。
そして、常に激変する時代を、そして派閥争 -
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吉田松陰の教育に対する考え方は、人を育てる普遍解である。
教育の本質は、志を育てること。
そして、学ぶだけでなく、実践することに主眼をおき、自ら行動することでこそ真の成長が得られるとしている。
また、教え子たちの一人ひとりの個性を大切にし、その特性を活かせるように指導していて、その指導方法も画一的な教育を押し付けるのではなく、生徒それぞれの可能性を引き出すことを心がけている。
教え子たちの出身や地位にかかわらず平等に接して、個々の才能を認め、それを磨くための助言を行うという現代社会にも通用するビジネスパーソン教育でもある。
吉田松陰自身は、社会を変革するためには新しい考え方を持つ人材が必 -
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30歳で処刑された吉田松陰の遺書・遺言書。言わずと知れた幕末の志士である。
彼が逮捕されて処刑されるに至った経緯を知らなかったのだが、知られていると思っていた罪(暗殺の企て)を自白してしまう。その罪で収監され処刑までの期間に仲間に向けてたくさんの書簡を書いた。この本はそれを集めてかれの胸中や状況を分析したものである。
長州藩にあった松下塾の門下生には歴史に名を遺した人がたくさん通って学んでいて、顔ぶれがとても豪華だ。そこで松陰は後輩たちを育てるべく、さまざまな講義を行っていた。獄中から手紙を届けてくれる友人のおかげで彼の志は伝わったようだ。
処刑前は過激な考えと他人を煽るような行動から、周りか