小川榮太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は保守思想の解説でもなければ思想史的な研究でもない。保守思想のエッセンスについて著者の立場が簡潔に述べられてはいるが、あくまで「危機に瀕する日本の現実をどう救うかに関する、実行可能なヴィジョンとプラン」を打ち出した実践の書である。福田恆存が典型だが、これまで日本の保守は「主義」を忌避することで、ある種の節度を保ってきた。著者は敢えてその矩を越えて「保守主義者」を宣言する。ここには現代保守の危機的状況への深い憂慮と失地回復に向けたただならぬ覚悟が滲んでいる。もはや保守的な心構えを悠長に説いていても何ら現実を変えられない。それほど事態は深刻なのだ。このことは現代日本の保守の敗北の歴史を素描した
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ネタバレ 購入済み
新型コロナは正しく怖れよう。
この本を読めばいかにメディアや専門家会議(分科会)がダメかわかるし、何で上久保教授を入れなかったのか、残念で仕方ありません。陰謀論などは考えたくなかったけど安部首相退陣の時の指定感染症を変える話が消えて、また行動制限に向かいました。これはワクチンを使わない前にコロナが収束しては困るという人達がいるとしか思えないのです。莫大な利益が動くのでしょう。
免疫獲得する人が増えれば自然と収束に向かいます。この本を読めば納得できます。上久保先生の予測の誤算は指定感染症が下がらなかったこと。2類のままではどうしたって院内や弱い人たちのクラスターがで増すし、行動制限のため、やっと身に付いた免疫が消えてしまい -
購入済み
重要な点がわかりやすい
専門家には新型コロナウイルスに対して「危険なウイルスで日本ヤバイ」説を言う人もいるし、「そこまでコロナは怖くない」説を言う人もいて意見が分かれていますが、この本は後者に含まれる本です。
コロナの報道は悲観的なものばかりですが、実際に被害はどの程度なのかといった比較や海外との比較をしっかりしていてわかりやすかった。
海外がなぜ被害が深刻なのかという理由についても、新型コロナウイルスの種類などの説明でわかりやすい。
メディアの情報ばかり聞いて「なんとなくコロナ怖いな~」と思う人はぜひ読んでほしい。 -
Posted by ブクログ
この歴史書は日本人であるなら一度は目を通しておくべき民族課題図書だと断言します。
最後の9年間の戦争の歴史が簡潔にまとめられている点でも優れています。
あの敗戦から学ぶことはなかったのか?
もう一度、日本人として冷静に総括しておく必要はないのか?
本当の歴史を知らずに、「戦争」を語っていないか?
戦後の日本の教育は戦勝国から「日本はアジア諸国を侵略した悪い国だったから、原爆を落とされても文句を言えない」という一方的な価値観を押し付けられてきましたが、そろそろ自虐の呪縛から解放し、自ら考え、是々非々で議論すべき時だと思われます。
その前提となる資料が本書です。
海外の人たちの是非読 -
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ネタバレ文芸評論家小川榮太郎の「永遠の0と日本人」。
映画「永遠の0」、映画「風立ちぬ」、映画「終戦のエンペラー」、小説「永遠の0」、特攻とは何だったのか、の5つの章で構成されています。
映画「永遠の0」の章では、最初に観た時の違和感について書かれているが、自分自身も本で読んだイメージと主人公のキャラが少し違うのと物語全体の空気に違和感を覚えてたので、その解説は大いに参考になりました。
「風立ちぬ」の章では、宮崎駿作品が戦後日本や国家というところに直視していないところを厳しく突っ込んでいます。
「終戦のエンペラー」の章では、この映画が俳優・スタッフたちの驚くべき無知から作られていることを詳しく指摘して -
Posted by ブクログ
永遠の0の原作があまりに好きで、その延長のような評論に手を出してみた。興味深く、面白く読めた。
『風立ちぬ』の章が特によかった。あの映画を見た後、もやもやした、なんとも座りの悪い気持ちになったのをよく覚えていて、その時の気持ちを代弁してもらったような気分になった。堀辰雄は読みつつも、堀越二郎の自伝には触れていなかったので、この機会に読んでみたい。
学生の頃から、かっこつけのように日本批判をする人によく遭遇して、違和感を覚えていたから、精神構造のくだりはとても得心がいった。こういう風潮も、作られてきたんだなぁと。また、憲法への言及も、とてもわかりやすい。日本の平和状態を維持しているのは日本の外交 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ映画「永遠の0」「風立ちぬ」「終戦のエンペラー」の解説あるいは批評かと思って読みだしたが、直ぐにそれが誤りだったことに気づかされる。著者はこの3作品を俎上に載せて、戦前(風たちぬ)・戦中(永遠の0)・戦争直後(終戦のエンペラー)の時代を語ろうとしている。
穿った見方(読み方)をすれば、先の(太平洋戦争でなく)大東亜戦争や特攻の賛歌ではと、誤解を受けやすいが、問題の切り込み方や、論理展開が半端でなく、我々がこれまで目を背けていた「あの戦争」は何だったを考えされられる。
個別の映画の批評としては以下のような内容になっている。
「風たちぬ」
著者は宮崎駿の中に内在する「戦後の平和日本」の矛盾を指摘す -
Posted by ブクログ
なぜ別の人が?っていう疑問はあったけど、前任者が”同様の批評集が増えたら文壇の盛り上がりに寄与する”と考えていたみたいだから、それを汲んでってことかな。実際、作家も半分が重複だし、当然、その作家の作品も結構同じものが取り上げられているし。今回は対象作者が新しいこともあり、既読作家・作品が結構あった。その作品については、同意:反対=3:7くらいの感じ。エンタメ作家も文学の指標で断じている訳だから、文学を理解し切れない自分の評価がどうしても青いんだろうけど。傾向として、評価が低い作品は納得し兼ねるけど、高い作品はまあ理解できる、ってのが多かったから、高評価の作品群で未読のものは幾つか当たってみよう