濱野智史のレビュー一覧
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90年代半ばの思想シーンを駆け足で振り返りながら、震災以後の日本のありかたを批評・思想の面から検討。
ソーシャルネットワークの可能性や、日本型のコンテンツ生産・消費、あるいはコミュニティーのあり方など、東浩紀が「思想地図」でこれまで検討してきた内容を踏まえた議論が行われる。
少ないページ数で幅広い議論が行われて、現状の見取り図としてはとてもわかりやすいものになっている。
ただ、この本のテーマである「希望」への提示についてはまだ弱いという印象。「思想地図」で提示された内容にかぶるところが多い。独自の提示の部分は、東浩紀にツイッターでボロクソ言われていたけれど、それもしかたないと思えてしまう程度 -
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ネタバレ宇野常寛って文章力で人を引き付ける力がある。
これがすでに希望である。
宇野や濱野が未来を託すソーシャルメディアを具現化する理念を持つ
グリーンアクティブも、発足会見を行った。
自然、文化、経済、政治を小さなネットワークでつないでいく「リトルピープル時代」の活動は、うまく行くかどうかはわからない。いまだ、ビッグブラザー的な力でつぶされるのかもしれない。個人の内面にある大きなものへの幻想の前に理念が折れるかもしれない。
でも、そういう変化を含めて吟味し続けていく姿勢こそ、われわれに問われているものなのであろう。希望論とは、覚悟でもあろうと思う。 -
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前田敦子引退後はじめての総選挙がおこなわれ、その後に指原莉乃のスキャンダルおよびそれにともなう彼女のHKT48への移籍が発表された2012年におこなわれた、いずれもAKB48を愛する論客4人の座談会を収めた本です。
「まえがき」で小林よしのりが「我々は「あえて」嵌っているのではなく、「マジ」で嵌っている」と述べています。ただし、その「マジ」の中身にも論者によってちがいがあります。小林は、『ゴーマニズム宣言』でもくり返し語っていた彼自身の信じるプロフェッショナリズムにもとづいて、スター性のない少女たちが「ガチ」で芸能界という舞台で夢をめがける姿に声援を送っているように思えます。
これに対して -
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このヲタぶり凄いとしかいいようがない。
アンチの存在が、スターを創るという考えは鋭い。そしてアンチに耐えられるのがヲタとメンの近接性にあるというのも納得できる。
それにしてもこの人をヲタを夢中にするシステムを考えた秋元氏の才能は恐るべし。
このシステムから外れた途端にこれまで神の存在だったものがまったく普通の人になることから考えてもシステムの巧妙さがわかる。
ヲタもメンバーもそのシステムの中で踊っているだけなのだが、両者とも幸せならばそれでよいというのがこのシステムの巧みなところ。
願わくば、システム内で踊らされる側よりもシステムを作る側になりたいものだ。 -
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宇野常寛と濱野知史の対談本です。
ハーバーマス的な「公共性」がこの国に欠如していることを嘆くのではなく、現代日本のネット空間に広がっている「繋がりの社会性」を認めた上で、そこからどのような制度設計が可能なのかを検討することこそが「希望」につながるというメッセージが発信されています。
情報社会論を専門とする濱野は、アメリカにおけるネット文化が「国家対市民」という対立構図の中で育まれてきたのに対して、村井純に始まる日本のネット文化は、コミュニケーションの内容よりもコミュニケーションそれ自体を目的とする、北田暁大のいう「繋がりの社会性」を実現するために発展してきたことを解説しています。そうした「 -
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タイトルもすごいのですが、たとえば「はじめに」に、「AKBの不動のセンターであったあっちゃんこと前田敦子が、この現代社会において、いかにしてキリストを超える存在たりえたかについて分析する」という文があったりします。ちょっとこれほどの文は、なかなか見ることのできないのではないかと思います。
内容は、アイドル・グループとしてのAKBの特異性を、オタクの視点から熱く語った本です。吉本隆明の『マチウ書試論』やマルクスの『資本論』などになぞらえているところもありますが、自分の好きな対象と教養を結びつける、いかにもオタクらしい語りかただと思えば、まあ受け入れられるかな、と思います。
匿名掲示板をはじめ -
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面白かった。
普通の人にしたら4人のおっさんが若いアイドルに熱を上げて口角泡を飛ばして議論するのなんてキモいだけだろうけど、これは女について語ってるのではなく、AKBと言うシステムについて語ってる。
アキバ系アイドルと思われていたAKBが今日の日本社会とどの様にコミットしているのか、4人の論客が喧々囂々。それぞれが別々の専門分野を持ってるからいろいろな見方があって、ヒートアップし過ぎて所々で論理が飛躍してしまってる(笑)のにも、その場の熱さとか思いの深さによるものだろう。
文中にある“「俺はこいつを推せる」そう思えた時、人間は初めて本気を出す”。AKBに限らず、みんな自分の大事なものには本気を -
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ネタバレ漫画家の小林よしのり氏やサブカル評論家の人達 計4名が、AKB48について熱く論争した本。議論は、AKB48の魅力・アイドル論から、政治・メディア・宗教論へと展開していく。
最も印象に残ったことは、中森明夫氏の「アイドルは価値の創造(ねつ造)」であるという主張。私も同じようなことを考えていた。
小説などの「近代文学」にはもともと価値は無いと考えられていた。最初は大衆だけに受けて知識人にバカにされていたジャンルが、数百年かけて高尚な文化としての地位を勝ち取った。他の芸術のいろいろなジャンルもそうだと思う。
マンガ・アニメ・ゲームと同じく、アイドルというジャンルも、今その過渡期で摸作中な -
Posted by ブクログ
タイトルは編集者が付けた釣りだと思ったが、どうやら違ってたようだ。著者は本気でそう思っており、それについて書かれている。
著者の言いたいことはわかる。
本書の読者はアイドルはおろかAKBも名前くらいしか分かっていない人であろう。それらの人向けにはこれである程度伝わったかと思う。
だが本当の意味ではアイドルにハマったことのない人に伝わっているのかは微妙だろう。
著者は現役のAKBヲタである。
私はというと、ももクロでアイドルにハマり、そこから他のアイドルにもハマっているKSDDである(AKBにはハマっていない)
著者はAKB以外のアイドルには興味が無いように思われる。
本書に書かれているAK