濱野智史のレビュー一覧

  • 希望論 2010年代の文化と社会

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    90年代半ばの思想シーンを駆け足で振り返りながら、震災以後の日本のありかたを批評・思想の面から検討。
    ソーシャルネットワークの可能性や、日本型のコンテンツ生産・消費、あるいはコミュニティーのあり方など、東浩紀が「思想地図」でこれまで検討してきた内容を踏まえた議論が行われる。

    少ないページ数で幅広い議論が行われて、現状の見取り図としてはとてもわかりやすいものになっている。
    ただ、この本のテーマである「希望」への提示についてはまだ弱いという印象。「思想地図」で提示された内容にかぶるところが多い。独自の提示の部分は、東浩紀にツイッターでボロクソ言われていたけれど、それもしかたないと思えてしまう程度

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    2012年02月14日
  • 希望論 2010年代の文化と社会

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    ネタバレ

    宇野常寛って文章力で人を引き付ける力がある。
    これがすでに希望である。

    宇野や濱野が未来を託すソーシャルメディアを具現化する理念を持つ
    グリーンアクティブも、発足会見を行った。

    自然、文化、経済、政治を小さなネットワークでつないでいく「リトルピープル時代」の活動は、うまく行くかどうかはわからない。いまだ、ビッグブラザー的な力でつぶされるのかもしれない。個人の内面にある大きなものへの幻想の前に理念が折れるかもしれない。

    でも、そういう変化を含めて吟味し続けていく姿勢こそ、われわれに問われているものなのであろう。希望論とは、覚悟でもあろうと思う。

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    2012年04月09日
  • 前田敦子はキリストを超えた ──〈宗教〉としてのAKB48

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     一世を風靡したAKBというグループの特異点をあげて、それが社会にどのような影響を与えるかを考察する本。著者は「近接性」と「偶然」の2つが、従来のアイドルグループと異なる点であり、それらが独特の関係性、共同体、利他性を生むのだという。今回この本を読んで、柄谷行人が唱える「交換様式」と似たものを感じ取った。資本主義社会のなかで、資本主義を真っ向から否定するのではなく、それに乗っかったうえで多くの人々(国境を越えて)に贈与する。これは数々のソフトパワーを有する日本にとって、ある種の国防戦略として取るべきかもしれないと思った。

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    2023年08月22日
  • AKB48白熱論争

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    全盛期に起きた事件について政治を絡めて話す4人に驚いた。
    ただ推しについて語るだけでなく、その当時の時代背景を元に論争を繰り広げていて面白かった。

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    2021年05月31日
  • 前田敦子はキリストを超えた ──〈宗教〉としてのAKB48

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    宗教というよりはリーダー論バージョンⅡって感じでしょうか...。プロダクトライフサイクルとロングテールの違いに改めて気づく...。

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    2018年12月26日
  • 前田敦子はキリストを超えた ──〈宗教〉としてのAKB48

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    前田敦子はキリストを超えた・・・知らんけど、
    「私の事は嫌いでも、AKBの事は嫌いにならないでください」
    人類の罪を背負って磔刑に処せられたキリストにちなんで、
    「ゴルゴタの丘のあっちゃん」という著者の的確な例えのセンスすごい。
    AKB総選挙の始まりについてを知り、
    とても興味深く、社会史との近似性を感じた。
    秋元康独裁政権 → デモクラシー → 総選挙
    これは学校教育に取り入れてもいいくらいの
    社会学のモデルケースではなかろうか。
    理屈っぽい語りによるオタ心理も読めておもしろかった。

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    2018年12月06日
  • AKB48白熱論争

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    前田敦子引退後はじめての総選挙がおこなわれ、その後に指原莉乃のスキャンダルおよびそれにともなう彼女のHKT48への移籍が発表された2012年におこなわれた、いずれもAKB48を愛する論客4人の座談会を収めた本です。

    「まえがき」で小林よしのりが「我々は「あえて」嵌っているのではなく、「マジ」で嵌っている」と述べています。ただし、その「マジ」の中身にも論者によってちがいがあります。小林は、『ゴーマニズム宣言』でもくり返し語っていた彼自身の信じるプロフェッショナリズムにもとづいて、スター性のない少女たちが「ガチ」で芸能界という舞台で夢をめがける姿に声援を送っているように思えます。

    これに対して

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    2018年10月12日
  • 前田敦子はキリストを超えた ──〈宗教〉としてのAKB48

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    前田敦子も卒業しているし、そのライバルの大島優子も卒業し、そのブームも一段落した現在、読むにしては完全に時期を逸したけれど読んだ。志向性を持った集団やムーブメントとしてAKB48を宗教として読み解くという試み。宗教者からは冗談じゃない。ということになるかもしれないけれど、当時の情報の中にいれば、こういう読み解きを有効にするだけの熱量があったようにも思う。あまりに難しく語りにくい事柄としての宗教をポップ・アイドルを使って客観的になぞらえて考えるのはきっかけとしては悪くない気がする。

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    2017年12月18日
  • 前田敦子はキリストを超えた ──〈宗教〉としてのAKB48

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    このヲタぶり凄いとしかいいようがない。
    アンチの存在が、スターを創るという考えは鋭い。そしてアンチに耐えられるのがヲタとメンの近接性にあるというのも納得できる。
    それにしてもこの人をヲタを夢中にするシステムを考えた秋元氏の才能は恐るべし。
    このシステムから外れた途端にこれまで神の存在だったものがまったく普通の人になることから考えてもシステムの巧妙さがわかる。
    ヲタもメンバーもそのシステムの中で踊っているだけなのだが、両者とも幸せならばそれでよいというのがこのシステムの巧みなところ。
    願わくば、システム内で踊らされる側よりもシステムを作る側になりたいものだ。

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    2015年10月01日
  • 希望論 2010年代の文化と社会

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    宇野常寛と濱野知史の対談本です。

    ハーバーマス的な「公共性」がこの国に欠如していることを嘆くのではなく、現代日本のネット空間に広がっている「繋がりの社会性」を認めた上で、そこからどのような制度設計が可能なのかを検討することこそが「希望」につながるというメッセージが発信されています。

    情報社会論を専門とする濱野は、アメリカにおけるネット文化が「国家対市民」という対立構図の中で育まれてきたのに対して、村井純に始まる日本のネット文化は、コミュニケーションの内容よりもコミュニケーションそれ自体を目的とする、北田暁大のいう「繋がりの社会性」を実現するために発展してきたことを解説しています。そうした「

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    2015年02月22日
  • AKB48白熱論争

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    AKBについて、語った。時代は古いけど、さしこのHKT移籍などおもしろい動きがあった年だったのでおもしろく読んだ。
    ニコ生の文字起こしみたいな感じ。

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    2014年11月30日
  • 前田敦子はキリストを超えた ──〈宗教〉としてのAKB48

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    タイトルもすごいのですが、たとえば「はじめに」に、「AKBの不動のセンターであったあっちゃんこと前田敦子が、この現代社会において、いかにしてキリストを超える存在たりえたかについて分析する」という文があったりします。ちょっとこれほどの文は、なかなか見ることのできないのではないかと思います。

    内容は、アイドル・グループとしてのAKBの特異性を、オタクの視点から熱く語った本です。吉本隆明の『マチウ書試論』やマルクスの『資本論』などになぞらえているところもありますが、自分の好きな対象と教養を結びつける、いかにもオタクらしい語りかただと思えば、まあ受け入れられるかな、と思います。

    匿名掲示板をはじめ

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    2023年04月22日
  • AKB48白熱論争

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    面白かった。
    普通の人にしたら4人のおっさんが若いアイドルに熱を上げて口角泡を飛ばして議論するのなんてキモいだけだろうけど、これは女について語ってるのではなく、AKBと言うシステムについて語ってる。
    アキバ系アイドルと思われていたAKBが今日の日本社会とどの様にコミットしているのか、4人の論客が喧々囂々。それぞれが別々の専門分野を持ってるからいろいろな見方があって、ヒートアップし過ぎて所々で論理が飛躍してしまってる(笑)のにも、その場の熱さとか思いの深さによるものだろう。
    文中にある“「俺はこいつを推せる」そう思えた時、人間は初めて本気を出す”。AKBに限らず、みんな自分の大事なものには本気を

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    2014年04月29日
  • 前田敦子はキリストを超えた ──〈宗教〉としてのAKB48

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    こじつけだなんだという意見が多そうなのだけど、アイドルとキリスト教を並べて語って共通性を見出だしていくならば、文化レベルの違いからこじつけざるを得ないだろうと思う。
    というかこの話題はどう書いてもこじつけと言われるんじゃないか?
    個人的にAKBについては「まぁ知ってる」くらいのスタンスで読んだのだけれど、AKBがキリスト教を越える存在になるかどうかは別として、現代社会の新しい宗教として見てみるのは非常に面白いアプローチだった。

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    2014年03月20日
  • 前田敦子はキリストを超えた ──〈宗教〉としてのAKB48

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     作者のAKB好きがわかる1冊。というか、それ以外の感想はよくわからない。変に哲学的な表現が多くて、わざと難しく言っているのではないか?と思うほど。ただ作者が単純にAKBにはまっている。というのはよくわかる。

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    2014年01月01日
  • AKB48白熱論争

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    ネタバレ

     漫画家の小林よしのり氏やサブカル評論家の人達 計4名が、AKB48について熱く論争した本。議論は、AKB48の魅力・アイドル論から、政治・メディア・宗教論へと展開していく。

     最も印象に残ったことは、中森明夫氏の「アイドルは価値の創造(ねつ造)」であるという主張。私も同じようなことを考えていた。
     小説などの「近代文学」にはもともと価値は無いと考えられていた。最初は大衆だけに受けて知識人にバカにされていたジャンルが、数百年かけて高尚な文化としての地位を勝ち取った。他の芸術のいろいろなジャンルもそうだと思う。
     マンガ・アニメ・ゲームと同じく、アイドルというジャンルも、今その過渡期で摸作中な

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    2014年03月18日
  • AKB48白熱論争

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    「あえて」ではなく「マジで」ハマった四人の男性論客が、AKB48の魅力を語り合い、現象を分析する。
    アイドル評論家・中森明夫と、保守を自認する小林よしのりは、立場を弁えたAKB論を展開しているが、宇野常寛と浜野智史は、それ立場関係ないよね的な発言も飛び出し「それは保守であるワシが言うならわかるけどさ」など戒められる場面も。
    そこが「あえて」ではなく「マジで」な部分なのかな。主観にどっぷり埋没しつつも、客観的に観察し分析することの難しさよ。小林よしのりはこの秋でAKBに関する一切の言論活動をやめるらしい。61点。

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    2013年06月21日
  • 希望論 2010年代の文化と社会

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    そもそも絶望なんてないーという言葉で締めくくられている。文学的な想像力に表れる現実の形を捉え直す文化時評的な対談。希望論と銘打っているが、あまり希望は見出せない。今の社会の変化を肯定的な視線で捉えているからか。逆に言えば、草食化やソーシャル化、内向き思考など今の社会を否定的に捉える目線が多すぎるために、この本が「希望論」になり得るのかな。

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    2013年06月04日
  • 前田敦子はキリストを超えた ──〈宗教〉としてのAKB48

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    こんな本が出るねんなあと思いつつ、AKBをちょっと理解できるかなと読んでみました。
    終始高いテンションで進んでいく。筆者がAKBをめちゃくちゃ好きであるのはわかった。
    文章のなかでときどき、それは言い過ぎやろうというものもあった。
    AKBが宗教であるゆえんは、「近接性」と「偶然性」らしい。
    通読してみても、なんとなくわかったような、わからんような、というような感じ。
    AKBか、まあ、自分はこれからも好きにはならないと思いますが、今後どうなるか、楽しみにしてます。

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    2013年03月08日
  • 前田敦子はキリストを超えた ──〈宗教〉としてのAKB48

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    タイトルは編集者が付けた釣りだと思ったが、どうやら違ってたようだ。著者は本気でそう思っており、それについて書かれている。

    著者の言いたいことはわかる。
    本書の読者はアイドルはおろかAKBも名前くらいしか分かっていない人であろう。それらの人向けにはこれである程度伝わったかと思う。
    だが本当の意味ではアイドルにハマったことのない人に伝わっているのかは微妙だろう。

    著者は現役のAKBヲタである。
    私はというと、ももクロでアイドルにハマり、そこから他のアイドルにもハマっているKSDDである(AKBにはハマっていない)
    著者はAKB以外のアイドルには興味が無いように思われる。
    本書に書かれているAK

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    2013年02月25日