中務哲郎のレビュー一覧
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キケローが直近の著名な人物に仮借し、その人物に語らせたタイプの著作のひとつ。
スピーキオーという友人を持ち、そしてその友を亡くしたラエリウスが、婿ふたりに対して友情というテーマについて語る。
ラエリウスは、友情に関して「正しい」事を述べるばかりでなく、誤った解釈が世間に広まっている事に苦言を述べ、あるいは人が陥りがちな過ちについて語る部分もたびたびある。
その内容は「友情とは実利に対する見返りがある時に与えられるべきだ」という説であるとか、「友情とは与えすぎてはならない、等価でなくてはならない」だとか、「いつか敵になりうるのであるから友情に重きを置いてはならない」という考えとかであるのだが、
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Posted by ブクログ
イソップ寓話が実は紀元前にできた話、というのを聞いて興味がわいて読んでみた。
が、正直私には難しかった。
以下メモ
現在イソップ寓話と呼ばれているものが本当にイソップ(人名)が作ったという証拠はなく、何世紀もかけてイソップの名のもとに形成されてきたと考えられている。
イソップ(ギリシア語ではアイソーポス):紀元前630年ごろの人物。
サモス島(ギリシャへの奴隷供給地として有名な島)出身。
聖物窃盗の濡れ衣を着せられて断崖から突き落とされ非業の死をとげた奴隷。
口が達者という記録もある。
「イソップの戦略の基本は、言葉を字義通りに取る。そして、言葉とそれが表すものとの対応が実はきわめて曖昧 -
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演劇作品で始めて素直に面白いと感じ、すんなり没頭することができた。アンティゴネーが単純に正しい側のヒロインなのかと思いきや、しばしば不穏な発言をするから面白い。
"私は憎しみを共にするのではなく、愛を共にするよう生まれついているのです。"という感動的な言葉も、大きな説得力がありながら、どこか言行不一致の気配がうっすら感ぜられ、それが余計に味わい深い。
アンティゴネーがなぜこのような不幸な結末を迎える必要があったのかという理由は、出自そのものの不幸によるのではという解説の説明に一応納得。しかし、近親相姦がなぜこれほどまでにタブー視されているのか、オイディプスが自ら両目を刳 -
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キケロは、シーザーと同時代のローマに生きた政治家ですが、ラテン文化を代表する名文家としての誉れも高いことを知りました。
友情についての深い洞察が、親友であるスキーピオを喪ったラエリウスにより語られる、という設定になっています。
以下の言葉がとても印象に残りました。
「確かな友は、不確かな状況で確かめられる」
真の友情というのは、その人物の徳を敬愛することであり、それに接することにより自身も行いを正すことが出来る、と言います。
お互いに高め合うことができるような関係、それは国籍、年齢や性別を超えて成り立つのではないでしょうか。そう思いました。