中務哲郎のレビュー一覧

  • 老年について

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    ネタバレ

    「人生の折り返し地点」という言葉も在るが、キケローはカトーにこう語らせる。「自然の道は一本で、しかも折り返しがない。そして人生の各部分にはそれぞれその時にふさわしい性質が与えられている」、と。
    この作品では「老い」は十分に耐えうる価値あるものとして扱われる。私はカトーの語る考え方を気に入った。古代ローマには在ったかどうか知らないが、老いを退化に見立てる考え方を耳にしたことがある。人は、赤ん坊で生まれ、成長し、二十年ほどで人に成り、人生を全うするにせよしないにせよ、末期には心身共に衰えて目も耳も感じる力を失い、最低の状態に戻ってゆき死ぬ、その様が赤子に戻ってゆくようである、と言うのだ。寂しい発想ではあるが、これには言い当てているところが在るように感じる。人生の最高のときと聞いて、私には幼年も老年も早一番即座には想起されない。キケローの生きた当時も、老年を扱った作品にはその発想同様、老年を暗く捉えたものが多かったそうだ。人間の最大の関心ごとのひとつは死であり、老いには常に死の影が付きまとうのだから、老いを人が気がかりにするのは当然だ。青年の死と老年の死の対比でカトーは老年の死をある種の善いものと捉えた。その〈71〉の下りも大変気に入った。

    論理展開も整っていて、読みやすかった。

    訳者による解説も読み応え在った。アッティクスの死に様をおもう。

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    2015年02月18日
  • ギリシア神話

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    ギリシャ神話に由来する用語は、現代の日本社会においてすら日常的に良く耳にする機会があります。
    様々なメディアでもギリシャ神話をモチーフにした作品が絶えることなく生産されています
    しかしながら、ギリシャ神話という体系的な本が存在するわけではないので、その内容を実際知っている人は少ないと思いますし、
    ギリシャ神話についてできればその代表的なエピソードだけでもきちんと把握しておきたいという人には、この本はお勧めです。
    この本では、いくつかのテーマ(”神々”や”英雄”、”愛”等)を取り上げ、それに関連するギリシャ神話のエピソードを分かりやすく解説していく体裁となっています。
    各テーマを読み進めていくうちにギリシャ神話の登場人物たちの姿を通し、古代ギリシャ人たちの人生観や世界観、愛憎が感じられるような気がしました。
    また、ギリシャ神話の神々がギリシャ起源の神々ではなく、他の文化圏の神々が多く形を変えて取り込まれている事が分かり非常に興味深かった。

    所々に神話学者ジョゼフ・キャンベルの著作からと思われる神話のモチーフの類型に関する用語が記載されていたが、この本の読者となる年齢層には馴染みのないものではないかと思われましたので、それに関する説明もあると良かった気がしました。
    (それにジョゼフ・キャンベルの神話に関する話は、とても面白くもあるので是非、神話などに興味のある若い人には知ってもらいたいと思いましたので)

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    2015年01月21日
  • キケロ 友情について

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    ネタバレ

    「秀れた人々の中にしか友情はありえない」。まずは自分が善い人間になり、それから自分に似た人間を求める。一人で人格を高めるには限界があるから、人格の面で競い合えるような、かつ実益ではなく愛を与え合えるような友人関係を、と解釈。概ね同感。

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    2013年11月16日
  • キケロ 友情について

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    ネタバレ

    古代ローマの政治家で賢者の誉れ高いラエリウスが,無二の親友小スキーピーの死後まもなく,二人の女婿を前にして,友情について語る.キケローにとってラエリウスは,単なる過去の賢人ではなく,修業時代に親しく噂話を聞くことのできた人物であった.友情論の古典.新訳.

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    2012年05月28日
  • 老年について

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    今も昔も老いに対する感覚は変わらないってことか。現実の大カトーがこの本と違うことやらかしてるのも一興。

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    2012年04月11日
  • キケロ 友情について

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    『老年について』の姉妹編となるキケローの対話篇。小スキピオの親友であったラエリウスの口を借りながら、友情についての考察が展開される。

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    2012年03月20日
  • 老年について

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    久しぶりにローマ人の文章を読んでみる。主題の提示、老いが嫌われる理由の提示とそれに対する反駁、そして結論という明快な構成は非常に読みやすい。ギリシア・ローマの人生論の鍵となる「徳」という概念を知る上での一つの手がかりとなろう。

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    2012年03月18日
  • イソップ寓話集

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    イソップが語ったとされる寓話集。とにかく動物と神様と人間をたとえに出しまくって、戒め的な箴言を語っている。はっとさせられることも多く、今読んでもその内容は全く色あせない。短く簡潔にエピソードを述べているので模範にしたい。251の雲雀「僅かな利益のために虎の尾を踏むような人たちのための話」とかその典型例。

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    2012年01月01日
  • イソップ寓話集

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    説明不要の寓話集。
    アメリカのペリー(提督では無い)
    がまとめたラテン語とギリシア語の
    うちのギリシア語の部分を収録。

    どこかの戦国大名の三本の矢の教えに
    そっくりな話が出てきており、
    おそらくはこれが元ネタだったのかと思われる。

    この本の使い方は道徳や処世術を学ぶためと、
    「イソップ寓話集にはこう書かれている
    だからあなたもこうすべきだ」と人に言うためと
    二通りあると思うが、後者の使い方をすると
    デルポイ人に殺されたイソップのように
    悲惨な目に遭うことになるんだろうなあ。

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    2013年12月01日
  • イソップ寓話集

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    意外とえげつないイソップ寓話集。
    子供の頃読んだものは一部だけで、本編はかなり長いし「道徳的」というよりむしろ「処世術」が描かれている。

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    2009年12月08日
  • キケロ 友情について

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    キケローが直近の著名な人物に仮借し、その人物に語らせたタイプの著作のひとつ。
    スピーキオーという友人を持ち、そしてその友を亡くしたラエリウスが、婿ふたりに対して友情というテーマについて語る。
    ラエリウスは、友情に関して「正しい」事を述べるばかりでなく、誤った解釈が世間に広まっている事に苦言を述べ、あるいは人が陥りがちな過ちについて語る部分もたびたびある。
    その内容は「友情とは実利に対する見返りがある時に与えられるべきだ」という説であるとか、「友情とは与えすぎてはならない、等価でなくてはならない」だとか、「いつか敵になりうるのであるから友情に重きを置いてはならない」という考えとかであるのだが、
    当時流布した思想に関する知識として得るものもあるし、こうした考え方が現代でも一定の価値観として存在している事に思いを馳せるのも面白い。
    一つのテーマについて、人間の考え方は相当に出尽くしているものだという事が理解出来る。

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    2009年10月04日
  • イソップ寓話集

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    ネタバレ

    イソップ寓話集の中には、形を変えて今も物語として残っている話がいくつもある。

    子供の時に読んだ絵本の話の原型や、どこかで聞いたことのある短い話(例えば、すっぱいブドウ)が、本の中に収録されていた。

    それ以外の大部分の話は初めて読む内容だったので面白く読めたと思う。
    特に336「ライオンと狐と鹿」は短い話のなかで2度も鹿を騙す狐の行動が物語を動かし、オチも綺麗にまとまっているので、短めの落語を聞いているようだった。

    時間を置いてもう一度読みたい。

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    2026年08月23日
  • イソップ寓話の世界

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    イソップ寓話が実は紀元前にできた話、というのを聞いて興味がわいて読んでみた。
    が、正直私には難しかった。

    以下メモ
    現在イソップ寓話と呼ばれているものが本当にイソップ(人名)が作ったという証拠はなく、何世紀もかけてイソップの名のもとに形成されてきたと考えられている。

    イソップ(ギリシア語ではアイソーポス):紀元前630年ごろの人物。
    サモス島(ギリシャへの奴隷供給地として有名な島)出身。
    聖物窃盗の濡れ衣を着せられて断崖から突き落とされ非業の死をとげた奴隷。

    口が達者という記録もある。
    「イソップの戦略の基本は、言葉を字義通りに取る。そして、言葉とそれが表すものとの対応が実はきわめて曖昧なものであることを顕わにすることにより、曖昧な常識とそれに安住する支配階級を撃つというものであった」
    例えば、「お前はどこから(来たか)→「肉から(肉でできた人間)」
    「そうではなくて、どこで生まれたのだ」→「母の胎内で」
    「豆を煮ておけ」→豆を一粒だけ煮る。
    「風呂上がりの飲み物をくれ」→ふろの湯を椀に入れて渡す。


    嘘と嘘つきにまつわる諺の最古とされるのが以下
    嘘をつけ、(然るのち)真実を言え。それは嘘と思われるだろう
    これを寓話化したものが、「羊飼いのいたずら」
    オオカミが来たぞ~と嘘をついていた。本当にオオカミが来た時に信じてもらえなかった話。
    ただ、この手の話は東洋にも存在する(褒娰の笑い・司馬遷の史記)
    イソップ寓話だけがこの諺の寓話化でもなく、世界中で寓話化されているかもしれないという研究。

    日本では、1593年に「伊曾保物語」が成立。イエズス会の宣教師により伝えられた。
    が、イソップ寓話と同様の話は、これ以前から日本にもあり(例:金の斧・ごましお頭と二人妻・三本の矢の教え)それより前に伝わってきたものか、それとも日本でも、たまたま同様の話が生まれてきたのか色々な説がある、らしい。

    ※ごましお頭と二人妻
    二人の妻を持つ男、老婦からは友白髪になれと言われて黒髪を抜き、若い妻からは白髪を抜いて若作りせよと言われて白髪まで抜き捨てた上に、白粉を面に塗り青黛(主に 青い眉墨)を眉に描いて瓢箪に絵をかいたような姿になる。こうして両方から嫌われて捨てられるのが第一弾。
    第二弾では、男は農耕で世を渡ろうとするものの、雨降れば山に登って田を開き、日照れば谷に下って田を作りするうち、山の田を日照り、谷の田を洪水で失ってしまう。
    第三弾は、男は死後畜生の報いを受け犬になって、食を求めて東の里、西の里を行きつ戻りつするうちに大河の中で力尽きてしまう。

    この話のパターンは色々な年代、地域にみられて、ここから導かれる教訓も様々らしい。

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    2025年08月01日
  • アンティゴネー

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    再読3/20
    『オディプス王』の後に読むと以前よりも断然楽しめました!クレオンの人間らしさや、彼も分別を持ち合わせているという点が理解できて作品に深みを感じられたような気がします。
    ただ相変わらずアンティゴネーはハンター試験の初っ端で落ちます。

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    2025年03月21日
  • アンティゴネー

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    オイディプス家の悲惨な運命。王女アンティゴネーとテーバイ王の対立が破滅へと収束していく。敵国に寝返ったアンティゴネーの兄を神の法(=倫理観)に基づいて埋葬すべきか、それとも王の命令に倣って兄の遺体を打ち捨てるべきか。法と倫理の対立というこの作品のテーマは現代でも通ずるものがあり、読み継がれているのにも頷ける。他にも男と女、壮年と青年など様々な対立が読み取れる。短いしおすすめ

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    2024年03月15日
  • 老年について

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    ⑦
    開始:2023/2/10
    終了:2023/2/11

    感想
    穏やかな老いを迎えるために。若いうちから徳を養うことが必要。欲情の炎に身を焦がすことなく、凪の心を持つ。自分にはもう少しかかりそう。

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    2023年02月11日
  • 老年について

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                                1.この本を一言で表すと?
    老いは惨めではないと言うことを主張した本。

    2.よかった点を3~5つ
    ・老年には体力が欠けているか?いや、老年に体力は要求もされない。だからわしらの年輩は法律と制度によって、体力なしでは支えきれない義務からは免れているし、できない事はもとより、できるほどのことでも強制はされないのだ。(p38)
    →必要とされる役割を意識して、その役割を果たして活躍すべきということだと思う。

    ・わしがこの談話全体をとおして褒めているのは、青年期の基礎の上に打ち建てられた老年だということだ。そこからまた、これは以前にも述べて大いに皆人の賛同を得たことだが、言葉で自己弁護をしなければならぬような老年は惨めだ、ということになる。白髪も皺もにわかに権威に摑みかかることはできぬ。まっとうに生きた前半生は、最期に至って権威という果実を摘むのだ。(p60)
    →幸せな老後は、青年期を真面目にしっかり生きることによって成り立っていると言うことだと思う。

    ・農業の楽しみについての記載(p51〜)
    →若い頃からのコツコツとした積み重ねが老後を豊かにしてくれると言うことだと思う。

    ・青年が死ぬのは盛んな炎が多量の水で沈められるようなもの、一方老人が死ぬのは燃え尽きた火が何の力も加えずともひとりでに消えていくようなもの(p66)
    →的確な表現だと思う。人間誰もがいつかは死ぬと言うことだと思う。


    2.参考にならなかった所(つっこみ所)
    ・自分は立派な生き方をしてきたんだと言う著者の自慢のようにも聞こえる。

    3.実践してみようとおもうこと
    ・

    5.全体の感想・その他
    ・著書は一応論理的な説明をしているが、なんとなく自己弁護しているような印象を得た。

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    2022年02月13日
  • アンティゴネー

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    演劇作品で始めて素直に面白いと感じ、すんなり没頭することができた。アンティゴネーが単純に正しい側のヒロインなのかと思いきや、しばしば不穏な発言をするから面白い。

    "私は憎しみを共にするのではなく、愛を共にするよう生まれついているのです。"という感動的な言葉も、大きな説得力がありながら、どこか言行不一致の気配がうっすら感ぜられ、それが余計に味わい深い。

    アンティゴネーがなぜこのような不幸な結末を迎える必要があったのかという理由は、出自そのものの不幸によるのではという解説の説明に一応納得。しかし、近親相姦がなぜこれほどまでにタブー視されているのか、オイディプスが自ら両目を刳り取り、アンティゴネーを自死に追い込むほど罪の意識をもたらすのか、現代に生きる私には不思議でしょうがない。

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    2021年11月10日
  • キケロ 友情について

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    賛同できるところもそうでないところもあるが、賛同できないところをあえて見つめ直すことで自分にとっての友情が再定義できたのでよかった。

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    2021年10月05日
  • キケロ 友情について

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    キケロは、シーザーと同時代のローマに生きた政治家ですが、ラテン文化を代表する名文家としての誉れも高いことを知りました。

    友情についての深い洞察が、親友であるスキーピオを喪ったラエリウスにより語られる、という設定になっています。

    以下の言葉がとても印象に残りました。

    「確かな友は、不確かな状況で確かめられる」

    真の友情というのは、その人物の徳を敬愛することであり、それに接することにより自身も行いを正すことが出来る、と言います。

    お互いに高め合うことができるような関係、それは国籍、年齢や性別を超えて成り立つのではないでしょうか。そう思いました。

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    2019年05月09日