【感想・ネタバレ】イソップ寓話の世界のレビュー

あらすじ

イソップの動物寓話は、子ども向けの人生訓話としてなじみ深いものである。けれども、ほぼ同時代のソクラテスやアリストパネス、ヘロドトスなどによってすでに真剣な考察の対象とされたように、そこには読み手の立場によって多様な解釈を許容する、奥行きをもった世界が展開されている。では、イソップとは誰なのか。それはいかなる経緯によって成立し、流布されていったのだろうか。先行文明としてのメソポタミアやエジプトをも視野に入れながら、イソップ寓話をとりまく謎に迫る。

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Posted by ブクログ

イソップ寓話が実は紀元前にできた話、というのを聞いて興味がわいて読んでみた。
が、正直私には難しかった。

以下メモ
現在イソップ寓話と呼ばれているものが本当にイソップ(人名)が作ったという証拠はなく、何世紀もかけてイソップの名のもとに形成されてきたと考えられている。

イソップ(ギリシア語ではアイソーポス):紀元前630年ごろの人物。
サモス島(ギリシャへの奴隷供給地として有名な島)出身。
聖物窃盗の濡れ衣を着せられて断崖から突き落とされ非業の死をとげた奴隷。

口が達者という記録もある。
「イソップの戦略の基本は、言葉を字義通りに取る。そして、言葉とそれが表すものとの対応が実はきわめて曖昧なものであることを顕わにすることにより、曖昧な常識とそれに安住する支配階級を撃つというものであった」
例えば、「お前はどこから(来たか)→「肉から(肉でできた人間)」
「そうではなくて、どこで生まれたのだ」→「母の胎内で」
「豆を煮ておけ」→豆を一粒だけ煮る。
「風呂上がりの飲み物をくれ」→ふろの湯を椀に入れて渡す。


嘘と嘘つきにまつわる諺の最古とされるのが以下
嘘をつけ、(然るのち)真実を言え。それは嘘と思われるだろう
これを寓話化したものが、「羊飼いのいたずら」
オオカミが来たぞ~と嘘をついていた。本当にオオカミが来た時に信じてもらえなかった話。
ただ、この手の話は東洋にも存在する(褒娰の笑い・司馬遷の史記)
イソップ寓話だけがこの諺の寓話化でもなく、世界中で寓話化されているかもしれないという研究。

日本では、1593年に「伊曾保物語」が成立。イエズス会の宣教師により伝えられた。
が、イソップ寓話と同様の話は、これ以前から日本にもあり(例:金の斧・ごましお頭と二人妻・三本の矢の教え)それより前に伝わってきたものか、それとも日本でも、たまたま同様の話が生まれてきたのか色々な説がある、らしい。

※ごましお頭と二人妻
二人の妻を持つ男、老婦からは友白髪になれと言われて黒髪を抜き、若い妻からは白髪を抜いて若作りせよと言われて白髪まで抜き捨てた上に、白粉を面に塗り青黛(主に 青い眉墨)を眉に描いて瓢箪に絵をかいたような姿になる。こうして両方から嫌われて捨てられるのが第一弾。
第二弾では、男は農耕で世を渡ろうとするものの、雨降れば山に登って田を開き、日照れば谷に下って田を作りするうち、山の田を日照り、谷の田を洪水で失ってしまう。
第三弾は、男は死後畜生の報いを受け犬になって、食を求めて東の里、西の里を行きつ戻りつするうちに大河の中で力尽きてしまう。

この話のパターンは色々な年代、地域にみられて、ここから導かれる教訓も様々らしい。

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2025年08月01日

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