平岡陽明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
野球の話が続く。
この前に読んだ本に挟み込まれていた新刊案内で偶然本のタイトルを見つけた。
全くノーマークの本だったので、得難い出会い。
贔屓のチームは子どもの頃からライオンズ。だって地元のチームだからな。
地元って?埼玉じゃなかとよ、福岡たい。
おいたちにとってライオンズといったら西鉄たい。
この本でも触れられる“黒い霧”に巻き込まれ弱体化したチームは、西鉄から太平洋クラブ、クラウンライターの手に渡り、それでも本拠地は福岡にあったとばってん、おいが学生の頃に西武に売られ埼玉に行ってしまったと。
遠くに行ってしまったばってん、どこか他のチームを応援しようかと思うたとばってん、やっぱ、ライオンズはライオンズたい。
幸い堤さんも金出してくれて、暫くしてからは黄金時代が来たし、今は少し低迷が続くばってん、それでも毎日の勝ち負けが気になる。
おいが就職して地元を出てからホークスが福岡に来て、今は福岡の皆は母も妹もホークスファンばってん、自分がいない間に福岡に行ったチームを応援する気になれんと。
おいにしたらばホークスは永遠に良きライバルたい。今年も強かばってん、プレーオフで一泡吹かせられんやろか。
さて、この本、そんな西鉄ライオンズが日本シリーズを3連覇した1956年から1958年のシーズンを背景に福岡で繰り広げられる、地元紙の番記者・木屋とやくざもん・田宮の仁義と熱き友情人情を描く物語。
田宮の戦地の話で繋がる木屋との数奇な縁、筋を通して生きるやくざもんの世界、それを少しずつ蝕んでいく利権の罠…。
交互に語られる木屋と田宮の話が、時に交わり、世相を映しながら進む。よくある作りではあるが、これはこれで正統派の趣で泣かせる。
大下をはじめとして三原監督や稲尾や豊田が随所に登場するが、フィクションであっても正にそういう人柄だっただろうと偲ばすところが、また良い。
南海につけられた11ゲーム差をひっくり返したペナントレース、3連敗から4連勝して巨人を屠った日本シリーズ、118頁にある1番・センター高倉に始まり9番・ピッチャー稲尾に終わる不動のラインアップ…。
おいには生まれてきたばっかの頃の出来事ば見てきたことのごと語れるのは、この頃の西鉄のことになれば、もう止まらん大人たちが何回も話すのを聞かされて育ったからたい。
まだ戦後を引きずっていた時代だったろうが、西鉄は、博多の華、博多の宝そのものであったとさ。
そこだけは華やいだ街の様子が手に取るように伝わってきて、おいにはそれだけでも十分嬉しかとよ。 -
Posted by ブクログ
父の日に娘からもらいました
タイトルと嫁からの「お小遣いを貯めて店員さんに聞いて選んだらしいよ」というOVERKILL追撃により中身を1ページ読む前から僕は隠れて泣いた
しっぽりと部屋を薄暗くし、卓上ランプをつけ、ウイスキーを飲みながら読むことにした
こんなに読む前から嬉しい読書なんて久し振りだ
あれ………?
この話
早々におとーさん死ぬんですけど
あれ………?
………………?
(泣)
感動系の話なのかもしれませんが、僕は小説の意図とは関係ない方向で感情が動かされました
あれっ?
良い話ではあります。普遍的な意味で
ただSFな部分もありそういう所も店員さんと考えたのかなと思うと泣けました
話とは一切関係なく、ね。 -
Posted by ブクログ
中学、高校と今でも同窓会は開かれたことがないが、たまに「あいつはどうしてるかな?」と考えることくらい、誰だってあるだろう。男だらけではあるが、そんな四十男6人の生き様がうまく描かれていて良かった。
この本を購入した理由は、登場人物が41歳で自分も同い年だから、ということに他ならないが、やはり細かい描写は気になった。作者も40代だが、ピンポイントの年齢で当時の流行りや今の41歳が置かれている立場を描くのはとても難しい。
と言いながら、最後に奥付を見て考えた。文庫化されたのが2024年で今年なだけであって、実際は2022年の作品なので、43歳がピンポイントだったのだ。 -
Posted by ブクログ
最近仕事以外にしたいことがあんまりないみたいな話をして、人から勧められて読みました。
自分が本屋に行ったらタイトルで自己啓発系かなと思って敬遠してしまいそうでしたが、読んで良かったです。
実際の内容は登場人物のひとりが「僕が死ぬまでにしたいこと」をリストする場面であって実際はそこから始まって、いろんな群像劇を見ることができます。その群像劇が遠回しに主人公の僕が死ぬまでにしたいことを暗喩しているのかなとは思いました。
登場したエピソードが不覚にも全て自分の印象や価値観に刺さるものが多かったです。
特にアスペガールの話は二人のやり取りを一冊の本で読みたいと思うほど不器用なやりとりが甘酸っぱくて良かったです。