【感想・ネタバレ】道をたずねるのレビュー

あらすじ

地図の空白地帯を埋めろ!

人はみな「自分の道」をゆく英雄である。
友情、青春、仕事、人生。
俺たちは、ただ前だけを見て歩いてきた――。

地図会社キョーリンの調査員・合志俊介。彼の仕事は日本各地を歩き、家の表札を一軒ずつ書き留めること。
俊介には一平と湯太郎という幼馴染みがいた。三人は十五歳になる年、裏山のクスノキで誓いを立てた。
一つ、友のピンチは助けること。二つ、友の頼みは断らないこと。三つ、友に隠し事はしないこと。
その日から、男たちはそれぞれの“道”を歩き始めた。

地図づくりに生涯を捧げた男たちの熱き物語!

※この作品は単行本版『道をたずねる』として配信されていた作品の文庫本版です。

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Posted by ブクログ

 本書は、大分別府の幼馴染である俊介、一平、湯太郎の友情、そして住宅地図会社「キョーリン」の苦難と発展の歴史を描いた物語です。
 父の背中を追うようにキョーリンの調査員となった俊介の視点で、中学時代から人生の節目節目を切り取り、軌跡が綴られていきます。

 キョーリンのモデルは明らかに『(株)ゼンリン』で、本作の読み処は、住宅地図を作るための調査員の仕事でしょう。

 江戸時代に日本国中を測量して周り、初めて実測による日本地図を完成させた伊能忠敬。住宅地図作成の調査員の仕事の根幹は相通じるものがある気がします。地道な作業以外の何者でもありません。

 ただただ、人々の生活に役立ち、喜ばれる地図を作ろうとする"地図屋の矜持"そしてその強固な気迫が伝わってきます。
 全国の住宅地図の完成を目指し、様々な苦難を乗り越えていく壮大なドラマの陰に、3人の友情と父の代からの熱い想いを挟み、物語に深みを与えてくれているようです。

 今では紙の地図を目にすることは減ってしまいましたが、かつて日本全国の住宅地図を作った人たちの情熱は色褪せることはありませんね。
 日々更新される電子化された地図の有り難みを感じながら、効率性や合理性ばかり重視される現代社会にあって、私たちに忘れてはならない大切なことを思い起こさせてくれる一冊だと思いました。

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2024年02月04日

Posted by ブクログ

住宅地図の調査員をモデルにした小説です。
会社の黎明期から、さまざまな困難を経て会社が大きくなっていきます。
主人公は平社員の男性で、物語は仕事を軸に彼の人生の始点から終点までを描きます。
トピックがいくつもあるので、ややダイジェストのような拙速さも否めませんが、「地図の空白地帯を埋める」という泥臭い生業とともに彼の人生を見届けるのは楽しくもありました。

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2025年09月13日

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