あらすじ
「人は食べたものと、読んだものでできている」──書評家のよう子は、神楽坂に盲導犬のアンと暮らしている。出版社の担当の希子と隔週の木曜日に、打ち合わせを兼ねたランチをするのが楽しみだ。一方、神楽坂で〈古書Slope〉を切り盛りするバツイチの本間は、五歳になる息子のふうちゃんと、週に一度会えるのが木曜日だ。書物への深い愛と強い信頼、それを共有できる大切な人。本に込められた〝想い〟を伝えていく──。(解説・新川帆立)
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Posted by ブクログ
盲目の書評家竹宮よう子さんと出版社の担当希子さんのやりとりから始まり、次に6年前に念願だった古本屋を始めたけど離婚してひとり息子と木曜日にだけ会える本間さんが語り手になる。ふたりの語りが交互に置かれ、やがて交錯していく。
タイトルの「ぼくもだよ」が早々に出てきてあれ?と思っていたら、、、、。
表紙から盲導犬のアンがぼくもだよって言うのかと思ってけど、それは外れ。
ふたりとも本が好きで、色々な書名が出てくるのも興味深かった。
Posted by ブクログ
神楽坂、盲目の書評家、母との不和、作家デビュー、顔に火傷、ちくま文庫の女、関西弁の編集者、バツイチ、閉店間際の古本屋、週一しか会えない子供、高校時代の恋、親友の嘘、元妻の再婚、コンセプトカフェ…
気になるワードやエピソードが次々と出てくる。
登場人物の誰もが、自分や自分の人生に少しずつ傷や負い目を負っている人たち。
だけど、最初はまったく無関係見えたそれらが、ページを捲るごとに近づき…最後は一つに重なる。
こんな奇跡ならいくらでもあっていい。
優しさと正直さが報われる話。
Posted by ブクログ
古本屋を営む上の知識、盲目の人に関する知識や感覚と読んでいてそうなんだと学べるところがありました。
話の展開としては主人公の女性の昔の話が出てきたあたりから、なんとなく予想ができる展開ではありましたが、驚きの展開がなかったというだけで、全体的に心温まる話でした。
若い頃の青春がそのまま身を結ばないというところが、胸が締め付けられる内容ではあるもののそれが何年もあとになって、また当時の二人に戻るという切ないながらもこれからの二人の未来はきっと明るいと感じさせてくれる良い終わり方でした。
他の本を読んでいても個人的にこの方の文章は読みやすくて良いです。
Posted by ブクログ
よかった。
ようこさんの書く文章に何か胸ときめかせるものがあり、それが此の本全体にオーラをかけているような心地よさ、もっとこの世界にいたいと思わせてくれました。
本屋で食べてく難しさも改めて認識させられましたが。。。
Posted by ブクログ
盲目の書評家よう子がエッセイや小説を書くことに挑戦するのと並行して、古書店を営むバツイチの本間が一人息子と元妻との関係に悩むストーリーが展開され、最後には2人が繋がる話。神楽坂に馴染みがあるので手に取ったが、想像以上に面白かった。
まず神楽坂のお店が随所に出てくるので、思い入れのある人にはたまらない。龍公亭やボン・グゥ、テオブロマなどなど現存するお店ばかりで情景が目に浮かんだ。
盲目の方がどのように本を読み、文章を書くのかについてもリアルに描写されており、なるほどと思った。また古書店を営む本間は自分の店の本一冊ずつへの思い入れが強く、開催するフェア案の内容はなかなか興味深かった。妻を亡くした夫の回想録は多いが、夫を亡くした妻の回想録はとても少ないという内容には笑ってしまった。
古書や古い手紙などで昔の人と繋がることができるという考え方は素敵だと思った。よう子が母親を赦して前に進む描写も良い。