越智月子のレビュー一覧
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昭和生まれが集まる鎌倉シェアハウス。シリーズ2作目で、新たな出会いもあり、さらに物語が賑やかになっています。今作ではパスタが各章に絡んできて、美味しそうだったな٩(๑´0`๑)۶
『「きっぱりと冬が来た。八つ手の白い花も消え、公孫樹の木も箒になった…冬よ、あたしに来い、あたしに来い。あたしは冬の力、冬はあたしの餌食だ…」
人通りの少ない道によく通る声が鈴のように響く。思い出した、この詩は高村光太郎のものだ。ゆき先生は「僕」を「あたし」に代えて諳んじた。
「追い風よりも厳しい向かい風のほうが好き。この冷たさがいいのよ。そのほうが身が引き締まるから」』
-第5章- ターンターンターン 千恵子
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他人から見る自分はこんなにも魅力的で愛おしい。
鎌倉駅徒歩8分、おうちカフェを営む一軒家、そのシェアハウスに住む、一癖も二癖もある5人の人物のそれぞれの目線から、自身の過去や、その住人達の生活が描かれていく。
自分目線で語られるエピソードだけでは、その人自身の良いところに読者は気付けない。
ところが、次の章で別の人物から語られるエピソードにより、気付けなかったその人自身への理解がどんどん深まっていく。
作中にもある負の法則、いわゆるゲイン効果の事だが、当初の嫌な印象が、物語が進み、第三者から語られる発言や、行動によって、最終的にはみんなの事を好きにならざるを得ない。
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Posted by ブクログ
はじめの三分の一くらいまで、途中で読むのやめようかと思った。登場人物たちみんなになんかイライラして。まったく愛しくない!と思った。
でも途中から急にそれが和らぎ、あれ、良い人なんじゃん?と思い出した。最初の感想は、初対面の人の最初の印象。知っていくごとに色々な面が見えてきて、実は良い人だったんだな、って感じかな。
コーヒーと、鎌倉のまち、特に花や鳥の声などの自然豊かな描写が良いアクセント。
軽い読み物だけど、知識として知っていてこそ深みのでる描写もあって、若い子にはこの本の良さは全てはわからないな、とうちのJKを思い浮かべながら読んだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルに惹かれて、読み始める。
読みやすいのに、時間が作れず読むのに時間がかかってしまった。
思いのほか、ラストにじーーーんとしてしまった。
主人公たちの、距離感が良い感じ。恩着せがましいかんじもなく、ちゃんとお互いを尊重している感じが、(最初の距離感だけ、ちょっといびつだけど)良かったな。
P169
「覚えているか、ばあちゃん。親に殴られてへこんでいると。ばあちゃんは言ってくれた。『殴られたからって、ののしられたからって、あんたの価値が下がるわけじゃない。逆も同じ。褒められたからって、あんたが立派になるわけじゃない。あんたはあんたのままでいい。自由気ままにおやり』」
良いこと言うじゃな