越智月子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
鎌倉といえば観光地として有名で、シーズンともなると大勢の人で街が大混雑するというイメージが大きい。しかし、実際に鎌倉に行ってみると、駅前のメインストリートなど特定の地域は大混雑しているが、メインの通りから外れると閑静の住宅街が広がっていたりする。元々、鎌倉は自然豊かな保養地なので、古民家カフェなど鎌倉ならではの素敵なお店が多いのも特徴の一つだ。鎌倉に行って、静かなカフェでのんびりと過ごすというのは、とても贅沢な時間の過ごし方だと思う。
越智月子さんが書かれた「鎌倉駅徒歩8分、空室あり」は、鎌倉の古い洋館を舞台にした心温まる物語だ。
父を亡くし、鎌倉でカフェを営む香良(から)が。親友の提案をきっかけにシェアハウスを始めるが、そこに集まるのはそれぞれ事情や悩みを抱えた女性たちだった。年齢も性格も境遇も異なる彼女たちが、共同生活を通じて少しずつ心を通わせていく。
本書には大きな事件や派手な展開があるわけではない。しかし、だからこそ登場人物たちの悩みや孤独がリアルに感じることができる。家族との関係、離婚、将来への不安など、多くの人がどこかで抱えている問題が描かれており、読む人によってそれぞれ自分自身や身近な人と重ねながら読むことができるだろう。 また、この作品は鎌倉の風景描写も巧みで、こんな場所をゆっくりと歩いてみたいと思わされるような描写が随所に散りばめられている。
他人同士が一緒に暮らすことは簡単ではなく、習慣や価値観の違いに戸惑うこともあるだろう。それでも、お互いを少しずつ理解し支え合うことで新しい居場所や仲間が作られていくことを本書は教えてくれる。読後には派手な感動ではないが、じんわりと心が温かくなる余韻が残った。
忙しい毎日に少し疲れたときや、人とのつながりの大切さを感じたいときにおすすめしたい一冊。鎌倉の空気やコーヒーの香りを感じながら、穏やかな時間を過ごしたい人には特に読んでいただきたい一冊だ。 -
Posted by ブクログ
鎌倉と言えばなにを思い浮かべるか?
鶴岡八幡宮と段葛、小町通り、長谷の大仏、材木座や由比ヶ浜の海、今ごろの紫陽花も美しい。そして、カレーとカフェ。とくにカフェは、わたしの住んでいる横浜とは比べものにならないほどに充実している。
もし鎌倉に暮らしたら……?
そんな妄想を叶えてくれるのが、本書だ。
ある日突然やってきた友人の(強引な)すすめにより、流されるように始められたシェアハウス。住人たちの暮らしぶりは、思い描いたとおりの「鎌倉暮らし」であり、でも実のところ、それぞれが家族の悩みを抱えている。家族の悩みを、シェアハウスという他人同士の集まりによって、ほんの少し軽くなるのだ。そう、解決はされない。でも、前を向こうと、ほんの少し頭の向きを変えてくれる。
同じように鎌倉を舞台にした『ツバキ文具店』のように、読み手に優しくあたたかな気持ちをくれる作品だった。
読後はカレーのコーヒーを。
鎌倉のお気に入りのカフェを訪ねるのもいいな。
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Posted by ブクログ
継続的に本を読んでいると、自分の好みがだんだん明確になってくるものですね。
私は、女性たちがひとつ屋根の下で共同生活を送る物語が結構好きです。
小説でも漫画でも、面白くないわけがない。
生い立ちが違えば、価値観も違う。
そんな人たちが集まって、何も起きないわけがないのです。
非常に憧れる。
しかし、自分にはできない。
だからこそ、こういった物語に惹かれるのだと思います。
『鎌倉駅徒歩8分、空室あり』の続編ともなる本作では、新キャラが登場します。
フランスでパティシエの修行中だったかと思いきや、途中で挫折し、お金も尽きて日本に戻ってきたという倉林さんの娘・美紗緒です。
前作では、住人同士がいざこざを起こし、すったもんだの末に理解し合うというストーリーでした。
しかし美紗緒は、そんな住人たちの中にスッと溶け込んでいきます。
やっぱりね、胃袋をつかめる人は強いと思いました。
週1で作る美紗緒のパスタのおいしそうなことと言ったら。
読んでいるだけで、頭の中にパスタの絵が浮かんできます。
住人たちは、一人ひとりそれぞれ悩みを抱えています。
けれど、その悩みに対してあたふたするわけではありません。
ゆっくり時間をかけながら、自分の感情と折り合いをつけていくのです。
若い頃のように、すぐに結果を求めたり、白黒つけたりしない。
曖昧な状態を楽しむ余裕、とでもいうのでしょうか。
そんなものを感じました。
「人生は麻雀と似たようなものよ。間違った道は進んでないと思っても、思わぬところで理不尽な目にあう。でも、そこで落ちこんだり感情的になったりしても前には進めない。クールにやるべきことをやっていけば、道は開けるわ」
登場人物の一人が語った言葉ですが、年齢を重ねれば重ねるほど、この言葉に実感がともなってきます。
思い通りにいかないこともある。
理不尽なこともある。
それでも、感情に飲まれすぎず、今できることをやっていく。
大人になるって、そういうことなのかもしれません。
よーし!
今日も頑張っていこう!!