高原英理のレビュー一覧

  • 水都眩光 幻想短篇アンソロジー

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    作品紹介・あらすじ

    仰げば彼方は鏡のようにある。記憶になかったことばかり思われる。――「ラサンドーハ手稿」
    蜃気楼のように現れる塔。ざぶんざぶんと波の音。へそから出てくるうなぎたち。母がクリーニング店に預けたもの。画家が描く瓜二つの妹たち。ある日、人類に備わった特殊能力……
    九人の実力派作家が紡ぐ幻想アンソロジー。
    【目次】
    ラサンドーハ手稿   高原英理 
    串          マーサ・ナカムラ
    うなぎ        大木芙沙子
    マルギット・Kの鏡像 石沢麻依
    茶会         沼田真佑
    いぬ         坂崎かおる
    開花         大濱普美子
    ニトロシンドローム  吉村萬壱
    天の岩戸ごっこ    谷崎由依

    *****

    全9編からなる短編集。タイトルの通り幻想的な内容の作品を集めている。
    本書の刊行が2023年9月25日。本書の元となった雑誌「文學界」の発売が2023年4月7日。この「文學界」には12編の短編が掲載されており、そのうちの9編が本書に収録された。ただし坂崎かおるの「いぬ」は「文學界」では「母の散歩」となっていた。
    本書に収録されなかった残りの3編は山尾悠子「メランコリア」、諏訪哲史「昏色の都」、川野芽生「奇病庭園(抄)」。なぜこの3編が除外されたのかは分からないけれど、内容的なものなのかもしれないと推測される。

    幻想的な内容を集めたとされているけれど、僕の考える“幻想的”とは少し違う方向性の作品が多かった。ただしそれでつまらなかったかというと、そんなことはなく、かなり面白く読み進めることができた。「うなぎ」や「いぬ」などは幻想的な内容、というよりもかなり現実的な主題に傾いているように思えるし、「天の岩戸ごっこ」などは可愛らしくもある。「茶会」や「開花」は少し分かりづらい印象もあったけれど、それでも作品の持つ雰囲気に十分に没入することができた。「ラサンドーハ手稿」や「マルギット・Kの鏡像」は映像が目に浮かんでくるようだし、「ニトロシンドローム」はちょっとスラップスティック的な要素も感じられた。

    そんな中にあってマーサ・ナカムラの「串」は僕にとって出色の作品。僕がイメージしていた幻想的なものに最もマッチしており、此岸と彼岸の行き来に無理がなく、不気味な中に暖かみや優しさ、そして哀愁すら感じることができた。この作品を機に彼女の詩集を読み始めることとなった。

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    2026年04月13日
  • 抒情的恐怖群

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    ネタバレ

    7編から成る短編集。
    最初の3編が恐怖とロマンがあってよかった。後半のはあまり怖くないのと意味が読みとりづらい。

    樹下譚が本書中もっとも抒情的で好み。魔に魅入られた男が見る幸福な夢。捏造された郷愁と恋心。

    町の底と呪い田は呪いの話。前者の土地の来歴、後者の連鎖する呪いの症状、どちらもおぞましい。枕元に立って鬼の表情で「お前、死ね。お前、死ね」はやばすぎる。ただ、呪い田は終わり方が不満。その先どうなったかが書いていないのは一人称小説として違和感がある。

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    2026年04月12日
  • 乱歩心象作品集

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    江戸川乱歩、高原英理・編『乱歩心象作品集』中公文庫。

    江戸川乱歩の没後60年。江戸川乱歩の長中短編から「夢遊」「恐怖」「人形」「残虐」「身体」「錯視」「浅草」の7つの切り口で分類、セレクトした作品集。

    恐らく大半の作品は既読であるが、小学校時代にポプラ社のの『少年探偵団シリーズ』を読み、中学校時代に江戸川乱歩の魅力にハマり、高校時代には春陽堂文庫の『江戸川乱歩全集』全9冊を読んでいることもあり、定期的に読み返したくなる。ちなみに高校1年の時の読書感想文では『陰獣』の感想文を書いて、高校生感想文コンクールの応募作に選ばれている。

    また、序文の中で高原英理が述べている通り、江戸川乱歩は短編にこそその魅力があると思う。勿論、長編も面白いのだが、短編に凝縮されたトリックや世界観の描写は見事である。

    7つの切口のうちから「夢遊」「恐怖」「人形」「残虐」「身体」「錯視」は解るが、「浅草」だけは異質である。また、長中編作からの抜粋が多く、江戸川乱歩の真の魅力が伝わらなかった。そういう意味では、作品集としては失敗の部類に入るだろう。


    「夢遊」

    『白日夢』。日常の白昼に浮かび上がる悪夢の光景。一種の死体隠しのトリックとも言える。後の作品にも同様のトリックが描かれる。

    『大魔術「魔術師」より』。明智小五郎が魔術師の復讐を阻止しようとする探偵小説。魔術師による残虐な殺戮ショーは嘘か真か。『白日夢』にも通じる世界観。

    『火星の運河』。漆黒の闇の中を彷徨ううちに突然出会った豊満な裸体の女性を殺戮する血に塗られた記憶。流れる血のりの様は火星の運河の如く。


    「恐怖」

    『底なし沼「影男」より』。明智小五郎が活躍する探偵小説。畑の真ん中に造られた囲い。その中に入って来た女性が何者かに造られたと思しき底なし沼にじわじわと飲み込まれていく。

    『ある恐怖』。江戸川乱歩による様々な恐怖についてのエッセイ。

    『暗黒世界「白髪鬼」より』。明智小五郎が活躍する探偵小説。棺桶の中に閉じ込められた男が必死の思いで棺桶の外に出るが、そこは閉ざされた空間。窒息の恐怖から餓死の恐怖が男を襲う。

    『断頭台「魔術師」より』。再び『魔術師』より。巨大なお猫時計が断頭台と化し、今まさに首を切断されようとする恐怖。

    『お勢登場』。江戸川乱歩は閉所恐怖症だったのだろうか。度々、棺桶や長持ちの中に閉じ込められるという恐怖が描かれる。そう言えば、『人間椅子』という作品では、自ら椅子という閉所に収まるという話が描かれていた。もっとも実際には椅子の中には入っていなかったのだが。病弱の夫を尻目に不倫に明け暮れるおせい。ある日、おせいが不倫相手の元にいそいそと出掛けた後、夫は息子と息子が連れてきた友だちとかくれんぼをするが、隠れた長持ちのかけ金が閉まり、中に閉じ込められてしまう。夫が藻掻き苦しむ中、帰宅したおせいが取った行動は。


    「人形」

    『人でなしの恋』。フェティシズムを描いた1編。様々な性癖が容認される今日にしても異様な男の趣味。非の打ちどころの無い美男子と見合いで結婚した女性が夫に対する疑惑を持ち始める。やがて、夫の秘密を知った時……

    『人形』。人形にまつわる怖い話や不思議な話、トリックなどを交えたエッセイ。

    『魔法人形(抄)』。『少年探偵団シリーズ』から。『少年探偵団シリーズ』もほぼ全巻読んでいるのだと思う。腹話術師の老人が少女を拐かし、誘拐しようとするシーンは記憶にある。腹話術の人形が自ら歩き出すという恐怖。

    『悪霊物語』。江戸川乱歩、角田喜久雄、山田風太郎の3人によるリレー小説。これは初めて読んだ。怪奇小説を執筆する作家が人形作家の伴天連爺さんの屋敷を訪れ、様々な奇怪な人形を目にする。


    「残虐」

    『残虐への郷愁』。江戸川乱歩が古今東西の残虐性に言及したエッセイ。

    『情痴の極「盲獣」より』。このこの作品の中でのも最も残虐なシーンが描写される。盲目の夫とその妻が互いに傷付け合う、まさに盲獣といったシーンだ。

    『恐ろしきランニング「地獄風景」より』。年齢も様々な男女による千メートル競争は最後に血飛沫飛び散る地獄のスプラッターへと変わる。

    『句』。江戸川乱歩らしい残虐性を凝縮した一句。一種のお遊びか。


    「身体」

    『飛行する悪魔「緑衣の鬼」より』。ほんの触りだけが収録されている。電灯を失い、暗闇の中で触れた何者かの気持ち悪い手。

    『芋虫』。戦争で手足を全て失い、耳も聞こえず、話も出来なくなった状態で妻の元に帰った夫。忌まわしくもエロティックな描写と衝撃の結末。江戸川乱歩の傑作の1つ。

    『ペテン師と空気男(抄)』。義眼にかつら、総入れ歯に左手は義手、両足義足の男が若い女性を恐怖のどん底に突き落とす冗句を見せるという場面。全体的にはどんな話だったか忘れた。

    『芋虫ゴロゴロ「盲獣」より』。再び『盲獣』より。先に掲載された『情痴の極』の続き。随分とまどろっこしいことをするものだ。一挙掲載してしまえば良いのに。

    『水族館の人魚「蜘蛛男」より』。水族館の水槽の中に展示された美しい女性の死体。

    『闇に蠢く(抄)』。友人の胃痛を治すための御馳走とは。


    「錯視」

    『レンズ嗜好症』。レンズの不思議に魅せられた江戸川乱歩のエッセイ。

    『映画の恐怖』。映画の不可思議と恐怖について書いた江戸川乱歩のエッセイ。

    『恐ろしき前兆「暗黒星」より』。『映画の恐怖』に書かれたことが小説の中にも描かれる。

    『鏡地獄』。鏡の不可思議、鏡を使ったトリックに魅せられた男が造り上げた鏡の仕掛け。

    『目羅博士の不思議な犯罪』。江戸川乱歩の幻想小説。

    『パノラマ島綺譚(抄)』。錯視を使って造り上げられた奇妙な島に広がるおぞましい光景。


    「浅草」

    『死人の腕「一寸法師」より』。一寸法師という畸形を登場させ、浅草の夜の怪しい風景を演出する。

    『浅草趣味』。江戸川乱歩がつづる当時の浅草の風景。

    『木馬は廻る』。浅草の木馬館で働く初老のラッパ吹きに訪れたささやかな幸福。

    本体価格1,300円
    ★★★★

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    2025年11月03日
  • ゴシックハート

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    ゴシックについてたんまり語る本。ゴシックとは何か、何を好んで何を嫌うのか。実際に作品を取り上げながら、詳しく説明してくれる。中には首肯しがたい、というか認めたくないような部分もあったが、全体的には自分の心にしまっていたものと通ずるようなところがあるように感じた。

     特に面白いと感じたのは6-8章の身体や美醜に関する部分。肉体と意識の関係から生まれる肉体の呪縛、呪縛からの解放としてのサイボーグ化、そこに美醜が絡み整形をサイボーグ化として捉える考え方に妙に納得してしまった。外見の美醜と内面の美醜の関係も興味深かった。

     文学、芸術に限らず著者の作品を解釈する力がものすごいなと感じた。

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    2025年06月07日
  • 不機嫌な姫とブルックナー団

    購入済み

    カバー絵がとてもいい

    オタクっぽい雰囲気を漂わせたカバー絵がまず人目を引く。決して人好きがする作品ではないブルックナー交響曲とこれまた人好きするはずがないブルックナー本人を題材にした作品にしては、なかなかに面白い作品に仕上げている。劇中劇というか作品中にブルックナー伝を紛れ込ませた構成も大変に効果的である。ただ「あれっもう終わりか」ちょっと読みたらない感じがする。

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    2025年01月02日
  • ゴシックハート

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     著者は言う、これからゴシックな意識を語ろうと。それではゴシックな意識とは何か?それは「形」に依存して示される精神であって、初めから抽象的に語ることはできないと言う。具体的には、次のようなものだ。かなり長くなるが、イメージが良く掴めるので引用したい。

     「色ならば黒。時間なら夜か夕暮れ。場所は文字どおりゴシック建築の中か、それに準ずるような荒涼感と薄暗さを持つ廃墟や古い建築物のあるところ。現代より過去。ヨーロッパの中世。古めかしい装い。温かみより冷たさ。怪物・異形・異端・悪・苦痛・死の表現。損なわれたものや損なわれた身体。身体の改変・変容。物語として描かれる場合には暴力と惨劇。怪奇と恐怖。猟奇的なもの。頽廃的なもの。あるいは一転して無垢なものへの憧憬。その表現としての人形。少女趣味。様式美の尊重。両性具有、天使、悪魔など、西洋由来の神秘的イメージ。驚異。崇高さへの傾倒。終末観。装飾的・儀式的・呪術的なしぐさや振る舞い。夢と幻想への耽溺。別世界の夢想。アンチ・キリスト。アンチ・ヒューマン。」(12‐13頁)

     このようなゴシック的なものがどのように表われているか、以下、文学・絵画・写真・映画・漫画などの具体的な作品を通して説明されていく。作品の内容が詳しく紹介された上で論じられるので、たとえ読んでいない、見ていない作品であっても、興味を持って読み進めることができる。

     本書エピローグでは、ゴシックの意識を持った「その人」と呼ぶある女性の思い出が語られる。『八本脚の蝶』を残した二階堂奥歯さん、いろいろな人の記憶に残る方だったのだなあ。
     

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    2024年06月04日
  • 高原英理恐怖譚集成

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    理不尽な展開と怖さ。
    エログロというにはあまりにもグロが勝っている。メンタルが落ちているときにはきついかも。

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    2024年04月17日
  • ゴシックハート

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    ネタバレ

    ゴシックには惹かれるけれど、うまく言い表せずにぼんやりと認識していた好きなものについて、そのすべてを言語化してくれる本だった。
    紹介されている作品について、知っているもののほうが少なかった。本当にぼんやりとした認識しかなかったのだと改めて思ったのと同時に、そういった知識が少ないのにも関わらずゴシックハートがここにあるという不思議を思った。
    歴史を含め流れをすべて把握するのは難しいかもしれないけれど、文学・芸術方面で沢山の作品を知れたのは良かった。
    エピローグで、相反する心を持ち葛藤していた女性の話を読んで、二階堂奥歯さんじゃないかと思ったらやはりそうだった。こういう交流があったのですね。

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    2023年11月09日
  • 少年愛文学選

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    死と隣接する。「少年愛」という共通のテーマのもと集められているが故に、語り口の違いが際立つ。よかった。

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    2023年11月04日
  • ゴシックハート

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    立東舎文庫版も持ってるのに、ちくま文庫版も買ってしまった。凄く好きな本。あらゆるテーマから「ゴシック」について語られている。改めて自分の中にも「ゴシックハート」はあるな…と再確認。

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    2022年12月31日
  • 歌人紫宮透の短くはるかな生涯

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    満ちきたる波の大きを見上げたり見上ぐるままに溺れてゐたり (紫宮透)

    本作はあくまでフィクショナルな人物として1980年代を活躍した「天才ゴス歌人」こと紫宮透の、短く、そしてはるかな生涯を追っていく作品です。メタ的な読み方は慎むべきですが、それでも、本文中の紫宮の短歌からそれに関する批評から註釈までが、著者である高原さんから産み出されたのだと考えると圧巻ですよね。実在の人物や歴史的背景に造詣があるからこそ、本作のような「極度に文系な魂」のこもった素晴らしい作品が出来上がったのだと思います。
    ここからは作品自体の感想ですが、本作、何よりも紫宮透という人物の魅力が間然とすることなく際立っています。 紫宮透の歌人としての出発点が塚本邦雄というところが、まさしくゴス的かつ高原さんの他著(特に『ゴシックスピリット』)にあるようなイメージを体現させるようであり、高原さんの著作の耽読者である私からみて、とても魅力的なキャラクターでした。本作では彼の歌を初期のものから順番に繙いていくわけですが、晩年に向かうにつれ、初期にあった物々しさやおどろおどろしい作風がガラリと変化したり、解脱を思わせる感性の作品が増えていくところなどは、なるほど「その手」の作家たちの生涯と似通っている部分もあって頷ける部分もあり…とにかく80年代のゴス作家の雰囲気が余すところなく伝わってくるのです…。
    彼岸と此岸を彷徨い、あっけなくその存在を晦ませてしまった紫宮透の生涯は、短くもやはりはるかな、永遠のものとなりました。それはまるで、満ちてきた大波のような、力強く刹那的な生命の奔流…。本作と彼の歌とを通して、私もまたひとつの永遠に溺れることができたように思います。

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    2022年11月15日
  • 少年愛文学選

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    男性作家による「少年愛」をテーマに編まれたアンソロジー。面白さでいえば川端康成の「少年」だ一番でけど、初めて読んだ山崎俊夫の「夕化粧」の雰囲気が印象深い。ちょっと他の作品も読んでみたい。収録作の中では編者である高原英理の「青色夢硝子」がやや浮いている印象が拭えずこれはない方が良かったように思う。
    しかし、それ意外の作品のチョイスは良く、いずれも読んで面白く収録作の構成も良く考えられている。また、編者による解説もなかなか読み応えのあるもので良かった。

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    2021年05月17日
  • 歌人紫宮透の短くはるかな生涯

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    ゴス歌人・紫宮透という架空のニューウェーブ・アイコンを中心として紡がれる80年代サブカル曼荼羅。

    別に「エモコア水墨画」とか「グラムメタル演歌」とかでも良かったのかもしれないが、別の時代では咲きえなかった徒花として「ゴス」の刹那性に説得力がある。

    人生の終え方が「らしいなぁ」と思わせる。

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    2019年03月28日
  • 逃げられない ホラー傑作選

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    ホラー傑作選。8つのストーリーで構成されている。作品すべて、初めて読む作家さんの作品だった。作風が全然違うので、新しい世界に飛び込んだ感じで新鮮だった。特に面白かったのは、夢枕獏さんの「鬼走り」、三津田信三さんの「ドールハウスの怪」、澤村伊智さんの「えれんとわたしの最後の事件」牧野修さんの「おもひで女」、読んでいて世にも奇妙な物語を思い出した。明日から3連休!どっぷり本に浸れるなー。

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    2026年10月09日
  • 逃げられない ホラー傑作選

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    『こんなはずじゃない』に比べて全体的に緊張感がある。後味悪い系が好きな方には『こんなはずじゃない』サスペンスホラー系が好きな方はこちらがオススメ。
    「ガイアファの行かない地獄」は猿夢かと思ったら全然そんなことなくて面白かったです。
    「えれんとわたしの最後の事件」はちょっと設定にはいりこめなかった。シリーズものなんかな。

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    2026年09月23日
  • 高原英理恐怖譚集成

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    ある法則に従って町の人が次々と不幸に襲われる「呪い田」、死んだ人間が生き返ってしまう「グレー・グレー」など、不気味で猟奇的で幻想的な恐怖譚集。
    死者と交流する事ができる少年の恐怖を描く「かごめ魍魎」の恐怖表現は凄まじかった。

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    2026年03月19日
  • 乱歩心象作品集

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    ネタバレ

    「断頭台」がこっわい!趣味悪い!(褒めてる)
    他のアンソロジーや長編で見た作品もちらほらあった。やっぱり私は江戸川乱歩は短編が積み重なった小説、それも探偵小説が好きですね…。

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    2026年03月04日
  • 高原英理恐怖譚集成

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    どの話も怖かった。
    個人的には怖すぎてちょっと耐えがたい。
    「樹下譚」は筆者も言うように特殊設定なラブストーリーという趣があり、なんとか読めた。
    耐えられたのはそれくらいであとは全部怖かったし不気味だった。怖い以外に感想が出てこない。

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    2026年02月26日
  • 乱歩心象作品集

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    そりゃ、乱歩と高原英理ときたら、面白くないわけがない。
    同じ中公文庫の、「川端康成異相短篇集」の流れを汲む企画だと思うが、連想したのは、たとえば「稲垣足穂の世界: タルホスコープ」(コロナ・ブックス 132)。
    ある作家の要素を抽出する、というか、キーワードを立てて視座を置いてみる、という作業は、編者にとって半ば読書、半ば作家評論、と愉しい仕事なのではと想像する。
    「夢遊」「恐怖」「人形」「残虐」「身体」「錯視」「浅草」という章立て=切り口の提示こそが、編者の仕事。
    本書は切り口の解説と、作品ごとの解説もあって、かなり手取り足取り。
    で、そのサポートを得て、個人的にさらにザックリまとめるならば、乱歩の五感の中でもとりわけ視覚と(視覚が遮られたときの)触覚の優位が、この作家の読み味だ、と。
    五感のうち視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、どれにこだわってその作家が文章を書いているか、みたいな統計をもとに、グラフを提出するのも、面白いかも。
    思春期の頭でっかちな時期に乱歩を読んだら、空前絶後の観念的飛翔(想像力)こそを、と求めがちだが、本書に「身体」という章があり、そのある種「平凡な立項」こそ、中年のいま読んでよかったと思う。
    特に作者解説にて、「乱歩は身体という不可思議を前に、その都度次々と異なる角度からの多様な語りをやめることがなかった。」と。
    なるほど!
    上に視覚と触覚とつい取り上げてしまったが、身体性への興味を、手を変え品を変え、何回も何十回も何百回も(全集にして30巻ぶん)書いたからこそ、このようにテーマを立てることができる土壌が生まれたのだ、と。
    幻想とか唯美とか、観念でこねくりまわせそうなものを、乱歩は作風ゆえ、傷つけられ玩弄される「身体」を、描かなければならなかった、というか、描きたかった。
    その抽象と具体が切り結ぶところに、幻想文学と探偵小説の交点を、見出してしまおう。
    (脱線するが、押井守も宮崎駿も三島由紀夫も、頭脳派ゆえ、中年以降身体への回帰。)

    カバーイラストも素敵。
    皆川博子で知った、佳嶋さん。

    @

    乱歩の心に映る執着と愛着、強迫的な思念、どこかへと惹かれてゆく心の有様……。
    江戸川乱歩没後60年。その作品から、詩人のように一瞬の輝きを掬い取った、名場面をピックアップ。
    「夢遊」「恐怖」「人形」「残虐」「身体」「錯視」「浅草」の七つの切り口で、作品を精選。乱歩の神髄・魅力を凝縮した一冊。

    *編者より――
    「心象」は宮沢賢治が『春と修羅』を「心象スケッチ」と呼んだその「心象」です。乱歩の心に映るもやもやした執着の数々が、ときに見事な短篇小説としてときに長篇小説の一場面としてあるいは随筆として具象化され語られたもの、という意味で考えました。
     それら自体は詩ではありませんが敢えて詩を読むように非物語的高潮に焦点をあててみるという意味でもあります。

    目次
    ■夢遊
    白昼夢
    大魔術(「魔術師」より)
    火星の運河
    ■恐怖
    底なし沼(「影男」より)
    ある恐怖
    暗黒世界(「白髪鬼」より)
    断頭台(「魔術師」より)
    お勢登場
    ■人形
    人でなしの恋
    人形
    魔法人形(抄)
    悪霊物語
    ■残虐
    残虐への郷愁
    情痴の極(「盲獣」より)
    恐ろしきランニング(「地獄風景」より)
    句
    ■身体
    飛行する悪魔(前半・「緑衣の鬼」より)
    芋虫
    ペテン師と空気男(抄)
    芋虫ゴロゴロ(「盲獣」より)
    水族館の人魚(「蜘蛛男」より)
    闇に蠢く(抄)
    ■錯視
    レンズ嗜好症
    映画の恐怖
    恐しき前兆(「暗黒星」より)
    鏡地獄
    目羅博士の不思議な犯罪
    パノラマ島綺譚(抄)
    ■浅草
    死人の腕(前半・「一寸法師」より)
    浅草趣味
    木馬は廻る
    ◇解説 高原英理

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    2026年02月24日
  • 乱歩心象作品集

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    ネタバレ

    テーマごとの面白さや関連性、乱歩の随筆などで背景が分かるのは面白かったが、初めて読む話で「ほうほう」と思っているうちに終わる(長編は一部抜粋で掲載されているから)ので、続きを知りたいままに終わってしまうもどかしさがあった。今までに読んだ短編も再び読んだ。それらが秀でた作品だからか、それとも二回目だから理解が進んだということなのか、印象が特に深く、いい話だと思った。

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    2026年02月17日