橋本陽介のレビュー一覧
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「かさたなはまやらわ」の順番の根拠はサンスクリット語から、「はひふへほ」だけ半濁音がある理由、日本語の母音はなぜ5つだけなのか、575、337拍子などがなぜリズムがあると考えられるのか、実は日本語は4拍子!?との説明は目から鱗だった。古文、英語、中国語その他外国語の知識に及ぶ興味深い説明の数々。「ら抜き言葉」「さ入れ言葉」「全然~ない」の問題とむしろ合理的な変化の途中との説明は非常に柔軟だ。「連濁のルール」「赤・青・黒・白い、また黄色・茶色いと言いながら、緑い」と言わない理由、など著者は生徒たちに不思議と思うことを書き出させ、約70の問いに答える形での本となったもの。
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この本を、というよりは物語論を、少々誤解していたのかもしれない。
かねてから物語論に興味があり、筒井康隆の『文学部唯野教授』、中公新書の「批評理論入門『フランケンシュタイン』解剖講義」と読んでみて、引き続く形でこの本も読んだ。
ぼくとしてはカグヤ型とウラシマ型の貴種流離譚や「行きて帰りし物語」みたいな、昔話チックな物語のアーキタイプを知りたかったのだが、物語論はどうやらそういう学問ではないようだ。
どうも気づくのが遅すぎた。ユング心理学やキャンベルの比較神話学でも読んだ方がよかったらしい。
そうではなく物語論の本なので、中公新書のもこの本も叙述の速度や視点、人称といった、専ら物語の形式的な -
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完全な初級者向けとして書かれているけれども
用例の紹介の豊富さと、扱う理論の幅の広さは
今あるもののなかでは随一と言っていいのではないだろうか。
形態論、文体、構文、ナラティブの問題、展開などなど、
物語にまつわるものでいったら、あとは読者論くらいじゃないだろうか。
個人的に物語論の大事なところは
文章の技術と効果から純粋に物語をすくい出すところだと思ってる。
それは物語の物語性は、ほとんど人間性の基礎に根付いているからです。
ただの断言ではありますが、これに対しては物語に対する飢えが
少なくとも私に存在しているからそう言っています。
また、もっとも応用という意味でもすくいあげられた物語 -
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ナラトロジー:物語論
その昔、ウラジーミル・プロップについて知りたいと思ったことがあったので、本書で概略を把握できたのはよかった。
プロップの「31の機能」は、ロシアの魔法昔話という非常に限定的な対象に適用されるものであるが、物語のパターンの分析を最初に行ったという点で歴史的意義がある。
本書は理論編の第一部と分析編の第二部に分かれる。
日本語と他言語の違いなどが語られる第一部は面白く読めた。が、楽しみにしていた第二部は期待ほどではなかった。
『エヴァンゲリオン』『スラムダンク』『進撃の巨人』と、キャッチ―なタイトルが並んではいるが、正直客寄せパンダ感は否めない。 -
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プロップ 31の機能
物語の筋の展開に直接影響を及ぼす人物の行為
人物は機能に従属する存在、キャラクター性やその心理などはあまり重要なものではなく、何をするかという役割の方が大切(敵対者、贈与者などとその役割で呼ぶ)
vs. 近代小説では人物が「個人」として描かれるようになり、その心理も重点的に描かれることが多くなった。人物を1つの存在として描くようになった
昔話のように比較的単純な物語では、まだその個性は豊かではなかったので物語を展開させる行為が特に注目されることになった
クロード・ブレモン
物語の展開=可能性の論理
1行動が起こる前
2行動が進行中
3行動が終結
箱を渡されればそれ -
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副題が「最新言語学Q&A」となっていて、言語としての日本語に、起源・音声・語彙・文字・文法などなど、多方面からアプローチしたもの。「日本語本」は好物で、目につくと読みかけてみるのだけど、安直な内容で期待外れってこともある。その点、本書はかなり専門的な内容にも踏み込んであって興味深かった。
著者の専門は中国語。「お言葉ですが」シリーズや「漢字と日本人」の高島俊男先生も中国文学の専門家だ。日本語を考えるには、漢字についてのきちんとした知識が必須だなあとあらためて思う。日本語は、もともとは文字を持たない言語であったが、中国から入ってきた漢字を取り込み、長い時間をかけて今のような姿になってきた。つい -
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普段は特別に意識もせずに日本語を話したり書いたりしていますが、外国語を勉強してみると、日本語の特徴が分かってくるようになりました。
英語と日本語は使う言葉が完全に異なるので意識しませんでしたが、中国語の勉強を始めて、日本語と中国語には似ている部分と似ていない部分があることに気づき始めました。
そんな私にとって、この本には興味あるネタが沢山含まれていました。特に前半の6章までのQ&Aは面白かったです。
以下は気になったポイントです。
・日本語は朝鮮語と似ている、文法体系・語順・助詞・動詞の活用による敬語が複雑に発達している・「が」「は」の使い分けがある等(p23)
・現代中国語の標準語