あらすじ
国語の授業はとかく批判されがちである。つまらない、役に立たない、小説を読む意味はない、といった声が聞こえてくる。そのため、論理力をつけるための内容に変えるべきだという意見も強まっている。でも、それで本当に国語の力はつくのだろうか? そこで、文学、論理といった枠にとらわれないで、読む力・書く力を身につけるための新しい考え方を提案する。これまでなかった国語の授業がここにお披露目される。
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Posted by ブクログ
「物語論」を専門とする筆者が国語教師の経験をもとにあるべき国語教育について語った本。
久しぶりに大変学ぶところの多い本だった。
・文章の読み方は、三つ
‐ 作者の立場で読む。作者がどのような状況で文章を書いたか
‐ 読者の立場で読む。文章が読者に作用する
‐ 物語の型として読む
・文章をわかりやすく書くには、読者の期待に応えていくこと
・「序論、本論、結論」は、どの階層でも意識する。
・「全体・抽象→具体→全体・抽象」は典型的な「序論、本論、結論」
・謎解きが、物語を面白くする。
・物事の時系列的な因果関係を示すものはすべては物語として語られうる。
・情報リテラシーは、SNS時代にあって極めて重要。「本当に、そういえるのか」を常に問う
Posted by ブクログ
これはいい本。
第4章くらいまでは各章の内容は面白いものの、関連がイマイチわからなかったのだけど、後半のまとめ方がすばらしい。伏線を綺麗に回収したミステリを読んだような読後感。
”すべての事実は物語られる”という最終章のタイトルもいい。小説(フィクション)なんてなんの役にもたたないと考えている多くのリアリストは、この本を読み終えた後、きっと認識を改めると思います。
Posted by ブクログ
タイトルと中身が合ってない。どっちかというと「今の国語の授業はつまらない」「こういう風に考えたら面白くなるんじゃないか」という話と、「論理的に書くというのは具体的にはどういうことか」という話。
「羅生門」「舞姫」を解説したところがわかりやすくて特に面白かった。7、8章はよくあるメディア論、ネット論で蛇足かな。
Posted by ブクログ
現状の国語、特に小説の授業の課題とその克服が語られるのかと思いきや、現在の典型的な国語の授業を検証するまでは良かったのだが、この本の中盤の文章の書き方なついての記述はかなり唐突な印象を受ける。ということで、全体の構成は分かりづらい。ただし、得ることもあるのがこの本。特に「物語」についての記述。筆者は物語とは「時間的展開のある出来事を語ったもの」とし、そこに因果関係が存在するとしている。そして、一見して客観的に語られると思われがちな報道なども、実は物語的に語られるのが多いのである。日常で語る・語られる文章が時間軸を持った物語的に構成されていることが多いのであるとしたら、やはり国語で物語を検証するということは必要不可欠に思える。
Posted by ブクログ
国語はそもそも何を学ぶ学問なのか。役には立たないのではという批判に答えつつ、論理的であることや、リテラシーなど国語周辺について語ってくれる。
国語を教える立場にある人と、いま国語を学習している人にはあまり直接的に得るものはあまりないように思う。学生の頃に国語の授業がつまらなかったと思う国語学習はとっくに卒業した大人辺りが一番面白く読むような気がする。
・学校での小説の扱いが「心情中心主義」「鑑賞中心主義」なのは狭すぎる。
・外国の小説をよむことで、相対的な視線が得られる。
・知識がどのようにできあがってるのか知るのが重要。
・教養のない人ほど真実という言葉を使いたがる。