樫崎茜のレビュー一覧
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中2の2学期。職場体験の受け入れ先が、希望していなかった県立自然史博物館になった5人は、全員別々の仕事を手伝うことになる。
理科の成績のあまりよろしくない多嶋育実は、魚類を受け持つことになったが、着任してすぐ連れて行かれた漁港で不思議な生態のミツクリエナガチョウチンアンコウと出会う。
古脊椎担当になった橋本恋歌は、遅刻してきた担当者と話すうち、化石が入っているかも知れないノジュールに関心を持つ。
博物館に全く関心のなかった5人が、それぞれの経験から一歩成長する姿を、5人が語るオムニバス形式で描く。
*******ここからはネタバレ*******
博物館の活動紹介のための教科書的な本。
5人の心理描写、ストーリー展開にも、注目すべきところはない。
推薦ポイントがあるとすれば、科学への好奇心を刺激するところで、おそらくそれが最大の目的で書かれたのでしょう。
主人公は中学生ですが、内容は平易。科学への好奇心があれば中学年から読めます。 -
Posted by ブクログ
母と二人で暮らす中学1年のあかりは、怪我を機会に3年間熱中したスポーツクライミングを止めようとしていたところ、視覚障害者のブラインドクライミングへの挑戦を渋る同い年の少年昴と出会う。突然昴のナビゲーターをやることになったあかりは戸惑うが、これを機に視覚障害の世界を知り、関心を湧かせ始める。昴のやる気の無さと自身の復帰意欲のなさとを重ね合わせる彼女は、彼の大会参加に意欲を感じ始めるのだった。
スポーツクライミングを軸に、視覚障害者の世界と気持ちを知って、チャレンジする気持ちを取り戻す少女の物語。
*******ここからはネタバレ*******
スポーツクライミング、ブラインドクライミング、視覚障害者の世界の解説書のような本。これらの世界に興味を抱かせるにはちょうどよいのではないか。
ただその分、物語としては不自然な点が多い。
昴と出会ったあかりが、順調とは言えないスタートを切ったにもかかわらず、彼とブラインドクライミングに固執したのはなぜなのか(そんなイケメンとも書かれていなかったし)?
周りの大人が、あかりに昴を更衣室まで案内させたのに、事故が起きるまでその方法を伝えなかったのは、大人の責任でしょ。
中学1年で、異性と体が接触することに抵抗のない人は少ないはず。あかりがなんの抵抗もなく彼の背中にホールドの絵を描いたところには、ちょっと驚く。
人物の心理描写や物語の運びは教科書的で面白みに欠けますが、教科書的だからこそ描けているところも多くて、これを「良書」として推薦できるのか?と、問われたら、とりあえず及第点なでしょう、と応えるかもしれない一冊です。
ただ、10年後に残っているか?と問われると難しいのかも。人の心に残るには、強い感情とセットでなくては。
中学生が主人公ですが、内容は平易。過激な描写もないので、中学年からイケます。 -
Posted by ブクログ
博物館に職場体験に行った5人の中学生。博物館の裏方を知るにはわかりやすい。特別望んできたわけでもない中学生たち。博物館の仕事自体にも新しい発見の連続だったようだが、一緒に職場体験をした仲間たちの今まで知らなかった一面を発見できたことも大きな収穫だったようです。
自分が実際に職場体験の中学生と接したときの感想から言うと、この本に登場する中学生たちは、みんな積極的。ほとんどの中学生たちは、もじもじとしていて自分から質問してくる子は少なかった。ボランティア(学校の過程としての)で来てくれる高校生とも接したけれど、高校生くらいになればこの本の中学生くらいの反応はしてくれるけれども、職場体験で一律に課せられた中でやってくる中学生は、みんな総じておとなしすぎて反応がわからなかったような…。
ともあれ、こういった職場体験が彼ら彼女らの仕事をするという意識に結びついてくれているのなら歓迎なのですが? -
Posted by ブクログ
夏休みや運動会などのふくらませがちな場面にほとんどふれることなく、これだけの分量を文体を狂わすことなく書きあげていて、ストーリーも無理なくまとまっていたので読みやすくはあった。ただ、無難に丁寧だという印象をうけ、著者の持ち味が最後まで見えてこなかった。
セコイア伐採の日まで、毎朝早起きをしたり著名運動をしたりと、栞のセコイアへの想いは日に日に強くなっていく。そのことを(佐山先生との交流とともに)ずっと重点において丁寧に書きすすめたわりに、セコイア伐採の場面から感じられるものがあまりにも少なかった。あっけなく伐採されたことが、そのまま文の短さにまでなってしまっているとしか僕には捉えられず、たとえば時間の経過の表現方法として著者がわざとそうしたのだとしても成功していないと思った。
僕がこの小説でいいと思ったのは、敦志くんと千晶くんという二人の男の子をしっかりと描き分け、物語のなかで(栞のなかでもそうかもしれないが)二人の役割分担がなされているところだ。敦志くんの思いがけない変化や、千晶くんのいつも変わらぬ温かいまなざしは、本文にははっきりと書かれていないが二人の友達が『異性』であることを栞が意識しはじめる予感があって、なかなかよかった。