青山誠のレビュー一覧
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セツの人生を知りたくて読書。
今秋の連続ドラマは、小泉八雲の妻セツをモデルにした物語とのことで、どんな女性なのかと興味を持つ。
小泉八雲は、多くの日本人は知っているだろう。逝去当時も米国で報じられたそうなので、当時も世界的な知名度はあったようだ。
しかし、ハーン(八雲)がどんな性格だったのか、どんな経緯で来日したのか、代表作『怪談』はいかにして誕生したかの歴史は知らなかった。
セツは共同制作者で、セツの存在なくして、小泉八雲の作品は誕生しなかった。
その割には、これまでセツにはスポットが当たっていなかったようだ。
今回の連続ドラマでセツが注目されるのであろうか。
八雲は、神経質で不安気質持ちの、いわゆる面倒くさい人だったようだ。
明治元年生まれのセツは、明治維新の激動の中で、崩壊する武家社会に翻弄されて苦労したようだ。尋常ではない忍耐強さの持ち主で、よく“一国者”の八雲と付き合っていけたもんだ。
本書では、セツ自身が物語を語る能力を持っており、八雲の創作を支える重要な存在として描かれている。彼女が伝承物語を語り聞かせ、八雲が編集・創作力を加えることで作品として仕上げるというのが共同作業の核となっている。
2人の異なる性格、趣味嗜好などが対比的に描かれ、それでいて良きパートナー、理解者として信頼し合う関係性がおもしろい。
八雲死後のセツを描く最終第6章は、セツが次々に重荷を手放して身軽になったことで人生を謳歌している姿が目に浮かぶ内容となっている。
抱え込んだものを手放すと、生きるのが楽になり、悟りの境地に至るとも言われる。そんな感じだったのだろうか。
互いの違いを理解し、乗り越えようとしてきた八雲とセツの夫婦像は、多様性が叫ばれる現代を生きる我々にも大いに考えさせられるものがある。
読書時間:約1時間35分 -
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三淵嘉子の人生を知りたくて読書。
版元の都合でNHK朝ドラの言葉が使えないようだが、2024年4月1日スタートの朝ドラのモデルとなった女性として興味を持った。
まず、読み物として面白かった。グイグイと引き込んでくれる魅力ある人生だったんだなと思う。
人間関係が面白く、まさにドラマ向きなんだろう。
読み終わって、ウィキペディアで登場人物を確認してまた読み返す。
三淵嘉子の人生とは直接関係ないが、嘉子が生まれた1914年(大正3)のシンガポールの在留邦人数に驚いた。
嘉子の名前は、新嘉坡(シンガポール)に由来するそうだ。
「良いところのお嬢さんが恵まれた環境で能力を発揮した」
と書くと身もふたもないが、女性初を多く獲得したホルダーとなり、偉大な法曹界のパイオニアとなる。
全編を通して嘉子の快活で表裏がない人間性、他者や子供に対する温かみと愛情、信念を原理原則とした行動。その一方で、信頼する家族の前での“暴君”、素の性格のエピードなどはクスリとさせてくれる。
嘉子らが切り開いた女性の社会進出だが、現在の男女平等・ジェンダー論は、日本の文化・習慣とは方向性が違っているように感じるのは僕だけだろうか。
今の日本の男女平等・ジェンダー論を嘉子はどう思うのだろうか。
せっかくの魅力的な人物の一生涯。編集部で年表や人物関係図を作成して巻末にでも添えれば、より読者に伝わって良かったのになと感想。
読書時間:約1時間10分 -
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戦艦大和が残したものを知りたくて読書。
戦艦大和を数字で分析していく本。当時の日本の国力や取り巻く世界情勢なども交えて客観的に浮かび上がってくる。
特に最後の「第五章 戦艦『大和』戦後の収支決算報告」を興味深く読ませてもらった。
今考えると当たり前かもしれないが、日本国民が戦艦大和の存在を知ったのは終戦直後だったというのを改めて知る。
また、戦艦大和で培われた技術は戦後、カメラのレンズ、ホテルの回転レストラン、世界最大のタンカー、原子力施設などで生かされたそうだ。
数百億円規模かかるとことだが、いつの日か戦艦大和を引き上げる日が訪れるのだろうか。
軍国主義を賛美するわけではなく(そんなの少数派だろうし)、より客観的な総括と歴史の教訓とするための戦争遺産になるのではないだろうか。
当時の兵たちのうさばらしの費用も細かく調べられていて唸らせてくれる。
韓国で信じ込まれている“性奴隷”やら“強制連行された慰安婦”の問題の資料にもなりそう。
読書時間:約50分 -
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明治維新での兵士と教育について知りたくて読書。
本書は、幕末から明治維新、明治時代を収支決算、つまり、「お金」で読み取っていく本。一般的な歴史本とは違った視点が浮かび上がってくる。
現代日本で山積する課題の中でも教育改革は特に筆頭格で叫ばれると思う。
現在の日本の教育制度は、明治期に制度設計されたものが苗床になっている。子供たちの得意分野や能力を伸ばしづらい平等、平均点主義が色濃いのが特徴だ。
その目的は、本書の言葉を借りると、「死を恐れぬ最強の兵士、過酷な労働を厭わぬ女工たち。」(P159)を大量生産することを目的としたものだったから。
現在の会社員中心のサラリーマン社会も、戦後、各種税金の徴収をしやすくするために促進したとされる。それに加えて、何十年もの住宅ローンを組んで「持ち家を持つことがサラリーマンの夢」みたいな風潮を作り上げることで、より安定した会社員を辞めないようにしたとも言われる。
日本は、独立してフリーランスとなったり、起業したりがいまいち盛り上がらないのは、そんな戦後の社会風土が影響していそう。
閑話休題。【第四章】最良の兵士と労働者を育んだ教育制度を特に興味深く読んだ。
明治になってから教育費負担が格段に増えたことがわかる。
最後の第五章で触れられる「国税収入に占める酒税の割合」(P197)。日清戦争開戦から終戦直後は、国税に占める割合が35%を超えていて驚く。
朝鮮戦争の開戦後も大きく割合が増えている点も面白い。統計最新の2005年の割合は3.4%とのこと。
それにしても、明治維新直後の欧米への外遊、お雇い外国人、国費留学へ膨大な費用がかかっていたこと。果たして、それらが、30年後、50年後どのくらい国益となったかを検証して、様々な説を考えてみるのも面白いかもしれない。
歴史をかじった人間には、よく知られているグラバーを始めとする幕末の外国武器商人たちは、トータルでは意外にもあまり儲かっていなかったそうだ。
読書時間:約1時間5分 -
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浪花千栄子について知りたくて読書。
浪花千栄子はNHK連続テレビ小説で取り上げられるまで知らない人物だった。浪花千栄子の生涯がよくわかり面白い。
今年話題となった親ガチャを思い出すほど親に恵まれず苦労したようだが、その苦労が「昭和の怪女優」の礎となったのだろう。
それにしても当時の一部の人たちの人間性、品格はひどいものだ。現代だったら連日のように謝罪して、社会から抹殺されてそうだ。
苦労したからこそ、他人の気持ちを理解したり、考えたり、寄り添ったりできるのだと思う。そう考えると、三世議員が主流となってきた苦労知らず(と思われる)の与党の議員たちは、本当の意味で街場の庶民たちの気持ちを理解するのは難しいのではないかと思ってしまう。
良くも悪くも田中角栄のような政治家が、今に日本には必要なのではないかと浪花千栄子とは無関係ではあるがふと考えてしまった。
離婚して、一度芸能界から離れ、再び表舞台へ戻ってきた以降のエピソードをもっと読んでみたい。
読書時間:約1時間 -
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日韓併合について知りたくて読書。
数字や統計を通して「日韓併合とは?」を考えることができる。
なぜ併合したのか。どんな政策をしたのか。何へどんな投資したのか。何が成功で何が失敗だったのか。現代へ残る影響。
比較的に近い近代史とはいえ、現在の歴史観、価値観で見ると真実を正しく理解できない。また、日本と朝鮮半島だけで考えてしまうとこれまた1地域史になってしまい見誤る。当時の世界史の流れを踏まえて振り返る必要がある。
朝鮮人、現地日本人(日本出身者)、内地人(日本在住日本人)の職業、業種別の賃金比較表が興味深い。
韓国に関わる多くの問題は戦後、変化した日本人の意識によって日本発で韓国へ飛び火して現在も炎上しているものが多い。
まずは日本人自身がそれをしっかりと自覚し、総括しなければいけない。日本国内の認識を正すことが韓国との水平な関係への1歩となるのではないか。
それでも韓国との関係に変化がないようであれば、政治も経済も民間交流も適切な距離での「ご近所付き合い」の関係という選択肢もいいのではないだろうか。
いずれにしても日韓併合から今日に至るまで抱える諸問題は、日本発だったり、日本が種を蒔いたことが多い。日本の名誉ののため、子供たちに正しい歴史を継承するためにも日本がしっかりと学び直し、蒔いてしまった種を回収、刈り取って是正しないと、偽りの歴史が正史になってしまうと危機感を抱く。
読書時間:約1時間20分 -
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NHKの「バタフライ·エフェクト」の銀座の回を観てから、笠置シズ子さんというブギウギの女王に興味を持ったことから、この本を手に取りました。
正に、時代が人を必要とすることがあるとするなら、この人もそうだなと思いました。敗戦があり、意気消沈した日本国民がそこにいたから、笠置シズ子さんと彼女の歌があった。嫌なことも辛い思い出も、全て彼女の強烈な歌でぶっ飛ばした日本人もきっと多かったのだと思います。
私の母も、生前私が小さい時に、彼女の歌をよく口ずさんでいたのを覚えています。それくらい、インパクトがあった。
そして、役割を終えたあとは静かに身を引いたところも素晴らしいと思います。やはり、自分勝手かもしれませんが、日本国民は戦後の辛い思い出をいつまでも、この歌と一緒に思い出したくない。笠置シズ子さんの顔も歌も、時が経てば戦争や戦後を思い出させるものになってしまいます。立派な関西のおばちゃん。そんな彼女の生き様を十二分に堪能できた1冊でした。
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女性初の裁判所所長の素顔素顔 NHK連続テレビドラマの主人公ということで本を買ってしまった。
恵まれた家庭に育った嘉子は法学の道に進む。弁護士の資格を取得するが結婚もする。だが大東亜戦争のため、人並みの苦労もする。
元々、能力も高く、人間力も高く、自分でどんどん道を切り拓いていくのが小気味よい。
220頁程度の本では彼女の苦労や仕事の成果を十分語ることはできないだろうが、パワフルでリーダーシップに長けた女性であったことは分かった。
三淵という姓は再婚後のものだというものを初めて知った。一人息子を連れて、3人の子持ちと再婚。本人は良いかもしれないが、子ども達は大変だったろう。
女性の立志伝としては特に珍しいものではなかった。逆の言い方をすれば、この時代の女性は押し並べて男尊女卑と根拠が無茶苦茶な男女格差と闘っていたのだということがわかるというものだ。
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表紙がフルベッキ写真なので、最初はかなり胡散臭い本なのでは?と疑ったけど、なかなか面白い本だった。特に幕末の出来事をカネの視点から分析しており、なるほど!と思わされることも多く、その部分に関しては星5つ。ただ、輸入関税を下げさせられたのは長州による下関での無謀な攘夷行動の代償やのに、その点については曖昧に書いていたのは気になった。日清日露戦争あたりの話以降は単なる国の収支の話が主であまり面白くなかった。
なお、「おわりに」にある「日本も植民地になっていたら良かったのでは?」というのはあまりに極論。また、アメリカ大統領ウィルソンが唱えた民族自決権によって、あたかも第二次世界大戦後にアジアやアフリカが独立したような印象操作も強引。