あらすじ
世界一の威容を誇った戦艦大和。これまで大和はありとあらゆる評論・創作物で取り上げられてきた。悲劇的な最期を綴ったものもあれば、開発秘話や性能を紹介するもの、そして大和が大活躍する架空戦記など枚挙にいとまがない。
しかし、これまでに表立って論じられてこなかった側面がある。それがコスト――金銭面から大和を解剖することだ。
大和の建造費は国家予算の実に4パーセントが費やされたとされる。しかし、「主砲弾一発の価格はいくらなのか?」「停泊時に消費される石油の価格はいくらなのか?」「乗組員たちの人件費は?」「建造時の秘密保持のための費用は?」「建造費の粉飾はどのようになされたか?」といったことはほとんど語られていない。
戦艦大和が兵器であった以上、コストと成果は切り離して考えることができない問題だ。そしてコスト面から読み解くことで、大和のまったく新しい姿が見えてくるはずである。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
戦艦大和が残したものを知りたくて読書。
戦艦大和を数字で分析していく本。当時の日本の国力や取り巻く世界情勢なども交えて客観的に浮かび上がってくる。
特に最後の「第五章 戦艦『大和』戦後の収支決算報告」を興味深く読ませてもらった。
今考えると当たり前かもしれないが、日本国民が戦艦大和の存在を知ったのは終戦直後だったというのを改めて知る。
また、戦艦大和で培われた技術は戦後、カメラのレンズ、ホテルの回転レストラン、世界最大のタンカー、原子力施設などで生かされたそうだ。
数百億円規模かかるとことだが、いつの日か戦艦大和を引き上げる日が訪れるのだろうか。
軍国主義を賛美するわけではなく(そんなの少数派だろうし)、より客観的な総括と歴史の教訓とするための戦争遺産になるのではないだろうか。
当時の兵たちのうさばらしの費用も細かく調べられていて唸らせてくれる。
韓国で信じ込まれている“性奴隷”やら“強制連行された慰安婦”の問題の資料にもなりそう。
読書時間:約50分