私は新一と蘭のエピソードより小五郎と英理のエピソードのほうが実は(実は?)好きです。
「偽新一事件(しょっぱなから重大なネタバレを犯す私の最低さ)」はアニメで見て『うわー。また大コナン(新一)の話かよー。めんどくせー。マリオじゃねえんだから大きくなったり小さくなったりめんどくせーんだよー』とか思って見たのですが、今回は大コナンのエピソードの中でも一番秀逸だったかと。
自ら作りあげた今までの定石(コナン→新一の流れ)、(通用しないことも多いけど)ミステリにおける一般的な常識(探偵は殺人を犯さない)を逆手に取った名エピソードですね。
残念ながら整形のくだりは簡単に読めたんですが、まあそれを加味しても十ニ分に面白い。こういう「ひとつのトリックがわかっても(あるいはすべてのトリックがわかっても)魅せることができるミステリ」っていうのが真に面白いミステリの条件のひとつであり、作者の優れた技量だと思います。つまりトリックだけに寄りかかってないってことですね。そういう意味でも素晴らしい。
また、一応モノ書きを名乗る私としては、今回の整形トリック(犯人が用いたトリックというよりは「作者が読者に対し用いたトリック」ですが)が「小説では実現不可能に近いトリック」である点にも注目したい。
以下テキトーな考察。矛盾はきっとある。たぶんある。
当然ながら新一(=コナン)の一人称は不可能。終盤まで出ないわけなので。
また、偽新一の一人称もちょいと無理かも。読者への公平さで言ったら限りなく黒に近いグレー。
三人称も地の文でやると完全アンフェアになる。登場人物に偽を「新一」と呼ばせればいいわけだが、叙述トリックに近くなるし、やはりグレー。
やるなら蘭・平次・和葉の一人称になるわけだが、まず和葉は一人称に用いるには今回の話にかかわりがなさすぎ。また、蘭は偽に対して違和感感じまくりだし、推理に絡んでいなさすぎるので除外。
残るは平次だが、一番適任と言えば適任なのだけれど、これもやはりグレーかなあ。前半で偽新一を信じすぎてるところがあるので、公平じゃなくなっちゃうから。
うーん、まさかコナンでこの書棚の感想最長記録を達成するとは思わなかったなあ。というわけで大いにべた褒めのコナン感想でした。