竹林七草のレビュー一覧
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夕霞の同僚の火車が夕霞のことを「この世の枠組みから弾かれた死者の思いや願いを、まるで自分のことのように捉え背負ってしまう。ペース配分なんぞ考えもしないあのバカは、いつだって全力疾走が過ぎる」とのたまうのだが、今回も生霊や地縛霊、お稲荷さんのために、目の下に隈を作りまくって、しゃかりきになって頑張るのだ。どれも感動的に終わるのがいいね。だが、その先輩の妖怪火車の命はあとわずかで尽きようとしているらしい。さて、悲しいことになって仕舞うね。ところで、お稲荷さんの姿として狐が出てきたけど、狐はお稲荷さんのお使いであって、お稲荷さん自身ではないよね。
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入社式当日に会社が倒産し路頭に迷う朝霧夕霞は、国土交通省の臨時職員の募集の張り紙を見て応募し、試験会場のおんぼろビルに行くと、なんとビルの屋上に居ついた地縛霊を納得済みで成仏させることだったのだ。国土交通省国土政策局幽冥推進課に努めることになった夕霞の同僚はすべて妖怪で、お仕事はやはり国の所有物に居ついた地縛霊に幽冥に行ってもらうことだったのだ。呪文が掛けられた張り紙の文字が読め、地縛霊も見える夕霞は持ち前のバイタリティで、地縛霊が心から納得して成仏できるよう奮闘する。地縛霊に寄り添う夕霞がなかなか感動的なんだよなあ。同僚の火車、百々目鬼、上司の辻神たちも結構魅力的だ。
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ネタバレ町を徘徊する黒い影。それは貴方が見つけてくれるのをずっと待っている。ずっと、ずっと。でも、もし見えたとしても、気づかないふりをしなくてはいけない。そうしなければ、貴方は後悔することになる。
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世にも奇妙なストーリー。このシリーズも早くも第四弾。回を追うごとに怖さの濃度が上がっている印象。今回も容赦なく怖い。帯に前の巻の感想が一言ずつ載っており、感想を述べた人物の学年が乗っているのだが、小学5年生から高校生までと幅広い年齢層が愛読している。
大人が読んでも十分楽しめる内容なので、この人気は非常に納得。怖い話もあり、感動的な話もありでいろいろ粒ぞろいだった。 お気に入りの話は「天井裏の足音」「町にひそむモノたち」「草笛亜沙美はなぜ幽霊になったのか」。
「天井裏の足音」
祖父が住んでいる古い日本家屋を舞台にした恐怖体験。祖父の家には曰くのある古い井戸がある。それはその昔、この家に勤めていた使用人が盗み食いを働き、怒った主人が井戸に逆さづりにして責め殺してしまったという話だ。小学生の頃はその話が怖くて怖くてたまらなかった語り手だが、中学生になると流石にその怖さは薄れてくる。代わりに、トイレまでの道筋にある渡り廊下の天井裏から人間が歩き回るような足音がすることに気が付いた。はじめは気のせいだとも思ったし、祖父に掛け合っても相手をしてくれないため気にしないようにしたのだが、ある日出来心で足音に向かって話しかけてしまう。それからというもの足音は存在感を増してしまった。正体が知れぬままというのはどうにも怖くなってしまった語り手は、天井裏にスマホを仕掛けて動画を撮影することにした。何とも知れぬものが屋根裏を足を音を立てて歩き回っている。しかも、平屋の日本家屋なので天井裏は非常に狭く誰かが入り込み、歩き回れる余地はない。最初は静かに歩いているだけの足音だったが、認知されていることに気づき、語り手に駆け寄るように足音が激しくなる。足音はどうやら渡り廊下しか歩き回れないようだが、あの明らかに走り寄ってきた音を聞いた後では、そんなことは気休めにしかならない。正体を知るため、決死の覚悟でカメラを仕掛け真相を探る語り手だが、読んでいる途中でなんとなく、その足音を立てている者の正体がわかってしまった。(当たってないほうが嬉しかった)真相を知った後、知らなければよかったと激しく後悔。でも、初めから答えは示されていたのだ。この家に出る幽霊らしい幽霊は一体しかいなかった。そして、その幽霊がどんな状態で死んだかを考えれば分かることだったのだが、足音がそこから響いていると思い込まされていたので、とても驚いた。この話は挿絵があったのだが、その挿絵がまた怖かった……。
「町にひそむモノたち」
大学生の友人が、実家に帰るといったっきり帰ってこない。心配した語り手とその友人は帰省した友人の実家がある町まで行ってみることに。その町はなかなか寂れた田舎だった。駅前には人がおらず、タクシーもない。駅の近くにあるといわれていた宿ですら、四キロ離れているというありさまだ。仕方なく歩いて宿を目指しつつ、友人の家を探すことに。しかし、初めての土地で右も左もわからない。町人に道を聞こうと、近くにいた老婆に話しかけようとするが、その老婆は普通では考えられないような、異形のものとあらわすにふさわしい風貌だった。関わり合いになりたくないと、語り手はその老婆を無視ようとしたのだが、何と友人は臆することなく話しかけてしまう。ぎょっとする語り手を尻目に、その老婆と話を始める友人。自分が見えるのかと老婆がたずねると、友人はためらうことなく見えると答えてしまった。この話がこの本の中で一番好みで、一番怖かった。絶望の度合いもぶっちぎり。友人の住む町に徘徊する異形のもの。目を黒い布で隠し、口を糸でジグザグに縫ってしゃべれなくしている。その風貌だけでかなりパンチがきいている。脳裏にその姿を思い描いただけで嫌悪感と恐怖に襲われる。そんな老婆によく話しかけられたよな、友人は。この時点で何かもうおかしかったのか?目隠しはともかくとして、口を縫われている時点で人間では何となく察せられるのに、それが「見えるか?」と聞いてきて「見える」と答えるのはご法度だろう。その後も、町を歩いていると異形のものがうろうろしておりどう考えてもまともな町じゃない。その後、友人の家に行き、(その友人の家で起った出来事も恐怖)電車を待っている間に立ち寄った町の資料館で、あの異形のものの成り立ちを知ってしまう語り手と友人。やっぱりご法度だったじゃないか……。それにしても、あの異形ものがどうやってできているかは分かったのだが、どこからやってきたものなのだろう。ある種の呪いの様に増えていく方法は資料に書いてあったので、よくわかったのだけれど。この異形のものの一番最初は何だったのか、これだけでもう一本小説が書けそう。しかし、こんなものがあちこちにいるのは嫌だなぁ。語り手の町には別の格好をした同じようなものがいるようなので、色々なバリエーションがあるのかもしれない。行く先々にもしこんなものがいるのだとしたら、もうどこにも行けない……。
「草笛亜沙美はなぜ幽霊になったのか?」
最初の雰囲気と最後の雰囲気が正反対で面食らった。住職をしている祖父をもつ大学生の語り手。祖父と同じく昔から幽霊が見える質の語り手は、時々除霊を手伝うようになっていた。そんなある日、突如祖父が「草笛亜沙美」という女性の除霊を任せてくる。除霊、といってもその幽霊が何故幽霊になったのかを解明し、幽霊に聞かせ説得して除霊するという穏便な方法をとっているので、そんなに大仰な事ではない。しかも、10万円というなかなかの報酬に二つ返事で了承した語り手だが、すぐに後悔した。何故かどれだけ調べても彼女の情報が出てこないのだ。自分がなぜ死んだのか全く分かっていない彼女の死因は、おそらく事故や事件に巻き込まれた突発的なものだと睨んだ語り手はいろいろなものを駆使して、彼女が死んだ理由を探るのだが、すべて空振りに終わる。そんな時、姉から彼女の正体を知る核心的な情報を得ることができたのだった。彼女の正体が知れるまでは、なんとなく明るい面白い雰囲気だったこの作品。しかし、彼女の正体が分かった次のシーンからがらりと雰囲気が変わった。正直、正体が分かった時、このままいい感じで感動的に終わるんだろうなぁ、と安直に考えていたのだが、そっち方向に転がるとは思わなかった。なぜ彼女が幽霊になったのかは納得できた。その理由が個人的な欲望に塗れていたとしても、よくわかった。しかし、祖父のその動機はどういう訳だ。なんでそんな回りくどいことをしたのだろう。語り手は跡継ぎになりたがってはいなかったが、それにしても強引すぎるし、結局は実にならなかった。祖父の目的がそこにあるなら、もしやこの草笛亜沙美の幽霊自体も仕組まれた事なのでは?と邪推してしまった。でもそうじゃないと、その後語り手の姉に起ころうとしている悲劇もあまりに都合が良すぎる……。
今回の本は、人間の心の醜さや欲望を現した作品が多かった。幽霊になってもなおその心を持ち、他者を陥れようとするのだからつくづく人間とは恐ろしい。 -
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ネタバレ知らぬまに、あらゆるものが逆さになっている鏡凪町。それは、地蔵の首だったり看板だったりと一貫性はない。少しずつではあるが、鏡凪町は変化し続けている。その昔、御神体の鏡が割れてしまったその日から……。
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昨日読み終えたシリーズ「世にも奇妙なストーリー」の第二弾。今回は前回の百壁町から舞台を移し、海辺にたたずむ鏡凪町。この町には鏡をご神体として祀っている神社がいくつか存在していた。その神社には邪なものをうつし浄化する鏡や、良くないものを跳ね返す力のある鏡などがあり、大切に保管されていた。しかし、ある日、友人の病を治そうとその鏡の一枚が持ち出され、謎の力で破損してしまったその日から、この町では物が気づかぬうちに逆さになったり、変なはやり病や妙なことが起こり始めた。それは想像を絶するような恐怖体験ばかり。今回は全体的に恐怖度が上がっていたような気がする。人間が怖い話もあったし、色々な怖い話が詰まっていた。 お気に入りの話は「集合写真」「ドアの向こう側から」「ボーリング場」「サカサのサカサ」。「集合写真」は母親の中学生の頃に顔がそっくりだといわれ続けており、本当にそっくりなのか確かめることに。かつて語り手と同じ中学校に通っていた母親はアルバムを見せてくれないので、仕方なく図書室で過去のアルバムを閲覧する語り手。該当するであろう学年の集合写真を調べていると、背景となっている校舎の窓に奇妙な影を発見する。この学校の生徒がどうやら映り込んでしまったらしい。横顔なのでどんな人物か分からないが、気にも留めず次のページをめくると映り込んだ人物がこちらに笑いかけているように感じた。予想外の展開に、驚く語り手。たまらず次のページをめくると、そこには映り込んだ人物はいない。やはり映り込みなのだと、安心してページを元に戻すと、そこには……。 写真と現実が共鳴するホラー。写真に写る少女と思しき影が語り手に迫る。この幽霊は人間的な実体を持たないようで、『足が横を向いたときに消えた』、という描写は最高。写真に写るそのままが来たという事なのか!と一人で感動した。隠れたはいいものの、うっかり見つかってしまった語り手。失神の後這う這うの体で帰宅するも、そこにもアルバムが……。 なんでこの幽霊はこんなにもこの語り手に執心するのか不思議だったが、理由はすでに話されていた。過去にこの幽霊と母親の間に取り交わしがあったのは構わないのだが、勘違いで巻き込まれた方の身にもなってほしい。「ドアの向こう側から」はなかなか恐ろしい展開だった。この町にある噂に否定的な態度をとる語り手。サカサの世界の住人。つまりあの世の人間なんかいないと否定したところ、玄関のドアの方からノックの音が。時刻は午前二時、草木も眠る丑三つ時。そんな時にノックをしてくる物なんて、人間だったにせよそうじゃないにせよ、ロクなものじゃない。異様な雰囲気に自室に逃げ帰る語り手であったが、翌日から更にエスカレートし、恐ろしい目にあうことになってしまう。 最後の展開もさることながら、そこに至るまでの話も結構怖い。サカサの世界の住人を否定してしまった事により引き起こされた悲劇。であるのだが、幽霊否定派はかなりこの世にいるのに、ピンポイントで攻撃されるっていうのはひどい。この町でその手の発言をすることがNGなのかしら……。それにしても、得体のしれないものがノックしてくる怪奇現象というのはなぜこんなにも恐ろしいのか。しかも、勇気を振り絞って立ち向かったのに、火に油を注ぐ結果となってしまった。でも、あのまま大人しくしていても同じことになっていたのかしら……。ラストは語り手の変わり果てた姿を発見した人間からどうなったかが知れたが、凄まじい最期だった。「ボーリング場」は心を抉られるようなホラー。語り手のクラスメイトが失くしたと思っていた算数のノートをどこからか拾ってくる。何処にあったのかと聞くと、廃業したボーリング場の前に落ちていたらしい。なんでそんな所に落ちていたのかと訝しみつつ、ノートを開くと、中には語り手宛ての手紙がつづられていた。読んでみると、どうやら語り手の友人からのものらしい。しかし、覚えがない。手紙を読み進めていくと、廃業したボーリング場で手紙の差出人が体験した、異様という言葉ですら生易しすぎる恐怖体験が克明につづられていた。この話は異様の一言に尽きる。脳で理解しようとしても理解が及ばない。何故そんなことが起こるのか全く分からない。人間の理解の範疇を超えている。非常に悪意のある超常現象だった。たまたまそこに行ってしまった人間がこの怪異の毒牙にかかるのだろう。しかし、その怪異の本質がまったく見えない。何のためにそんなことをしているのか、因果関係は何なのか。そこにある物体たちはいったい何なのか。何一つとして明かされないからこそ、恐怖度が増す話だった。「サカサのサカサ」は苗字に鏡の字が入る男子だけが得られる特権。誰もが一度は憧れる異世界の冒険。それは、この町にあるサカサの祟りを利用した遊びだ。町の表札がひっくり返る時、神社の鳥居が異世界の扉となる。鳥居をくぐった先は、自分たちが住む町と左右が逆さになった不思議な世界。その先には特に化け物がいるわけではなく、地形も含め左右が逆さになる。時間内に出れば特に危険があるわけでもなく冒険にはもってこいだ。ある日、いつもの通り冒険に出かけると、いつもより制限時間が過ぎるのが早い。一緒に冒険に入ったうちの一人が突っ走っていってしまい、呼び掛けてもなかなか帰ってこない。一同は焦っていたが、寸でのところで帰ってきた。安心したのも束の間、最後に帰ってきた友人のキーホルダーが入った時とは左右逆さについていた……。この話は、最後に絶望した。途中不穏な空気のシーンはあったのだが、最後が絶望的過ぎて嫌だった。途中別グループとの摩擦は感じていたが、まさかそんなことをするとは。しかも相手はあんまり重大なことをしたという意識がないようだ。相手は単になんでもない悪戯だと思ってやっているので明るい雰囲気だが、仕掛けられたほうは今も恐ろしい目にあっている。その対比がより絶望を掻き立てた。最後絶望のまま終わっていったが、悪戯を仕掛けた相手が真実を知った時どう思うのだろう。一生悔やむだろうなぁ。今回の感想には取り上げなかったが、海辺が近いからか海洋生物系のクリーチャーが多く出てきた。深海でじっとしている生き物のように、ぬらぬらとしてテロテロとして気持ち悪い感じのクリーチャーが多い。 -
ネタバレ 購入済み
火車メイン
死神になってしまった元国民さんを火車が強制的にあの世に連れて行ってしまったので、スッキリしない。 もうちょっと死神の生前をクズにしてくれたらスッキリみれたのになー。
でもこれで私の期待するような、主人公に話の通じない悪い元国民さんを強制連行する能力に目覚めさせるため火車は滅び、元国民は基本クズだけど一筋だけ救いのあるエピソードなんてやってたら、このマンガの方向性から脱線しまくりだな笑 -
購入済み
良いお話
生死を扱ったお話ですが、全体的に明るくコメディタッチで悲壮感はなく読み進んでいけます。各話の落としどころでは、つい「ほろり」となってしまう場面もたびたび。
ただ、毎回の事件の解決がちょっとうまくいきすぎな感じがあり、そこを「ご都合主義」ととってしまうかどうかで評価が分かれそうな気がします。私は好きですが。 -
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ネタバレ『売れないラノベ5大ジャンル』というのを思い出した。
ロボットSF、魔法少女、時代劇、百合、〝女主人公〟
——らしい。
本作は、霊感はいいけどずぶの素人の神波命と、陰陽師な猫又のタマが交互に視点を担当します。ようは〝女主人公〟です。笑いあり、涙あり、アクションあり、それでいてよくまとまっているのに、私の中に滞留する微妙感。
たぶん、女性が可愛く思えないからなんだと思います。主人公は腐女子だし。さらにヒロインの桜子はお子様過ぎる。サービスシーンもサービスにならないし、感情の起伏にもついていけない。あざとく登場した妹キャラは、なんだか滑ってるし。
……イケメンが出るとか、女性の機微を描いているとか、そんなことはないのだけど、女性向けなんだろうなと思います。私はすごくモヤモヤする。変な感じです。容量用法を間違えて薬を飲んじゃったような胸焼け感。しっくりこなかったのに、その理由を理路整然と言えない。なんだろなー。
※追記:なんでしっくり来ないのか分かった。
ライトノベルとしてあまりに王道な展開で進むため、どうしても私の中では、男性主人公の姿を幻視してしまうのだ。あられもないヒロインの姿に赤面したり、敵妖怪に立ち向かったり。正規の主人公である命は、私の中では主人公をからかったりする賑やかしポジションにしか見えない。その幻視が違和感になって、物足りなさにつながっていたのだ。タマは猫だから男性じゃ、ないもの。
お約束としてありそうな視点が、ない。だからモヤモヤしたんだ。