一橋文哉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
組織犯罪の戦後史…というところか。新潮文庫の『未解決』と
重複する部分が多々あるのはご愛嬌か。
多くの報道陣の目の前で刺殺されたのは、オウム真理教の村井秀夫
だけではない。豊田商事の永野会長刺殺事件も、実行犯が堂々と
「俺が刺した」と報道陣の前に登場した。
この豊田商事のペーパー商法の詐欺のノウハウが、現在の振り込め
詐欺やオレオレ詐欺に連綿と引き継がれている…なんてのは興味
深い。詐欺の「秘伝書」なるものが存在しているそうだ。
さぁ、では誰が何のために永野会長を刺殺させたのか。
豊田商事事件に限ったことではないが、著者お得意の謀略説が
延々と述べられている。分かっているんだ。「闇社会」と「闇の
紳士」が裏ですべてを動かしているって結末は。
古くは下山事件や3億円事件、グリコ・森永事件からライブドア・
野口氏刺殺事件まで。一橋氏にかかるとぜ~~んぶ闇の紳士
たちが大活躍だ。いいけどね、それでも。
確かにこの世の中、事件の裏でほくそ笑んでいる人間はいる
のだろう。ロッキード事件の角さんなんて、正に「はめられた」
という感じだもの。
闇社会と闇の紳士の悪行を公にするのは難しいのだろうな。
取り敢えずは、ロッキードもリクルートも逃げ延びた中曽根
康弘に事実を語ってもらおうか。笑。 -
Posted by ブクログ
「人を殺して死刑になりたかった」。犯行動機をそんな風に
語る容疑者が増えたのはいつからだろう。思うに、これは
動機とは言えない動機なのじゃないか。
怨みだったり、金銭目当てだったり。分かりやすい動機での
犯行よりも、どうしてそんな犯行に及んだのかが不明な犯罪
が増えた。
そして、年々増えていく容疑者の精神鑑定による減刑。
宮崎勤による幼女連続殺人事件は、繰り返される精神鑑定
によっても彼の心を捉えることは出来ず、確たる動機も解明
出来ぬまま宮崎本人は刑死した。
神戸の連続児童殺傷事件も動機は不明。犯人の少年は更生
したとして、既に社会復帰している。
近年の重大事件を例に取り、人間の心の闇を解き明かそうと
しているのが本書なのだが、いかんせん、それぞれで1冊の
本が書けるほどの事件なのでダイジェストの印象は免れない。
「人間の闇」っていうけれど、自分にさえ自分のことが分からない
のだから、起こった事件を元にああだこうだ言っても仕方がない
ような気もするんだよね。
人間、多少なりとも残酷な行動を起こす要素は持っているのだと
思う。その引き金を引くか、引かないかが犯罪者と普通の人たち
との違いかもしれない。 -
ネタバレ 購入済み
本当の真実は何処に有るのか…?
2022年11月読了。
つい先月、工藤會幹部、佐藤容疑者が逮捕された。本書内で「暴力団幹部X氏」とされていた人物だ。
本書では「餃子の王将」に関する、あらゆる後ろ暗い闇の部分を全て洗い直しているが、結局確定的な説は見出だせず、著者にしては珍しく前後に起こった同様の事件や、闇社会に関する独自ルートから仕入れた情報等を色々とまぶして「どうにか一冊の本にした」感じで、とても「真相に迫る本」とは言い難かった。
ただ、叩けば色々と埃の出る過去を持った企業であるのは間違いなく、著者としては本書中に記した怪しい闇社会の何れかか、怨恨の線も捨てきれないと踏んで、両論併記のまま書き終えている。
本書(最終増補版)の出版が2016年9月、事件発生は2013年11月で、今回犯人逮捕と成ったのが2022年10月だから、事件からは9年、本の出版からも6年の歳月が流れた。
勿論、警察は公判に影響の無い些末な物証のみしか発表していないが、著者も書いている通り、この程度の証拠だけだとしたら、今後公判を貫けるのか、甚だ疑問である。
メディアの報道が、中国の「ち」の字も触れていない状況を見ると、矢張九州のゴルフ場や店舗出店時のトラブルが直接の犯行動機、と見ているのかもしれないが、損得勘定の長けたヤクザが手間暇掛けて社長を殺すだろうか?と云う疑問は以前として残る。「落とし前が付いた」としても「その後の利益に繋がらない」からだ。
創業者一族の不明朗な金銭取引問題についても、時間が相当に経過しており、本書中の「U氏」はテレビの取材でも明確に否定していたが、そこに真の動機が有るとは感じられなかった。
ただ最近の記事で、故大東社長が事件の一年前程から「もしかして俺は殺されるかもしれない」と時折呟いていたと云う情報が出ているので、著者が挙げた「怪しい容疑者候補」の中に、真犯人が居る可能性は低くないと思う。
但し今回の佐藤容疑者(X氏)は、煙草の吸い殻の件など、不自然に証拠に成るものを現場に置いていった点など、およそ「専門分野の人間」で有ればわざと置いていった可能性の方が高いし、本書にもある通り「現場には居たけど、自分は撃たないで(殺さないで)帰った」と言われたら、どう反証するのか、検察のゴーサインは出ているのだろうが、今後始まる公判の先行きが気になるところではある。