あらすじ
ドンパチの派手な抗争よりじつは怖い――「暴力団排除条例」完全施行から一年、苦境に喘ぐ彼らの手口は、明らかに変わった。クレーマーを装って多額の賠償金をねらう。生活保護の申請を後押しして巻き上げる。年金横領、架空請求、リフォーム詐欺。ついには被災者にまで魔の手は伸びる。一流大学卒業、大手金融・証券会社OB。その肩書と紳士然とした風貌に気を許すと、被害者どころか加害者=共犯者にさえなりかねないのだ。一般社会に溶け込み、どこに潜むかわからない闇社会の姿とは。悪魔はすぐとなりで笑っている。「何をされるかわからない」から「どこに潜んでいるかわからない」へ【目次】序章)暴力団の手口が変わった/1章)たんなるクレーマーだと思ったら/2章)震災や生活保護までビジネスに/3章)悪徳商法が心の隙間をねらう/4章)老後の年金はどこへ消えたのか/5章)長生き願望まで貪られている/おわりに)人間の欲望あるところに闇はある
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なかなかの力作です
紙面の関係で「割愛」させてしまった部分が多々あったのは残念ですが、その分読みやすく仕上がっています。
一読の価値はあるでしょう。
Posted by 読むコレ
暴力団排除条例によって、「暴力団」という看板がまさしくわからなくなった。山口組の3代目田岡組長が「生業をもて」とはっぱをかけ、任侠の世界に生きていたヤクザは確かにさまざまな問題を起こしてきた。しかし、どこの世界にも「アウトロー」はいるわけで、「アウトロー」の世界は「力=暴力」のバランスで裏社会が維持されてきたのだと思う。
そこに、裏社会の力関係バランスを崩してしまった現在、「アウトロー」の生態系は崩壊してしまったのだろう。その結果、裏ルールはなくなり、表の世界で一般市民をえじきにした新手の「アウトロー」が台頭してきたともいえる。
そもそも、「荒くれ者」をまとめていた団体が活動停止に追い込まれたものだから、野獣が野に放たれたに等しいということである。
これからは、いつ、何時、恐ろしい体験をするかわからないという社会に進んでいくのかもしれない。
プロ詐欺集団
詐欺や悪徳商法にひっかかる方が悪いというように考えがちであるが、詐欺を働く方も本気で考えてやっていることがよくわかる本。
たしかに暴力団もかかわっているが、それよりも「欺す」ということに対する執念が伝わる。
高齢者は簡単に欺されてしまうであろうということが理解できた。