ジェイムズ・エルロイのレビュー一覧
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エルロイ、LA4部作の2作目にあたる作品の上巻
LA市警と検事局によるハリウッドに広がった共産主義の赤狩りを目的とした大陪審がメインとなり、エルロイお得意のマフィア、市警、保安官事務所、検事局、ハリウッド、共産主義者たちの謀略戦が始まります
今回の主人公は3人
LA市警、元風紀課で第2次世界大戦の兵役経験もあるマルコム・コンシディーン、出世と離婚問題を優位に進めたい為、今回の大陪審の捜査チームに参加
次がバズ・ミークス、映画王と名高いハリウッドの重鎮にして、世界の富の半分を持つ男と呼ばれるハワード・ヒューズのポン引き
ヒューズの警備主任をやる前は市警の汚職警官、金の為に赤狩りを目的とした大陪審 -
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ジェイムズ・エルロイによる暗黒のLA4部作の第1弾
1948年ロサンゼルス市街の空き地に捨てられた22歳の女性”エリザベス・ショート”通称ブラックダリアの惨殺死体が発見される
この小説はダリア事件に関わる、ロスという街に巣食う警察、ハリウッド、司法、行政、ギャングを巻き込む謀略と狂気の物語となってます
文体も以前に読んだホワイトジャズのように電文体と呼ばれる必要最小限に説明を省く表現形態では無く、まだ読みやすいかと
導入の部分から物語後半まで通して続く違和感が終盤に差し込むあたりで物凄い勢いで補完された複線としてスパスパ解かれていき、エンディングまで一気に読み手を引きずり回します
この序盤の違 -
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●観てから読むか? 読んでから観るか? のLAコンフィデンシャル。
映画版はラッセル・クロウ、ガイ・ピアース、ケビン・スペイシー言う達者な人々が演じていて大変面白かった。
さて原作。
いや驚いた。
これって、えっらっくっっ入り組んだ話だったんですなー。
よくもこんな複雑な話を、映画になるだけわかりやすくしてくれたものだ。
アカデミー脚色賞を獲っただけあって、けっこう大胆な改変つうか端折りぶりですよ。
なんせ、映画版では優秀なエリート警察官でその昔殉職したことになってるガイ・ピアースの父親は、原作ではバリバリ生きてる実業家(笑)
しかも、けっこうキモな存在なんですねー。
その彼をカットするとは・ -
Posted by ブクログ
1947年のLAで22歳女性の惨殺死体が発見された。胴体が真っ二つだったり、口が耳まで引き裂かれてたりとむちゃくちゃされていたそうな。そのブラックダリア事件の設定をほぼそのまま持ってきて、チクリ屋&元ボクサー刑事を語り手にして、エルロイが独自の小説にしてしまったやつ。ってか、僕が知らないだけで昔話題になってたんですよねきっと。僕は映画あんまり見ないのでよく知りませんが、LAコンフィデンシャルのシリーズです。まずこういう警察小説をあまり読んだことなかったので、直後の感想は・・・うーんどうしよう、という感じだったんですが、しばらく経っても結構残ってます。主人公に嫌な役を負わせているところなのかしら
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本書は、〈暗黒のL.A.四部作〉〈アンダーワールドU.S.A.三部作〉に続く、〈新・暗黒のL.A.四部作〉の一作目として構想されているらしい。時系列的には『ブラック・ダリア』よりも前になる。原題の由来は“裏切り”の意味を持つジャズのスタンダード・ナンバー。
〈アンダーワールドU.S.A.三部作〉は既読。〈暗黒のL.A.四部作〉は『ブラック・ダリア』のみ既読で、『LAコンフィデンシャル』を映画で観ただけ。いずれは読んでみたいと思っていたので、一連のシリーズのスタートとなる本書はいいタイミングなかと思ってトライしてみたが、ひどく混乱して異常に疲れてしまった。
物語は、複数の視点が入れ替わるよう -
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1947年、一人の女性の凄惨な遺体が見つかる。漆黒の髪に黒いドレスを着ていた彼女にちなみ事件は「ブラック・ダリア事件」と呼ばれるようになった。実在の事件を基に事件に関わる人間たちの暗い情念を描いたミステリー。
書き込みが凄いなあ、という印象を受けました。その分どうしてもテンポがいまひとつだったり、話の本筋や事件の経過が分かりにくかったり、ということはあるのですが、それでもこの書き込みから浮かび上がってくる登場人物たちや組織の闇の部分、それを描き切ろうとする作者の情念というものが伝わってきました。個人的には高村薫さんの『マークスの山』と似たような雰囲気かなあ、と思います。
普通なら事件 -
Posted by ブクログ
集積回路におけるムーアの法則を思わせるのが、フィクションにおける残酷描写の暴走ぶりです。
特に映画はVFXの飛躍的な進歩によって、ショッキングシーンの歯止めが無くなった感があります。
そんなフィクションに親しんでいる我々ですから、今さらいくら暗黒シリーズと言っても、20年以上前の小説に過度の刺激はないだろう、と思ったんですが、なんの。
後半の盛り上がりぶりは、人間性の奈落に向って、読者の襟首掴んで暴力的に覗かせるような迫力です。
巧いなあ、と感じたのが、鼬の使い方で、その凶暴な生態の描写が非常に巧み暗喩となって小説全体の基調低音となっている。
最終章でのアメリカン・ヒーロー物(というかアン -