橋本卓典のレビュー一覧
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2019年 2冊目
第1作目では金融政策の変化に伴い、地銀に対するニーズが「健全な財務体質」から「事業性評価と地域貢献」に変化したことに触れ、広島銀行をはじめ優れた経営マインドをもつ金融機関に触れていた。
第3作目となる本作では、もう一歩踏み込み、クラウドファンディングや菱形のリレーション構築等、具体的な事例について触れられており、リレーションシップモデルの銀行に関する理解がより深まったと思う。
同時に金融庁を慮った既存の経営体質を維持することで、現場の若手が離脱していくワーストイグザンプルにも触れられており、金融業界のものとしては少し耳が痛い内容であった。
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金融排除とは何のこっちゃ?と思い読み始めたが、そういうことか、という感じ。金融機関側の人間から考えると、行ってしまえば当然の考えであって、それを排除という過激な言葉を使っている印象。される側からしたらそうなんだろうけどね。こちらからしたら、一度破産なり経営がずっとずっと下向きの会社をそんなすぐに信用できるか、というとそんなことはないという話で。でも完全に排除するかどうかは別の話で、歩み寄れるかどうか(それでも少しずつだと思う)は財務面以外の信用がある人のみだろうなと。
あくまで本書で行っていることは理想論であって現場に下りてくるには経営レベルでそういう判断をしてくれないと、現場レベルでは極めて -
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ネタバレ金融機関の審査。昔から言われているように目利きの世界だけど、いつしか金融機関はこの力を失ってしまった。それは前から言われていたことで、でもとても大切なこと。確率論はあくまで過去を語っているにすぎないから、それで未来は測れないというのは説得力はあるけど少し違うなと思うところもある。確率というか統計なのだけど、デフォルト確率の推計は過去の実績から求めるものだけど、その会社の過去ではなくて、過去の同様の会社が1年後にどうなっているかの推測。良くなる会社も悪くなる会社も、個別にはいろいろだけど、也で行けばこういう確率でこうなるというだけの話。VaRなんていうのはもっと確率的な話で、もちろんリーマンショ
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大手銀行や証券会社の勧める投資信託やファンドラップが、いかにセルサイドの立場しか考えていない商品であるかが、その歴史的背景から理解できた。
IFAの可能性を感じつつも、変わらぬ金融業界、日本を感じ、このままズブズブ沈んでいく日本を感じてしまうのは私だけではないはずだ。ただ、本人はまったく勉強もせずに、アドバイスや知見、リターンにフィーも払わずに文句をいう民度の低い人が多過ぎる。そんなひとは大概たいした資産は持っていないものだが、空気もサービスも決して無料ではなく、ましてや自分の資産を守り、なかんずく増やしていくために本当に努力してくれるなら、それ相応の対価を払って当然である。社内闘争や人事の -
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捨てられる銀行2 非産運用
橋本卓典が森金融庁長官の改革を追った前作の続編。今回は銀行ではなく資産運用について。人口減少・高齢化社会において、医療と同等に成長産業であり、このままでは瓦解する公的年金を補助するものとして考える資金運用が、なぜ日本人に未だに受け入れられていないかという問題を探る。自分自身、先日内定先の確定拠出型年金の資料を読んだが、年率2%で36年運用すれば、元本は二倍になる。これは時間によって生み出された利益であり、さすがにキリスト教会も何百年も禁止していただけあるインパクトだ。資金運用に関して、日本とアメリカでは大きな隔たりがある。アメリカでは7割が確定拠出型、2割が証券会 -
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この著者が考えるベストプラクティス集のような本だと感じた。
教えられるところはあったものの、サクサク読めた「捨てられる銀行」と比べると、やや冗長な感があったように思えた。
AIやフィンテックといった技術導入により、この先金融がどうなっていくのかはわからないし、もしかしたら、金融の場において審査という概念が大きく小さくなってしまうのかもしれない。
しかし、機械がきっと理解できないような「社長の熱意や仕事への真摯な姿勢」を感じ取ることができるのは人間だけで、そのような社長の性格を見極める泥臭い与信判断が、これから先の「人間が行う与信判断」になっていくように思う。さらに言えば、それができな -
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ネタバレ金融庁長官森信親氏の改革について理解が深まった。地域金融機関は、不良債権処理問題、さらに金融庁の金融検査マニュアルのチェックリスト重視、信用保証制度の拡充(100%保証付き融資)による目利き力の喪失。低金利の状況下での金利競争により、規模の拡大。規模拡大ありきの再編は地方創生に意味はない。「引き当て」と「融資判断」は切り分けるべき。中小企業に密着した取引関係(リレーションシップ・バンキング)の風化。地銀が企業の「事業」を見なくなったことによる資金需要を生まない構造問題が発生している。事業支援、事業再生などサポートに全力を尽くすのが地域金融の本分。
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捨てられる銀行
銀行、特に地方金融についてのレポート。異端児である森金融庁長官の改革と、そのブレーンについても書かれている。
増田寛也氏の地方消滅や自分自身の北海道旅行から地方の金融に興味をもって読んだ。現在起きている銀行の機能不全とは、極めて役所的な金融庁マニュアルに則ることばかり考えすぎて、本来の銀行業・金融業の意義である、将来的に拡大するのであろう企業や地元に密着した中小企業などへの融資が少なくなっていることである。財務諸表だけでは表れない地域との関係性や将来性に対する目利きが圧倒的に低下したことによって、銀行がマニュアル的な融資しかしなくなったことが地方金融の衰退の原因でもある。また -
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ネタバレ今日の書籍は「捨てられる銀行2 悲産運用」橋本卓典著。
前作もレビューしましたが、なかなかの力作でなんと12万部のベストセラーだったそうです。
では、今回はと言うと銀行の資産運用について述べた書籍です。
でお前、銀行の有価証券運用か?と言われそうですが、さにあらず銀行が顧客から資金を受け取って運用するという、金融商品について本書は書かれています。
前作でも登場した森信親・金融庁長官は、自らの職責として銀行の資産運用改革にも乗り出したのです。キーワードは「フィドュ―シャリー・ドューティー」日本語では「受託者責任」と訳されてきたのたが、金融庁は「真に顧客本位の業務運営」とあえて定義を見直し -
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森信親金融庁長官に変わってから、従来の担保主義による貸出しだけではやっていけなくなる特に地銀にスポットを当てて問題提起している。
不良債権処理のための検査マニュアルを金科玉条にし、貸出先企業の本質を見極める努力も放棄してただただ担保や資産に基づいた融資だけを行い、その企業が経営難に陥れば真っ先に融資の引き上げに走る地銀の断罪は膝を打つ。
財務諸表には現れないその企業の将来性までも考慮に入れ、さらにその地域の活性化という地銀本来の役割を全うしようとする銀行の話は勇気づけられた。
僕の知識レベルではちょっと難しいところもちらほらあった。
東芝が医療部門や半導体部門を切り売りすることで当座の資