橋本卓典のレビュー一覧
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共同通信の担当記者による、金融庁長官の金融機関改革についての本。主に地銀に対して、不良債権問題からリスクをとらなくなった経営を、きちんと顧客の事業性を評価しコンサルティングをして融資していくように改善していくということで、実際に稚内信金、北國銀行、きらやか銀行、北都銀行等の成果を上げた地域金融のケーススタディも紹介されていて大変興味深く読んだ。
銀行業界はまったくの門外漢なので、詳しい方が読めばいろいろと反論やツッコミどころもあるのかもしれないが、素人の私としては、この改革が目指す地銀の在り方というのはまさしく本来あるべき姿だと思うし、そのような本来の使命を捨てさせることになった「失われた20 -
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金融に携わるものとして現状打破の学びを得ることができる本。
知らないうちに自分と組織の殻に閉じこもっていたが、外の利害ないネットワーク、いわば部活のような形でま色んな業種の人と交わり、学ぶ機会を増やすことが大事と知らされた。ツイッターも始めて、著名人の発信を読むようにした。
金融機関の癌は金融検査マニュアルということもわかったが、染み付いているのでなかなか離れない。しかし本分はお客さんのこと事業を理解して、そこに役立つ提案から資金需要を創出し、融資することだと理解した。
そのためには、事業を自分が、よく学ぶこと、外部出向の機会、外部からの人材を取り入れるなど、お客さんの事業を正しくみる姿勢が -
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ネタバレ2015年7月から3年間、金融庁長官を務めた森信親氏の政策運営を中心に、金融行政の変化や、変化に対応している地銀、していない地銀の姿を描いている。バブル崩壊後の不良債権処理に重点を置いた金融行政から、地方創生に軸足を置いた行政に変化するのが遅れ、特に地銀の改革が遅れた。旧態依然とした検査マニュアルの「奴隷になりさがった」地銀、信用保証制度に頼り切りで目利きの能力を無くした地銀。森のほか、広島銀行で事業再生に取り組み、金融庁に転じた日下智晴、早くからリレーショナルバンクの重要性を説いてきた多胡秀人の問題意識や足跡を追うことで、日本の金融行政や金融機関の問題をわかりやすくあぶり出している。「ルール
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未来の金融―捨てられる銀行3― 橋本卓典
捨てられる銀行、非産運用、未来の金融とジャーナリスト橋本氏による金融庁の改革ルポタージュ。部門が銀行系であることや、自分自身が金融庁の管轄下の保険会社にいることもあり、非常に勉強になる。個人的に、入社前に読んだ時より、アクチュアリティをもって読むことが出来た。
主に、20年程前の不良債権問題の対応策として金融庁が策定した金融庁マニュアルの功罪を解き、現在生じている金融排除や、反対に銀行があるべき姿にフォーカスしている。引当金等を厳格に定めた金融庁マニュアルは不良債権問題で破綻寸前の金融機関に対しての緊急策であり、20年間使う代物であるとは当時の策定 -
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今、金融機関の状況は非常に厳しい。これまでの姿を維持することに腐心しているが、それが本当に難しくなってきたことを実感しているから、もがき苦しんでいる。
本書を通じて浮かび上がることは、確かに現実のものとしてほぼわかるものであり、実際に金融の現場にいる自分としても納得いくところが多い。
「金融」という仕組みの中に入って、そもそも自分は何をしたかったのか、ということをまた考えさせられる一冊だった。
金融業務は情報の仕事である。これほど大量の情報が世に溢れかえる時代となって、情報の非対称性を利益の源泉として金融仲介を行ってきた既存の金融機関にとって、出る幕はますます少なくなってきている。その