岸政彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「何かを激愛する、ということを久しくしていない。何かを激愛したい。それで振りまわされたり、困らせたり、たまに泣かされたりしたい」
50歳、独り暮らしの独身女性の美穂。
定職もあり貯金もあり、何不自由なく日々を平穏に暮らしている。
けれど、ふと思い出すのは11歳の頃の出来事。
近所の公民館の小さな図書室で、毎週土曜日の午後になると一人で本を読んでいたっけ。
そこで出逢った同い年の少年と共に過ごした淡い記憶は、今となっては追憶に空想が混じった曖昧なものもあるかもしれない。
けれど大人になった今もはっきり思い出すのは、二人が共に体感した"地球の終わり"。
家族も友達も猫も全てを置き去りにして、二人きり、世界の果てで真剣に語り、不安になり泣いたあの夜の出来事は、心の奥で今なお生きている。
あの一瞬の激情があるから今がある。
今振り返ると、ほんまあほみたいやけど、あの時二人で相談して決めた娘の名前は、40年経った今でも忘れない。
美穂の終始淡々とした語り口が、余計に切なく心に刺さった。
後半は自伝エッセイ『給水塔』。
大阪の街っておもろいな。
「どんなひとにも人生があり、どんなひとにも内面がある」
「どの街にも、その街の人生がある」