吉田敦彦のレビュー一覧
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宗教や物語に多大な影響を与えてきたギリシャ神話。
ぽつり、ぽつりと逸話は知っていても、全体像をきちんと学んだことはありませんでした。
クリストファー・ノーランの『オデュッセイア』は、原作を知っていた方が楽しめるとの噂を聞き、まずはホメロスの『オデュッセイア』を読もうと思ったものの、調べてみると、どうやらその前にギリシャ神話の全体像を掴んでおいた方がよいとのこと。
また、ギリシャ神話関連の本は意外と読みづらく、初心者は挫折しがちとも聞き、入門書としておすすめされていた本書を手に取りました。
結果、大正解!
学術書のような堅苦しい文体ではなく、とにかく読みやすく、分かりやすい。それぞれの神々や英雄について、出生から代表的な逸話までコンパクトにまとめられていて、昔話を読むような感覚でサクサク読み進められます。ちょいちょい登場するゆるい挿絵も笑えていい感じ。
人間界とはかけ離れた神々の豪快な暮らしぶりは、仕事の合間のいい気分転換にもなっています。倫理観が結構めちゃくちゃだったり、今なら完全にルッキズムに引っかかりそうだったり。そんな奔放すぎる神々を眺めていると、なぜか妙にほっこりするんですよね。
「あれは、どういう神だったっけ?」なんて時に読み返す辞書としても、長く手元に置いておきたい一冊。
ギリシャ神話をこれから知りたい人に、おすすめです。 -
Posted by ブクログ
ギリシア神話のエピソード「だけ」(背景説明も最低限はありますが)を、繋がりも含めて分かりやすく紹介してくれる入門書です。
挿絵のイラストが意外と笑えて良いです。
僕は神話学的解釈とか歴史的背景からギリシア神話の面白さに気づいたタイプですけど、そういう本ってトピックごとに(要するにランダムに)エピソードが紹介されているので、ギリシア神話の全体の流れは意外と把握できなかったりするんですよね…。
なので、こういう本は本当に有難いです。
とっちらかっているはずのギリシア神話が、驚くほど物語的に読めてしまうので…でも、「諸説あり」のところは無視してたりしないのか、そこはちょっと気になりました。 -
Posted by ブクログ
ソポクレスの『オイディプス王』についてより深く知ることができた。また、分かりやすい解説のおかげで『オイディプス王』の面白さや真髄を発見できた。
「ペリぺテイア(どんでん返し)」と「アナグノリシス(発見)」が優れた物語にはあるということを知り、確かにと思った。人気のある漫画や小説には必ずある要素だと気づくことができた。
現代でも通用する物語の構成に必要な要因が、何千年も前に規定されていたということがしみじみと凄いと思う。
スフィンクスの謎かけの答えである「人間」に関する考察に目が覚めるような心地がした。特に四本足に関する言及だ。
四本足とはすでに人間以下である四本足の獣と同等の本質を兼ね備えてしまっていたオイディプスのことであり、このことから他の二本足、三本足も運命に翻弄されるオイディプスのことをよく表していると書かれていた。
ただの答えとしてでは無く、運命に翻弄されるオイディプスのことを示唆しているという点にはっとさせられた。
当時のアテネ人へ向けてのソポクレスのメッセージである『オイディプス王』については感動した。
サラミスの海戦でとびきり優れた人種だと、自信に満ちたアテネの人々が敗戦し、病によってかんたんにヒューマニズムが踏み躙られ、それこそ獣と同等になったアテネの人々。絶望渦中で、ソポクレスはそれでも気高い心を持って生きていけというメッセージを、『コロノスのオイディプス』として書き上げ、彼らに遺言として残したという点にとても感動した。
この作品はどの時代とも吻合しうる物語なのだと感じた。
どんなに悲惨で救いようのない運命でも受け止め、屈してはならないと、鼓舞されているように感じた。
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日本人の精神がどう西洋の精神と違っているのか分かりやすく解説されている。
「これから二十一世紀に世界の人々が、不必要な争いをせずに仲良く共存しながら、どのように生きどんな世界を作って行かねば成らならぬかを考えるために、意味と価値をあらためて見直す必要がある、とても大切な知恵が含まれていると思えるのです。」
と表紙に小さく書かれている。
日本神話にはあり得ないことができたり、信じられない見た目だったり、びっくりするような多様な神様がいる。それぞれが役割を果たして日本を作ってくれた。
我々現代人だって、他者の尊重とか共存が大切ということくらい理解している。しかし、実践できていない。自然、人間に対する、謙虚さとやさしさを持っていたい。
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正直、薄いので期待していなかったが、いきなりやられた。
直前に読んでいた大林太良著「日本神話の起源」で、
日本の文化がいろいろな文化の影響を受けた「るつぼ」(236頁)と紹介されていた。
しかし、私の個人的感覚では「吹き溜まり」なんだよなぁと思っていたところ、
まさに最初の部分でその言葉があった。
そうそう、「るつぼ」という言葉の持つ混沌や熱気よりは、
地理的条件で受動的に寄せられてきましたという「吹き溜まり」の方が、日本文化の形容にはぴったりくる。
内容がうまくまとめられて、かなりわかりやすかった。
他の本で読んだ「日本の神話には、世界各地の神話が含まれている」という説明が、決して大げさでなかったことがよくわかる。
現代社会で先進国といわれる日本で、
鹿の模型を射て、その中に納めた食物を食べるという祭りが、
伝承されており、
ハイヌウェレ型神話(かなり残酷な形で具現化されることこともある)、そのまんま、という不思議さには、本当に感心した。
日本は、渡ってきた文化をどういった基準で選択してきたのか、
同一感を何によって保っているのか、
まだまだ謎はつきない。 -
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■オリンポス十二神
・ゼウス
└天空の支配者。神々の王。
・ヘラ
└女性の結婚・出産・家庭生活の守護神。ゼウスの妻。
・ポセイドン
└海の神。
・デメテル
└農業の女神。穀物の豊穣を司る。ゼウスの愛人となり、「死者の国の女王」ペルセポネを生む。
・ヘスティア
└かまどの女神。処女の女神でもある。
・アテナ
└知恵と戦いの女神。ゼウスの頭から黄金の武具に身を固めて誕生した。
・アポロン
└光と予言の神。信託の主となり、ゼウスの意志を人間に伝える。弓矢と音楽の神でもある。アルテミスとは双子の弟。
・アルテミス
└狩猟と純潔の女神。金の弓と堅琴を持つ。アポロンとは双子の姉。
・アレス
└戦争の神。無類の戦争好き。
・ヘパイストス
└技術の神。どんなものでも自在に作成できる。ヘラが1人で産んだ神だが、足が不自由で醜男だった。
・ヘルメス
└商業と泥棒の神。牧畜を司る神。神々の使者。旅人の保護者であり、死者の魂の冥府への旅の案内もする。
・アフロディテ
└美と愛の女神。技術の神ヘパイストスと結婚し、戦争の神アレスを愛人とする。 -
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日本の神話がギリシア神話などに似ていることが書かれていると知り、手に取る。本当は「日本神話の起源」を読もうと思ったのだが、同じ作者で新しい本があったのでこちらを手に取った。
日本は昔から物流の末端として位置していて、物とともにお話も伝聞で伝わってきているというようなことを各所に残る神話や昔話とともに解説してあった。ギリシアだけではなく、北からの影響、点在する島と潮の流れに沿った南からの影響と三方向からの影響を受けており、「吹溜まりの文化」として形成されてきている。南方の文化との比較の方があまり意識したことがなくて特に興味深かった。ハイヌウェレ神話というもの、それを具現化したような文化があまりにも生々しく、印象に残った。また、単語だけ知っていた「ナルト叙事詩」も日本神話に多大な影響を与えていると知り、初めて聞いた「スキュタイ神話」等とともに、吹溜まりを意識しながら神話の本や文化の本を読んでみたいと思った。 -
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自分史の中で,ギリシア神話の本できちんと読み切れたのはこれが最初。
シェイクスピアと同様,教養人として求められる古典知識としてギリシア神話は避けて通れないのだが、これまた神々の身勝手さと、人間関係ならぬ、神々関係がグジャグジャで超難解。
結局半分くらいはエロ神の話になってゆくのだが、そのエロの結果、色々な発展?進展?が生まれてくる。
多分超簡略本だろうから、ギリシア神話をよく知っている人にとってはケシカランとなるのかもしれないけれど、自分のような超がいくつも付く読者にとってはスッキリとしたギリシア神話成功体験を与えてくれる。
挿絵も神々っぽくなくて好感持てる。
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Posted by ブクログ
名前がかっこいいからって理由でミルトンの『失楽園』を読もうとして、挫折した経験、あるんじゃないでしょうか。他にも有名な西洋の詩人たちの詩(ボードレールとかね)を読もうと張り切って、撃沈したことも数知れず。「こんなん誰が読めるねん」と投げ出す前に、是非とも『ギリシア神話』を頭に入れておきたいところ。そうすれば、今まで暗記するだけだった世界史の用語や作品の感動に触れることができます。また、『ギリシア神話』は文学に拘らず、西洋絵画、現在では様々なキャラクターのモデルになっていますし、閑事だと割り切る前に、この本で「ざっくりと」知識を入れる、或いは整理するのがいいと思います。
そこで本書の内容ですが、砕けて分かりやすい文体で、関連する絵画作品も載っていたのでお勧めです。自分も、今までバラバラだったギリシア神話の知識がつながった部分も多々あり、面白くてすぐに読み終えました。『ギリシア神話』の解説書は他にも多くありますが、今のところ一番これがしっくりくる感じはします。
ですが、あくまで「ざっくり本筋をなぞる」だけなので、触れられていないエピソードもあった記憶。特に八章の「トロヤ戦争」は内容がきつきつで、いきなり読むと面食らうかもしれません。でも、ほんとに一冊でまとめられていたので、素晴らしい本だと思います。とても有益な時間を過ごせました。