渋谷豊のレビュー一覧
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ぼくのともだち・・・・を探し求める孤独なニートの話。
主人公のバトンは、第一次大戦で負傷し、傷痍軍人年金を貰いながら、日々働きもせず暮らす。
パリの町はずれの7階建てアパートの屋根裏に住み、毎日同じルーティンを繰り返しながら、願いはたった一つ。
友達が欲しい。
今日も、友達を探し求めてふらふらとパリの街を徘徊する。
しかしまあ、この男、なかなか絶妙にダメなやつで、根っこは良い人そうなのだが、自意識が過剰で被害妄想がひどく、プライドも高いし、思い込みも激しい。挙動不審だし、心のなかは強気でも実際は他人に対して強く出ることもできない。関心を惹くための手段がなけなしの金を手渡すことしかなかったりとなかなか救いがない。
一応、何人かの人とお近づきになりそうにはなるのだが、結局自分からもうダメだと決めつけて撤退したり、自らの不品行が理由だったりで、のび太君ばりに話の最後には惨めな失敗に終わる。
でも、どうしても憎めない絶妙なキャラクター。
なんと言っても悪人ではないのだ。
それに本当にともだちを作るのに必死なのである。
一冊読み終えて、ぶっちゃけ何も起こらない話なのではあるけど、それでも脳裡に焼き付いて離れないキャラクターの一人であることは間違いない。。。 -
Posted by ブクログ
郵便飛行士だったサン・テグジュペリが、自身や僚友たちの飛行体験を通して、「人間とは何か」「使命とは何か」「愛とは何か」を問いかける一冊のように思いました。
サン・テグジュペリやギヨメの遭難のくだりを読み、思い出したのがフランクルの『夜と霧』でした。フランクルは、収容所で生き延びたのは愛する人と再会したい、成し遂げたいことがあると思い描いた人だと書いています。
サン・テグジュペリも僚友のギヨメも同じで、極限状況で人を支えるのは体力だけでなく、愛する人への思いや使命感なのだと感じました。何かが起きてからではなく、人との関わりや使命感を日頃から大切にすること。その積み重ねが人を支える力になるのだと思います。
「愛するとは互いに見つめあうことではなく、一緒に同じ方向を見つめることだ」という一節も、心に残りました。
ラストの「一人一人の中にいる虐殺されたモーツアルト」という表現の意味がすぐには分からなかったのですが、モーツアルトを人間本来の可能性や魂の輝きの象徴と捉えると、貧困や戦争、不平等によってそれが奪われることへの苛立ちなのだと腑に落ちました。
それに続くラストの「精神の風が粘土の上を吹き渡るとき、初めて人間は創造される」という一文からは、旧約聖書の創世記の、神が土のちりから人を形づくり命の息を吹き込む場面が自然と重なりました。
「精神の風」とは、愛すること、真理を求めること、責任を引き受けること。そうした風が吹き込まれて、人は人間たらしめられるのだと思います。
『人間の大地』は、「人間とは何か」を問い続ける一冊でもあると思います。 -
Posted by ブクログ
この小説において"誤解"は重要なキーワードになるのではないかと思った。
他者への誤解、または自分自身の心の誤解。
語り手の焦点が定まっていないため、全登場人物の内面を覗き見ることができるが、皆なんらかの誤解をしながら物語が進んでいく。
一方で、自分自身の心を素直に読み取れている人物もいる。しかし、それは貞淑な人妻への恋心…。
純粋無垢な恋心は決して成就することはない。成就したところで、それは邪な関係性となり、信頼している人物を裏切ることになる。それは誰も望まないこと。
登場人物の素直な恋心と自分の気持ちを誤解して受け取ってしまった恋心、それぞれ揺れ動く内面の描写がなんとも激しく、繊細であった。
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1930年代の飛行機はエンジンの不調でリビア砂漠やアンデスの山の中に不時着することもしばしばある。サハラ砂漠に不時着するとムーア人に襲われることもある。アンデスの標高4000mの高台に不時着した盟友メルモーズは滑走スペースがないので飛行機を奈落に向かって走らせる。断崖の縁から真っ逆さまに落下する途中で奇跡的に揚力を得て生還した。再び空に戻ったメルモーズは何年後かに南大西洋上空で消息を絶つ。同じくアンデス山脈で飛行機が故障して奇跡的に生還した盟友ギヨメは第二次世界大戦中に輸送飛行中に地中海上空で撃墜される。サンテグジュペリ自身、何度も事故を起こして奇跡的に回復し、リビア砂漠で水もほとんどもたずに遭難したときは2日目から幻覚があらわれる。奇跡的に通りかかったアラブ人に助けられるものの第二次世界大戦中にはフランスが降伏したあとアメリカで執筆に励んで星の王子様を出版したのに連合軍の偵察隊に復帰して消息を絶っている。そうまでして危険な仕事に帰って行くのは、歯車の一部となって精神生活とは無縁の小市民として生きることに耐えられないからだという。そこまで命をかける気にはとうていなれないが、自分はどう生きていきたいかを問いかけながら人生をすごしたいと思う。
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Posted by ブクログ
あらすじ:
戦争での負傷、戦後フランスで恩給を収入源に働かずに生きることを選んでいる主人公。
その生活は、贅沢をすることなく慎ましいもの。
そんな彼がただ一つ求めるものは「ともだち」。
それも唯一無二の親友と呼べるような人。
朝から日が沈むまで、思い耽りながら歩き、探し続ける「ともだち」を。
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一度目の読後は率直に、この人嫌い!
「『ドラえもん』の(アカン時の)のび太を見ているようで辛い」という感想でした。
二度目は読書会にて。
読書会のなかで皆さんから当時の世相や背景を教わったり読み深めるうちに距離感がうまくとれていく。
「なんだか面白いな」とユーモアにも気付くことができました。
だが、やはり好かない主人公。
そして現在。
職場の後輩ちゃんたちに本のエピソードを語っていくうちに、主人公への愛が芽生えていたことに気付く。
「ほんとうに困った子」という距離感で愛でてる!
読み深めて何かが芽生えたのか。
共感する部分はもちろんあります。
大きさは違えど自分も過去に通過したことのある感情だなと感じるから、主人公の心情や描写に対してわかる気持ちもある、けれど。
『わかる。わかるよ。わかるけど、それ、やったらあかんやん!』となり、主人公の珍妙な行動の末に己が身に降りかかる報いの痛々しさに読み疲れてしまう。
でも。
人に語るとき、この本の魅力を語らずには居られない。
そのユーモア、また主人公に対してもどこか憎めない愛らしさを含ませて話してしまってる。
やはり好きなのか?否…
☆第一印象がナシ!であっても、
そこで「NO!」を突き付けず読み返せば、不思議と愛らしい一冊になる、かも、しれません! -
Posted by ブクログ
三角関係を描いた作品ですが、主人公が自分の恋心に気づくのあまりに遅くて、かなり焦らされる感覚がありました。
ゆったりとした展開なんだけど、ちょいちょい印象的なイベントがあって、その都度、お前何をやっているのだ…と登場人物たちに突っ込みたくなる感じでした。とりわけフランソワの母の軽率さ驚いてしまったよ。
作者がところどころメタ的に前へ出てくるのが、自己顕示欲高めに感じられて、自分はあまり好きではなかったです。
終盤のチロリアンハットの場面は、そこまでの繊細な心理劇と比べると急に喜劇的で、決着に向けて人物の感情を強引に動かしているように思いました。 -
Posted by ブクログ
愛するとは互いに見つめあうことではない。一緒に同じ方向を見つめることだ。
はい、サン=テグジュペリの『人間の大地』です
新潮文庫版では『人間の土地』ですが、我らが光文社では『人間の大地』です
非常に柔らかい訳文だったような気がします
そのへんがタイトルにも現れてる気がします
読んだことないですが、どうせ大學の訳文なんてカッチカチに決まってます
鍛え上げられた上腕二頭筋
うん、飛行家たるサン=テグジュペリのエッセイ集ということなんですが、「大地」なんですよねタイトルは
そこがまず面白いな〜って思いました
『人間の大地』人間の支配が及んでいる範囲みたいな意味なんかな〜
サン=テグジュペリが空を飛んでいた時代は今よりも、もっとも〜っと空を飛ぶことが、けっこう割の合わない賭けだったころで、実際砂漠の真ん中で遭難してそのときのことも書いてたりしていて、結局人間は大地から離れることはできないとも言えるし、空さえも人間が支配する一続きの大地に繋げてしまう試みなのかもしれないとも言えるのかな〜と
壮大なギャンブルの先で気付く人の生命がもつ奇跡みたいなこともちょっと感じたりしました
なんて、ちょっと分かった風なことを言ってみましたが、わいは飛行機というものが大嫌いなので、あんな危険な乗り物に乗って、なんかちょっと良くわからんことを言ってる奇人
それがサン=テグジュペリっていう身も蓋もないところに落ち着くのでした