渋谷豊のレビュー一覧

  • 人間の大地
    新潮の堀口大學訳は何度か読んでいたが、ふと他の訳も読んでみようと思い手に取った。
    かなり新しい訳なので上記のものよりも読みやすく、だからといって軽い文というわけではなく荘厳な世界観を崩さない程度に留められていて良かった。
    内容に関しては何度読んでもハッとさせられる。
    特にギヨメの話と砂漠での話は人間...続きを読む
  • 人間の大地
    人間が生きるとは何かということをパイロットという職業で経験したことから詩的に語る作品。
    同じことを様々な表現で描かれているが、286,287ページの表現を残しておきたい。人類の前進に貢献する、貢献している他者を認識することが幸せなのだと感じさせてくれる。
    「人類の形成過程はまだ完了していないというこ...続きを読む
  • 人間の大地
    「ぼくたちは何世紀もの間道に騙され続けてきた」
    「自分の中のモーツァルトを虐殺しない」など、美しく簡潔ではっとさせられる文章と、サン=テグジュペリのパイロットとしての経験などを基にしたルポルタージュやエッセイを寄せ集めた作品。
  • ぼくのともだち
    最初の入りの文と、最後の文の味がある。今までの本で一番好き。
    主人公は孤独で友達が欲しいけど、高飛車で変わり者でなかなかうまくいかない。うざいなと読んでて思う時もあるけど、最後の最後に正直になった彼はなんだか可愛らしくも感じる。
    寂しくてたまらなくて、紛らわすのに必死になる彼の気持ちには少なからず共...続きを読む
  • ドルジェル伯の舞踏会
    でぇえ…本当に20歳(執筆している間は10代)でこれを書いたの、すごいな……自分が20歳の頃なんて思い出したくもないから比較はしたくない(できない)が…「早熟」なんて言葉では括れない才能な気がする…

    解説も読みごたえあって面白かった、何となくコクトーと仲良かったみたいなイメージしかなかったからもう...続きを読む
  • ドルジェル伯の舞踏会
    久しぶりに素敵な小説に出会えました。
    登場人物の心理描写を1人の語り部が優れた洞察力でもって豊かに表している
    中でも三角関係という泥々な恋愛シーンは殆ど少なく、主人公は2人の夫婦を丸ごと愛しているように思える所から思いやりに溢れるシーンがたくさんあり、癒された。
    クライマックスのセリユーズ夫人にマオ...続きを読む
  • ぼくのともだち
    一つ一つの行動がオチがあって面白い。友達が欲しい淋しさや人への妬みが、それが100%ではなく70%くらいの感じ。あとは自由気ままなポジティブさ!人間関係で失敗した時に読みたい小説。
  • 海底二万里 下
    上巻に勝る、驚きの旅路が続きます。
    前人未踏の海底世界へ、ネモ艦長がアロナックス教授らを導き続けます。
    ネモ艦長はあらゆる海を制覇しましたが、それは南極点を除いてのことでした。
    知的好奇心と冒険心を原動力に、彼らがそれに挑む姿が目に浮かびました。
    しかし終盤になり、ネモ艦長は復讐心をもって行動を開始...続きを読む
  • 海底二万里 上
    ネモ艦長率いる潜水艦ノーチラス号での不思議な生活が、捕獲されたアロナックス教授の語りで綴られます。
    軟禁状態といえる待遇であっても知的好奇心が手伝い、脱出したいけれど留まりたくもある葛藤が伝わってきます。
    又、私は文明社会に別れを告げ隠遁し、新たな生活と研究に没頭するネモ艦長に憧れもします。
    下巻に...続きを読む
  • 人間の大地
    人間の気高さとは何かについて書かれた本。

    p76の下記の一節は僕の座右の銘の一つになっている。

    「人間であること、それはとりもなおさず責任を持つということだ。自分のせいではないと思えていた貧困を前に赤面すること、僚友が勝ち取った栄冠を誇りに思うこと、自分に見合った石を積むことで世界の建設に貢献し...続きを読む
  • ぼくのともだち
     愛されたい、特別でありたい、認められたい、感謝されたいという誰しもが多かれ少なかれ持っている欲を固めて具現化したような主人公が空回りし続けて誰にとっての何者にもなれない様子が、ユーモラスに描かれているからこそ余計に辛く哀しかった。最初はいけ好かないと思っていた主人公の事が次第に放っておけなくなって...続きを読む
  • 人間の大地
    本文中の至るところに散りばめられた詩的イメージがいい。
    物語としては、「砂漠の中心で」が白眉であろう。自分も喉の渇きを感じながら夢中で読んだ。
    サン=テグジュペリの他の作品も読んでみたくなった。
  • ぼくのともだち
    全て奪い去られてしまったって気分になったことはあるかい?自信も尊厳も全て朽ち果てて、冗談どころか本音すら嘲笑われる状況には?無いのなら残念なことに、この本の魅力を伝えることは叶わないのかもしれない。傷痍軍人手当で食い繋ぎ、「ともだちがほしい」と言いながら本当に望んでいるのは自分よりクズで不幸な人間。...続きを読む
  • 人間の大地
    人間の生きる意味を考えることができる詩的な美しさに溢れた本でした。哲学的な問いかけもあり。

    サン=テグジュペリ自身が飛行機に乗っているのでアンデスの山地やアフリカの砂漠を俯瞰しているのは当然といえば当然ですが、より高い層から生きるとは?というテーマも俯瞰しているのですよね。すばらしいなあ。
  • ドルジェル伯の舞踏会
    この小説において"誤解"は重要なキーワードになるのではないかと思った。
    他者への誤解、または自分自身の心の誤解。
    語り手の焦点が定まっていないため、全登場人物の内面を覗き見ることができるが、皆なんらかの誤解をしながら物語が進んでいく。
    一方で、自分自身の心を素直に読み取れている人物もいる。しかし、そ...続きを読む
  • 人間の大地
    郵便飛行機のパイロットとして、アフリカの砂漠や南米の山岳地帯でのエピソードを連作にした。砂漠で不時着し極限状態。僚友との絆。学生の部活動で同じ目標に向かう一体感に似たものを感じた。最終章での人間と自然との関わり、偉大さ、平和への願いにも気づきがある。2022.1.29
  • 人間の大地
    すごく面白いという感じでは無いですが、全体的にキレイな文章でかつ心に残るフレーズもたくさんありますので、読んでおいて損は無い本だと思いました。とりあえず、この本を読んでから「星の王子さま(ちいさな王子)」を読むのがオススメ♪
  • 人間の大地
    サンテグジュペリのエッセイ。これまで読んできた本は飛行機から見た風景や人間関係が主だったが、今作は様々な人々にスポットを当てた人間観察のエッセイ。

    少々小難しいが、上品で知的な表現が心地よい。大体の作品で解説は飛ばすけど、今作は解説もしっかり読んだ。貴族出身で飛行士で、詩的な作家ときたら、モテない...続きを読む
  • 人間の大地
    パイロットとして孤独と向き合い、地球や人間の歴史や根源的な存在意義に思いを馳せた究極のエッセイ。コロナ禍で味わう孤独などサン=テグジュペリが向き合った孤独に比べればピーナッツ程度ではないか。金言の連続。
  • ぼくのともだち
    自意識過剰で卑小で自分勝手な主人公。でも自分自身も持っている一面だと思うから嗤えない。多分一生友達を求めながら出来ないであろう。