浜辺祐一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
命を救う最前線の現場の状況が分かる内容です。
作中には医療分野でよく聞く表現が使われていますが、その表現について分かりやすい解説がされているため、医療分野で働いていない方でもイメージが付きやすいかと思います。
また、現場の状況だけでなく現在直面している救命医療の問題に言及しているようにも捉えられます。
患者収容不可の話や高齢者の延命治療など、限りある医療資源をどのように使っていくか・命を救うために行ったことがその後の患者の生活へ与える影響について考えさせられるものです。働いている医療従事者は問題と直面し葛藤しながら、搬送されてくる患者を救おうとしているが伝わってきます。
今一度、医療の現状 -
Posted by ブクログ
ネタバレ救命救急センターの医師視点による、救急患者やその救命のための医療に関する物語。救命救急センターでの朝の申し送り風景を切り取った形式で書かれている。
ただ、救急医療と聞いて想像するような、ドラマのような医療現場の描写とは一線を画している。本の紹介文には緊迫の医療現場を描いたなどと書かれているけれど、ちょっと違う印象を受ける。脱力系というか、ある種の諦観というか。タイトルに「それは死体!?」とか「それは無駄!?」とかが並ぶのが象徴的。
とはいえもちろん、やる気のない医者であるとか、そういったことではない。むしろ救命の現場で奮闘してきたからこそのリアルな視点なのだろうと思う。救急医療とは対極にあると -
Posted by ブクログ
ネタバレ予習無しで多様な重症患者が運び込まれ、
その場で即判断を下していく迫力を感じた。
自分の判断は正しかったか
ーそれは治療そのものだけではなく、治療をやめる判断も含むー
それを問い続けなくてはならず、
人の生き死にを左右する究極の判断には
常にわかりやすい正解があるわけでもなく、
人によっては考えることをやめてしまう。
自分がその立場になったら、
重い問いを抱えていられず
同じく考えることをやめてしまう可能性大だ。
すっきりした答えは無く、
患者にとって、遺される家族にとって
自分の判断が正しかったかどうかを自問し続ける。
この本から感じた迫力は、
その問いを引き受ける医師の迫力でもある -
Posted by ブクログ
ネタバレ集英社文庫のナツイチ、2008夏の一冊に選ばれていました。
集英社のWEBには、BOOKNAVI 書籍試し読みのサイトがあり、
見出しの1ページ程度の本文が掲載されています。
救急医療は、交通事故の死亡件数を減らすのに貢献しているとお聞きしています。
そういう現場の雰囲気が分かる小説で、興味を持ちました。
「搬送先が決まらずに救急車が事故現場で立ち往生してしまったり、あるいは収容先を求めて何軒もの病院を訪ねまわるという事態が頻発しました。その結果、助かるはずの生命が、みすみす失われていったのです。」
死亡事故が1件でもあれば、毎日、マスメディアが騒ぎたれる分野がる一方、
毎年何千 -
Posted by ブクログ
この本の何が面白いって、読み手としているのが一般人じゃないところ。
なんと相手は医療の専門関係者で、特にナース達。これって結構珍しいよなあ。だから心臓マッサージのABCDなんて
『今更だから説明は止めよう』
なんてすっ飛ばされる。会話も婦長さんや麻酔医等、救命センターで腕をふるう人たちとのやり取り。
お医者さんのエッセイに多い、患者さんたちとのやり取りはあくまでも医療関係者に伝えようとするエッセンスの手助けでしかない。
病院での主役は患者さんで、自分たちは脇役と言い切る作者の強い気持ちが伝わってくる。
ナースのたまごたちに向けたエールも清々しい。
重苦しさも少しはあるが、手にとっ