レイ・カーツワイルのレビュー一覧
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人工知能の世界的権威である著者が2007年に刊行した同名書の要約版。テクノロジーの指数関数的な進化により、人間の生活が不可逆に変容する「技術的特異点(シンギュラリティ)」が2045年に訪れるという予測をしている。
本書は、遺伝子・ナノテク・サイバネティックの進化が技術的特異点をもたらすと説く。1kgで全人類の脳を超えるコンピュータ、ナノマシン治療、人体の機械化、脳のダウンロード…今は想像できないが、一方でここ10年の技術革新を言い当てており、強ち予測も間違いではないとも思える。
現在、著者はgoogleで機械学習・自然言語処理の技術責任者を務めているそうで、彼が生み出すサービスも楽しみであ -
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未来予想学者として著名なレイ・カーツワイル氏によるAI、ナノテクロジーなどの技術によって社会、人間がどのように変容していくかを論じた一冊。
テクノロジーの進歩は寿命の延長、大脳新皮質のクラウド、脳自体の機能拡張などの正の側面もあるが、戦争や犯罪などの負の側面も大きくなる可能性がある。
しかし、著者は「慎重かつ楽観的な姿勢」で未来を受容すべきであると語っており、この姿勢は興味深いです。
過去のテクノロジーの進化を見ても、失業者の増加などの経済的な側面や、人間の倫理観的な問題などの議論が起き、その結果として社会に溶け込んでいることを考えると、進歩した未来の魅力に人類は抗えないのではないかと感 -
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2020年代半ばとなる2025年8月現在に本書を読んでいる身としては、2020年代にAIとバイオテクノロジーが融合し、多くの病気が解決するようになる、指数関数的なテクノロジーの発展によってほどなくして太陽光発電が主流になって化石燃料に頼らなくなり、垂直農業と人工肉によって食の問題が解決する、といった予測が非常に机上の空論に感じられる。
世界が良い方法に向かっているというのはハンス・ロスリングらが主張した通りだし、過去数百年に渡って指数関数的にテクノロジーが発展してきたのも事実だろう。
しかし本書後半でも触れられているように、政治がその足を引っ張る。
著者カーツワイル氏は民主主義が素晴らしく -
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2005年の超楽観的未来論「The Singularity Is Near」の続編であり本書は「The Singularity Is Nearer(末尾にerがついている)」
基本的に前著を踏襲しつつ、近年の生成AIの進歩などを含めて、2024年時点での進捗報告的な内容だそうだ。生成AIなど一部については予想通りに進んでおり、2029年にチューリングテストをパス、2045年にシンギュラリティ到達という予想は変わっていない。前著はいろいろ物議を呼んだようだが、本人としてはそれみたことか、と嬉々として続編書いたんだろうな。
ただ、テクノロジーの急激な発達により毎年の寿命の増加が1.0を超えて不老不 -
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レイ・カーツワイル氏が"THE SINGULARITY IS NEAR”で2005年に予見したシンギュラリティがまさに迫っている。
あれから20年、いよいよ来るシンギュラリティへの現実味を現在の技術や動向を検証しつつ、前作ではややコンセプチュアルであった未来を、より具体的に詳述する。
昨今のChatGPTの普及はもとより、mRNA技術のコロナワクチンの驚異的開発速度、DeepMind社CEOのデミス・ハサビス氏のノーベル化学賞受賞など、まさにAIは我々の世界を一新しようとしている。彼の見方はやや楽観的過ぎるという批判はあろうが、技術的進歩は全てを解決するという彼の考え方に賛同する。
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シンギュラリティ(特異点)とは何か。まずはこの理解が大事でしょう。本書でも強調されているように「人間の理解を超えて何が起こっているのかわからない状態」をカーツワイル氏はシンギュラリティと呼んでいます。その意味で私は著者に合意します。著者が例として「10次元についてAIが人間に説明するが、人間にはまったく意味が分からない」というような例をあげていますが、この話で、2次元人と3次元人というようなたとえを思い出しました。人間は6面体のサイコロの設計図を平面(2次元)に書くことができ、それが切り出されて立体化(3次元)するときに、どこの点とどこの点が一致するかを頭の中で理解できます。しかしもし2次元し
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ネタバレ本書はテクノロジーの進化により到来する未来を予測している。
生物の進化も科学技術の進展も、線形的ではなく指数関数的であり、加速していくものである。
現在のテクノロジーは、人間の生物学的脳の能力を超えるコンピュータを生み出す段階に達しており、数十年内には全人類の脳の能力を1台の安価なコンピュータが凌駕する時代がくる。
脳の計算能力は既にコンピュータに敵わず、脳の持つ超並列処理能力(一度に100兆の情報を同時に処理できる能力)については現在のコンピュータでは再現できていないものの、今後も到達できない理由はなく、テクノロジーが進歩すれば近いうちに到達可能であることを著者は確信している。
こうしたテク