藤沢数希のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世の中には二種類の人間がいる。
金融業界の人間と、それ以外の人間だ。
そう言っておかしくないほど、両者の考えは違う。
そして、違うといえば、大事なことですが、報酬も。
よくニュースで、平均賃金のことが話に出ますが、こういうのに金融業界の数字は含まれていないですよね。
まあ、公務員もですが。
なんでかなあ、と思うのですが、まあ、それは、平均からずれてしまうからなのではなかろうかな、と。
あと、公務員の場合は、無税で色々な手当てがあるので、賃金として計算するのが難しい、というか。
とまあ、そんな恵まれた状況にある金融業界ですが、藤沢氏が高給で買って満足したものが、Wiiとか言われると、高給とはいえ、時間を自由に使える身ではない以上、満足できる消費行動なんて、こんなものなんだな、なんていう気も。
以前、中学時代の同窓会があったとき、当時、我々の学年では群を抜いて優秀で、某一流私大の付属高に進み、そのままそこの大学を出た人間と話をしたが、彼が、
「金融って給料高いんでしょ。30で四桁とか」
と言い出して目が点になりそうになった。
彼の言う四桁というのは1000万のことなのだろうが、その後も、相槌を打つのに精一杯というか、まあ、話が噛み合わない。
彼は、その大学を出た後に、一部上場のビールメーカーに勤め、国内のMBAに通ったり、何度か転職をしたりなんかの人生。
もし、報酬のことだけを考えるなら、何か間違った努力をしているようにしか見えないが、そんなことは言っても詮無きこと。
エリートとして如何に世の中をよくするか、と言うことを発言するくらいなので、世界を破滅に追い込む金融商品を開発するような道に進まなかったのは、幸福だったのかもしれません。
無論、金融人の中にも、その中の世界で必死にカーストを駆け上がろうとする人、少し斜に構えながらも他の業界の平均よりははるかに高い報酬を敢えて手放すことはせず、それを享受する人、たくさんもらいすぎてもきりがないから、と十分な額を得た後、その世界から足を洗う人、と千差万別です。
そこで、今回は藤沢氏の本にマッチする切り口で分類を考えてみます。
同じ仕事に対する報酬が、金融業界が他の業界と比べて、ゼロが1つ2つ違うことについて、それを知っているかどうかが、まずひとつ。
そして、知っていたとして、それをおかしいと思うかどうか、が次のひとつ。
さらに、それをおかしいと思った上で、その恩恵にあずかる道に進もうとするのか、それともそのおかしさを正すためのデモとか革命とか批評とかの道に進むのか、が最後のひとつ。
藤沢氏は、金融業界に身を置き続けながらも、そこで感じる違和感をブログやメルマガ、著書で吐き出している。
つまり、最後の分岐においては、両方を選択していることになる。
自身では、それを「稀有なポジション」と言っているが、実は最後の分岐で後者を選択する人は、金融の世界にはほとんどいない。
金融は規制産業であるので、それぞれの会社の組織体系も、他の業界に比べると似通っている。であるからして、業界内の転職も多く、引き抜きが起こりやすく、そして年俸の高騰も起きやすい。
さらに言うなら、そうして業界内にちらばるかつての同僚たちと、集うことも結構ある、というわけだ。
他業界だと、転職したら、そこで付き合いは終わり、ということのほうが多いのだろうと思う。
無論、日本での話ですが。
というより、転職市場が活性化されるには、外から見ても、業務の中身がわかりやすく、かつ組織のどの部分の仕事を出来る人間なのかが、外側の人間からでもわかるようになっていないと難しい。
労働協定があったからだとしても、ソニーの社員がパナソニックに移り、給料が少しあがり、同様の職に就く、という図は、あまり考えられない。
金融業界の仕事を、バイサイドからセルサイドまで、原則論を踏まえた上で、年収付きで記載。
まあ、これだけで、金融業界志望、あるいは金融業界の人間は必携かもしれません。
金融業界にいれば、大体どういう仕事があるか、ということはわかりますが、さすがにそれぞれのポジションの年収の相場までは、聞けませんからね。
まあ、細部によっては、数字には少し怪しいところもありますが・・・。
日系のファンドマネージャーで、1000万いかない、というのはさすがにだいぶ昔の話じゃないかと。
確かに、運用会社が、銀行の子会社としての扱いでしかなかった時代には、出向組の人に対して、そのような扱いもあったのではないかと思われますが、プロパーで入った人に対してはそんなこともないような、、、。ですよね?違います?FMもしくは元FMの皆さん。 -
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ネタバレブロガーである藤沢氏が現在のグローバル経済で何が起こっているかを解説している。
中央銀行の役割や、なぜ世界中の通貨が連動して価値が上がったり下がったりするのか、がわかりやすく解説されている。そして、最後には藤沢氏なりの今後の日本がとるべき政策について論じられている。
頑張った人が報われるための規制緩和(法人税の引き下げ、関税ゼロ)、と、稼いでいる人、稼いでいない人も含めた平等な税の徴収(消費税の増税)等をすることによって、市場に徹底的に競争の原理を持ち込もう、というもの。国力の源泉は教育なのだから、今のような一度取ったら首にならない教員免許制度はやめ、競争原理を学校教育に持ち込もう、というのはとてもおもしろいと思った。 -
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外資系企業でトレーディングなどを行い、科学者としての顔もある著者が経済学の実践的な内容と提言を書いた一冊。
2011年に出版された本書は現在でも変わることない様々な国の施策について提言がされており、非常に刺激的でした。
ただ経済学の基本的な知識についても科学者の見地から数式なども用いて解説されており勉強になりました。
最後の第5章での提言は解雇自由化や道州制や教育バウチャー制度など実現するには困難なものも含まれていますが、戦後約70年を経過した日本で著者の提言されていることは希望ある未来に向けてのひとつの考えだと本書を読んで感じました。 -
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第一章
法学徒として裁判所批判的な内容が多く興味深かった。整理解雇の4要件が判例であり、正社員を守ると同時に非正規社員を切ることをある意味推進しているとの見方。また村上ファンドの利益市場主義を否定した東京地裁は日本で資本主義が通用しないといっているようなもの。インサイダーに関して法的な取り組みの余地があるのかも。
第二章
政治学で学んだ市場の失敗が出てきて学問がつながったことに喜びを感じた。あとばぶるって要するにgreater fool theoryとのこと。
特に関心を持てたのは日本の教育に関する記述。教育バウチャーを導入するべきとのこと。そして大学の民営化。私も日本の教育について思うところがあるので、参考になった。 -
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時事ネタを理解するためのベースとして、経済学を理解するためにはちょうどよい本。そうした解説と合わせて「成功した人に報いる税制」と「徹底した規制緩和」が日本の経済成長に繋がると一貫して主張している。
すんなり腹落ちしない内容はあるものの、総じて賛成。ただ、上記が成長に繋がることは頭では理解していても、バブル崩壊後に先送りの政策しか実施できていないのが現実。政治家や官僚が理解していない訳ではなく、分かっていてもやらないという状況と思われ、それをどう実現するかが肝のはずで、その点ではやっぱり評論家。
以下、備忘録として残して置きたいポイント。
①経済学は国民を豊かにするための最適な資源配分を考える学問。
②失業は社会が豊かになるために必要なプロセス。技術革新→生産性向上→余剰人員発生⇒他の産業にて就業→GDPアップ(⇒の部分が必ず繋がる?長期的かつ個人にフォーカスしなければマクロ的にはそうかも…)。
③GDP=民間投資+民間投資+政府支出+輸出-輸入
④実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーター(ある時点を基準とした物価指数)
⑤信用創造:銀行の貸出によって民間企業や個人が自由に使えるお金が増殖(銀行が企業や個人に貸出→回り回ってどこかの銀行に預金として預けられる→その銀行が改めて貸出…(数式省略))
ただし現金性向が高い(金利)が低いと信用乗数が低くてあまり効果なし。
と書いてきたが、細かな理論は割愛。経済学部出身としてはちゃんと理解していないとね。内容とその通りに行かない背景をセットで。 -
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アゴラやBLOGOSでおなじみの藤沢数希氏のもう2年前の本、軽い語り口と時々品のない方へ脱線するキャラ設定は好き嫌いが別れるかもしれないがサブプライムローンやリーマンショックなどをさくっとおさらいするにはお手頃だとおもう。この分野では「マネー・ボール」のマイケル・ルイスの「ライアーズ・ポーカー(投資銀行に入ったマイケルの自伝)」「世紀の空売り(サブプライムローの破綻にかけて大儲けした数組)」「ブーメラン(ヨーロッパの金融危機)」がお勧めなのでこの本で興味を持った人はそちらを読むのが良いと思う。
投資銀行のトレーダーの金銭感覚をよく表している文がいくつか出てくる。例えば「ジョン・ポールソンはアナリストが数人の小さなヘッジ・ファンドを運営しており、こうしてCDSで顧客のために1兆6000億円稼ぎ、自分のために4000億円も稼いだ。ドイツ銀行のトレーダーだったグレッグ・リップマンも負けじと数千億円稼いだ。ただしグレッグはサラリーマンだったので、ドイツ銀行からたったの50億円ぐらいしかボーナスをもらえずに、それが不服でドイツ銀行をすぐに辞めている。」
貧乏なセールスやバンカーほど気前がいいという話もある。「25歳のトレーダーが1日に1億円儲けたり損している間に、イタリア高級スーツに身を包み、スイスの高級時計をしている経験豊富な40歳のシニア・セールスやアナリストは、頭の悪いクソみたいな年金基金のファンドマネージャーに平身低頭で媚びへつらい、彼らをキャバクラに連れていき、毎日下らない「ここだけの」投資話を電話して、1年間で1億円の手数料を払ってもらえるかどうかというしょぼいビジネスをしていた。 当然だが、そんなセールスやアナリストの給料は極めて安く、総じて彼らは貧乏だ。給料はせいぜい2000万円とかそんなものだ。ぼくの知人のセールスは、入社3年目くらいのときに、しょぼいボーナス(たぶん1500万円とか)をもらって、威勢良く赤いフェラーリをローンで買っていた。」もっと稼いでいるトレーダーは金を使わないらしい。
儲けた会社が従業員や役員にいくら払おうが横から口出しする様なことではないのだがリーマンショックで問題になったのは破綻した金融機関への公的資金の投入で誰を救ったのかということ。サブプライムローンが破綻しない方にかけてリスクをとった人たちが破綻前には高額のボーナスを受け取り、リスクを積むだけ積んで上手く逃げ切った人もいる。単年度で見れば確かに会社を儲けさせたのだからボーナスをもらってもおかしくない。しかし破綻まで通算すると会社に大きな損失を与えているのだがそこは遡及されないので損をかぶったのは納税者ということになる。しかし、公的資金を投入しないとシステミックリスクで連鎖倒産が置きかねない。だから怒った人たちがウォール街を占拠したのは心情的には理解できる。
第5章はアメリカとEUの失われる10年+が予想されている。では2年経ってどうなったかというとEU経済は相変わらず低調なままだが危機はやや遠のいた。6月のユーロ圏の失業率は横ばい予想に反して前月から低下し過去最長の景気後退の後遺症から徐々に立ち直る状況が示された。それでも2013年の失業率で言うとギリシャ、スペインが約27%、ポルトガル16%、アイルランド13%、イタリア12%となお高い水準だ。アメリカは7.4%、ワールドカップの裏でデモが頻発したブラジルは5.4%だった。(世界経済のネタ帳より)直近のアメリカはというと労働市場が回復途上にあり、利上げのタイミングはまだもう少し先だ。失業率だけでなく流動性の低下が賃金の低下につながる懸念が指摘されているようだ。
ヨタは飛ばしつつも藤沢氏の主張は決済銀行が投資部門を持つことで巨大化しつぶせなくなったことのモラルハザードが挙げられている。確かにリスクマネーを運用するヘッジファンドならつぶれたところで影響は限定的だ。投資銀行部門を別会社にするというアイデアは理解できる。さらにリスクマネーに規制がかかる様になれば方向としてはリスクもリターンも小さくなる。それが外資系金融機関の終わりなら別に終わってもらっていいのだが。 -
Posted by ブクログ
外資系投資銀行に勤めた(ている?)経験のある筆者が、高給だがすぐ馘首されることで知られる投資銀行の内幕やその仕事の金融経済へ与える影響を述べている本である。
内幕といっても暴露ものではなく、業務内容の分類やそれぞれの実務の紹介である。リーマンショックやユーロ危機もどうして発生したかを説明し、世界経済に大きな影響を与える理由を解説する。そして、今後のこれらの大きすぎて潰せないといわれる投資銀行の今後について予想する。
読みやすい語り口で綴られているが、その内容は金融危機について書かれた多くの解説書やドキュメンタリーから窺える内容と違いはない。日本の外資系投資銀行のサラリーの話が何度となく出てきて、筆者はいくらもらっていたのだろうかなどと下世話な感想を抱かせるような三面記事的な視点で描かれてところが大きく違うところだ。