高橋和久のレビュー一覧

  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    第二次大戦直後に書かれたディストピア的近未来小説。解説にあるように、結果として実現しなかったディテールを見るのではなく、現在の社会に通じる側面を見つけ出すのが面白い。

    0
    2025年10月19日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    ネタバレ


    イギリス社会主義なる独裁体制に支配された1984年の世界の話。ニュースピーク言語なる、支配側からの言語統制によって反抗思想的な単語が抹消された話し方が採用され民衆が政治的な反抗思想すら考えつかないようにされている。

    が、ちょうど併読していた「言語が違えば世界も違って見えるわけ」(ハヤカワ刊)にもあったが、「人間の思考は言語や母語によって違いが生じるのではなく、日常生活の基本的な面について本人が所属する社会の中の他人と円滑に意思を疎通するために反復練習した経験から生ずる」とあり、まさにそれ。ニュースピークという新しい言語体系があるが実際のこの世界の人々は党に反抗分子と思われたくないから円滑に

    0
    2025年10月19日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    『ビックブラザー』なる者を最高指導者としたディストピア世界。ほんの数日前の事柄、人間さえ、党に不都合ならば無かったことにされる。新聞、書籍、辞書、全ての記録物を編集され、過去が意味を持たない社会。主人公は新聞記事を党の意向に合うように"編集"する職についています。党に心酔した可笑しな人々を可笑しいと思える主人公がディストピア世界で、どう生きるかを描いた作品です。

    現代の日本人には、滑稽な社会でもがく正常な主人公と映るだろうが、時代と国によれば、その評価が逆転してしまう。本書を読み進めるうちに、このディストピアに入り込み、現実に立ち返ると、安堵と共に嫌な不安感が残ります。

    0
    2025年10月19日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    ディストピア小説の王道といったところだが、作品の設定と同じような地域が現在もあるということ、いつ1984のような出来事が起こってもおかしくないという点にゾクっとさせられた。
    昔話のように聞こえるが、現在でも市民が声を上げないだけ、もしくは気がついていないだけで、本作と同じような結末を目の当たりにしているように思える。

    0
    2025年10月10日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    とても難しい本だった。
    話の展開が急に変化するため自分の予想していたストーリーとは全く別のものだったし、人の考え、過去についてなど色々と考えさせられる話でした。
    途中の過去回想シーンや拷問などはその痛々しい情景が浮かび上がってくるようで恐怖を感じた。
    もう少し本を読んで経験を積んでから再読しようと思う。

    0
    2025年09月10日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    世界で一番最悪な平和を実現する方法。
    AI、SNSを始めとしたデジタルデバイスに支配される現代に警鐘を鳴らす名著。今読むべき。

    0
    2025年09月11日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    ディストピア小説の代表作。

    ビッグ・ブラザー率いる党に支配された全体主義国家・監視社会に反抗を目論むウィンストンの物語。

    SFだが、共産主義国家の生活が垣間見えるようで面白かった。テレスクリーンによる生活の監視、二分間憎悪で不満を外に向けさせるなどの慣習は、今の隣国を想像させる。

    決して現代でも色褪せていない名作である。

    監視社会を壊れてハッピーエンドになるのかと思っていたら、全く反対の結末だった。

    このハヤカワepi文庫には、トマス・ピンチョンの読み応えある解説がついていて良かった。

    0
    2025年09月08日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ディストピアものの超名作。そこまで分厚くは無いものの、文章量、そもそも文字数がはちゃめちゃに多い。そして展開は一度も明るくならないまま、緩やかに重たくなっていく。人間を個ではなく全として扱いまとめ上げていく。党にとって人間は動く歯車でしかない。ただそれだけなんだけど、あまりにもそれに至る過程が恐ろしい。洗脳のための進め方も、問答も本物で物凄く怖かった。否応にもトラウマを抉られるし、心から大切にしているものすら打ち砕かれる。何も残らない。その末に見たものは、本当に彼が愛すべき存在だったのか。いやー、下手なホラー小説よりも怖かった。でも読みづらいし少し難しかったので星4つで。

    0
    2025年09月05日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    聞いたことはあるが、読んだことはなかったので。 出だしから、これはどういう世界観?となるが、読み進めるうちに納得。 全体主義が進行したディストピアで、体制側に反旗の意を持つ主人公の物語。 検閲など思想・良心の自由の侵害の恐ろしさを感じる。

    0
    2025年08月30日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    観てから読みました。
    映画は原作に忠実ではないけど、原作の風味を全く損なっておらず!それも驚きでした。
    最終的な「真相」としては、マッキャンドルスの記録派です。
    マッキャンドルスも、ベラも、信用できない語り手、だとしても、ラストの一文で、マッキャンドルス派…。

    村田沙耶香さんの「信仰」を読んだ時と同じ感覚に。小説なんだから作り物前提なのに、事実としてあったかも、と思わせられる感じ。

    頭が良くても、貧乏だと外見に出てしまい、やはり弾かれてしまうことの辛さも描かれていました。
    マッキャンドルスの身の上話もそうだし、ベラの(実の)おとうさんが、成金後にベラに与えた教育内容もそう…出自、育ち、辛い

    0
    2024年10月09日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    良くも悪くも「人を食った」ような形式をとった作品で、流石はイギリス文学! と感じました。
    川へ身投げして死んでしまった女性の胎内にいた赤ん坊の脳を、医師が母親に移植して蘇らせた…という概要だけは知っていたのですが、ストーリーそのものだけでなく、物語の形式そのものが、読者に色々と考えさせる構成になっているのが何とも曲者でした。

    恐らくですが「フェミニズム」が激化したり、世間の考えに変化が起こるたび、評価を集める作品ではないでしょうか。

    映画版だと後半部分は(ほぼ?)カットされてるとのことですが、そちらも好評なので観てみたいです。

    0
    2024年08月27日
  • 義とされた罪人の手記と告白

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ゴシック小説とは、18世紀末から19世紀初頭にかけて流行した神秘的、幻想的な小説でゴシック・ロマンスとも呼ばれるとのこと。これまでほとんど読んでない世界だが、今回は掉尾を飾る名作と銘打たれた本の復刊ということで、読んでみた。
    キリスト教の研究者用の引用注記の多さには気になったし、区切り無しの告白も読むのに時間がかかったが、とはいっても読み進めてしまう面白さがある。編者の視点と罪人の告白という二重構成のなか、兄弟殺しの裏側に潜む悪魔的な存在とは何かというのが読みどころだった。良い読書の機会だったと思う。

    0
    2024年04月15日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    映画を公開日に見て、非常に面白いと感じたので、原作を手に取ってみました。
    映画でも扱われたシーンは頭の中で想像しやすくより楽しく読めました。
    ヴィクトリアの手紙によって、映画で扱われた大部分を否定しているためどっちが真実なのかは分かりませんが、それもまた物語の深みも増して良いと思いました。
    個人的には映画よりも、原作の方が哀れなるものたちというタイトルがとてもしっくり来ました。
    訳者さんが、哀れなという訳を多様して下さっているので、心に引っかかる部分は多いと思います。
    ぜひ、映画と原作合わせて見てほしいです。多くの時間、この作品に触れられて幸せです。

    0
    2024年04月08日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    映画が衝撃的な面白さだったから原作を読んでみた。

    ストーリーは概ね映画と変わりないけれど、"実在の人物が昔自費出版した本とその妻のメモを作者がまとめた"という体裁を取っているのが独特。映画には無かった最後の仕掛けによって、原作でも脳がクラクラする経験ができる。

    序文や注釈によってフィクションをあたかも実際に起きた事のように思わせる作りなのに、最後にそれがひっくり返される。今までの作者の努力とは真逆の仕掛けのように思えるのだけど、「どっちが真実?」と混乱しているうちに、「どちらかが真実のはず」という思考になっていて、まんまと作者の術中にハマっていることに気付く。

    ただ、

    0
    2024年02月25日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    奇書だ…!というのが第一印象。

    実際の手紙のヴィクトリアが夫をバカ呼ばわりしていたり「こんな物書く時間があれば社会貢献のために働けよ」的なこと言ってたのが残念な気持ちになった。資本主義や家父長制の倫理と似たような考え方に陥ってしまうのが。
    事実と違うのに自分がフランケンシュタインの怪物にされてたら腹立つのも分からんではないが。

    ヴィクトリアは(1914年には)アーチボルドの回顧録の内容を嘘だとして拒絶したが、1920年の「愛の経済」(の序文と書評)を読むとヴィクトリアが(アーチボルドの書いた)ベラと同一化していったようにも感じる。これの本文も読みたかった。

    0
    2024年02月21日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    映画の評判や本の評判でフェミニズム的な側面が強い本だと思われてそうだけど、この本はエゴ、進化学習へのメッセージが強いと思った

    可愛らしく素敵な女性ってだけじゃダメだと思ったベラが学んで進化していく過程で他者からのエゴに振り回されたり、バッサリ切り捨てたりするその行動がベラの魅力の一つだと思った

    私は比喩表現が多いと読み飛ばしちゃう人だから少し本だけではメッセージをちゃんと受け取れなかったかも、映画行ってきます〜!

    0
    2024年02月10日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    著者、アラスター・グレイが偶然手に入れた医学博士、ヴィクトリア・マッキャンドルスによる一連の書類をグレイが編集し直したもの、という体で綴られるメタフィクション。
    ヴィクトリアの夫、アーチボールド・マッキャンドルスが発行した書籍がベースになっている。
    この書籍は完全にアーチボールドの視点で描かれており、件のヴィクトリアは、自殺したうら若き美しい女性ブレシントン夫人の肉体に、彼女が身ごもっていた胎児の脳を移植したいわゆるフランケンシュタイン的に生み出された女性であり、いかにアーチボールドが彼女に惹かれそして人生を共にしたかについて綴られている。
    内容は胎児の脳を移植されたヴィクトリアが逃げ出して世

    1
    2024年01月08日
  • 一九八四年[新訳版]

    購入済み

    はじめて読み終わったときはそこまで大好きな作品にはならなかったけど、読めば読むほど夢中になる小説だった。

    0
    2021年10月01日
  • 二十一の短篇 新訳版

    Posted by ブクログ

    第一次世界大戦、世界恐慌、第二次世界大戦。
    そんな時代を生きた市井の人々(子供も若者も老人も)の悲劇、あるいは喜劇が21編。

    『廃物破壊者たち』『ばかしあい』『田舎へドライブ』あたりがお気に入りです。

    各編の冒頭には担当した訳者のコメントが付いており、作品の導入になっているばかりでなく、読み終えた後にも余韻を与えます。

    0
    2010年09月20日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    自分の心に他人は入ってこられるか。

    世界的ベストセラーだけど読んだフリしている人も多いだろう作品。かくいう自分もそうだった。腰を上げて読んでみた。すごい作品だった。消化できた気がしない。

    歴史を変える。党の言うことを疑わない。それが危険だと言われているのではなくて、おかしいと思った自分をそんなことを考えてはダメだと無視する態度が危険だと言う。自己防衛的愚鈍。身に覚えのある自分がいる。おかしいと思っても生活を続けるために間違っていないと言い聞かせ信じ込む。そうじゃないと生きていけないから。

    SNSによって「1984年」は現実に近づいているのかもしれない。でもSNSとかじゃなくて、テレビやラ

    0
    2025年11月03日