高橋和久のレビュー一覧

  • 一九八四年[新訳版]

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    ディストピア作品の傑作 ありえたかもしれない監視社会。
    近年、アメリカのトランプ大統領による政治を踏まえ再注目されている本作。しかし書かれたのは50年以上前の1949年である。本作の魅力と人の停滞を痛感する。

    我々の基準で言えば有り得ない世界であるが、歴史上はこのイデオロギーに近い人達もいたわけで。どこかで間違えたらあったかも、そしてあるかもしれない。世の中の在り方について考え直すための傑作。
    歴史上、このような社会の創設は失敗しているが、現在の進歩した科学技術を用いれば、より容易に成立してしまうのではないかと恐ろしくなる。そうならないためにも、皆が政治社会の在り方を他人任せにせず、関心を持

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    2025年12月28日
  • 一九八四年[新訳版]

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    ネタバレ

    なーんてこった状態。

    1章は世界感、主人公にフォーカスした話
    自分たちの生きている世界の曖昧さを痛感する。なにも疑問なく受け入れていることは果たして真実なのか。権力者によって自由と思わされているかもしれない。支配とはまさに。
    2章でつかの間の幸せとスリル。ここからの加速が楽しい。
    3章で絶望。
    何を言っても否定されて、もう諦めて楽になろ…てなる。
    話が通じない、わかり合えない、正しいだけでは勝てず、しかもそれを正しくないとされて頭おかしくなりそう。
    感情としては悲しいより悔しいが強いかも。
    そして本当に恐怖するものを前にすると、愛する人も差し出せてしまう。それが精神の最後の砦で、自分というも

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    2026年03月23日
  • 一九八四年[新訳版]

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    世紀末文学の白眉、「1984」を読んだ。
    ウィンストンという真理省党員の目を通しての、ビックブラザーに支配されるオセアニアの姿を描く。
    解説ピンチョンいわく、元トロツキスト、バーナムがとく日本のイースタシア、ロシアのユーラシア、そして英米連合のオセアニアが舞台。ビックブラザーと抵抗勢力のゴールドスタインはスターリンとトロツキーを思い出されると。時代背景でいけば、当時はそんな対比が考えられたのも頷けるが、現代では中国の体制が近いように感じる。しかし、さらに直近で思い当たるのが、SNS。姿が見えないビックブラザーは巨大SNSを自分の意のままに動かす人物にあたり、人の記憶を塗り替えでしまうのは、まさ

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    2026年03月21日
  • 一九八四年[新訳版]

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    緻密な世界観と詳細な表現のおかげで、本にどっぷり浸かることができた。

    嘘を嘘だと理解しながらも本当だと信じる、それが狂っていることだと私が認識するのは、私が生きている世界の価値観に基づいたまで。他の大多数と同じように狂ってしまった方が幸せなのかもしれない。

    物語を読むことで、ウィリアムの感情の遷移を追体験できるのが良かった。
    拷問の最後に"本当の意味で"ジュリアを裏切った瞬間は、心底絶望した。その後の最後の章では、2人が再会した時にもう同じように愛せないのは明白だったし、その他ウィリアムがカフェで過ごす様子、最期の時などを読んでも心が動かないというか、驚かなかった。ウィ

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    2026年03月19日
  • 一九八四年[新訳版]

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    2章までは空き時間に少しずつ。3章からは一気に読み終えてしまった。キャラクターや世界観は魅力的だったし、いい読書経験だったけど、読み終えた後あとはちょっと気楽なエッセイとかで口直ししたくなる。

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    2026年03月07日
  • 一九八四年[新訳版]

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    終わり方が好みだった。世界観が面白くてなかなか没入出来て楽しかった。出てくるキャラクターも結構好き。洗濯物を干しながら歌を歌うおばさんの描写と死刑囚と主人公の目が合う場面が好き

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    2026年02月22日
  • 一九八四年[新訳版]

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    ネタバレ

    1年前に購入して50ページほど読んで積読状態になっていたが、
    読書熱が高まって再開、2、3日で読み終えた。

    監視社会、過去改竄、全体主義と救いのない世界。その中でもニュースピークという言語の置き換えが恐ろしく感じた。

    民族と言語は不可分。それを破壊されるということは民族としてのアイデンティティを失うこと。為政者が支配をより強固にするために、過去の改竄とともにニュースピークの推進によってどんどん言葉が減らされる。減らされるだけでなく一つの言葉に多様な意味を付与される。言葉を減らし、思考を制限し支配を永続的なものにしていく。

    独裁国家の支配下でなぜ国民が安易に国家に反逆できないのか、社会を変

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    2026年02月15日
  • 一九八四年[新訳版]

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    もう、怖すぎる、不気味すぎる。
    しかも今の世界情勢を予言してるし。
    (でも、これは読む時代に関わらず、10年前、20年前でも、今を予言してる!となるらしいが)
    今回の選挙で壊滅したかに見える左派への一定のアンサーがピンチョンの解説で見えたのも興味深い。(ピンチョンの解説が秀逸でした。)
    第一部から不穏すぎて、気持ち悪かったが、第三部では(激しい拷問描写は気持ち悪かったが、)ウィンストンが人間性を取り戻すシーンで一息つけた。
    人間らしさがこんなに恋しく思う小説って。なんとも言えない後味の悪さだけど(出口のない悪夢という点でSFというよりホラーやん)、訳もいいのか、すらすら読める。

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    2026年02月13日
  • 一九八四年[新訳版]

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    めっちゃ面白いやん。
    自分の現状も疑ってしまう。
    自分は自由なのか、幸せとは何なのか。
    フィクションなのかどうかも疑わしくなるほどリアルで、真理があるように思える。
    素晴らしいよ。

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    2025年12月06日
  • 一九八四年[新訳版]

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    ネタバレ

    1949年に書かれた1984年を2025年に読んでみた

    テレスクリーンというものに始終監視されていて人を信じることなく生きていかなくてはいけない世界で主人公・ウィンストンはわりと行動的。二重思考に対するウィンストンとオブライエンの問答を読み解くのははなかなかに難しく…。

    第一、二部はわりとするすると読めましたが拷問メインの第三部がどうにもしんどかったです。

    現代に当てはめるとインターネットがあるからそのままの設定では再現は無理というわけでもなく破壊しつくして1984年の世界を創り出せば再現可能で、過去が私が知る過去ではなくなる恐怖に背筋がひんやりしました。

    とはいっても1949年に書か

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    2025年11月17日
  • 哀れなるものたち

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    観てから読みました。
    映画は原作に忠実ではないけど、原作の風味を全く損なっておらず!それも驚きでした。
    最終的な「真相」としては、マッキャンドルスの記録派です。
    マッキャンドルスも、ベラも、信用できない語り手、だとしても、ラストの一文で、マッキャンドルス派…。

    村田沙耶香さんの「信仰」を読んだ時と同じ感覚に。小説なんだから作り物前提なのに、事実としてあったかも、と思わせられる感じ。

    頭が良くても、貧乏だと外見に出てしまい、やはり弾かれてしまうことの辛さも描かれていました。
    マッキャンドルスの身の上話もそうだし、ベラの(実の)おとうさんが、成金後にベラに与えた教育内容もそう…出自、育ち、辛い

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    2024年10月09日
  • 哀れなるものたち

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    良くも悪くも「人を食った」ような形式をとった作品で、流石はイギリス文学! と感じました。
    川へ身投げして死んでしまった女性の胎内にいた赤ん坊の脳を、医師が母親に移植して蘇らせた…という概要だけは知っていたのですが、ストーリーそのものだけでなく、物語の形式そのものが、読者に色々と考えさせる構成になっているのが何とも曲者でした。

    恐らくですが「フェミニズム」が激化したり、世間の考えに変化が起こるたび、評価を集める作品ではないでしょうか。

    映画版だと後半部分は(ほぼ?)カットされてるとのことですが、そちらも好評なので観てみたいです。

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    2024年08月27日
  • 義とされた罪人の手記と告白

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    ネタバレ

    ゴシック小説とは、18世紀末から19世紀初頭にかけて流行した神秘的、幻想的な小説でゴシック・ロマンスとも呼ばれるとのこと。これまでほとんど読んでない世界だが、今回は掉尾を飾る名作と銘打たれた本の復刊ということで、読んでみた。
    キリスト教の研究者用の引用注記の多さには気になったし、区切り無しの告白も読むのに時間がかかったが、とはいっても読み進めてしまう面白さがある。編者の視点と罪人の告白という二重構成のなか、兄弟殺しの裏側に潜む悪魔的な存在とは何かというのが読みどころだった。良い読書の機会だったと思う。

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    2024年04月15日
  • 哀れなるものたち

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    映画を公開日に見て、非常に面白いと感じたので、原作を手に取ってみました。
    映画でも扱われたシーンは頭の中で想像しやすくより楽しく読めました。
    ヴィクトリアの手紙によって、映画で扱われた大部分を否定しているためどっちが真実なのかは分かりませんが、それもまた物語の深みも増して良いと思いました。
    個人的には映画よりも、原作の方が哀れなるものたちというタイトルがとてもしっくり来ました。
    訳者さんが、哀れなという訳を多様して下さっているので、心に引っかかる部分は多いと思います。
    ぜひ、映画と原作合わせて見てほしいです。多くの時間、この作品に触れられて幸せです。

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    2024年04月08日
  • 哀れなるものたち

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    映画が衝撃的な面白さだったから原作を読んでみた。

    ストーリーは概ね映画と変わりないけれど、"実在の人物が昔自費出版した本とその妻のメモを作者がまとめた"という体裁を取っているのが独特。映画には無かった最後の仕掛けによって、原作でも脳がクラクラする経験ができる。

    序文や注釈によってフィクションをあたかも実際に起きた事のように思わせる作りなのに、最後にそれがひっくり返される。今までの作者の努力とは真逆の仕掛けのように思えるのだけど、「どっちが真実?」と混乱しているうちに、「どちらかが真実のはず」という思考になっていて、まんまと作者の術中にハマっていることに気付く。

    ただ、

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    2024年02月25日
  • 哀れなるものたち

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    ネタバレ

    奇書だ…!というのが第一印象。

    実際の手紙のヴィクトリアが夫をバカ呼ばわりしていたり「こんな物書く時間があれば社会貢献のために働けよ」的なこと言ってたのが残念な気持ちになった。資本主義や家父長制の倫理と似たような考え方に陥ってしまうのが。
    事実と違うのに自分がフランケンシュタインの怪物にされてたら腹立つのも分からんではないが。

    ヴィクトリアは(1914年には)アーチボルドの回顧録の内容を嘘だとして拒絶したが、1920年の「愛の経済」(の序文と書評)を読むとヴィクトリアが(アーチボルドの書いた)ベラと同一化していったようにも感じる。これの本文も読みたかった。

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    2024年02月21日
  • 哀れなるものたち

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    映画の評判や本の評判でフェミニズム的な側面が強い本だと思われてそうだけど、この本はエゴ、進化学習へのメッセージが強いと思った

    可愛らしく素敵な女性ってだけじゃダメだと思ったベラが学んで進化していく過程で他者からのエゴに振り回されたり、バッサリ切り捨てたりするその行動がベラの魅力の一つだと思った

    私は比喩表現が多いと読み飛ばしちゃう人だから少し本だけではメッセージをちゃんと受け取れなかったかも、映画行ってきます〜!

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    2024年02月10日
  • 哀れなるものたち

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    著者、アラスター・グレイが偶然手に入れた医学博士、ヴィクトリア・マッキャンドルスによる一連の書類をグレイが編集し直したもの、という体で綴られるメタフィクション。
    ヴィクトリアの夫、アーチボールド・マッキャンドルスが発行した書籍がベースになっている。
    この書籍は完全にアーチボールドの視点で描かれており、件のヴィクトリアは、自殺したうら若き美しい女性ブレシントン夫人の肉体に、彼女が身ごもっていた胎児の脳を移植したいわゆるフランケンシュタイン的に生み出された女性であり、いかにアーチボールドが彼女に惹かれそして人生を共にしたかについて綴られている。
    内容は胎児の脳を移植されたヴィクトリアが逃げ出して世

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    2024年01月08日
  • 一九八四年[新訳版]

    購入済み

    はじめて読み終わったときはそこまで大好きな作品にはならなかったけど、読めば読むほど夢中になる小説だった。

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    2021年10月01日
  • 二十一の短篇 新訳版

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    第一次世界大戦、世界恐慌、第二次世界大戦。
    そんな時代を生きた市井の人々(子供も若者も老人も)の悲劇、あるいは喜劇が21編。

    『廃物破壊者たち』『ばかしあい』『田舎へドライブ』あたりがお気に入りです。

    各編の冒頭には担当した訳者のコメントが付いており、作品の導入になっているばかりでなく、読み終えた後にも余韻を与えます。

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    2010年09月20日