高橋和久のレビュー一覧

  • 義とされた罪人の手記と告白

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    宗教に無頓着な父と厳格過ぎる母の2人の息子。兄は父の下で育ち明朗快活に育つ。弟は母が心酔する牧師の元で育ち、ギル・マーティンという友人と出会い、神に呪われていると思われる兄・父・母を手にかける。弟ロバートは二重人格?本当の父は牧師?書かれていないからこそ心に残る。作家ホッグが羊飼いでほとんど教育を受けず、16歳まで識字に興味もなかったこと、今でも宗教の名の元で争いが絶えない背景に義とされた罪人の影を感じてしまい、フィクションの小説として終わらせられない気持ちが残った。2024年に復刊、今読むべきだったかも。

    0
    2026年06月12日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

     伝説的ディストピア小説。『素晴らしい新世界』を読んだ時は、「こんな世界でも、悪くないかも」と思ったが、今作に描かれていたのは明確に嫌な世界だった。同時に、そんな世界に対して、自分がきちんと論理立ててNOを突きつけられるかと言われれば、そうではない。
     オブライエン対ウィンストンの3部が圧巻なのは、そのためである。日本という比較的平和な民主主義社会に生きる自分にとって、オブライエンの唱える社会、それはすなわち、イングソックの諸原理に基づき、ビッグ・ブラザーを皆が崇拝する社会は、まさに悪夢そのもの。しかし、彼の狂気的な雄弁に対し、読者の自分は始終押し除けられていた。なぜか。それはウィンストンも言

    0
    2026年05月26日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    もしもこんな世界があったらと考えられても、設定を細部まで落とし込めるジョージ・オーウェルが恐ろしい。

    言語を削ぐことで思考を狭めて、党の支配力を維持するのは面白かったが怖くもあった。
    言語化は思考力だと実感。

    トマス・ピンチョンの解説も希望があり最高だった。

    0
    2026年03月30日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    なーんてこった状態。

    1章は世界感、主人公にフォーカスした話
    自分たちの生きている世界の曖昧さを痛感する。なにも疑問なく受け入れていることは果たして真実なのか。権力者によって自由と思わされているかもしれない。支配とはまさに。
    2章でつかの間の幸せとスリル。ここからの加速が楽しい。
    3章で絶望。
    何を言っても否定されて、もう諦めて楽になろ…てなる。
    話が通じない、わかり合えない、正しいだけでは勝てず、しかもそれを正しくないとされて頭おかしくなりそう。
    感情としては悲しいより悔しいが強いかも。
    そして本当に恐怖するものを前にすると、愛する人も差し出せてしまう。それが精神の最後の砦で、自分というも

    0
    2026年03月23日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    世紀末文学の白眉、「1984」を読んだ。
    ウィンストンという真理省党員の目を通しての、ビックブラザーに支配されるオセアニアの姿を描く。
    解説ピンチョンいわく、元トロツキスト、バーナムがとく日本のイースタシア、ロシアのユーラシア、そして英米連合のオセアニアが舞台。ビックブラザーと抵抗勢力のゴールドスタインはスターリンとトロツキーを思い出されると。時代背景でいけば、当時はそんな対比が考えられたのも頷けるが、現代では中国の体制が近いように感じる。しかし、さらに直近で思い当たるのが、SNS。姿が見えないビックブラザーは巨大SNSを自分の意のままに動かす人物にあたり、人の記憶を塗り替えでしまうのは、まさ

    0
    2026年03月21日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    緻密な世界観と詳細な表現のおかげで、本にどっぷり浸かることができた。

    嘘を嘘だと理解しながらも本当だと信じる、それが狂っていることだと私が認識するのは、私が生きている世界の価値観に基づいたまで。他の大多数と同じように狂ってしまった方が幸せなのかもしれない。

    物語を読むことで、ウィリアムの感情の遷移を追体験できるのが良かった。
    拷問の最後に"本当の意味で"ジュリアを裏切った瞬間は、心底絶望した。その後の最後の章では、2人が再会した時にもう同じように愛せないのは明白だったし、その他ウィリアムがカフェで過ごす様子、最期の時などを読んでも心が動かないというか、驚かなかった。ウィ

    0
    2026年03月19日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    観てから読みました。
    映画は原作に忠実ではないけど、原作の風味を全く損なっておらず!それも驚きでした。
    最終的な「真相」としては、マッキャンドルスの記録派です。
    マッキャンドルスも、ベラも、信用できない語り手、だとしても、ラストの一文で、マッキャンドルス派…。

    村田沙耶香さんの「信仰」を読んだ時と同じ感覚に。小説なんだから作り物前提なのに、事実としてあったかも、と思わせられる感じ。

    頭が良くても、貧乏だと外見に出てしまい、やはり弾かれてしまうことの辛さも描かれていました。
    マッキャンドルスの身の上話もそうだし、ベラの(実の)おとうさんが、成金後にベラに与えた教育内容もそう…出自、育ち、辛い

    0
    2024年10月09日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    良くも悪くも「人を食った」ような形式をとった作品で、流石はイギリス文学! と感じました。
    川へ身投げして死んでしまった女性の胎内にいた赤ん坊の脳を、医師が母親に移植して蘇らせた…という概要だけは知っていたのですが、ストーリーそのものだけでなく、物語の形式そのものが、読者に色々と考えさせる構成になっているのが何とも曲者でした。

    恐らくですが「フェミニズム」が激化したり、世間の考えに変化が起こるたび、評価を集める作品ではないでしょうか。

    映画版だと後半部分は(ほぼ?)カットされてるとのことですが、そちらも好評なので観てみたいです。

    0
    2024年08月27日
  • 義とされた罪人の手記と告白

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ゴシック小説とは、18世紀末から19世紀初頭にかけて流行した神秘的、幻想的な小説でゴシック・ロマンスとも呼ばれるとのこと。これまでほとんど読んでない世界だが、今回は掉尾を飾る名作と銘打たれた本の復刊ということで、読んでみた。
    キリスト教の研究者用の引用注記の多さには気になったし、区切り無しの告白も読むのに時間がかかったが、とはいっても読み進めてしまう面白さがある。編者の視点と罪人の告白という二重構成のなか、兄弟殺しの裏側に潜む悪魔的な存在とは何かというのが読みどころだった。良い読書の機会だったと思う。

    0
    2024年04月15日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    映画を公開日に見て、非常に面白いと感じたので、原作を手に取ってみました。
    映画でも扱われたシーンは頭の中で想像しやすくより楽しく読めました。
    ヴィクトリアの手紙によって、映画で扱われた大部分を否定しているためどっちが真実なのかは分かりませんが、それもまた物語の深みも増して良いと思いました。
    個人的には映画よりも、原作の方が哀れなるものたちというタイトルがとてもしっくり来ました。
    訳者さんが、哀れなという訳を多様して下さっているので、心に引っかかる部分は多いと思います。
    ぜひ、映画と原作合わせて見てほしいです。多くの時間、この作品に触れられて幸せです。

    0
    2024年04月08日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    映画が衝撃的な面白さだったから原作を読んでみた。

    ストーリーは概ね映画と変わりないけれど、"実在の人物が昔自費出版した本とその妻のメモを作者がまとめた"という体裁を取っているのが独特。映画には無かった最後の仕掛けによって、原作でも脳がクラクラする経験ができる。

    序文や注釈によってフィクションをあたかも実際に起きた事のように思わせる作りなのに、最後にそれがひっくり返される。今までの作者の努力とは真逆の仕掛けのように思えるのだけど、「どっちが真実?」と混乱しているうちに、「どちらかが真実のはず」という思考になっていて、まんまと作者の術中にハマっていることに気付く。

    ただ、

    0
    2024年02月25日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    奇書だ…!というのが第一印象。

    実際の手紙のヴィクトリアが夫をバカ呼ばわりしていたり「こんな物書く時間があれば社会貢献のために働けよ」的なこと言ってたのが残念な気持ちになった。資本主義や家父長制の倫理と似たような考え方に陥ってしまうのが。
    事実と違うのに自分がフランケンシュタインの怪物にされてたら腹立つのも分からんではないが。

    ヴィクトリアは(1914年には)アーチボルドの回顧録の内容を嘘だとして拒絶したが、1920年の「愛の経済」(の序文と書評)を読むとヴィクトリアが(アーチボルドの書いた)ベラと同一化していったようにも感じる。これの本文も読みたかった。

    0
    2024年02月21日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    映画の評判や本の評判でフェミニズム的な側面が強い本だと思われてそうだけど、この本はエゴ、進化学習へのメッセージが強いと思った

    可愛らしく素敵な女性ってだけじゃダメだと思ったベラが学んで進化していく過程で他者からのエゴに振り回されたり、バッサリ切り捨てたりするその行動がベラの魅力の一つだと思った

    私は比喩表現が多いと読み飛ばしちゃう人だから少し本だけではメッセージをちゃんと受け取れなかったかも、映画行ってきます〜!

    0
    2024年02月10日
  • 哀れなるものたち

    Posted by ブクログ

    著者、アラスター・グレイが偶然手に入れた医学博士、ヴィクトリア・マッキャンドルスによる一連の書類をグレイが編集し直したもの、という体で綴られるメタフィクション。
    ヴィクトリアの夫、アーチボールド・マッキャンドルスが発行した書籍がベースになっている。
    この書籍は完全にアーチボールドの視点で描かれており、件のヴィクトリアは、自殺したうら若き美しい女性ブレシントン夫人の肉体に、彼女が身ごもっていた胎児の脳を移植したいわゆるフランケンシュタイン的に生み出された女性であり、いかにアーチボールドが彼女に惹かれそして人生を共にしたかについて綴られている。
    内容は胎児の脳を移植されたヴィクトリアが逃げ出して世

    1
    2024年01月08日
  • 一九八四年[新訳版]

    購入済み

    はじめて読み終わったときはそこまで大好きな作品にはならなかったけど、読めば読むほど夢中になる小説だった。

    0
    2021年10月01日
  • 二十一の短篇 新訳版

    Posted by ブクログ

    第一次世界大戦、世界恐慌、第二次世界大戦。
    そんな時代を生きた市井の人々(子供も若者も老人も)の悲劇、あるいは喜劇が21編。

    『廃物破壊者たち』『ばかしあい』『田舎へドライブ』あたりがお気に入りです。

    各編の冒頭には担当した訳者のコメントが付いており、作品の導入になっているばかりでなく、読み終えた後にも余韻を与えます。

    0
    2010年09月20日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    究極のディストピア。
    なんかいろんな繋がりに導かれて一九八四年にたどりついた。
    インテリ悪口本→QJKJQからの、村上春樹がこの小説に着想をというのを知って読み始めた。
    2分間憎悪とか、憎悪習慣、最初はおもしろく読んでたけどなかなか進まず、、、
    あとがきで『過去の翻訳にくらべて少しは読みやすく〜』みたいなくだりがあって、やっぱり読みにくいよねぇと再確認。初版のころはもっと読みにくかったのかと思うと、私なら途中で挫折してただろうな、、、

    0
    2026年07月08日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    この世界ではビックブラザーという絶対的な存在があり、党の移行に背く行動、思考を持つものは犯罪者とみなされる恐ろしい世界!
    2+2=5! このような誤った事象でも党が5と言えば5なのです。
    そんな中で主人公は最期まで党への反逆の姿勢を見せるのですが1人の人間の存在はないも同然。
    現代を見ても、SNSで虚偽の情報が多く存在したり、政府の情報操作に見事に踊らされる人達、、それほど遠い未来の出来事でもない気もしますね。

    0
    2026年07月06日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    思っていた話と違った。ディストピアものということで、ブレードランナーっぽい感じかと思っていたら、もっと陰気で、救いがなかった。というか、これが本当のディストピアというやつですかね。スカッとするところもないわけではないですが、ほぼ全編陰鬱な描写に心がやられそうです。

    某国を思わせるような管理体制で、物語として読めなかったですね。ドキュメンタリー的な緊張感がありました。と、他人事みたいな感じですが、もう少し広く考えると、現在の日本にも当てはまるようなところがないわけではないようにも思えてきます。語彙力の低下や、言葉の意味が変わってきているみたいな話がありますが、これって実は恐ろしいことなのかもし

    0
    2026年06月29日
  • 一九八四年[新訳版]

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    一九八四年 ジョージ・オーウェル
    様々な作品に影響及ぼしまくりの本作。監視され管理され政府の意のままに振り回され自分に嘘をつき続けねばならない自由皆無の灰色世界の話。後半はもう救いが…最後まで読めばなんとか…。印象に残った一文「自由とはニ足すニが四であると言える自由である」

    0
    2026年06月20日