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19世紀後半、天才医師と、奇怪な手術で蘇生された女がいた。そう記された古書に魅せられた作家はある行動に出る。映画化原作
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「哀れなるものたち」
2024年1月26日公開 出演:エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー
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Posted by ブクログ
女性が女性として教育された脳をリセットして、思うがまま自由に生きてみたら…。 そのリセットというのが、胎児の脳を移植するというのだから、本当に何の先入観もないゼロからのスタートである。しかも、身体的には魅力的な容姿を持った成人女性として。 女性は選ばれ、管理されるものである。女性は結婚を望み、性に...続きを読む関しては受け身なものである。 そのような女性観をリセットした主人公 ベラの言動は、現代においても新鮮で、見るものを清々しい気持ちにさせてくれる。 特にベラとウェダバーンの駆け落ちあたりが最高に面白かった。2人の関係性がよくある駆け落ち中の男女の描写とは違って、性欲や感情に支配されずに、目的を持って計画的に行動しているベラの姿がかっこよく思えた。 そして文章のリズムも心地良く、頭の中をふわふわと短歌が漂っているような不思議な感覚が味わえる。クセになりそう。
先に映画観て大正解だった、エマ・ストーンさんが演じたベラを思い出しながら読むともう楽しすぎて楽しすぎて。 長いと思った533ページ、読み終えるのが惜しいと思うほど。面白かった……。 アラスターグレイさん自ら描いた挿絵もあったり、註釈、写真、などもあり、なかなか凝ってる本になってると思いました。3枚...続きを読む目のカバーの絵もアラスターグレイさんが描いたものらしい。 2枚目のあらすじの通り、ある医者が自殺した妊婦(ベラ)に、そのお腹の中にいた赤ちゃんの脳を移植し、蘇生させた。 その女性は体が大人なのに脳が赤ちゃんという状態で第2の人生が始まり…とてもはやいスピードで成長していくベラ。 本当に楽しくて面白かった、それだけではなく、色々考えさせられたこともあり、自分も成長を止めることなく色々吸収したいと思いました。 この本も映画も面白かったのでオススメです。 こんなに楽しい!と思う読書は久しぶりかも。
映画がとても素晴らしかったので、小説も読んでみた。 基本的には映画と同じ物語、展開ではあるのだが、登場人物周りは映画のほうがよりベラが主体的だった印象。このあたりは昨今の再びのフェミニズムのブームからの影響か、現代的な改変がされているのかな、と。 そして世界観の構築も結構違っていた。 映画はヴィク...続きを読むトリア朝時代のような世界観にスチームパンクと、ファンタジーを混ぜたような世界が作られているる。 小説のほうもケレン味を効かせた部分はあるのだが、映画ほど荒唐無稽な世界ではない。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』なんかの世界観構成と近いかもしれない。SFやファンタジーに振り切ってるわけではないという感じ。 それもあって映画から小説に入ると結構世界観の違いに驚く部分もある。 一番驚いたのは『哀れなるものたち』が結末を迎えた後に、もう一つ物語があって、その部分。 これはベラ本人による手記なのだが、これは映画にも描かれていないので、結構驚くというか、煙に巻かれたような気持ちになった。 今まで見ていたものは何だったのか……。そんな気持ちになる。 でも、それも含めて面白かった。 ただ一つ残念だったのは、これを自分は文庫本で読んだのだが、圧倒的にハードカバー向きの本だったってこと。 それと、国書刊行会は『ラナーク 四巻からなる伝記』を再販してくれ!
著者、アラスター・グレイが偶然手に入れた医学博士、ヴィクトリア・マッキャンドルスによる一連の書類をグレイが編集し直したもの、という体で綴られるメタフィクション。 ヴィクトリアの夫、アーチボールド・マッキャンドルスが発行した書籍がベースになっている。 この書籍は完全にアーチボールドの視点で描かれており...続きを読む、件のヴィクトリアは、自殺したうら若き美しい女性ブレシントン夫人の肉体に、彼女が身ごもっていた胎児の脳を移植したいわゆるフランケンシュタイン的に生み出された女性であり、いかにアーチボールドが彼女に惹かれそして人生を共にしたかについて綴られている。 内容は胎児の脳を移植されたヴィクトリアが逃げ出して世界を駆け巡る中で圧倒的な成長を果たしていくという様を、あたかも「アルジャーノンに花束を」のパロディのような感じで綴っているものであり、確かに面白いものではあるが、SFとしては「ふーんなるほど」という感じ。 この小説が面白いのは、ただ単にそれで終わらず、このアーチボールドの書籍に対し、当事者であるヴィクトリアの手記が添えられていること。 この手記はヴィクトリアの視点で綴られており、これを読む中で、どちらの主張が正しいのかがさっぱりわからなくなる。 その答えがどうなるのかは実際に読んでもらって体験して欲しいが、これはなかなか見事に考えさせられる構成となっている。 冗長かなーって思う部分も結構あったけど、500ページ強、ボリュームを感じさせず楽しませてもらった。 いいSFだったと思う。
観てから読みました。 映画は原作に忠実ではないけど、原作の風味を全く損なっておらず!それも驚きでした。 最終的な「真相」としては、マッキャンドルスの記録派です。 マッキャンドルスも、ベラも、信用できない語り手、だとしても、ラストの一文で、マッキャンドルス派…。 村田沙耶香さんの「信仰」を読んだ時と...続きを読む同じ感覚に。小説なんだから作り物前提なのに、事実としてあったかも、と思わせられる感じ。 頭が良くても、貧乏だと外見に出てしまい、やはり弾かれてしまうことの辛さも描かれていました。 マッキャンドルスの身の上話もそうだし、ベラの(実の)おとうさんが、成金後にベラに与えた教育内容もそう…出自、育ち、辛い言葉です。 そんな言葉に振り回されず静かに生きる方法… そんなことも考えさせられました。 そして、反戦・反軍国主義小説でもありました。 若者を殺すだけの戦争… そのあたりをきちんと語っていました。 また、社会主義をベラに語らせていました。 それにしても「ウェド」だらけで少々疲れましたが(笑)、不思議な、おもしろい本でした。 映画共々賛否両論なかんじ。 読める人、観ても大丈夫な人にオススメ。 私的に星4つぴったり。 内容をよく表現している表紙イラストもアラスター・グレイ本人。すごい。
良くも悪くも「人を食った」ような形式をとった作品で、流石はイギリス文学! と感じました。 川へ身投げして死んでしまった女性の胎内にいた赤ん坊の脳を、医師が母親に移植して蘇らせた…という概要だけは知っていたのですが、ストーリーそのものだけでなく、物語の形式そのものが、読者に色々と考えさせる構成になって...続きを読むいるのが何とも曲者でした。 恐らくですが「フェミニズム」が激化したり、世間の考えに変化が起こるたび、評価を集める作品ではないでしょうか。 映画版だと後半部分は(ほぼ?)カットされてるとのことですが、そちらも好評なので観てみたいです。
映画を公開日に見て、非常に面白いと感じたので、原作を手に取ってみました。 映画でも扱われたシーンは頭の中で想像しやすくより楽しく読めました。 ヴィクトリアの手紙によって、映画で扱われた大部分を否定しているためどっちが真実なのかは分かりませんが、それもまた物語の深みも増して良いと思いました。 ...続きを読む個人的には映画よりも、原作の方が哀れなるものたちというタイトルがとてもしっくり来ました。 訳者さんが、哀れなという訳を多様して下さっているので、心に引っかかる部分は多いと思います。 ぜひ、映画と原作合わせて見てほしいです。多くの時間、この作品に触れられて幸せです。
映画が衝撃的な面白さだったから原作を読んでみた。 ストーリーは概ね映画と変わりないけれど、"実在の人物が昔自費出版した本とその妻のメモを作者がまとめた"という体裁を取っているのが独特。映画には無かった最後の仕掛けによって、原作でも脳がクラクラする経験ができる。 序文や注釈によ...続きを読むってフィクションをあたかも実際に起きた事のように思わせる作りなのに、最後にそれがひっくり返される。今までの作者の努力とは真逆の仕掛けのように思えるのだけど、「どっちが真実?」と混乱しているうちに、「どちらかが真実のはず」という思考になっていて、まんまと作者の術中にハマっていることに気付く。 ただ、映画を先に観てしまっていると完全にフィクションとして読んでしまうのがちょっと勿体なかったかな。
映画の評判や本の評判でフェミニズム的な側面が強い本だと思われてそうだけど、この本はエゴ、進化学習へのメッセージが強いと思った 可愛らしく素敵な女性ってだけじゃダメだと思ったベラが学んで進化していく過程で他者からのエゴに振り回されたり、バッサリ切り捨てたりするその行動がベラの魅力の一つだと思った ...続きを読む私は比喩表現が多いと読み飛ばしちゃう人だから少し本だけではメッセージをちゃんと受け取れなかったかも、映画行ってきます〜!
「天才外科医が女性の死体から造り上げた人造人間」と結婚した医師の回顧録に、その人造人間が「私は人造人間ではなく本当の人間だ」と主張する手紙を付録にして編纂した書物…という体裁の書。 どちらの言い分が正しいかは読者の判断による。 映画化されたようだが、映画ではどちらの解釈なのか気になるところ。
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